ポケモンの生態などを少しマイルドに調整します
そのままではポケモンバトルに出せなかったり
人の傍にいる事さえ出来ない子も中にはいるので
出来るだけ無理のないように書いていくつもりですが
それでも調整しなくては厳しいので
申し訳ありませんが、よろしくお願いします
頭の上にいるのは妹、とっても可愛い我が妹。そういう気持ちで臨むのだ、然もなくば彼女は去ってしまう、一切の邪念を捨て去るのだ。ウゴゴゴ…夢の為ならこのくらいの重―――おっと、この子が嫌がる、気を付けねば。
「テリリ」
「うるさくない?」
「テリ」
先日ついに我が家に新しい家族ができた、玲のポケモンがやって来たのだ。
その子の名前はテブリム。二本のおさげが付いた水色の魔女っ娘帽子のような頭の、可愛らしい少女のようなポケモンだ。
彼女は周りの感情が騒音のように聞こえてしまう、人の多い場所は苦手なのだ。だから出来るだけ早いうちに我が家にやって来てほしかったのだ。玲のポケモンが増えてからでは彼女は来てくれないだろうから。
今の時点でも我が家は大家族だ、来てくれるかは賭けだった、逃げてしまうのではと思った。
交渉は慎重に行った、同郷のエースバーンに頼んだのだ。彼女は元気っ子で不安だったのだが、他の子はテブリムの技を受けると危ない。
オーガポンに仮面を被ってもらう事も考えたが彼女も元気な子だ、それなら同郷のエースバーンの方が可能性がある。
そうしてテブリムに話を聞いてもらい、なんとか受け入れてもらったのだ。
「テブリム、大丈夫?」
「テリリリ」
テブリムとの生活も最初は上手くいかなかった、彼女につらい思いをさせてしまった。
彼女はこちらの事を好きでいてくれて、体を摺り寄せてきてくれる。それが嬉しくてつい感情を高ぶらせてしまい、つらそうな顔をさせてしまうのだ。
このままではいけない、何とかしなくては。そう思い何かいい方法はないかと考えた。
大好きな子と一緒にいても落ち着いていられる方法、一人だけでは思いつかなかった、時間がかかってしまった。だが姫光と一緒にいるときに、遂にそれを見つけたのだ。
テブリムは姫光の面倒を見てあげている時は嬉しそうに傍に寄ってくる。お兄ちゃんとして妹を見てあげている時は興奮していないので、テブリムも一緒にいて辛くないみたいなのだ。つまりおにいちゃんモードでいけばよかったのだ。
「てぶりー、かわいいね」
「そうねー、ヒーちゃん、かわいいわねー」
「テリリー」
現在テブリムは玲の頭の上に乗っていた。隣には姫光を膝に乗せた母が座っていて、一緒に楽しくお話ししている。テブリムは妹の言葉にとても嬉しそうに鳴いていて、母もそんな家族同士の楽しそうな姿に微笑んでいる。
母と妹は騒々しい性格ではないので煩くは感じないのだろう、テブリムは二人に可愛がられるのが好きなようだ。玲も二人と一緒のこの時間では興奮することはないので、テブリムは落ち着いて過ごせている。
そしてこの状態まで来ればあとは大丈夫、多少感情が高ぶったくらいでは嫌がらないのだ。
どうやら彼女は自分が関わってうるさくなるのは問題ないらしい。盛り上がっている話題には入れないが、自分が友達と話していて燥いでしまうのは楽しい、そんな感じだと思われる。
「バース」
「テリリム」
エースバーンがテブリムの嬉しそうな声を聴きやって来た。彼女はテブリムの事を知っている、今までは離れて見ていてくれたのだ。
彼女達は今、手を合わせて楽しそうに鳴いている。やはり同郷、一緒にいれて嬉しいのだろう。
安心した、テブリムは我が家で上手くやっていけそうだ。周りを見ても嫌そうな顔をしている者はいない。
前に一度、テブリムが頭の上にいる時に興奮してしまった事があるのだが、殴られる様なことはなかった。彼女の種族はうるさい者に殴り掛かるので焦ったのだが、その時は頬をおさげでムニムニされるだけで済んだ。
どうやら大事な者には乱暴な事はしないらしく、家族のみんなが楽しそうに燥いでいても、近寄りはしないが殴り掛かる様なことはなかった。
「テブリム、そろそろ戻ろうか」
「そうね、つかれたわよね」
「テリ、テリリム」
「バースゥ」
楽しい話題でも長く話していると疲れてしまう、テブリムはそろそろ休ませてあげた方がいいだろう。彼女に声をかけると素直に頷いてくれた。エースバーンも名残惜しそうにはしても、彼女を想い笑顔で別れの挨拶をしてくれている。
「テブリー、だいじょうぶ?」
「だいじょうぶだよ、ヒカリちゃんは優しいね」
「バスバース」
姫光に安心してもらうためにテブリムのボールを見せる、彼女は嬉しそうに震えていた。
安心したのか姫光は嬉しそうに笑っていて、そんな妹の姿にとても嬉しくなる。姫光はとってもいい子に育ってくれているようだ。
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「レイくん、あたらしい子みつけたんだー」
「はやいわね、どんな子?」
「見せてくれよ、レイレイ!」
四年生になって最初の月曜日、この日の午後のお時間は、ポケモンバトルお勉強。周りにはいつもの友達、彼女達は玲の腰に興味津々。いや、新しいポケモンにか。
彼女達は知っている、玲にポケモンを捕まえる許可が出たことを。誕生日プレゼント代わりのそれが嬉しくて、ついつい言ってしまったのだ。
「あ、いやー…」
「…?白雪くんがどうかした?」
「んー、この子はちょっと…元気な子が苦手で…」
「あー、うるさいのがダメなのね」
「なんだ、オレか!?…うるさくないよ…な?」
「コウキくんだけじゃないんだ、少しでも…その」
「んー、それは仕方ないね」
「むーん…みたかったー…」
テブリムに高貴の感情は厳しいだろう、今は出すことは出来ない。それに彼だけではなく、他の皆も元気なのだ。彼女がどこまで許せるのかが分からない。
「どんな子なのかは教えなさいよ」
「そうだね、少し気になる」
「かわいいこー?レイくん?」
「そうなの!?ちょっと、どうなの!?」
「ママちゃん、うるさいのダメだろ」
「ご、ごめん…白雪くん…その子へいき?」
「あ、ボールの中は平気みたい」
ボールの中にまで感情の音が伝わらないようで本当によかった。ボールの中はポケモンが安心して暮らせるように考えられ、過ごしやすく作られているらしい。そうでなかったらテブリムに休まる時間がない、それは辛すぎる。彼女を学校に連れてくる事も出来なかっただろうし、家でお留守番では寂しいだろう。
「離れて見るのも駄目なのかな?」
「どうだろ?家では少し離れてたらいけたけど」
「そうなのッ?…白雪くん、少しでいいから…」
町田の申し訳なさそうな顔を見て、何とかしてあげたくなる。テブリムのボールを見れば、彼女は優しく震えている、どうやら出してもいいようだ。
「いいみたいだね」
「ありがとッ、離れてるわねッ」
「みんな、いこー」
「おお!ちょっと待っててな!」
彼女達が離れるのを、テブリムのボール撫でながら待つ。何やら体育館の反対側まで全力で走っている、別に急がなくてもいいのだが。
町田と高貴が競争みたいに走り、須田は自分のペースで、それでも急いでいる。
紗更は急いではいるのだが足が遅く、大分離されてしまっている。彼女のそんな一生懸命な可愛らしい走りに心が癒されてしまう。
だが、丁度いいかもしれない。テブリムを怖がらせないように、玲も心を落ち着かせなければならないのだ。今の癒されている心で、慈愛の精神で彼女に挑む、それがいいのだ。
そんな心構えをしていると、どうやら準備ができたようで、彼女達は手で大きな丸を作っていた。丸が一つ歪んで上下しているが。
「テブリム、だすね」
返事をするようにボールが一回だけ震える。そんな彼女のボールのボタンを押し、目の前へ優しく放る。
光に包まれ現れた彼女は、周りを見回し鳴き声を上げる。その声は嬉しそうで、どうやらこれだけ離れているなら学校でも問題ないらしい。
原作で彼女は試合に出ていた、もちろん観戦客もいた。そんな中で戦ってこれたのだ。いくら感情が騒音に聞こえると言っても、大きく離れていれば問題はなかったらしい。
ちなみに彼女には『しんかのきせき』を持たせていた。
テブリムが怖がらないように、妹に接するように優しく手を伸ばす。そして彼女の体を持ち上げ、頭に乗せてあげる。
頭にポケモンを乗せるのが夢だった、サトシくんやあの動画の記憶が脳に焼き付いている、ポケモン関係の記憶は忘れていないのだ。その夢が叶った、テブリムが頭の上にやって来たのだ。首を鍛えねば。
最初は自分からお願いしたのだが、今では彼女のお気に入りの場所になっているようだ。嬉しそうに鳴き声を上げている。彼女も喜んでくれているのだ、とっても嬉しい。おっと落ち着け、これ以上はテブリムが苦しい思いをしてしまう。
「テリリリン」
「みんながテブリムのこと見たいって。ほら、あんなに喜んでいるよ」
「テリリ」
見れば友人達は嬉しそうに手を振っている。町田は身を捻って悶えているし、何故か高貴は腕を組み何度も頷いている。どうやらテブリムはみんなに歓迎されているようでとても嬉しい。テブリムもそんな彼女達の姿に喜んでいる。
「テリリィ、テリリリン」
「かわいいよー、テブリム」
「テリリィ、テリリィ」
妹に接するように、頭の上のテブリムを優しく撫でてあげる。みんなで鍛え続けてきた撫でテクニック、彼女も大満足だ。とっても可愛い声を出して、手に抱きついてくる。
おっと、どうやら町田が耐えられなくなってきたようだ。会わせてくれと言うかのように、テブリムと自身の顔を何度も指さして口を動かしている。テブリムの可愛さに当てられてしまったのだから仕方がない。高貴が手を広げて遮ってくれているが、そう長くはもたないだろう。
残念だがテブリムはここまでだろう、あのように感動しているのではこの子は怖がってしまう。出す時間が短くなってしまいこの子には申し訳ない、あとで何か埋め合わせを考えよう。
「ごめんねテブリム、一回戻ろうか」
「テリリィ…」
「家に帰ったらいっぱい撫でてあげるからね」
「テリリリィ」
少し残念そうに鳴いたが、また撫でてあげると言ったら甘い鳴き声をあげてくれた。どうやら機嫌は悪くなっていないらしい。安心しながらボールに戻し、友人たちの帰りを待つ。
だが町田は機嫌が悪くなっていて、目を鋭くして戻って来た。そんな彼女に怯えながらも高貴がついてくる、他の皆もそれに続いて戻って来た。
「町田さん…あの」
「分かってるわよ、あの子が怖がるんでしょ」
「うん…町田さん、落ち着いてれば怖がらないから」
「…がんばる。白雪くん、ごめんね…またお願いしていい?」
「うん、大丈夫そうならね」
「ありがと」
「ママちゃん!よかったな!…そろそろ目よくない?」
町田はまだ目を鋭くさせているが、どうやら落ち着いてはいるようだ。声は穏やかだった。
だがそこで、穏やかではないハルハルセンセーの声が響く。どうやら遊んでいたと思われているようだ、今までの自分達の行動を考えればそれも頷ける。先生ごめんなさい。