ポケモンが現れた世界に生まれて   作:ダダダッダ

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十五話

 今日はポケモンと一緒にお出かけの日、玲の心は弾んでいた。右の腰にはボールホルダー、白いボールが三つ入っている。左側には父がいて、玲の手を握っていた。父は息子に喜んでもらおうと、ポケモンセンターに連れてきてくれたのだ。

 玲は目の前の建物に大興奮だ。前にも来たことはある、だが玲にとって何回も来たいと思うような場所なのだ。

 そうやって興奮しながら玄関扉を通っていくと、穏やかに微笑みながら父が聞いてくる。

 

「玲くん、モンスターボールを作っているところ見てみる?」

 

 ちょっと待ってよパパ、ボクの意識を飛ばそうとしているの?折角のポケモン達とのデートだ、気絶したくないよ。

 玲は父の恐ろしい提案に慄いた。もちろん答えは決まっている、快諾だ。

 

 どうやら少し離れた場所にある工場へ、ここからマイクロバスで行くらしい。当日なのに大丈夫なのかと思ったら、話を通してくれていたらしい。玲は父を尊敬した。

 

 今日は最高の日だ、心を弾ませながら父と手を繋ぎ歩いていく。周りを見れば大勢の人、みんな楽しそうな顔をしている。友人らしき人と話していたり、ショップで買い物していたり。キッズコーナーで遊んでいる子供もいる。

 そうして歩いていた玲は気付く、自分を見つめる少女の視線に。その少女はキッズコーナーの椅子に座って、その相棒の子と一緒にこちらを見ていた。玲に話しかけたいようだが、父と一緒にいるため迷っていたようだ。

 その顔を見て玲は決めた、少女の元に行くことを。工場見学には行きたかったが、だからって少女をこのまま放っておく事なんて出来ない。

 

「パパー」

「ん?あぁ、行ってきていいよ。まだ時間はあるからね」

 

 せっかく父が玲のために話を通してくれたのに申し訳ない。謝ろうと声をかけるが、まだ時間があるらしい。玲は安堵した、やはり工場には行きたかったのだ。

 

「こんにちはっ。サオリおねえちゃん、ムミちゃん」

「こんにちは。れ、れい君」

「ムミャー」

 

 沙織とムミちゃん、以前ここに来た時に会った少女とその相棒だ。沙織は玲に会えたことが嬉しいようで、可愛く微笑んでいた。名前の呼び方が滑らかになってきていてとても嬉しい。ムミちゃんも覚えてくれていたようで、嬉しそうにふわふわ踊っている。

 

「サオリおねえちゃんも遊びにきたの?」

「えっとね、ボールを作るの見にきたの」

「そうなのっ?ボクもパパとみるんだ、いっしょだね」

 

 なんと沙織は、今日の工場見学に来ていたようだ。一緒に工場を回れることに玲は喜ぶ。沙織も少し驚いていたが嬉しそうだ、ムミちゃんと一緒に笑っている。

 そこで玲はふと思いつく、彼女とあれを交換できないかと。このままでは彼女と次に再会できるのが、いつになるか分からない。

 

「サオリおねえちゃん、ポケモンコネクトしってる?」

「え?う、うん。しってるよ」

「ばんごうおしえて」

 

 ポケモンコネクト。通話や文字の送受信ができる、コミュニケーションアプリだ。もちろんビデオ通話も出来る。

 何やら沙織は焦っている。知ってはいたが、使っていなかったようだ。だが玲と通話をしたかったのか、すぐに登録し始めた。ちなみにアプリは、専用タブレットに最初から入っている。

 

「いっぱいお話できるねっ」

「う、うん。お話ししようね」

 

 沙織と会ったのはポケモンセンターだ、せっかく仲良くなっても一人では来ることが出来ない。連絡手段もないし、再会することは難しい。そのことに家に帰ってから気付いたのだ。

 だがこれで何時でも連絡できるようになった。沙織を見れば、とても喜んでいる。向こうも自分と会いたがっていたのだなと、心が温かくなる。

 

「そうだ、ボクもポケモンつかまえたんだよっ!」

「そうなの?お、おめでとぅ」

「ムミャミャ」

「ありがとうっ、みせてあげるね!」

 

 以前会ったときにムミちゃんを紹介してもらって、玲もポケモンを捕まえたら見せてあげたいと思っていたのだ。出すのは勿論プリティキュートなオーガポン、彼女がキッズコーナーで遊んでいる姿はとても可愛いだろう。

 

「でてきて、オーガポン」

「ぽにおーん」

 

 お手々を上げて鳴き声一声、オーガポン登場。可愛らしい鳴き声に、沙織は目を細めて微笑んでいる。ムミちゃんも楽しそうだ。

 オーガポンの周りを回っているムミちゃん、そんな彼女につられて回るオーガポン。どうやら彼女たちはオーガポンを気に入ってくれたようだ。

 

 椅子に座り沙織とお話しする。ムミちゃんはオーガポンの上が気に入ったのか、頭にあごを乗せて笑っている。オーガポンはゆらゆら動きムミちゃんを構ってあげていた。

 

 しかし玲はそれを見て我慢できなくなってしまった、彼女達が可愛すぎたのだ。今この瞬間のキラメキを、何としても残しておかねばと。

 沙織ちゃんを呼び、オーガポンに体を寄せてタブレット構える。

 

「みんな、いくねっ?にー!」

 

 記念撮影だ。みんなとてもいい笑顔で、これは永久保存しなくてはと『たいせつなもの』フォルダに入れる。すぐに沙織のメッセージ画面に載せなくては。これは彼女にも持っていてもらいたい。

 

 そんな風にみんなで遊んでいると玲達を呼ぶ声が聞こえてきた、どうやら時間が来たらしい。

 さあ行こうかと立ち上がり、ふと思い立ち沙織に手を向ける、こういう機会は逃さない。幼馴染イベントだ、スチルは間違いなくある。ロリコンではないよ?ないったらないよ?

 

「サオリおねえちゃん!いっしょにいこっ」

「―――うんっ」

 

 沙織の手を握り、父に向かって歩いていく。父の横には男性が一人いて、どうやら沙織の父親のようだ。男性は娘の笑顔が嬉しいのか、微笑んでいた。

 沙織は顔が赤くなっている。手を繋いだ姿を見られたのだ、恥ずかしいのだろう。だがそれも、すぐに笑顔になっていく。恥ずかしさより、喜びが大きくなったのだろう。笑顔が眩しかった。

 

 

 

 

 

 

 やって来ました工場見学。玲はマイクロバスから降り、モンスターボール製造工場を見上げていた。

 玲の右側には沙織ちゃんがいて、手を握ってくれている。近くでそれぞれの両親が、二人の様子を微笑ましそうに見ている。その微笑みに沙織ちゃんは恥ずかしそうだが、それでも顔に笑みを浮かべ玲の面倒を見てくれていた。その可愛らしい少女の姿に、玲の心は暖かな気持ちになる。

 

 周りを見れば他にも多くの家族連れがいて、工場内は賑わっている。どうやらこのツアーは大人気の様だ。モンスターボールの製造工程を見れるのだ、それも頷ける。玲は父に感謝した。

 

 そしてなんと、ここではポケモンを出すことが出来るようだ。案内のお姉さんが監督員の資格持ちらしい。バスに乗ってる間はポケモンを出すことが出来なかったのだ。

 せっかくポケモンセンターで出してあげたのに、直ぐにボールに戻してしまった。彼女が寂しがっていないといいのだが、玲はさっそくオーガポンを出すことにする。

 

「ぽにおっ」

「むみゃー」

「サオリおねえちゃん、たのしみだね」

「う、うん。たのしみっ」

 

 ポケモン達は楽しそうにに玲達の周りを回っている。どうやら心配は杞憂だったようだ。ときおり玲に抱き着いたり、沙織に手をふったりする。玲はとても癒されていた、彼女達の愛らしい姿に。中はお見せできない状態になっているが、玲の微笑みはとても綺麗だった。

 

 そんな風に皆で笑いあってると、どうやら時間になったようで案内のお姉さんが歩き出す。玲達も置いていかれないよう付いていく。沙織は嬉しそうに微笑んでいて、玲が転ばないようにゆっくり歩いてくれていた。

 

 右手をご覧ください―――

 

 綺麗な指ですね、というのは冗談で。どうやら最初の工程を見れるようだ、案内のお姉さんが手を上げこちらに微笑んでいた。

 そこは見学者用の通路の様で、片側にガラスが張られている。そこから下を覗くことで製造工程を見れるようだ。

 

「へんなのがうごいてるね」

「何だろうね?」

 

 何やらコンベアーの上を、薄い板が流れている。奥にある機械を見る限り、あれを丸く切っていくようだ。

 

「丸くなったね、れい君」

「うん、すごいねっ」

 

 大きな機械が動く様子にポケモン達が驚いている。びっくりして玲の足に抱き着くオーガポンには悪いが、可愛らしいその姿にとても癒される。見れば沙織も同じようで、ムミちゃんを抱きながら微笑んでいた。

 

 その後もボールの製造工程は進んでいく。そのたびに沙織ちゃんは、玲に笑いかけてくれる。少しずつボールが完成していく、そんな光景を見る沙織ちゃんは楽しそうだ。ムミちゃんを乗せたオーガポンと一緒に喜んでいる。

  

 どうやら沙織ちゃんパパの印象もいいようだ、うちの親と一緒にこちらを見る目が優しい。沙織ちゃんとはこれからも仲良くしていきたい、このまま父娘の好感度を上げていこう。

 

 なんとこの沙織ちゃんパパ、試験場の運営をしているらしい。原作で言うとジムリーダーだ。前に沙織ちゃんと会ったときは、ジムの用事でポケモンセンターに来ていたらしい。何をしている人なのか不思議に思っていたが、玲は納得したのだった。

 

 そして場面は終わりに近づく。何やらコンベアーや周りの機械が物々しくなっていた。

 

「あれ何だろう?動いてるね」

「ぽに?」

「ムミャ?」

(あ、ああああ!あっあれは!)

 

 それはなんとポケモンで、コンベアーで流されている。模様は原作と違っていて。玲は不思議な気持ちになっていた。

 どうやら物々しい機械等は、壊されるのを防ぐ目的で強度を上げているようだ。アームが伸びてきて、その子は横の穴に流されていく。爆発してしまうのではと冷や冷やした。

 

「あそこに流れているのは実はポケモンでして、稀に工場内に忍び込むのです。ふしぎですねー」

 

 ふしぎだなー、とってもふしぎだなー。

 玲はその不思議な光景に、とても不思議そうな顔を作った。

 

「周りのモンスターボールに擬態までするのです、とってもふしぎですねー」

 

 これ以上はいけない気がする。不思議そうにしている皆に、話を振って気を逸らす。沙織達は玲と会話をするほうがいいと判断したようで、先ほどの疑問を忘れることにしたようだ。玲は安堵した、世の中には知らない方がいい事もある。

 見れば案内のお姉さんは先に進んでいた、周りの人も後に続いている。気を逸らすのに時間をかけすぎたようだ。

 

「ポケモンは係りの者が捕まえています、ご安心下さい」

 

 よかった、あの子は捕まえてもらえるようだ。元気で健康に育ってほしい、お願いしますね係りの人。玲はその人に心の中で願った。

 

「ご希望があれば擬態元の購入者様にプレゼントしているのですよ」

(ええええええ!?貰えるんです!?)

 

 オリジナルビリリダマ、夢が膨らむ。

 

 




ふしぎだなー
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