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今日は玲の九歳の誕生日、学校のみんなが我が家にやって来た。広いリビングのソファーの上で、笑顔で笑いあっている。もちろんポケモン達もいて、主人と一緒に楽しそう。我が家の家族もみんな一緒に、玲の事を祝っていた。
「すげー!うまそう!食べていいんだよな!な!?」
「ちょっと!バカ、あんた、まだに決まってるでしょ」
「レイくんが先だよねー」
「わ、分かってるってッ」
「来たみたいだよ」
テーブルに並んだ美味しそうな料理の数々に、高貴の瞳が輝いている。だがもう少しだけ待ってほしい、誕生日のお約束が待っているのだ。
だがあまり待つ必要はなかったようで、渡邊さんがそれを運んできた。配膳カートの上のその大きな皿に乗った、とても大きな誕生日ケーキ。その大きさにみんなの目が輝きだす、あんなサイズのケーキ滅多に見ない。
辺りが急に暗くなる、いよいよあれが始まるようだ。
ケーキの上のろうそくの火、それに照らされ見えるチョコの板。祝いの言葉に嬉しくなりながら、周りのみんなの見まわしていく。
「レイくん!いっきにねー!」
「ショボいの出すんじゃないわよ!」
「レイレイ!ふーッだ!ふーッ!」
「がんばってね!」
みんなの声に促され、ポケモン達の鳴き声の中、玲はろうそくの火に息を吹きかけた。
―――レイくん!お誕生日、おめでとう!―――
「レイレイすげーな!この子、見たことない!」
「強そうだね」
「カニャーン」
高貴と須田がマスカーニャを見ながら言う、彼らは相棒のタイプが一緒だからか彼女に興味があるようだ。そんな彼女は玲の腕に抱きついて得意げな顔。まるで主人がすごいから強くなったのだと、彼らに自慢しているかのようだ。
「かわいーねー、この子なんていうのー?」
「オーガポンだよ、ササラちゃん」
「…ちょっと、なんで教えてくれなかったのよ!」
「な、なにが?」
「こんなにかわいい子がいることよ!」
どうやら町田は、オーガポンの可愛らしさにメロメロらしい。彼女は可愛い子が好きなのだ、オーガポンは可愛いから仕方ない。紗更も彼女を気に入ったのか、笑顔で握手していた。
「バスバース!」
「バォバワォ」
エースバーンとバウちゃんは、一心不乱にご飯を食べていた。いつもは彼女達に合わせたポケモンフーズで、このようなご馳走なかなか食べられないから仕方がない。今日は特別に薄味にした、人間用の料理をあげているのだ。ボールの中のポニータが羨ましがっているだろう、後で彼女にもあげなくては。
「ユキィ、ユキ?」
「プックー、プク」
「ミミ、ミ」
「ココノコ」
「マルマル」
ユキメノコの周りにはポケモン達だけ、彼女の事はみんな学校で知っているのだ。そんな彼女はお友達と楽しそうにお話しをしていた。
ゴウタくんとハミルくんは、どちらも一つ先に進化している。二匹とも授業中に進化して、その日の昼休みに友達みんなで祝った。
残念ながら紗更のピーちゃんと、町田のふわわんちゃんは、彼女達が進化条件を知らないのでまだ進化できていない。上手いヒントを考えているところだ。
「レイくん、ちょっとこっち来てー」
「なになに、ササラちゃん」
ポケモン達の様子を見ていたら、紗更が声をかけてきた。何やら他のみんなも集まっていて、こちらに笑顔を向けている。
「レイくん!これプレゼントー!みんなで選んだのー」
「え、ありがとう!みんな嬉しいよ!」
「あけてみろよ!ママちゃんが見つけたんだ!」
「ちょっと!恥ずかしくなってきたじゃない!後で開けて!」
「恥ずかしがらなくていいのに」
「ねー、わたしもこれ好きー!」
何だろなと近づいたら、なんとプレゼントを貰えた。どうやら町田が候補に選んでみんなで決めたようだ。一生懸命選んでくれたようで、とても嬉しくなる。
彼女は恥ずかしがっているが、中がすごい気になる。ポケモンのみんなも気になるのか、回りに集まりだしてきた。
「ぽに?」
「ちょっと、そんな目で見ないでよ…かわいいじゃない」
「ミミミ?」
「いいわよ…開けなさいよ!」
町田は自分の相棒と、オーガポンの可愛さに負けたようだ。
彼女の許しが出たので包装を外していく。破らないように気を付けながらそれを外し、箱を開けて中を見る。そこにはとても可愛らしい写真立が入っていた。
本体にはデフォルメされたポケモン達が描かれていて、同じくデフォルメされたポケモンが支えている写真立てだ。しっかりした作りで、小学生には高かっただろう。本当に貰っていいのだろうかと、少し不安になる。
「本当にいいの?」
「なによ、気に入らないの?」
「ちがうよ、すごく嬉しい。でも…」
「いいんだよ、ねー」
「そうよ、返すなんてやめてよね」
「おう!ちゃんと使ってくれよな!」
「大事にしてね」
「うん!みんなありがとう、大事にする!」
彼女達の好意がすごく嬉しい。これは絶対に粗末には扱えない、彼女達の大切な贈り物なのだから。
涙を拭いていると、渡邊さんが近づいてきた。彼女に泣いている姿を見られて少し恥ずかしい、微笑んでいるのが余計にだ。
「お坊ちゃん、ご友人の皆様とお写真はどうでしょう?」
「あ、うん。みんなどうかな?いっしょに」
「いいよー、一緒にとろうかー。ね、ママちゃん」
「うん、いいわね。須田くん、一緒に撮ろ」
「そうだね、撮ろうか」
「よしきた!」
渡邊さんが写真を撮ってくれるようだ。みんなも笑顔で受け入れてくれる、断られはしないと思ってたがよかった。ポケモンのみんなも嬉しそうに笑っている。
「白雪くん真ん中ね。さらさら、ここに来て」
「うん!レイくんとなりねー」
「反対側は大親友のオレがもらったー!」
「あ、バカ!譲ってあげなさい!あんたは後ろよ!」
「カニャーン」
「ぽにおっ」
「あー…」
紗更とマスカーニャの間に座り、オーガポンを胸に抱く。エースバーンが肩にあごを乗せてきて、ニコニコ笑顔で笑っている。
他のみんなも楽しそうに、それぞれの場所に並びだす。ポニータは今だけ特別、マスカーニャの隣に座っている。高貴は前に並べず残念がっていたが、そんなポニータを見て笑顔になった。
「それでは皆様方、ニーッでございますよ、ニーッ」
渡邊さんが構えるカメラに向かい、みんなが楽しそうにポーズを決める。友人達もポケモン達も、みんな笑顔を浮かべていてる。
みんなと一緒の大事な思い出。ステキな写真立に入れて、部屋に飾って大切にしよう。
みんな、これからもよろしくね。
外が暗くなっている、みんなを帰さないといけない。瀬川さんには悪いのだが、彼女に送ってもらう事に。
「ほんとすげーよなー、レイレイの家」
「あんた、さっきも言ってたじゃない」
「だってよ、運転手だぜ!運転手!何回でも言いたいんだって!」
「たしかにすごいね」
「ねー、レイくんすごいよねー」
「さらさらの家もすごいけどね」
彼女にみんなの事を頼んでいたら、高貴が我が家の事を褒めだした。彼等とは学校から一緒に来たのだが、その時も車内ではしゃいでいたのだ。
確かに運転手を雇っているのはあまり無いかもしれない、麻痺していたが自分も最初に知った時は驚いたものだ。
「みんな、今日はありがとう。また明日学校でね」
「うん!またあしたねー」
「あしたな!寝坊すんなよ!」
「あんたじゃないんだから、またね白雪くん」
「また明日ね」
友人達を乗せた車が走っていく、急に静かになったことが少し寂しい。早く家に帰ろう、ポニータにご飯をあげたいし。玲はみんなに会うために、小走りで家まで駆けだした。
家に戻りボールを腰に、料理を手に持ち庭に出る。友人たちと話している時は楽しくて気付かなかったが、今は三月で夜はまだまだ寒い。彼女達に温めてもらおうと、ボールからみんなを出していく。
「ポニィー」
「バースゥ」
エースバーンに抱きつきながら、ポニータがご飯を食べているのを眺める。やはり彼女達がいると心も体も温かい、何時までもこうしていたくなる。さすがに外に長くいることはしないが、そう思ってしまう。
そこで、ふと思い出す。彼女達に伝えないと、新しく我が家に加わる大事な家族の事を。
両親からの誕生日プレゼントは今年はもらえていない、代わりに特別な許しが出たからだ。新しくポケモンを捕まえていいと言ってもらえているのだ。
みんな知ってはいるが、改めて伝えてあげたい、他のみんなもボールから出す。
「カニャン?」
「ぽにお?」
「ユキィ?」
夜に外で出されるとは思ってなかったようだ、彼女達は不思議そうにしてる。だが主人の顔を見て大事な話だと思ったのか、聞くためにこちらに向いてくれる。
ポニータはみんなの真剣な顔をみて、よく分からなくて不安そうにこちらを見ている。
ごめんねポニータ、食べながらでいいよ。心配しないで、悪い話じゃないんだ。
「ごめんね、ゆっくりしてたのに」
「カニャ」
マスカーニャが代表して鳴いてくれる、謝らなくていいと首を振りながら。他のみんなも頷いてくれる、彼女達の優しさがとても嬉しい。
玲は話す、大事な家族が増える事を。その子は不安に思うだろうから、みんなに仲良くしてほしいと。
特にエースバーンにはしっかり話す、その子は彼女の妹なのだから。ユキメノコやポニータがいるのでぼかしながらだが、どうやら彼女は気付いてくれたようだ、同郷の者が来ることを。
彼女には今まで同じ場所から来た子が家族にいなかった。マスカーニャにはオーガポン、ユキメノコにはポニータがいる。もちろんみんな仲良しだ、寂しくはなかったはず。だがそれでも同郷の者は欲しかっただろう。
自分だって家族がいるから寂しくはないが、原作談義しあえる友達がいれば楽しかっただろうとは思う。彼女には可愛い妹と仲良くしてほしい、そう思いどの子を出すか決めた。それにその子には、早く出してあげなくてはいけない理由もあるのだ。
「エス!エバース!」
どうやら喜んでくれたようだ、笑顔で胸を叩いている。まるで妹の事は任せろと、寂しい思いはさせないと、そう言っているかのように。他のみんなもエースバーンの喜ぶ顔を見て嬉しそうだ。
新しい家族に不安はあるが、優しいこの子達なら大丈夫だろう、みんな仲良くしてくれるはず。楽しそうに笑っている大切な家族達を見て、玲はそう思った。