白面inオーバーロード   作:史上最弱の弟子

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能力のよくわからない漆黒聖典メンバーには一部独自解釈が入ってます。
後、隊長とクレマンティーヌはオリ武器を使用してます。


8話

 ユグドラシルでは、レベル10の差があると勝敗はやる前から決まってしまうと言われている。

 勿論装備やプレーヤースキルが初心者と上級者位に離れている、職業レベルの取り方が滅茶苦茶等、例外となるケースは幾つか存在するであろう。しかし基本的にはレベル差からくる能力差が大きいためにレベルと強さがほぼイコールになる。

 その原則からすればレベル80,70,60が一人ずつに対してガチビルドでレベル100のシャルティアが負ける筈は無いというのは的確な分析といえた。

 しかしそれは強さを単純に足し算した場合の計算である。1500人の大侵攻という名の「寄せ集め」としか強敵の戦いを経験していない彼女は、連携の本当の強さを知らなかった。

 そしてこの世界の漆黒聖典は 白面(くずは)の分身やアンティリーネを相手に日常的に模擬戦を繰り返し、格上に対抗する戦い方を極めた集団であったのである。

 

「難度300以上!」

 

「!!支援を頼む、魔導兵器!!」

 

「分かってる!」

 

 突然に奇襲を仕掛けてきたシャルティアに対し、占星千里がその強さを測って仲間達に伝える。

 それを聞いた漆黒聖典隊長はティーナのコードネームを叫び、直ぐ様にシャルティアを迎え撃った。

 そしてティーナは彼に支援魔法をかけていく。更に隊長は自身で武技も重ね掛けし、ステータスをレベル90以上にまで引き上げる。

 

「ティーちゃん、こっちもよろしく!」

 

「任せて!」

 

 隊長の強化が終わると次はクレマンティーヌ。そして強化が終わると彼女も援護に加わり、隊長と二人でシャルティアに対抗する。

 

「〈 火球(ファイヤーボール)〉」

 

 無限魔力が魔法を放つ。レベル30代の彼女の攻撃ではシャルティアにダメージは通らない。しかし意識外から攻撃を受ければ痛痒は無くても、気を散らすこと位は出来るし、タイミング次第では一瞬硬直させたりも出来る。

 訓練でそう理解している彼女は、シャルティアが隊長やクレマンティーヌに攻撃を仕掛けようとした瞬間、あるいは攻撃に対し対応しようとしたタイミングを狙って援護攻撃を仕掛けた。

 同じように神領縛鎖、四大精霊も攻撃または拘束を使用する。

 

(くっ、うっとうしいでありんす!)

 

 彼女達の行動は狙い通りに効果を発揮し、シャルティアの集中力を削る。

 それに対し、シャルティアも当然対応をしようとした。手強い相手よりも先ずは他を一掃しようと狙いを変更しようとした。

 だがそこで一人師団、クレマンティーヌの兄であるクアイエッセがあらかじめ召喚していた魔獣を使役し、彼女に対して妨害を仕掛けてくる。

 クアイエッセの召喚する魔獣はレベル30以下。シャルティアは瞬殺するが、一瞬の時間を稼いだその隙に更に他の者が動く。

 

「余所見してると、刺しちゃうよー」

 

 武技で加速したクレマンティーヌが、短剣型の武器であるエレザールの鎌・破魔をシャルティアの鎧の装甲の薄い部分を狙って突き刺したのだ。

 悪魔や不死系に特攻効果を持つその武器の一撃は、シャルティアに確かなダメージを与えた。

 クアイエッセの役割はこのように魔獣を敵の妨害や味方の盾に使うことである。

 

「くっ、この」

 

 怒りで反撃を仕掛けるシャルティア。しかしそこで暴風が彼女を包んだ。

 その風の出元にあるのは隊長の槍。

 彼の武器の名はエレザールの鎌・風雷。クレマンティーヌの武器と同じく、鎌という名でありながら、それとは逸脱した形状を持つ武器である。六大神がユグドラシルから持ち込んだ貴重な素材を用いる事で神器級に近い性能を持ち、その名の通り風と雷を操ることが出来る能力を宿していた。

 

「おっと危ない」

 

 風で阻害され、鈍ったシャルティアの一撃を回避するクレマンティーヌ。

 そして神聖呪歌が歌を歌う。それは能力に対するデバフ効果を持つ歌だった。レベル100のシャルティアに与えられる効果は僅かだが、この手の能力を下げるという効果に対しては、完全耐性といったものは少ない。故に格上に対する嫌がらせとしては効果的であった。

 

「はああっ!」

 

 隊長が雷を放つ。シャルティアはそれを防ぐが雷が肩をかすめ、僅かにHPを削られる。

 

「ぐっ」

 

 人間最強と居壁万壁はティーナを庇うように立っている。人間最強はレベル50を超えた吸血鬼であるイビルアイとも互角に戦える実力者であるが、シャルティアの眼鏡には敵わなかった。実際に彼が前線に加わっても、足手まといになる可能性の方が高いだろう。

 しかしバフ有りならば、そしてスキルを併用した一撃を受けなければ、シャルティア相手でも一撃で沈まないだけの力を持っている。防御特化の居壁万壁も同じである。

 パーティー戦においては回復・支援を務める人間こそが一番の要といっていい。その役割を務めるティーナを守ることが彼等の役割である。クアイエッセの魔獣と合わせて、守り固めるフォーメーションを彼等は取っていた。そのためレベル100のシャルティアでも隊長達を相手にしながら、片手間でこの防壁を崩すことは困難となっている。

 そして他のメンバーの役割は遊撃だ。魔法のスクロールや回復ポーションを使って支援しつつ、いざという時は味方の身代わりになる覚悟を決めている。

 シャルティアが雑魚と決めつけた集団は個々であれば、確かに彼女よりも遥かに弱い。

 しかし彼らは単なる個の集まりでは無く、集まる事で強大な一つの敵と化す群であったのだ。

 

(くそっ、何でこいつら雑魚の癖にこんなしぶといんでありんす)

 

 ティーナは攻撃魔法も使えるが格上との戦いでは基本使わないようにしていた。支援職が欲を出して攻撃に手を出すとそれが隙に繋がり、戦線一瞬で崩壊するリスクがあることを知っているからだ。

 攻撃は隊長とクレマンティーヌに任せてちまちま削る。ダメージを受けたら即座に回復。遊撃チームが戦いの中で生じた細かい粗を埋める。

 この戦法で彼らはシャルティアのHPを3分の2まで削っていた。しかもこれは彼女の武器であるスポイトランスが相手のHPを吸収出来る効果があるからであり、そうでなければ半分をきっていたことであろう。

 

「あははっ、ねえ、あんた。察するにあたしらのこと舐めてたんでしょ? 馬鹿にしてた奴等にボコられるのってどんな気分?」

 

 一人で自分達に襲いかかってきたシャルティアの心理を見抜いて、煽るクレマンティーヌ。

 その言葉にキレるシャルティア。

 

「このクソ虫が、調子に!」

 

「バーカ、隙だらけだよー」

 

 挑発を受け、怒りで雑な攻撃を仕掛けてしまったシャルティア。それに対しクレマンティーヌのカウンターが決まる。更に追撃で隊長の槍が炸裂。これで大きくHPを削った。

 

「ふふん、瀬戸際だね」

 

 余裕の笑みを見せるクレマンティーヌ。しかしうまくばかりは行かなかった。いいようにばかりやられたシャルティアは、怒りが振り切れ、逆に少し冷静さを取り戻したのである。

 

「もういい、遊びは終わりでありんす〈 死せる勇者の魂(エインヘルヤル)〉」

 

 そして彼女は自身の切り札ともいえるスキルの一つを使い、自分と同等の力を持った分身を生み出した。

 

「これは!?」

 

「アンちゃんと同じスキル!?」

 

 絶死絶命との模擬戦で何度も目撃したスキル。その脅威を知るが故に、一同に緊張が走った。

 その反応を見て、シャルティアは余裕を取り戻す。

 

「これでお前達も終わりでありんすね」

 

 漆黒聖典が自分の見込みよりも強かったことは認めつつ、それでも自分が2体になれば勝利は確実とシャルティアは判断する。

 しかし切り札を隠し持っていたのは彼女だけではなかった。

 

「ちっ、しょうがないか。おい、隊長」

 

「ああ。俺が分身の方を抑える。一気に決めるぞ」

 

 隊長の答え確認すると、クレマンティーヌの周りに黒い雷が迸る。

 そして彼女の姿が変容を始めた。黒い妖へとその姿が変わって行く。

 その姿は異世界に存在した『紅煉』という存在によく似たものであった。

 




【武器の設定解説】

エレザールの鎌・極

天空城から奪った素材も使った最高傑作。神話級に匹敵する性能をもっており、アンティリーネが所有。

エレザールの鎌・風雷
六大神が所有していた素材も使った逸品。風と雷を産み出すことができる。漆黒聖典隊長が所有している。鎌という名前だが、槍に近い形状をしている。伝説級と神話級の間位の境界位の性能。

エレザールの鎌・腐
魂を腐らせることで最大級の苦痛を与える。拷問、対プレイヤー特化で、基本は使われることは無い。攻撃力は聖遺物級で、強度・耐久力のみ伝説級に匹敵。

エレザールの鎌・触
ダメージよりも痛みを与えることに特化した鎌。伝説級に匹敵。

エレザールの鎌・斬
切れ味に特化した鎌。伝説級に匹敵。

エレザールの鎌・呪
斬った相手に幻覚と毒の状態異常を与える。伝説級に匹敵。

エレザールの鎌・破魔
伝説級に匹敵。悪魔や不死族に対しては特攻。神話級に匹敵する性能をもっている。鎌という名前だが、短剣に近い形状をしている。

エレザールの鎌・石
斬った相手を石化させる効果を持つ。ユグドラシルに無い状態異常なので、プレーヤーに特攻。っと、いうか事実上真なる竜王以外の全てに特攻。伝説級に匹敵。

エレザールの鎌・基
試作品として最初に作られた品。特に特徴は無いが伝説級に匹敵する基本性能を持つ。
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