ドブカスのヒーローアカデミア   作:善人直哉

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 直哉×ヒロアカの二次創作が読みたいけど中々投稿されない。
 せや自分で書いたろと思って書きました。


1話 禪院直哉:オリジン

 人類8割が超常能力「個性」を持つ超人社会たる現代社会。

 個性を悪用する者をヴィラン、それを個性で止める者をヒーローと呼ばれている。

 そしてヒーローという業界にも世襲は存在する。有名な例は禪院家であろう。

 彼らは強力な個性を持つヒーローをその家系に取り込む、つまりは個性婚で発展してきた一族である。

 その禪院家の当主の子として生まれた子が1人、名を禪院直哉をと言う。

 

(俺は天才なんやって。皆言っとる。父ちゃんの次の当主は俺やって)

 

 幼き直哉は禪院家の邸宅を走っていた。

 彼は禪院家相伝の個性『投射』を継承しておりそれを十全に使いこなす才覚を持ち合わせていた。

 

(禪院家には落ちこぼれがいるんやって。男の癖にヒーロー科を退学したんやって。どんなショボくれた人なんやろ)

 

 落ちこぼれを見てバカにするために彼は走っていた。なんという性格の悪さ。

 彼の性格はドブカスであった。生まれながらのドブカス。

 ナチュラルボーンドブカスだ。

 

 そして彼は目撃することになる。剥き出しの肉体、その躍動を。

 落ちこぼれの名前は禪院甚爾、天与の暴君だ。

 彼の個性は『フィジカルギフテッド』、禪院家最強の個性を持つと目されながらもヒーロー科の学校で問題を起こし退学になった男だ。

 

(俺もいつかはアッチ側に………)

 

 これを機に直哉は一層、個性を鍛えることに執念を燃やしたという。

 一方の甚爾は自分から禪院家を出奔、後にヴィランへと堕ちる。そしてオールマイトに捕縛されタルタロスへと送られた。

 

「聞いたか、甚爾の奴が捕まったそうだ」

 

「ようやく禪院の汚点が消えたか」

 

「ざまぁないわ!」

 

「だがオールマイトに捕まったというのは気に食わないな」

 

「甚爾の息子はどうする?相伝の個性を継いでいたら保護して我らで育てるべきではないか?」

 

「それがだな………」

 

(………誰も甚爾君を理解してへん。たぶんオールマイトを除いて)

 

 直哉は噂話に華を咲かせる雑魚どもを尻目に鍛錬を重ねる。

 全てはアッチ側に立つために。

 そうして時は過ぎ彼は中学3年生となった。

 

「直哉よ。お前も15歳、禪院家の男児としてヒーロー科に入学する年だ!」

 

 禪院家当主、直毘人は直哉を自分の書斎へと呼びだしてそう言う。

 禪院家は関西を拠点とする一族だ。世間では関東のオールマイト、東海のエンデヴァー、関西の禪院、九州のホークスと称されている。

 

「慣習通り士傑に入るか?」

 

「雄英に行くわ、父ちゃん」

 

「ほう!」

 

 雄英、日本が誇る最大のヒーロー育成機関のことだ。卒業生はオールマイトやエンデヴァーなど実力者揃い。それに並ぶ学校など西の士傑以外にない。

 士傑は規律と伝統を重んじた校風、それは伝統を重んじる名家である禪院にこよなくマッチしており、禪院本家とも物理的にも信念的にも距離が近い。。

 反対に自由を重んじる雄英とは物理的にも信念的にも距離が遠い。

 

「真希と同じとこに行くか!それもいいだろう。ならば雄英に推薦を出そう」

 

 真希は汚点である甚爾と同系統の劣化個性を持って生まれたということで迫害を受けた。しかも実父の扇は親としても人間としても最悪の性格である。

 故に彼女は本家から離れるべく東の雄英へと入学した。

 

「おおきに。でも推薦はいらんわ」

 

「ほう?」

 

「上ばかり見てると首が痛くなるんや、たまには下を見いひんとね。それに雄英体育祭で選手宣誓をできるんわ一般入試の首席やし」

 

 雄英の倍率は300倍にして受験者数は1万人を超える。つまりそれだけ落選する人間が多い。直哉は大勢の人が落選し絶望する様子を見る為だけに一般入試を受けようとしている。

 彼はどこまでもドブカスであった。

 

 そして2月26日、雄英高校入試当日。直哉は試験会場となる模擬市街地にてライバルたちの様子を伺っていた。

 

(分かってはおったけど殆ど凡夫だらけやね)

 

 周りの受験生を見れば冬だというのに変な汗をかいてる者、緊張してる者、重心がブレている者が殆どであった。どれも競争相手たりえない。

 彼はリラックスしながら欠伸をする。

 

(確かルールは仮想ヴィランちゅうロボットを倒せばええんやっけ。楽勝やな)

 

 模擬市街地にて執り行われる実技試験のルールは簡単、0~3のポイントに割り振られた仮想ヴィランを行動不能にしていき、制限時間内までにどれほどポイントを稼げるかの勝負だ。

 

(問題は0ポイント仮想ヴィラン。マリオのドッスンのようなギミックやっけ?いうてドッスンって地蔵マリオやトゲメットで倒せるやろ)

 

『ハイ、スタート』

 

 実技試験は、試験官の一人プレゼント・マイクの間の抜けた声でヌルりと始まった。

 

「ほな、行くで」

 

 そう言って直哉は個性『投射』を発動し模擬市街地を駆け抜ける。

 彼の個性は自らの視界を画角として「1秒間の動きを24の瞬間に分割したイメージ」を予め頭の中で作り、それを実際に自身の体で後追いする。ただし動きを作るのに失敗するか、成功しても過度に物理法則を無視した動きであれば代償として1秒間フリーズしてしまう。

 しかしそれは裏を返せばある程度の物理法則を無視した動きを作ることが可能であるということ。

 

 それを積み重ねて行けば………

 

 圧倒的な速さを得ることになる。

 

『どうしたぁ!?実戦じゃカウントなんざねぇんだよ!走れ走れぇ!賽は投げられてんぞ!』

 

 プレゼント・マイクは受験生達に発破をかける。それを受けて彼らは一斉に走り出す。

 一方の直哉はというと。

 

『標的補…ガッ!』

 

「ちと鈍すぎや」

 

 既に彼は圧倒的な速度で仮想ヴィランをブチ抜いていた。

 そしてそれは止まることはない。次々と仮想ヴィランは撃破されていく。

 

「到着したぜ!………ってアレ!?」

 

「仮想ヴィランがいねぇ!どこにいるんだ?」

 

「いや遠くにいる………あ!壊れた!」

 

 他の受験生が仮想ヴィランがいた場所に到着するもそこには鉄屑しか残っていなかった。

 これから始まるのは試験ではない、鏖殺だ。

 直哉は超スピードで仮想ヴィランの首を刈り取っていく。

 

「なんだこれ!なんだこれ!どこに行ってもスクラップしか残ってないぞ!」

 

「これはドッキリよ!そうに違いない!」

 

「もう駄目だぁ、おしまいだぁ」

 

 受験生達の嘆きが聞こえる。彼らは直哉に仮想ヴィランを根こそぎ壊されて何も出来ないでいる。

 だが受難はこれだけではない。

 突如として地響きが轟く。地響きと共に現れたのは模擬市街地のビルよりも大きな0ポイント仮想ヴィランだ。

 

「なんだあれ!?」

 

「0ポイントだ!デカいぞ!」

 

「逃げろ!逃げろ!」

 

 受験生達はたまらず逃げる。合理的な判断だ。

 0ポイントを倒せるわけもなく、倒せたとしても得るモノはない。

 普通の人間なら逃げるだろう。だが直哉は違う。

 

「あれが0ポイント………ちょっとは骨がありそうやね」

 

 直哉は動きを止めて構える。戦う気だ。

 なぜならば………

 

(オールマイトなら敵わないからってヴィランから逃げへん。アッチ側になるためにはコイツは倒さんとアカン!)

 

 そうして直哉は高速移動し加速していく。

 

「まずは小手調べや!」

 

『投射』を0ポイント仮想ヴィランにかける。ロボットのちんけなCPUでは「1秒間の動きを24の瞬間に分割したイメージ」など作れるはずがなくフリーズする。その隙に直哉は連撃を叩きこむ。

 そしてフリーズから解かれたらまた『投射』をかけてフリーズさせ連撃を叩きこむ。ドン亀の仮想ヴィランに彼の動きは捉えられない。

 すると装甲は徐々に剥がれていきCPUが露出する。

 

「死に晒せ!」

 

 そうして直哉は加速した勢いで跳びあがる。そして0ポイント仮想ヴィランの剥き出しの頭部に飛び膝蹴りをお見舞いする。

 するとCPUは完全に破損し奴の行動は停止する。つまりは直哉の勝利だ。

 

「ま、少しは楽しかったわ」

 

『試験終了~!』

 

 そう言って直哉は背伸びをする。そして試験終了の合図が会場を貫く。

 これにて彼の実技試験は終わりを告げる。

 

「実技総合成績でました」

 

 ここは雄英のモニタールーム。そこでは教師陣達が今年の受験生の講評をしていた。

 

「レスキューポイント0で2位とはなぁ!」

「仮想ヴィランは標的を補足し近寄って来る。後半、他が鈍っていく中で派手な個性で寄せ付け迎撃し続けたタフネスの賜物だ」

「これ例年通りなら1位だったろ!」

 

「対照的にヴィランポイント0で8位」

「アレに立ち向かったのは過去にもいたけど倒したのは久しく見てないね」

「思わずYEAHって言っちゃったからな」

 

「そして1位。2位と同じようにレスキューポイント0で1位」

「だけどロボットを倒し過ぎた、つまりはロボットに襲われてる相手がいないからこそのレスキューポイント0」

「そして0ポイントまで倒しちゃってる」

「ポイントは202から454?なんだこれ?」

「見てないのか?余りの速さにカメラが追い付かず倒したのかどうか不明だからこうなってんだ」

「というか最低でも200ポイントって2位とダブルスコア以上じゃねぇか倒しすぎだろ!」

「このせいで彼のいたブロックは試験がやり直しになったね」

 

 一位はもちろん禪院直哉だ。彼は圧倒的な実力で首席を勝ち取った。

 

「名前が禪院、もしかしてあの!?」

「だろうな。禪院真希に続いて2例目の雄英に入る禪院だ」

「というか強個性で名家ならエンデヴァーの息子みたいに推薦入試行けよな!」

「完全に試験荒らしですね」

「直毘人サンハ何ヲヤッテルンダ」

「もしや嫌がらせなのでは?」

 

 上からミッドナイト、イレイザーヘッド、プレゼント・マイク、13号、エクトプラズム、ブラドキングがそう言う。

 

「個性は『投射』、最速の直毘人さんと同じね」

「敵をスタンさせて自分は素早くなるっー個性か」

「驚異的だね。速度計によると亜音速で動いてる」

「既に実力はプロ並だな。これは将来のトップランカーかもな」

「今年も素晴らしいヒーローの卵達が受験してくれて僕も嬉しい限りなのさ」

「問題はAかBどちらに配属するかね」

「それはA組でしょう」

「おいズルいぞイレイザー!そっちは2位の爆豪までいるだろうに!」

 

 そう言ってブラドキングはイレイザーヘッドに抗議をする。

 なぜならばイレイザーヘッドがA組の、ブラドキングがB組の担任になる予定である。

 

「合理的に考えろブラド。個性の相性的に俺が適任だろう」

 

「まあそれはそうだが………」

 

 そう言ってブラドキングは食い下がる。

 実際、『投射』を止められるのは出会いがしらに個性を消せる『抹消』が最適だ。

 

「さ、次の生徒についての講評に移ろうか!」

 

 そう言って根津校長が話を打ち切る。

 これから禪院直哉の、いやドブカスのヒーローアカデミアが始まろうとしていた。

 




・禪院甚爾
 フィジギフも個性扱いされ迫害されることはなくなりました。なお素行が悪すぎてヒーローになれなかった模様。

・関東のオールマイト、東海のエンデヴァー、関西の禪院、九州のホークス
 独自設定です。オールマイトの事務所は東京都、轟家(エンデヴァー)の家は静岡あたりにあるからこう呼ばれてるからなって。なおオールマイトは全国区で活躍してるからそう呼ばれなさそうという反論は受け付ける。

・禪院真希
 高専2年という設定から雄英2年に。直哉よりも年上になった。

・禪院直哉
 アッチ側の1人がオールマイトなことから、ちょっと綺麗なドブカスになっている。
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