誤字・脱字報告もありがとうございます、いつも助かっています
これからもよろしくお願いします
「いつもごめんねー…」
「え?いいよこれくらい」
むしろ嬉しいよ、玲の偽らざる本心だ。
現在玲は学校のポケモンバトルの授業中、いつもの友人達に囲まれていた。彼女達の相棒も一緒にいて、みんな一緒にお話ししている。
もちろん授業中なので遊んでいるわけではない、そんな事をしていたら前みたいに怒られてしまう。今は彼女達に戦闘のアドバイスをしている所で、授業に関係のある話なのだ。
玲は原作の事をしっかり覚えている、育成関係もバッチリだ。それを友人達に教えている、みんなとはこれからも一緒にいたいからだ。
この学校は実力でクラス分けされているらしい、強さだけがポケモンの全てではないと思うが、そうなっているらしいのだ。
せっかく出来た友人、みんなとは離れたくないのである。だから玲は、自分に出来ることで彼女達を手助けしているのだ。
もちろん原作知識をそのまま教えているわけではない、何で知っているという話になってしまう。アドバイスという形で、問題ないと思うことだけ教えている。
玲の親族はポケモン関係の会社に努めている、多くのポケモンが家にいるという事もあり、それくらいの知識なら知っていても怪しまれないのだ。
「アリガトーな!レイレイ!」
「何か返せるといいんだけど」
「いいよいいよ、気にしないで」
「むーん、なにかしたいなー」
「なんかないの?白雪くん、ほしいものとか」
「えー…なにか、って言われても…」
欲しいものは勿論いくらでもある、しかしそれは小学生にねだる物ではない。彼女達に頼んでも問題ない物など思いつかない、玲は困ってしまった。
「んー…あ、あれ食べたいな…クッキー、前に食べて美味しかった」
「あー、うん!いいよー!ね、ママちゃん?」
「よろこんでくれるなら嬉しいけど、そんなのでいいの?白雪くん」
「うん、あれ好きだから、もらえると嬉しい」
「ミミミッ」
美少女の手作りクッキー。町田の味の保証付きなのだ、これ以上のご褒美は思いつかない。ふわわんちゃんも任せてくれと言うかのように鳴き声を上げている、期待して待っていよう。
一年生の時のようにアーンもしてくれたら最高なのだが、それは無理だろうし諦める。
「よしきたー!まかせとけ、レイレイ!」
「バカ!あんたに任せられるわけないでしょ!」
「えー…そんなー…」
「うん、僕たちには無理そうだね」
「う、うん、二人は大丈夫。ほんとうに気にしなくていいから」
うん、高貴に繊細な作業は無理だろう。須田もお菓子造りは出来ないのか無理そうと言っているし、彼らにお返しは諦めてもらおう、本当に気にしなくてもいいのだ。
「ミミィ」
「プクゥ」
「ココッ、ココハナナッ」
「マルマル」
なぜなら、みんなの相棒がこんなにお礼をしてくれるのだから。
ふわわんちゃんとピーちゃん、二匹の美少女が膝に乗り。ハミルくんが横で体を擦りつけて来て、ゴウタくんは背中に抱きついている。みんな嬉しそうに甘えてきてくれる、本当ならこれだけで十分なお返しになっているのだ。
ユキメノコはハミルくんの反対側で甘えているし、今日はとてもいい日だ。ポケモンバトルの授業がある日は、いつも楽しみにしているのだ。
「次は町田さんね、ふわわんちゃんは―――」
これだけお返ししてくれるのだ、気合を入れてアドバイスしなくては。町田の相棒ふわわんちゃん、彼女の育成方針は聞いている、それに対する自分の考えを語っていく。
「ね、凄い技でしょ?この子は両方に強くしたいみたいだし、これはどうかな?」
「そうね、いいかもしれない」
「絶対に覚えるとは言えないけど、他の子は使えたみたいだし大丈夫だと思うよ」
「うん、わかった、一緒に頑張ってみる。ありがとう、白雪くん」
「ミミミィ」
ふわわんちゃんを撫でてあげると、嬉しそうに鳴き町田の元へ帰っていった。
彼女達は今の話を真剣に考えてくれているようだ、ふわわんちゃんを膝に乗せ真面目な顔つきで話し合っている。
「つぎはオレな!たのむな、レイレイ!」
「ココハナッ」
「うん、まかせて。ゴウタくんは―――」
「むむむ…―――んぉ?」
真剣に話を聞いていた高貴とゴウタくん。だが途中で何かに気を取られたのか、高貴が変な声をあげた。何が気になったのだろうと、彼の視線の先を追うとそこには一人の少年とその相棒が。
「…」
「ンキャ」
相田、一年生の時に運動会で競った相手だ。隣のクラスの相田君ではない、同じクラスで出席番号一番の相田君だ。ちなみに玲は十一番。
そんな彼が厳しい目でこちらを見ていた。相棒のリオルのセイくん、そんな彼は玲達が見ていると気づきお辞儀をしてくれる。
しかし相田はそんな相棒の態度が気に入らないのか、セイくんを置いて歩いて行ってしまった。
「キャッ!ンキャ」
セイくんは玲達にもう一度お辞儀をし、慌てて主人の後を追い走っていく。
そんな彼を目で追っていると、高貴が話しかけてきた。
「相田も来ればいいのにな、あんなに見てるなら」
「あー、まあ相田くんはねー…白雪くんには聞きたくないでしょ」
「むーん…」
相田は玲を見ると今みたいに睨むようになってしまった。運動会でサムズアップはしたがそれが原因ではないだろう、彼とはそれなりに仲良くしていた。
二年の時に町田と一緒に同じクラスになり、彼とはライバル関係を維持しつつも六人で上手くやっていたのだ。
もちろんユキメノコは、彼の相棒のセイくんに負けたことはない、原作知識をつかって育てているのだから。
それでも相田は今は勝てないが同じ一組、実力はそんなに離れていないはず、いつか勝ってやろうと奮起していたのだろう。
それが変わったのが三年生の時、彼だけが別のクラスになった。六人の中で一人だけ別のクラスになってしまったのだ。他のみんなは玲のアドバイスを受けていた、彼はライバルからの意見を受け入れようとはしなかったのだ。
ライバルは学校に認められて一組のまま、自分は弱いと思われて別のクラス、仲のいい友人達はライバルが教えている事で離れてしまった。そのことが許せない彼は、四年生で再び一緒になっても、玲の事を睨んでしまうのだろう。
玲の意見を受け入れないから弱いという事にはならない、だが少なくとも彼の相棒は意見を聞いていたら強くはなれていただろう。
彼の相棒の進化条件はなつきだ、心を通わせて育っていけば進化していた。だが彼は一年の頃から強くなることだけに集中して、相棒との仲を深める事を疎かにしていたようなのだ。相棒が強くなれば褒めはする、しかしそれも当然という雰囲気で笑顔で接している姿はあまり見ていない。仲良くした方がいいとは言ったのだが聞き入れなかったのだ。
もちろん邪険に扱っている訳ではない、もしそうなら残念だが彼とは話もしていなかっただろう。ポケモンとそのような関係の子とは仲良くは出来ない。人のポケモンを無理やり主人から離すことは出来ないので、教師に相談して終わりになっていたと思う。
「セイくんとも仲良くしたいんだけどね」
「ねー、いいこだよねー」
「仲良くするの大事だもんな…」
「ココノコ」
「?なにあんた、どうしたのよ?」
「ゴウタくん大事にされてるよね?」
「ココハナ!」
「ユキィー!」
「だ、大丈夫だよユキメノコ、心配しないで」
セイくんとも仲良くしたい、彼はとってもいい子なのだ。彼の進化先に思い入れもあるし、何とかならないかと考え込む。
だがそんな姿を見て、主人を取られるとユキメノコが勘違いしたようだ。抱き着いて来て甘えだした。
大丈夫だよユキメノコ、どこにも行ったりしないよ、ずっと一緒にいるから安心してね。
「ゴウターッ!オレッ、頑張るからなーッ!」
「ココハナー!」
「う、うるさ…ちょっとあんた!授業中よ!」
「ご、ごめん…あ、レイレイ!続きたのむよ!」
「うん、いいよ。ユキメノコ、大丈夫だからちょっと緩めてね」
「ユキィ、ユーキィ」
少しだけ、ほんの少しだけ力を緩めてくれたユキメノコ。そんな彼女を撫でながら、玲は高貴達にアドバイスをしていく。
彼は先ほどの相田に思う事があったのか、驚くほど真剣に話を聞いてくれている。ゴウタくんもそんな主人に影響されて、こちらの話を静かに聞いていた。
「これはどうかな?」
「おう!サイコーだ!あの冷たいやつ覚えるんだよな?」
「絶対じゃないけどね、もしかしたらってだけ」
「ええぇ!そうなの!?」
「ココハナッ!?」
「他のタイプ技も覚えるし、器用な子だから可能性は高いけどね」
「むむッ!ゴウタ!頑張ろうな!」
「ココノコ!」
「あ、でも今はさすがに厳しいかな」
「そんなぁ…」
「ハナァ…」
申し訳ないが進化しないとあの技は覚えないのだ、現実になってどうなっているか分からないが、変わっていないと思う。
だが進化さえすれば覚えるのは間違いないのだ、実例がいるのだから時間さえかければ大丈夫だろう。進化条件が難しいかもしれないが、未来ではきっと買えるようになっているだろう。
「次は僕でいいかな?」
「マルマルル」
「うん、いいよー!お先どうぞ―!」
「おっけ、キーツくんはね―――」
みんな真剣に聞いてくれる、笑顔でお礼も言ってくれる。ポケモン達は信用して懐いてくれるようにもなった。
みんなに言えない事もあるし、分かりやすく伝えるのも大変だ。それでも何かを教えるというのは楽しいものなのだな、玲はそう思った。
「―――進化秒読みじゃない?」
「えぇぇ!?」
「マルゥ!?」