ポケモンが現れた世界に生まれて   作:ダダダッダ

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三話

 今日は玲の九歳の誕生日、学校のみんなが我が家にやって来た。広いリビングのソファーの上で、笑顔で笑いあっている。もちろんポケモン達もいて、主人と一緒に楽しそう。我が家の家族もみんな一緒に、玲の事を祝っていた。

 

「すげー!うまそう!食べていいんだよな!な!?」

「ちょっと!バカ、あんた、まだに決まってるでしょ」

「レイくんが先だよねー」

「わ、分かってるってッ」

「来たみたいだよ」

 

 テーブルに並んだ美味しそうな料理の数々に、高貴の瞳が輝いている。だがもう少しだけ待ってほしい、誕生日のお約束が待っているのだ。

 だがあまり待つ必要はなかったようで、渡邊さんがそれを運んできた。配膳カートの上のその大きな皿に乗った、とても大きな誕生日ケーキ。その大きさにみんなの目が輝きだす、あんなサイズのケーキ滅多に見ない。

 

 辺りが急に暗くなる、いよいよあれが始まるようだ。

 ケーキの上のろうそくの火、それに照らされ見えるチョコの板。祝いの言葉に嬉しくなりながら、周りのみんなの見まわしていく。

 

「レイくん!いっきにねー!」

「ショボいの出すんじゃないわよ!」

「レイレイ!ふーッだ!ふーッ!」

「がんばってね!」

 

 みんなの声に促され、ポケモン達の鳴き声の中、玲はろうそくの火に息を吹きかけた。

 

 ―――レイくん!お誕生日、おめでとう!―――

 

 

 

 

「レイレイすげーな!この子、見たことない!」

「強そうだね」

「カニャーン」

 

 高貴と須田がマスカーニャを見ながら言う、彼らは相棒のタイプが一緒だからか彼女に興味があるようだ。そんな彼女は玲の腕に抱きついて得意げな顔。まるで主人がすごいから強くなったのだと、彼らに自慢しているかのようだ。

 

「かわいーねー、この子なんていうのー?」

「オーガポンだよ、ササラちゃん」

「…ちょっと、なんで教えてくれなかったのよ!」

「な、なにが?」

「こんなにかわいい子がいることよ!」

 

 どうやら町田は、オーガポンの可愛らしさにメロメロらしい。彼女は可愛い子が好きなのだ、オーガポンは可愛いから仕方ない。紗更も彼女を気に入ったのか、笑顔で握手していた。

 

「バスバース!」

「バォバワォ」

 

 エースバーンとバウちゃんは、一心不乱にご飯を食べていた。いつもは彼女達に合わせたポケモンフーズで、このようなご馳走なかなか食べられないから仕方がない。今日は特別に薄味にした、人間用の料理をあげているのだ。ボールの中のポニータが羨ましがっているだろう、後で彼女にもあげなくては。

 

「ユキィ、ユキ?」

「プックー、プク」

「ミミ、ミ」

「ココノコ」

「マルマル」

 

 ユキメノコの周りにはポケモン達だけ、彼女の事はみんな学校で知っているのだ。そんな彼女はお友達と楽しそうにお話しをしていた。

 ゴウタくんとハミルくんは、どちらも一つ先に進化している。二匹とも授業中に進化して、その日の昼休みに友達みんなで祝った。

 残念ながら紗更のピーちゃんと、町田のふわわんちゃんは、彼女達が進化条件を知らないのでまだ進化できていない。上手いヒントを考えているところだ。

 

「レイくん、ちょっとこっち来てー」

「なになに、ササラちゃん」

 

 ポケモン達の様子を見ていたら、紗更が声をかけてきた。何やら他のみんなも集まっていて、こちらに笑顔を向けている。

 

「レイくん!これプレゼントー!みんなで選んだのー」

「え、ありがとう!みんな嬉しいよ!」

「あけてみろよ!ママちゃんが見つけたんだ!」

「ちょっと!恥ずかしくなってきたじゃない!後で開けて!」

「恥ずかしがらなくていいのに」

「ねー、わたしもこれ好きー!」

 

 何だろなと近づいたら、なんとプレゼントを貰えた。どうやら町田が候補に選んでみんなで決めたようだ。一生懸命選んでくれたようで、とても嬉しくなる。

 彼女は恥ずかしがっているが、中がすごい気になる。ポケモンのみんなも気になるのか、回りに集まりだしてきた。

 

「ぽに?」

「ちょっと、そんな目で見ないでよ…かわいいじゃない」

「ミミミ?」

「いいわよ…開けなさいよ!」

 

 町田は自分の相棒と、オーガポンの可愛さに負けたようだ。

 彼女の許しが出たので包装を外していく。破らないように気を付けながらそれを外し、箱を開けて中を見る。そこにはとても可愛らしい写真立が入っていた。

 

 本体にはデフォルメされたポケモン達が描かれていて、同じくデフォルメされたポケモンが支えている写真立てだ。しっかりした作りで、小学生には高かっただろう。本当に貰っていいのだろうかと、少し不安になる。

 

「本当にいいの?」

「なによ、気に入らないの?」

「ちがうよ、すごく嬉しい。でも…」

「いいんだよ、ねー」

「そうよ、返すなんてやめてよね」

「おう!ちゃんと使ってくれよな!」

「大事にしてね」

「うん!みんなありがとう、大事にする!」

 

 彼女達の好意がすごく嬉しい。これは絶対に粗末には扱えない、彼女達の大切な贈り物なのだから。

 涙を拭いていると、渡邊さんが近づいてきた。彼女に泣いている姿を見られて少し恥ずかしい、微笑んでいるのが余計にだ。

 

「お坊ちゃん、ご友人の皆様とお写真はどうでしょう?」

「あ、うん。みんなどうかな?いっしょに」

「いいよー、一緒にとろうかー。ね、ママちゃん」

「うん、いいわね。須田くん、一緒に撮ろ」

「そうだね、撮ろうか」

「よしきた!」

 

 渡邊さんが写真を撮ってくれるようだ。みんなも笑顔で受け入れてくれる、断られはしないと思ってたがよかった。ポケモンのみんなも嬉しそうに笑っている。

 

「白雪くん真ん中ね。さらさら、ここに来て」

「うん!レイくんとなりねー」

「反対側は大親友のオレがもらったー!」

「あ、バカ!譲ってあげなさい!あんたは後ろよ!」

「カニャーン」

「ぽにおっ」

「あー…」

 

 紗更とマスカーニャの間に座り、オーガポンを胸に抱く。エースバーンが肩にあごを乗せてきて、ニコニコ笑顔で笑っている。

 他のみんなも楽しそうに、それぞれの場所に並びだす。ポニータは今だけ特別、マスカーニャの隣に座っている。高貴は前に並べず残念がっていたが、そんなポニータを見て笑顔になった。

 

「それでは皆様方、ニーッでございますよ、ニーッ」

 

 渡邊さんが構えるカメラに向かい、みんなが楽しそうにポーズを決める。友人達もポケモン達も、みんな笑顔を浮かべていてる。

 

 みんなと一緒の大事な思い出。ステキな写真立に入れて、部屋に飾って大切にしよう。

 みんな、これからもよろしくね。

 

 

 

 

 

 

 外が暗くなっている、みんなを帰さないといけない。瀬川さんには悪いのだが、彼女に送ってもらう事に。 

 

「ほんとすげーよなー、レイレイの家」

「あんた、さっきも言ってたじゃない」

「だってよ、運転手だぜ!運転手!何回でも言いたいんだって!」

「たしかにすごいね」

「ねー、レイくんすごいよねー」

「さらさらの家もすごいけどね」

 

 彼女にみんなの事を頼んでいたら、高貴が我が家の事を褒めだした。彼等とは学校から一緒に来たのだが、その時も車内ではしゃいでいたのだ。

 確かに運転手を雇っているのはあまり無いかもしれない、麻痺していたが自分も最初に知った時は驚いたものだ。

 

「みんな、今日はありがとう。また明日学校でね」

「うん!またあしたねー」

「あしたな!寝坊すんなよ!」

「あんたじゃないんだから、またね白雪くん」

「また明日ね」

 

 友人達を乗せた車が走っていく、急に静かになったことが少し寂しい。早く家に帰ろう、ポニータにご飯をあげたいし。玲はみんなに会うために、小走りで家まで駆けだした。

 

 家に戻りボールを腰に、料理を手に持ち庭に出る。友人たちと話している時は楽しくて気付かなかったが、今は三月で夜はまだまだ寒い。彼女達に温めてもらおうと、ボールからみんなを出していく。

 

「ポニィー」

「バースゥ」

 

 エースバーンに抱きつきながら、ポニータがご飯を食べているのを眺める。やはり彼女達がいると心も体も温かい、何時までもこうしていたくなる。さすがに外に長くいることはしないが、そう思ってしまう。

 

 そこで、ふと思い出す。彼女達に伝えないと、新しく我が家に加わる大事な家族の事を。

 両親からの誕生日プレゼントは今年はもらえていない、代わりに特別な許しが出たからだ。新しくポケモンを捕まえていいと言ってもらえているのだ。

 みんな知ってはいるが、改めて伝えてあげたい、他のみんなもボールから出す。

 

「カニャン?」

「ぽにお?」

「ユキィ?」

 

 夜に外で出されるとは思ってなかったようだ、彼女達は不思議そうにしてる。だが主人の顔を見て大事な話だと思ったのか、聞くためにこちらに向いてくれる。

 ポニータはみんなの真剣な顔をみて、よく分からなくて不安そうにこちらを見ている。

 ごめんねポニータ、食べながらでいいよ。心配しないで、悪い話じゃないんだ。

 

「ごめんね、ゆっくりしてたのに」

「カニャ」

 

 マスカーニャが代表して鳴いてくれる、謝らなくていいと首を振りながら。他のみんなも頷いてくれる、彼女達の優しさがとても嬉しい。

 

 玲は話す、大事な家族が増える事を。その子は不安に思うだろうから、みんなに仲良くしてほしいと。

 特にエースバーンにはしっかり話す、その子は彼女の妹なのだから。ユキメノコやポニータがいるのでぼかしながらだが、どうやら彼女は気付いてくれたようだ、同郷の者が来ることを。

 

 彼女には今まで同じ場所から来た子が家族にいなかった。マスカーニャにはオーガポン、ユキメノコにはポニータがいる。もちろんみんな仲良しだ、寂しくはなかったはず。だがそれでも同郷の者は欲しかっただろう。

 自分だって家族がいるから寂しくはないが、原作談義しあえる友達がいれば楽しかっただろうとは思う。彼女には可愛い妹と仲良くしてほしい、そう思いどの子を出すか決めた。それにその子には、早く出してあげなくてはいけない理由もあるのだ。

 

「エス!エバース!」

 

 どうやら喜んでくれたようだ、笑顔で胸を叩いている。まるで妹の事は任せろと、寂しい思いはさせないと、そう言っているかのように。他のみんなもエースバーンの喜ぶ顔を見て嬉しそうだ。

 

 新しい家族に不安はあるが、優しいこの子達なら大丈夫だろう、みんな仲良くしてくれるはず。楽しそうに笑っている大切な家族達を見て、玲はそう思った。

 

 

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