サトーとセンパイは怪異対策組織・ムラクモに所属する特殊公務員(非常勤)である   作:不知東西屋

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今日も2人が動き出す。


第7話:サトーとセンパイとゲットワイルド

 朝焼けの中、街を見下ろす丘の上の洋館に2人の人間の姿があった。

 

 そう、怪異対策組織・ムラクモの職員、サトーとセンパイである。

 

「死んでるみたいに生きたくない」

 センパイのつぶやきに、サトーが応じる。

「急に自虐なんてどうしたんですか。」

 

「え?」

「え?」

 2人は顔を見合わせた。

 

「いや、前に何かの小説で読んだ言葉を思い出しただけなんだけど」

「そうだったんですか。たぶん、その小説は井坂幸○郎ですね。」

 センパイは自身のつぶやきを補足し、サトーはうなずいた。

 

「へえ、そうなんだ。てか、今さらっと俺のこと死んでるみたいに生きてる扱いしたよね。」

「まあ、少なくとも目は死んでますよね。」

 

 サトーは悪びれない。、

 センパイは戦慄した。

 

「あれ、なんだコイツ。否定しないうえに、たたみかけてきた。」

「それにしても、センパイでも本とか読むんですね。」

 

「そして、スルー。しかもさらっと失礼な追撃。すげえな。逸材かよ。」

 センパイは震えている。

 

 サトーは気にせずに口を開いた。

「死んでるみたいに生きたくない。考えさせられる言葉ですね。もっとも、現状で生きてるみたいに死んでる奴らに囲まれていて、それどころじゃないわけですが」

 

 洋館の建つ丘、その下から朝もやの中、無数の喰屍鬼(グール)が向かってくるのが見て取れた。

 

 大元の吸血鬼は退治したが、配下たる喰屍鬼は町中に広がっていて、その多くが未だ残っているのだ。

 

「サトーも結構図太くなってきたな。すげえな。逸材だわ。」

 呆れたような言うセンパイだが、その声に悲嘆の響きはない。

 

 ろくな装備もない、まさしく絶望的な状況だが、2人とも全く諦めてはいなかった。

 

「動きが鈍いうえに知能も低いですからね。まだ勝ち目はありますよ。とりあえず、納屋の中にあったトラックで包囲を突破して、退路を確保した上で端から殲滅しましょう。」

 言いながら、すでに運転席に向かっている。

 

「マジかよ。それ完全に徹夜残業コースじゃねえか。」

「つべこべ言わずに乗ってください。それとも置き去りをご希望ですか。」

 

 尻を叩かんばかりのサトーの勢いに、先輩はため息つきつつ助手席に乗り込んだ。

「はぁ~。ほんと、頼もしくなっちまったなぁ」

 

「明日は友人の結婚式でスピーチしなきゃいけないんですから、さっさと片づけて帰りましょう。」

 

「マジかよ、ご祝儀いくら?」

「3万円です。ちくしょーッ!くそったれがぁー!!」

 

 独り者の咆哮に応じるように、トラックが重低音を響かせて喰屍鬼の群れに突進した。




これでおしまい。
エンディングは各自、ゲットワイルド流しておいてください。
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