ドブカスのヒーローアカデミア   作:善人直哉

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 本当は直哉の2人称は下の名前なんですが二次創作としてそれだと見づらいし書きづらいので泣く泣く苗字呼びにしました。
 ヤオモモは例外として下の名前呼びです。


3話 味見といった所やね

 個性把握テストの翌日、午後の授業。その時間はヒーロー基礎学だ。

 

「わーたーしーがー!普通にドアから来た!」

 

 そして担当教員はナチュラルボーンヒーローにして平和の象徴オールマイトだ。

 教室は彼の登場で大盛り上がりだ。

 

(オールマイト、甚爾くんを倒した男………)

 

 直哉も例外ではない。彼はアッチ側(オールマイト)への憧れが人一倍強い。静かに胸を高鳴らせる。

 

「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地を作る為、様々な訓練を行う課目だ!早速だが今日はコレ!

 戦闘訓練!」

 

 そう言ってオールマイトはBATTLEと書かれた紙を生徒達に見せつける。

 これには爆豪などの血気盛んなメンツの目は更に血走る。

 

「そしてそいつに伴って…こちら!入学前に送ってもらった「個性届」と「要望」に沿ってあつらえた………

 コスチューム!さあ着替えたら順次グラウンドβに集まるんだ!」

 

「「「はーい!」」」

 

 生徒達はコスチュームへと着替えてグラウンドβへと集まる。そこには多種多様かつ派手なコスチュームが溢れていた。

 

「おお!禪院のコスチュームは渋いな!」

 

「和服なんだ!」

 

「書生スタイルですわ」

 

「逆に目立つね」

 

「まぁな。禪院家は代々和服をコスチュームにしてるねん」

 

 直哉のコスチュームは書生風だ。明治時代の学生達が来ていたものであり、シャツの上に着物を着て袴をつけるスタイルだ。

 

「しっかし、エロいなぁ百ちゃん。ええ胸と尻や。嫌いじゃないけど出し過ぎやで、詫び寂びの心とかないんか?」

 

「禪院さん、セクハラですわ」

 

「ごめんちゃい♡」

 

 直哉は古い価値観の人間である。故に女には貞淑さを求める。彼なりに助言をしたつもりだったのだが逆効果だったようだ。

 女性陣からは凍てつく視線が放たれる。なお峰田は「面と向かって言うとは恐れ入ったぜ兄弟」と尊敬していたそうな。

 

 そういう一幕もありつつも授業は始まる。

 授業内容は2対2の屋内戦だ。

 ルールは

 ①ヒーロー側とヴィラン側に分かれて戦う。

 ②状況設定はヴィランが核兵器を持ってビルに立て籠もりヒーローはそれを処理しようとしている。

 ③ヒーロー側は制限時間内にヴィランを全員捕まえるか核兵器を確保すれば勝ち。

 ④ヴィラン側は制限時間内にヒーローを全員捕まえるか核兵器を守り切れば勝ち。

 ⑤チーム分けはクジで決める。

 だ。

 

 そして禪院の組み合わせは………

 

 2回戦 ヴィラン側:葉隠&禪院VSヒーロー側:轟&障子

 

 だがその前に1回戦が始まる。組み合わせはヴィラン側:爆豪&飯田vsヒーロー側:緑谷&麗日だ。

 これはとても派手であり危険な戦闘訓練になった。爆豪は緑谷を殺さんとする勢いで奇襲し攻撃。さらに爆豪は建物の一角を引き飛ばすほどの爆破をもって緑谷を追い詰めるが、緑谷は機転を利かせて麗日が核兵器を確保することに成功。緑谷・麗日の勝利となった。

 

 そしてケガによって保健室送りにされた緑谷以外の全員で先ほどの講評を行う時間になった。

 

「戦犯は爆豪くんやな。自分の拠点を壊すのが愚策やし緑谷くんのパワーは個性把握テスト分かっとったはずやのに、それを忘れて攻撃。

 その点、飯田くんは立派やね。独断専行するカスに見切りつけて最善をつくしたんやから。流石はインゲニウムの弟さんや」

 

 オールマイトの今戦のベストは誰か?という問いに直哉が答えた。

 それに爆豪は俯き、飯田は感涙している。

 

「禪院ちゃん、勝利した緑谷ちゃんがベストじゃないの?」

 

 直哉の講評に蛙吹が疑問を口にする。確かに負けた側がベストになるのは少しおかしい。

 

「いえ、禪院さんの言う通りですわ。アレがもし本物の核兵器であればあんな危険な行為はできませんわ。飯田さんは「核兵器の争奪」をきちんと想定していた。

 ヒーローチームの勝ちは訓練という甘えから生じた反則のようなものですわ」

 

「意見が合って嬉しいわ、百ちゃん」

 

 そうして講評も終わり次の試合が始まる。

 オールマイトは訓練だがほぼ実戦と思うようにと、これから戦う4人に言う。だが1回戦のように度が過ぎないようにとも注意を促した。ヒーロー組とヴィラン組に別れる寸前、直哉は轟に声をかける。

 

「轟くん」

 

「………何か用か」

 

 轟はジロリと睨むように目線だけを直哉に向ける。直哉はそれを気にせずに話を続ける。

 

「エンデヴァーの息子やろ君。そして母親が氷叢家。エンデヴァーの炎と氷叢の氷を受け継いだ存在、期待してるで」

 

 禪院家は名家なので顔も広い。故にエンデヴァーが氷叢と個性婚したという情報は既に入手済みだ。

 

「………アイツは関係ない」

 

「関係あるやろ自分。血は水よりも濃いんやで」

 

 それだけ言うと直哉は轟達と離れて建物内に入る。するとコンビの葉隠が話しかけてきた。

 

「よろしくね禪院くん」

 

「ああ、よろしゅうな葉隠ちゃん」

 

「じゃあ、早速だけど私の個性は見ての通り『透明化』だよ。直接戦闘は苦手だけど不意打ちなら任せて!禪院くんは加速の個性だよね?昨日のテスト凄かったもんね!」

 

 身に着けた手袋をブンブン振ってアピールする葉隠に直哉は自身の個性を話す。

 

「半分は正解や。俺の個性は『投射』、触れた相手を1秒間、行動不能にできるんや。とりあえず前衛は任せてな。葉隠ちゃんは奇襲を頼むわ」

 

「うん分かった!じゃあ私、ちょっと本気出すわ!手袋もブーツも脱ぐね」

 

「………手袋とブーツ、ということは葉隠ちゃんは全裸なん?」

 

「……………そうだよ」

 

「百ちゃん以上の変態やね」

 

 そう言って直哉は笑う。

 

「だって、仕方ないじゃん!私が透明化できるのは自分の体だけなんだもん!」

 

「なにをいうてんねんや?そんなん自分の毛髪からコスチュームを作れば解決する話や。自分の毛髪で出来たコスチュームなら一緒に透明化するはずや」

 

 直哉は簡単な問題を解くように言い放つ。実際にルミリオンなどは自分の体毛を使ってコスチュームを使うことで全裸にならずに済んでいる。葉隠にも同じことが言えるはずだ。

 

「なにそれ!?初耳なんだけど!」

 

「こんなこと常識や」

 

 直哉は本心で呆れる。まあヒーローの名家である禪院と一般家庭の葉隠とでは情報格差があるのは仕方ない。

 

『訓練開始1分前だ!各チーム、作戦は練り終わったかな?』

 

 時間は過ぎていき、スピーカー越しにオールマイトからアナウンスが入る。

 

「やばっ!作戦とか立ててないよ!」

 

「核兵器前で待ち構えるだけでええやろ」

 

「おお!流石は入試首席にしてテスト1位、余裕だね!」

 

 こうして戦いが始まった。すると直哉達が立て籠もるビルの温度はみるみると下がっていく。

 

「なんか寒くない?」

 

「轟くんが個性を使ってるな。氷叢の氷、まさかビル全体を凍らせるつもりなんやろか?」

 

「氷叢ってなに!?」

 

 そうこうしていると氷がビルの表面を覆い始めた。もちろん床と接地している直哉達の足も凍っていく。

 

「痛タタ!凍って足が。どうしよう!?動けないよ禪院くん」

 

「大丈夫や」

 

 直哉がそう言うと自分の足の周りの氷にだけ『投射』を発動する。すると氷はフリーズし平面の板へと変化する、つまり足と氷が分離したということだ。

 

「これで動くようになったわ。じゃあ葉隠ちゃんもやろか」

 

「わっ!凄い!」

 

 そうして葉隠の足の周りの氷も平面化して足と氷を分離する。

 これで盤面はリセットだ。

 

「相手はこっちを凍らせたと油断してるはずや。奇襲しよか。」

 

「分かった!」

 

 そうして冷たい地面を蹴り上げて彼らは奇襲しにいく。

 一方の轟達はというと………

 

「本当なんだな障子」

 

「ああ、タネは分からないがアイツらは氷の拘束から抜け出している」

 

 障子がビルの廊下で索敵しながらそう言う。彼の個性は『複製腕』複製した耳で彼らの様子は既に把握している。

 なので全く油断していなかった。

 

「禪院は『加速』、葉隠は『透明』なはずだがどうやって抜け出した?」

 

 轟は困惑する。

 彼の個性は『半冷半燃』。炎と氷を放出する複合型の個性だ。

 燃焼の個性は、使うと体内に熱が籠もり身体機能が低下する。

 それを解決するのが冷凍の個性。己で己を冷やし、熱の個性の弱点を解消する。

 まさしく最強の個性だ。

 

「だが全身を凍らせれば関係ない「轟!来るぞ!2人いー」

 

 障子が言い終わるよりも速く。

 

「ガッ!」

 

 直哉の拳が障子の腹に炸裂した。

 

「あんたら、ちと鈍すぎやわ」

 

 ミシミシと嫌な音が聞こえる。高速の拳、その重さは異形である彼をもってしても耐えきれるものではなかった。

 障子は吹き飛ばされて壁に激突する。

 

「障子!」

 

 いつの間にか障子がいた場所には直哉がいた。

 轟は直哉に向けて反射で氷を放出していた。だがそれでも鈍すぎる。

 

「クッ」

 

 轟の視界には既に自分の横っ腹に食い込む直哉の腕が映し出されていた。

 

「服の下に氷の鎧を纏うとはやるやん。流石はエンデヴァーの息子さんやね」

 

 ここでエンデヴァーから受けていた虐待まがいにトレーニングが活きる。

 咄嗟に轟は服の下に氷の鎧を纏っていた。だがそれは自分を冷やしてしまう諸刃の剣でもある。

 

「来るな!」

 

 そう言って直哉がいる方向に向けて大質量の氷を放出する。これには直哉も打つ手がなく撤退する。

 

『こちら禪院、氷からは逃げれたんやけど氷で轟くんの方へ行けんくなったわ』

 

『こちら葉隠、轟くんの近くにいるよ。彼は体に霜が降りていて動きが鈍くなってるから奇襲するね』

 

 葉隠はそう報告する。轟はビルを凍らせたこと、氷の鎧、廊下を埋め尽くす大質量の氷で体に霜が降りて動きが鈍くなっている。

 

(あ、どういうことや?炎を使わんのかい)

 

 直哉はエンデヴァーの息子が炎を使わないことに困惑する。

 そうして後は動きが鈍くなった轟を葉隠が後ろから奇襲して確保テープで拘束、障子も気絶しているのでヴィラン側、つまりは直哉たちの勝利が確定する。

 

『ヴィランチームWIN!』

 

 オールマイトのアナウンスがビルに響く。

 そして轟がビルの熱で氷を溶かして、モニタールームで講評の時間になる。

 

「今回は甲乙つけがたい素晴らしいものだった!そんな中でベストは禪院少年だ!」

 

「当たり前やね。障子くんを倒して轟くんを削ったんやから、でも葉隠ちゃんも良かったと思うで轟くんの攻撃とは反対側にいたおかげでヒーロー側を捕まえれたわけやし」

 

「そ、そうだね」

 

 オールマイトは(また講評を先に言われたぁ!)と思いながら直哉の言葉を肯定する。

 そして直哉は轟の方へと近づく。

 

「そして一番ダメなのは轟くんやね。疑問なんやけどなんで燃焼の個性を使わなかったん?アレがあれば少なくとも葉隠ちゃんの奇襲は避けれたはずやけど」

 

「お前には関係ない」

 

「せやな、でも障子くんには関係あるやろ。お前が舐めプしたせいで障子くんは負けたことくらい分からんのか、カス」

 

「…………」

 

「個性はええんやけど緑谷くんみたいな手段を選ばない精神性が足らんね。種馬にしかならんわ。がっかりやでホンマ。こんな失敗作やとエンデヴァーも報われんわ」

 

「失敗作だと…!」

 

 轟は静かにキレる。

 禪院家は個性婚をしている家、つまり憎むべき父(エンデヴァー)と同じ思想だということは轟も知っている。

 その家の人間からそう言われたのでより一層、腹が立つ。

 剣呑な雰囲気がモニタールームを包み込む。

 

「待った!禪院少年、轟少年!喧嘩はしちゃダメだぞ」

 

 オールマイトは2人の間に立ち喧嘩を止める。

 

「じゃあ気を取り直して次の試合、行ってみよう!」

 

 次の試合が進められる。こうして戦闘訓練は幕を下ろしたのであった。




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