ファウンデーションの近衛師団長に剣で勝ったら目を付けられた件   作:ブルーコスモスへの鎮魂歌

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相手のホームで赤っ恥搔かせるのって愉しいよね!【後編】

「あいつらぁ……!」

 

 模擬戦を観戦する為の観測室で戦闘を見ていたイザークは、現在進行形でやらかした新米達の馬鹿なおふざけに顔を歪める。

 その顔はもしかしたら過去、顔に傷が有った頃よりも恐ろしい表情だったかもしれない。

 隣に居たディアッカがなだめる。

 

「落ち着けよイザーク」

 

「これが落ち着いていられるか! 一歩間違えば国際問題だぞ!!」

 

「そうだけどよ……」

 

 今は戦争中ではないとはいえ、各国がプラントを含めた他国の粗を探っている状況だ。

 コンパス所属とはいえ、此方から依頼した模擬戦で連合のパイロットを殺したなどという事になったら、間違いなく責任を追及される。

 いや、それだけならまだしも、やはりコーディネイターとナチュラルは相容れないと、ようやく沈静化し始めたブルーコスモスのテロが再び活性化する可能性すらある。

 

「実戦の武器を使ってるのはラビを囲っている四機だけみたいですね」

 

 ルナマリアとアグネスを囲っているザクの装備は模擬戦に調整された物だ。

 その冷静な様子にイザークは、怒れる立場ではないと自覚しつつもつい声を荒らげてしまう。

 

「なにを落ち着いている! 襲われているのは貴様の部下だぞ!」

 

 まさか、ナチュラルだから死んでも構わないと思っている訳ではあるまい。

 ディアッカもある意味らしくないキラの落ち着きぶりに声を疑問に思う。

 

「なんか余裕だな」

 

「怒ってはいますけどね。でも……」

 

 そう。キラとて騙し討ちのような真似をしてきた今期の赤服達に怒りを覚えている。

 以前なら、周囲が止めても無理やり出撃してこんな模擬戦は止めさせたかもしれない。

 

「彼らがラビを撃墜するのは難しいと思いますよ」

 

 身内びいきではなく、モビルスーツのパイロットとしての冷静な判断だ。

 今も四機に囲まれているにも関わらず、回避かシールドで防御している。

 

「それにあの子、シミュレーターでですけど、シンに勝ってるんですよね」

 

 五回中1回ですけどと付け足す。

 シミュレーターではあるが、デスティニーに乗ったシンが投げたフラッシュエッジを掴んで奪い、逆に投げ返した。

 高速で回転し、不規則な起動で接近してくるビームブーメランの持ち手を掴んで投げ返すという変態的な対応。

 対艦刀を白刃取りで防いだ事のあるキラもちょっと引いた。

 それに驚いたシンが対艦刀(アロンダイト)を持っていた右腕を逆に斬り落とされ、その隙に撃墜された。

 流石に二回目からは通じなかったが。

 それはともかく、ディアッカがイザークに確認する。

 

「どうするイザーク……」

 

「中止に決まっているだろう!」

 

 こんな模擬戦が認められる訳が無い。

 オペレーターに連絡を入れてすぐに模擬戦を中止を伝達させようとすると、ラビのザクが赤服の一機に接近していた。

 

DIE(ダーイ)ッ!』

 

 ラビのザクがライフルを蹴飛ばして体勢を崩させると、立て直される前にコクピットに模擬戦用のトマホークを振り下ろす。

 コクピットに強い衝撃を受けた事で撃墜判定となり、生命維持装置を除いた機能がストップする。

 流石にそこまでは弄ってなかったらしい。

 

「取り敢えず、俺は整備班の連中を連れてくる。指示を出したのはあいつらかもしんねーけど、調整はメカニックが居ないと出来ない筈だからな」

 

「頼む」

 

 この場を離れるディアッカ。

 イザークがキラに確認する。

 

「それで模擬戦についてだが、中止にしなくていいのか?」

 

「ラビはやられたらやり返すタイプですし。このまま中途半端に終わらせたら不満な顔されそうで」

 

「そういう問題ではないだろう!」

 

 煙に巻くようなキラの返しにイザークのこめかみに青筋が浮かぶ。

 まいったなと困り顔をするキラ。

 自分でも意外な程に落ち着いている。

 以前ならモビルスーツに乗って自ら模擬戦を止めに入ったかもしれない。

 

(でも、あの三人がやられるヴィジョンが思い浮かばないんだよね)

 

 それだけの技量差が今期の赤服とあの三人の間にはある。

 もしもの可能性はあるが、今のところ危うい場面はない。

 

(三人とも、それなりに好戦的だし)

 

 上昇意識の強いアグネスはもちろん。ルナマリアも根は負けん気が強いのパイロットだ。こんなふざけた事をやられて、黙っていられる訳もない。

 ラビに至っては、シュラ・サーペンタインと進んで剣を交えるくらいだ。

 三人共自分から不必要な喧嘩は売らないが、売られた以上は買うタイプ。

 ついでにラビは今回の件のみならず、これまでプラントでナチュラルだからとぞんざいに扱われ続けた鬱憤を晴らすつもりなのだろう。

 今は三人共内心ではかなり怒り心頭だろう。

 そこでアグネスがザクを一機撃墜判定を出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「当たれ! 当たれ! 当たれぇっ!」

 

 今期の赤服の一人であるシェン・リーは半ば錯乱した精神で引き金を引いていた。

 こちらに接近してくるナチュラルが乗るザクは乱射しているビームに怯む様子もなく回避しながら接近してくる。

 

「なんなんだよこいつ! こっちは実戦仕様なのに……!」

 

『こっちは毎日のように実戦に放り込まれてんだよ! 実弾程度でビビってられっか!』

 

 通信を拾った相手が今にも笑い出しそうな声で言う。

 接近戦に持ち込む為にライフルを仕舞い、盾からトマホークを出す。

 

『へいまいど!!』

 

 トマホークを引っこ抜こうとすると、その前に相手のザクが腕を伸ばしてシェンのザクのトマホークを奪い取った。

 

「なっ!?」

 

 二刀になったトマホークでザクの頭部を破壊する。

 コクピットに追撃をかけようとしたところで仲間がナチュラルのザクを援護射撃をして距離を取らせ、シェンのザクを守るように左右の少し前に付く。

 その間にサブカメラに切り換えた。

 

『どうしたの〜? たかがメインカメラがやられただけだぞー?』

 

 どう聞いても小馬鹿にするようなナチュラルのパイロット。

 

『ま、要するにナチュラル(あたし)が気に入らないんでしょ? いいよ。今回はあたしが悪役を()ってあげる。言ってやろうか〜? 青き清浄なる世界の為にってさぁ』

 

 完全になめられている。

 ラビ・トーチスを囲った四人のパイロットはいずれも血のバレンタインや先の戦争のレクイエムで身内を失ったパイロット達だ。

 協力してくれたメカニックも同様。

 連合に属するナチュラルは悪だ。

 あいつらはいつも身勝手な理由でこちらを撃ってくる。

 いつもいつもいつもいつもいつも。

 そのせいでユニウスセブンで働いていた自分の家族は殺されたのだ。

 

「父さんの、仇ぃ!!」

 

 ビームライフルを三機で撃つが、その全てを回避してくる。

 その余裕さが腹立たしい。

 三機同時でかかっている筈なのに、全て避けるかシールドで防いでいるのだ。

 たかだかナチュラルの小娘に。

 こんな屈辱があるだろうか。

 シェンの右側に居る仲間が通信を送ってくる。

 

『接近して私が仕留める! 二人は追い込んで!』

 

『分かった!』

 

「任せろ!」

 

 ライフルやミサイルを使い、ナチュラルの乗るザクを誘導していく。

 

『おっ? これちょいヤバい?』

 

 焦った様子のない敵機だが、確実にミサイルはザクの軌道を限定していく。

 ビームライフルは避けられているが、確実に仲間であるチェルシーの接近を許す。

 

『生意気なのよ! ナチュラルがモビルスーツに私達と同じ乗るなんて────っ!?』

 

 トマホークを振り下ろそうとしたその時、背後から撃たれて撃墜判定となった。

 アグネス・ギーベンラードとルナマリア・ホーク。

 二人の女性パイロットは囲っていたザクを全て撃墜してこっちに向かってきたのだ。

 

『無事ねラビ!』

 

『ていうかアンタ、わざと撃墜しないで時間稼いでたでしょ!』

 

『いやーだって。せっかくフォーメーションの訓練もしたんだし、やってみたいじゃないっすか』

 

『アンタね〜っ!!』

 

 緊張感のない会話を繰り広げる三人。

 つまり、いつでも撃墜出来たのに、訓練の成果を試したいという理由でわざと撃墜しなかったと言うのか。

 

『クソ! なめやがって!!』

 

「ロック!」

 

 トマホークを抜いて怒り任せに突撃する。

 援護の為にシェンもライフルを撃つ。

 相手の女性三機のザクは即座に散開し、三方向から迫ってくる。

 弧を描くような軌道でロックの機体に攻撃を始める。

 ルナマリアのザクが射撃で牽制し、動きが止まった一瞬にラビのザクがシールドの上からタックルしてくる。

 姿勢が崩れたところをアグネスのザクがコクピットにトマホークを振り下ろした。

 

「ロック!!」

 

 九機目の味方が撃墜され、こちらの勝ち目が完全に無くなった事に動揺して、シェンは闇雲にビームライフルを乱射する。

 ライフルを撃ち過ぎたせいか、機体のバッテリーが危険域に突入し、ビームが発射されなくなった。

 

「クソクソクソ!!」

 

 それでもトリガーが引き続けていると、ラビとアグネスが同時にトマホークを投げつけてきた。

 片方がライフルを弾かせ、もう一つが完全に頭部を斬り飛ばす。

 

(なんでこうなるんだよ! あり得ねぇだろ!)

 

 なんでこっちがこんな一方的に蹂躙される? 

 どうしてあんなナチュラルなんかに俺達が負けなきゃならない! 

 

(なんでなんでなんでなんでなんで!?)

 

 機体のカメラではなく、悔しさから滲んだ涙で視界が塞がれる。

 すると、通信からナチュラルの少女の声が届いた。

 

「げーむおーばー」

 

 お前らなんてこんなもんだ、とでも言うような声と共にコクピットが攻撃された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様、三人共。災難だったね」

 

 にこやかな顔で出迎えるキラに、ルナマリアがジト目を向ける。

 

「なんで中止にしてくれなかったんですか?」

 

 キラ達もラビを囲っていたザクが実戦仕様なのは気付いていただろうに。

 普通ならすぐに中止する筈だ。

 ルナマリアの質問にゴメンね、と謝る。

 

「君らなら大丈夫だって信じてたから。それに頭にきてたでしょ?」

 

「……」

 

 確かに。ラビを殺そうとしていると判った瞬間、怒りが沸き上がってきた。

 そのまま中止になってもモヤモヤして帰っただろう。

 ああして格の違いを見せつけたからある程度溜飲が下がったと言える。

 

「それでさ。お詫びとしてジュール中佐がご飯を奢ってくれるって。どう?」

 

 それにラビが勢い良く手を挙げる。

 

「それはおかわり有りでありますか!」

 

「あ、うん。いいんじゃないかな? お詫びだし」

 

「やったね!」

 

 命を狙われた事など既に記憶から消え去っているのか、もう食事の事しか頭にない。

 そこで少し離れた位置からジュール中佐の怒声が響く。

 

「この馬鹿者共が!! 貴様らがやったことは下手をすれば再び戦争を起こす愚行だぞ! プラントをまた戦火の危険に晒したいのか!」

 

 ザフトの看板に泥を塗るなどという評価も生温い。

 今回の模擬戦を提案したイザークを含めて犯罪者として罰せられるところだったのだ。

 彼らが惨敗してくれたお陰で、まだ辻褄を合わせられるが、それすらもイザークからすれば恥の上塗りである。

 そこでディアッカが口を開く。

 

「お前らが戦ったように。ナチュラルでも強い奴は居る。大戦時になるけどモビルアーマーや戦闘機でモビルスーツを何機も撃墜したナチュラルのパイロットだって世の中には居るんだ。あんまり格下だとなめてると、すぐに死んじまうぜ」

 

 ディアッカ自身、かつて戦闘機に落とされて捕虜になった経験からのアドバイスだった。

 それでも納得出来ない、不満の表情を浮かべている赤服十人と今回の件に関わった新人の整備班。

 その反省が見られない態度にイザークが更に雷を落とそうとすると、キラが前に出た。

 

「ジュール中佐と話し合った結果。今回、君たちの行動の処遇についてお話しします」

 

 

 

 

 

 

 その後の食事で、「人の奢りで食べるご飯うめー!」とか言いながら十人前の食事+デザートを平らげたナチュラルの少女を見たとか見なかったとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってことが遭ってさー。いやー災難だったわ。そう思うでしょ?」

 

「……それは俺に話して良い内容なのか?」

 

「箝口令敷かれてないし大丈夫じゃない。どっち道、シュラはまだしばらくここから出られないで、しょっ!」

 

 お互い剣を合わせながら雑談をするラビとシュラ。

 シュラがこの刑務所に入ってしばらくし、時折ラビがやって来て、こうして剣の模擬戦をしている。

 時間の経過によるものか、自然とラビはシュラを呼び捨てにするようになっていた。

 

「しかし、その問題を起こした者達も、一ヶ月のコンパスに出張とは。罰が甘くないか?」

 

「プラントは慢性的な人手不足だからねー。ヤマト隊長もそろそろアスカ大尉に自分の小隊を持たせて指揮を任せたいって言ってたし」

 

 コンパスは今、ヤマト隊。アスカ隊。ハーケン隊の三つでローテーションが組めるようになった。

 新人達に関しては、実戦に放り込んで成長に期待と言ったところだ。

 パイロットの腕もだが、現場に出る事で、ナチュラルに対する差別意識の軟化を狙って。

 

「その一ヶ月間、あたしは休暇を貰えてラッキーだったけど」

 

 赤服の新兵達に殺されそうになった精神的苦痛から療養目的の休暇、という名目だが、実際には今ミレニアムに居られると艦内でトラブルが起きそうだからオーブで休んでろというお達しだ

 

「まぁ、それなりに大変じゃないかな? 以前より出撃回数は減ったと言っても、ね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分の隊を持ち、現在出撃中のシンは内心で頭を抱えていた。

 

「馬鹿! 突っ込み過ぎるな! 下がって市民が集まっている施設を守れ!」

 

『やれます!』

 

 ゲルググの地上用バックパックを装着したザクがウィンダムを追って孤立していく。

 

「ルナ! あっち援護を頼めるか!?」

 

『無理よ! あたしがここを離れたら市民が攻撃されるわ!』

 

「クソ! なら俺が援護に向かうからルナはこっちを頼む!」

 

『了解!』

 

 ルナマリアと一緒に新人達の指揮を任されたシン。

 ザフトのエースであるシンに対して羨望の眼差しを向けてくるのがこそばゆかったが、だからこそ慕ってくれる彼らを死なせないと心に決めて出撃していた。

 だが問題はすぐに発覚する。

 戦果を上げようと逸るあまり、独断で突っ込んで行ったりする事がままある。

 

(アスランが隊長だった頃の俺だってここまで酷くなかったぞ?)

 

 そんな事を思うくらいには独断行動が過ぎるのだ。

 それで敵を撃墜しつつ生き残れるなら良いが、防衛対象を蔑ろにしたり、敵に囲まれてピンチになったりだ。

 その度にフォローしなければならないシンやルナマリアは溜まったものではない。

 シンが隊長として彼らを手懐けるにはまだ時間がかかりそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突如鳴る警報。

 航行中のミレニアムに敵が接近してきていた。

 

「ほら。ボーっとするんじゃないよ! 警報が聴こえないのかい! さっさと出撃準備しな!」

 

 ヒルダは休憩中だった新しい部下達を叱咤する。

 

「わ、わたしは昨日地上から帰ってきたばかりなんですけど……!」

 

「だからなんだい! 文句は敵にいいな!」

 

 疲労が抜けてないのは判るが、ヤマト隊もアスカ隊も今は出払っていてミレニアムを守れるのはハーケン隊だけなのだ。

 アグネスが新人の背中を叩く。

 

「あんた達が馬鹿にしてたラビはこれくらい文句も言わず出撃するわよ! 口じゃなくて実力で有能さを示しなさいよ!」

 

 一分一秒でも早く機体に乗り込まなければいけないのに、ぐだぐだと文句を言う新人にアグネスはイラッとした。

 

「今ミレニアムを守れるのはあたしらだけなんだ! やる気が無いなら辞めちまいな!」

 

 ヒルダは新人達を叱咤した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ!? お前なに聞いてたんだよ!」

 

 新人の整備兵達の教育を任されたヴィーノは柄にもなく怒鳴っていた。

 

「こっちのパーツはまだ保つから、フリーダムは関節系のパーツを優先的に交換しろって教えただろ! マニュアルも読んでないのかよ!」

 

「えっと……フリーダムが関節でデスティニーは……」

 

 まだ整備の優先順位を理解してない新人達にヴィーノは頭を抱えた。

 いや、ミレニアムは新米の赤服達が乗ってきたザクを除いてワンオフ機だったりと別々の機体ばかりだ。

 ヴィーノだってミネルバでの経験がなかったら捌ききれたか判らない。

 ミレニアムに比べれば数は少ないが、戦争の後半になると、全員がワンオフ機。パイロットに合わせた調整も含めて毎回大変だった。

 

「俺達の些細なミスでパイロットが死ぬんだぞ! それ理解(わか)ってんかよ!」

 

 自分の命を預ける機体の整備を任されているのだ。出来る限り完璧な状態で整備や補給をしなければならない。

 いつまでも学生気分では困るのだ。

 結局、新人達が整備した機体の確認作業までしなければならず、作業量が増えてヴィーノは息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブラックナイトを使いたい?」

 

「はい! 相応の機体があれば! お役に立ってみせます!」

 

 と自信満々に言ってくる。

 なんでも最新鋭機があるのに使わないのは勿体ないとのこと。

 キラは困った顔で少し考えた。

 

「トーチス少尉に連絡を取って、許可が降りたらね」

 

 どうせ駄目だと言うだろうとそう返した。

 しかし、いざ連絡を取ってみると、壊さなきゃいいっすよ。とあっさり承諾した。

 それで新人にブラックナイトを乗せたところ、推力に振り回された挙げ句、敵戦艦に特攻をかまして機体を中破させて帰ってきた。

 パイロット本人も骨折と打撲し、キラが慌てて回収する羽目に。

 帰ってきた彼は、整備班からそれはもう冷たい視線を送られたとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そんじゃ、そろそろギア上げて行くっす!』

 

『望むところだ』

 

「……あの二人、だんだん人間辞めてきてないか?」

 

 ラビとシュラの模擬戦を見ながらカガリは呆れた声でそう呟く。

 ラビが休暇で遊びに来て、二、三日に一回はこうして剣を合わせている。

 ちなみに他の囚人達にも公開されており、彼らの数少ない娯楽になりつつあった。

 

「そういえば、最近ラビのやつ、射撃訓練してたら撃った拳銃の弾丸(たま)が見えるようになってきたらしいぞ。今なら見て避けられるって笑ってた」

 

「……冗談ですよね?」

 

「だといいんだが」

 

 訝しむトーヤにカガリは肩を竦める。

 模擬戦を見てると本当に二人とも人間辞めてきている。

 瞬きしてる間に剣が三回振るわれてたり、ドリル状に回転しながら相手の横をすり抜けて剣を当てようとしたり。

 というか、二人の斬撃の速度が速すぎて追い切れないんだが? 

 

「なんにせよ、今回、ラビに喧嘩を売ったザフト新兵。白兵戦じゃなくて良かったな。生身だったら、なぁ……」

 

 それはそれで見てみたかったかもしれないと、カガリは少し思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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