ポケモンが現れた世界に生まれて   作:ダダダッダ

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九話

 ―――十二月二十四日、夜六時。

 白雪家のリビングでクリスマスパーティが始まった。

 玲は安堵していた、パーティの規模が普通だったのだ。もちろん金持ち、豪華なことには変わりない。だが常識の範疇に収まっていた。

 自分が目を覚ましてから三年半たつ、パーティは何度も経験している。玲の目覚めと誕生日を合わせた初回こそ大規模だったが、他は普通だった。毎年この日は他で大規模なパーティが行われているらしいし、皆そちらに行くだろう事も分かってはいた。しかし今回は妹の初パーティだ、何が待ち構えているか分からない怖さがあったのだ。

 

 どうやら今年も、我が家で静かなパーティみたいだ。今までは玲が小さいため、人が多くて怖がるだろうと思われ不参加だったようだ。たしかに初回では規模の大きさに震えていた記憶がある。大規模パーティなんて行っても、何していいか分からなくて楽しめそうにない。

 今年も妹が小さいので不参加だ、おそらく何年かは家で静かに過ごせるだろう。そのことに玲は小さく息を吐いた。

 

「ゴクゴクねぇー。ヒーちゃん、いっぱいゴクゴクしましょうねぇー」

(ふふっ、旨いだろう。母のおっぱいは)

「ぷぁ」

「いいこ、いいこですよー」

「ヒーちゃんかわいいね」

 

 妹が母の胸を吸っている、その姿をみて玲は微笑む。中身は気持ち悪いのだが、外見はいいのでその光景は絵になった。

 それにしてもよかった、妹が元気に育ってくれていて。

 妹はとても健康で退院してからも眠ったままということはなかった。皆心配していた、また同じことになるのではないかと。

 しかし一日たって一週間たって、それでも元気な赤ん坊を見て家族は皆安堵した。

 

 飲み終わった妹をなでる母、それを見て玲は料理に手を伸ばす。お腹がすいたのだが、母のおっぱいをねだるわけにはいかないのだ。玲は強い意志で誘惑を断ち切る。

 テーブルの上には美味しそうな料理の数々、今日も渡邊さんの腕が光る。恋人がいるかどうかは分からないが、毎年笑顔で働いてくれている。いつもありがとう、渡邊さんだいすきっ。

 

 ジングゥールベェール、ジングゥールベェール―――

 

 父、母、渡邊さんと声を揃える。

 

「ボワオー、オゥ!ボワオー!」

「あーうぁ」

 

 バウちゃんと姫光も歌ってる。

 

 皆に笑顔が溢れてる、玲は家族が大好きだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(おおおおおおおおおおおっ)

 

 翌日の早朝、八時頃。玲の心は歓喜で満たされていた。

 今年もあるよね、子供の特権。期待を胸に抱き枕元を見たのだが、そこにはもちろんプレゼントの数々。

 玲は袋を開き確かめていった。子供向けの本に服やぬいぐるみ。自分への思いのこもった贈り物に嬉しくなる。

 しかしそこで終わりはしなかったのだ。気付く、封筒サイズのプレゼントに。小さくて見落としていたようだ。

 

(なんだ?まさか金がそのまま入っているなんてないよな)

 

 まさかとは思う、だが小さい子供に渡すものとして封筒サイズは思いつかない。

 それは夢がなさすぎる。違ってくれと願いながら中身を取り出し、最初の状況になったのだ。

 

  あなただけの特別を

 Original Monster Ball

 

 テレビで初めて見た時から想像していた、自分専用のモンスターボール。これがあれば作ることができるのだ、夢に見ていた妄想の具現を。最高だ、自分でも思いつかないこれ以上の贈り物は。

 

 祖父か叔父がくれたのだろう。このようなサプライズ、二人ぐらいしか思いつかない。

 考える、おそらく祖父だろうか。二人で張り合っているのだ、過去の自分と同じようなものは選ばないはず。

 祖父は前に図鑑をくれた、叔父はリーグチケットを。うん間違いない、玲は確信した。

 お礼を言わなくては、このような最高のプレゼントをもらったのだから。今度会ったら伝えよう、この心にあふれた思いを。いつもありがとう、おじいちゃんだいすきっ。

 

 

 

 

 

 

 

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

 

 

 

 

 

 

 玲は家の外に出ていた、祖父と二人でお出かけだ。目の前には大きな建物。ここが何処かを考えると、寒空の中でも体が熱くなってくる。

 

 ポケモンセンター東京本部

 

 そう、皆さん御馴染みのあの施設だ。

 もちろん、そのままというわけではない。原作であった回復や道具の販売。ぬいぐるみ等のポケモングッズも売っているし、カード等のゲームも出来る。

 しかしそれだけではなく、この世界特有の業務もいろいろ行っている施設なのだ。

 今日はそのうちの一つを目的に祖父と一緒に来たのだ。オリジナルモンスターボールを作りに来たのだっ!

 

 作ってすぐ受け取れるわけではないらしい。今日はデザインを決めるだけで、製造して検品作業等を挟むためそれなりに時間がかかるみたいだ。

 待ち遠しいが、祖父が誕生日に合わせてくれるらしく憎い演出に心が躍る。

 本来ならもっと時間がかかるらしい。それはそうだ、不具合も出るだろうし調整にも時間が必要だ。

 一回作って終わりではないのだし、何かの登録等もするのだろう。精密機械の塊だ、再利用が出来ないのが信じられない。しかし、どうやら急いでもらえるようだ。

 

 なんと祖父の父親、曾祖父がここの会社の会長らしい。祖父もそこで偉い立場のようで、いろいろ便宜を図ってもらえるようだ。ちなみに父も働いている。

 ややこしく感じる、つまり何が言いたいかというと、親族チートでうまうまヒャッハーという事だ。従業員の皆さんごめんなさい。

 

 

「玲、話があるから少し待ってなさい」

「うん、むこう見てくるね」

 

 祖父が受付に歩いていく。待ちきれないが少しの辛抱だ、玲はキッズコーナーに向かう。監督員が常にいて、小さいポケモンを出すことが出来る場所なのだ。もしかしたら触らせてもらえるかもしれない。

 

 そこで玲は一人の少女を発見する。おそらく三つか四つ上の、正確には分からないがそれくらいの女の子がいた。

 髪色は黒で短く、うつむいて少し暗いが可愛らしい少女だった。

 長椅子に座っていて、横にいるポケモンを優しく撫でながら悲しそうにしていた。ポケモンも少女の顔を見て悲しんでいる。

 

 玲は行くことにした、行動しなくてはどうすると。幼馴染イベント?それもある、かわいい少女とお友達になりたい。

 しかしそれ以上に、あの可愛らしいポケモンと可愛い少女がダブルで悲しそうにしているのが嫌なのだ、

 行かなくてどうする。ロリコンではない、ないったらない。大きなおっぱいが大好きだ。

 

「おねえちゃん、その子なんてゆーの」

「えっ?あ、う…その、ムミちゃん…」

「ムミちゃんっ!かわいいねっ」

「ムミャー」

「あ、ありがと…」

 

 ムウマだった、かわいい。玲は己の成長を褒める、よく耐えたと。こんな所で奇声を上げるわけにはいかない、赤ん坊の時とは違うのだ。

 少女は戸惑っているが、少しうれしそうにしている。ムミちゃんは恥ずかしそうに、少女の背中に隠れていた。

 

「…ねぇ、その、ほんと?」

「なにー?」

「その、可愛いって」

「ほんとだよ。なんで?」

「…怖いって、あっ…えっと、皆が」

 

 嘘だろう、ムミちゃんを見る。少女の後ろでふわふわ浮いて、恥ずかしそうに赤い目でこちらを見ている。

 分からない、最近の子の感性が。おそらく少女の友達だろう、その子の感性が。人の考えをどうこう言うつもりはないが。ゴーストタイプだから怖いのか、いや可愛いだろッ。少なくとも自分は大好きだ。その体に抱き着いてほっぺをスリスリしたい。後ろに流した髪のようなその体をワシャワシャしたい。

 おっと危ない、気持ち悪くなっていた。玲は自分の感情を抑える。

 だが、玲は決心した。君はとっても可愛いのだ、自分は君が大好きだと伝えると。

 

「うそだよ、かわいいよ。ぼくムミちゃん好きだよ」

「ムミャッミャー」

「―――ありがとう」

「ねー、おねえちゃん。なんてゆうの?ぼく玲ってゆうの」

「サオリ…沙織って言うの」

 

 かわいい少女とポケモンの笑顔を見て、よかったと思う。どちらも嬉しそうで、玲は自分の行動の結果に満足した。

 第一印象はいいであろうし、名前も聞けたし名乗れもした。幼馴染イベントはバッチリだ。

 

「サオリおねえちゃん、何してたの?」

「お父さんを待ってるの、仕事で時間が…、れっ、い君はっ?」

「ボクおじいちゃんとモンスターボール見に来たの。ポケモン捕まえるんだ」

 

 名前をつっかえながら言う姿が可愛らしい、無理しなくていいんだよ。

 それよりお父さんの仕事って何だろう、土曜の午前中にポケモンセンターに来るなんて。私服の娘さんと一緒に来れる仕事が思いつかない。

 そこまで考えたところで玲を呼ぶ声がする、どうやら受付が終わったようだ。

 

「あ、おじいちゃんが呼んでる。いかなくちゃ」

「あ、うん。ポケモン頑張ってね…捕まえるの」

「うんっありがと、サオリおねえちゃん。また遊んでね」

「うっうん、…またね」

 

 さよならバイバイ、ボクはおじいちゃんとボールを作る。

 手を振り少女と別れ、祖父の元へ歩いていく。少女は恥ずかし気に微笑んでいた。

 

 




ようやく出せた…
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