ポケモンが現れた世界に生まれて   作:ダダダッダ

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九話

「おめでとー、ママちゃん!」

「よかったね、ママちゃん!おめでとう!」

「さらさら、ゆっきー、ありがとね」

 

 目の前で恥ずかしそうに笑う町田。その横には彼女の相棒、ふわわんちゃんが立っている。とうとう彼女が認定試験に合格して、ポケモンを一人で出すことが出来るようになったのだ。

 

「プーイプーイッ」

「この子も嬉しいのよ」

 

 ふわわんちゃんが足元で腕をあげている、その可愛らしい姿につい顔がにやけてしまう。クリームで出来た体の少女のようなその姿、なんと彼女はマホイップに進化したのだ。

 町田は認定試験に合格してすぐに彼女を進化させたみたいだ、進化の楽しみを糧にして試験を頑張ったらしい。最初の試験は簡単らしいので肩透かしを食らっただろう。

 

 玲は町田にふわわんちゃんの進化方法を教えた、もちろん言い訳作りもばっちりだ。そうでなければ怪しまれてしまう、そんな知識を都合よく持っているはずがないからだ。

 怪しまれないために紗更と同じ方法、事前に学校の図書室で調べる事にしたのだ。

 

 しかしそこからが大変だった。まずポケモン図鑑からマホミルの学名を調べる、こちらの世界では変わっているからだ。そしてそこから数えるのも馬鹿らしい本の中から彼女だけの物を探す。

 大変だった、だがそれだけならまだよかった。時間をかけて見つけたのだが、進化方法は断片だけしか載っていなかったのだ。

 仕方ないのでその後はネットで調べた、これがまた大変だった。普通に調べても本の内容以下の物しか見つからない。

 そこで個人の日記のような物から調べる事にしたのだが、彼女の学名で投稿している者などまずいない、それぞれの愛称で書かれているのだ。

 なかなか検索に引っかからなくて、どれだけ時間がかかったことか。何とか見つけられたからよかったが、紗更が一緒でなかったら諦めていたかもしれない。腕に抱きついて励ましてくれたのは嬉しかったが。

 

「ゆっきー、さらさら…ありがとう、本当にありがとうね」

「いいよいいよ、友達でしょ」

「ねー!ともだちだもんねー!」

 

 だがそれも、目を潤ませて嬉しそうに笑っている町田の顔を見たら、やって良かったなと思えてくる。ふわわんちゃんも抱っこして欲しそうに腕をあげてくれているし。

 彼女を抱き上げると嬉しそうに胸に飛びついてくる、そんな彼女達の笑顔を見ると苦労なんてどうでもよくなるのだ。

 

「でもごめんね…せっかく探してくれたのに…」

「いいよいいよ、保険みたいなものだし。それに自分で探したいのも分かるよ」

「うん…ありがとう、ゆっきー」

 

 彼女は原作のどうぐを使っていない、言い訳は用意していたのだが必要なかったのだ。自分の相棒の進化道具なのだから自分で用意したい、その気持ちはすごく分かる。飴細工は紗更と違って買おうと思えば買えるものだ。

 

「プイプーイ」

 

 謝る必要なんて本当にないのだ、こんな特別な姿を見ることが出来たのだから。白とピンクの体に、同じくピンクの瞳とウサギの飾り。原作とは違うその姿を見れて大満足だ。

 

「それにしても、まだ呼ばれ慣れないよ」

「別のがよかった?」

「えー、可愛いからゆっきーでいいよー」

「嫌ではないよ、ただ今まで呼ばれたことない呼び方だから」

「じゃーこのままねー、ママちゃん!」

 

 町田は進化方法を教えてからこう呼んでくるようになった、前の呼び方は余所余所しいから嫌になったらしい。仲良くなれたようで嬉しいのだが、まだ呼ばれ慣れないし少し恥ずかしい。すぐ慣れるとは思うので問題はないのだが。

 ちなみにこちらもママちゃん呼びにした、これはかなり恥ずかしい。すぐには慣れないだろう。

 

「ピーちゃんはまだかなー」

「石をもって育たないとダメみたいだね」

「むーん…」

「明日バトルの授業あったでしょ」

「あいて誰だろー、勝てるかなー…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ!ばっちこーい!」

「うっぐぐぐ…」

「あの、ママちゃん…コウキくんも一緒に探してくれたから…」

「分かってるのよ、ゆっきー…でもなんか、こう…あれがね」

「ヘイヘイヘイ!どした、どした!」

「うっさいわよ!なっきー…いや、ないわね…」

 

 どうやら町田は高貴の愛称を呼ぶことに抵抗があるようだ。あの顔はイラッと来るのでそれは分かるのだが。

 高貴もいつもは鋭い町田の目が穏やかだからか調子に乗っている。だがこのままでは町田のオーラが出てきてしまうので、助け船をだすことにする。

 

「コーキンとかは?」

「名前のほうを呼ぶのはちょっと…」

 

 どうやら乙女的な理由で呼びたくないらしい、これは仕方がない。しかしそうすると何も思いつかない、ナツキコウキ…。あまり捻りすぎた愛称は推したくない、自分のセンスを信用していないのだ。

 

「キッキくんとかどうよ?」

「き…き、そこからとるー…?」

「つっきーもゆっきーと被るし、ばかな…ごめん、さすがにね」

「おう!バカじゃないからな!ないからな!」

「なっつんはどうかな?」

「あ、おかえりキーツくん。登録できた?」

「うん、バッチリだよ」

 

 と、そこへ須田が職員室から戻って来た。

 彼は認定試験に合格したので、それを学校に報告していたのだ。試験を通っていない者がポケモンを出すことのないように、認定印を学校に見せて登録する必要があるのだ。

 

「これで教室でも会うことが出来るね、ハミルくん」

「コモコモリー!」

「いいこだね、ハミルくん」

 

 クルマユのハミルくんは進化してハハコモリになった。今まではバトルで負けが込み進化が遅れていたが、とうとう彼の成長した姿が見れたのだ。

 以前バトルの授業中に進化するかもしれないと言ったが、本当にその授業中に進化したのだ。須田とハミルくんのエスパーを見るかのような目が忘れられない。

 それ以来、以前にもましてこちらを信頼してくれるようになったので、特に問題はないのだが。

 ハミルくんも更に甘えてくれるようになったので、本当に問題はないのだが。

 

 そのハミルくんは今、こちらが怪我をしないように腕を下げて、頭を擦りつけてくれている。その気遣いがとても嬉しい、心が温かくなる。

 早く認定試験を受けてユキメノコ達も出してあげたい、あと四か月がとても長い。

 

「んー…そうね、なっつんでいいわ…もう」

「しょうがない!それでゆるそ…ごめん、ママちゃん」

 

 どうやら町田は高貴のことを『なっつん』と呼ぶことにしたらしい、須田の案だからか評価は甘いようだ。

 高貴もそれでいいみたいで笑っているし、これで決まりだろう。しかし調子に乗りかけた彼は、町田の鋭い目に黙ってしまった。

 

「合格おめでとう、す…きいつくん」

「う、うん…ま、さ…ありがとう」

 

 がんばろう、キーツくん!

 

「それで、あんたはいつ受けるのよ」

「呼び方はそのままなんだな…、なんか予約いっぱいで受けられなかった」

「あー、まあこの時期はね」

 

 高貴はまだ認定試験を受けていない。どうやら予約枠がなくて、受けることが出来なかったようだ。この時期は大きな大会がある、どこの試験官も試合の準備で忙しいのだろう。

 仕方がないのだが高貴が少し可哀そうだ。これでポケモンを一人で出せないのは、いつもの五人のなかで二人だけになってしまった。こっちはまだ十歳になっていないだけなのだが、高貴は試験を受けることは出来るのだから。

 

「本当だ、どこも真っ赤だよ」

「だろー?」

「ここじゃダメなの?」

「え!?」

 

 どうやら空いている試験場があったようだ、須田と一緒にタブレットを見ていた町田が指を指している。

 しかし嬉しそうに駆け寄った高貴は、その場所を見て顔を暗くした。何か問題があったのだろうか。

 

「ここなー…ちょっと遠いからなー」

「あー、たしかに。学校終わってからだと厳しいわね」

 

 見てみればそこは確かに少し離れた場所にあり、平日の学校終わりに行くには厳しいかもしれない。しかし予約の空きは土日にもあるようで、家族の都合が付けば行けるとは思うのだが。

 最初の試験場はそこにするつもりだったので、何か問題があるのなら教えて欲しい。

 

「それに、その…ゴーストだろ?」

「え?最初の試験だからタイプは関係ないと思うけど」

「それは分かってるけど…画像見て見ろよ」

 

 最初の試験はポケモンに指示を出せるかだ、言う事を聞いてくれたらそれだけで受かる。戦う訳ではないのでタイプは関係ないのだ。施設紹介の画像を見ても特に問題は見当たらない、高貴は何を気にしているのだろうか。

 しかし他のみんなは顔を引きつらせている、彼女達には分かったのだろう、高貴の気にしている問題が。

 

「うー、そうだねー…こわいよねー…」

「こ、怖くはねー!だけどちょっと…な?」

「そ、そうね…まあ、すぐ空きは出るでしょ。少しくらい待ってなさい」

「仕方ないよね、うん…」

「え?なにみんな…ダメなの?」

 

 たしかに建物の見た目は小学生には少し怖いかもしれない、ホラーチックだからそれは仕方がない。だがそれは何か曰くがあってその様な外観をしているわけではない。おそらくゴーストタイプの子に住みやすい環境を与えるためであり、それはとても重要な事だ。むしろそのような見た目の建物にしている事に好感を覚える、それはポケモンを大事にしている事なのだから。愛するポケモンには出来る限りの環境を用意したい、その考えには深く頷ける。その試験場を運営している方はとても素晴らしい考えを持ったお方だ。つまりその心構えを学べる場所ということで、初めての試験場としては最適なのだ。

 

「そう、なん…?」

「うん。だからね、コウキくん。最初の試験場はここにしなよ、オススメだよ」

「え、あ…ご…ゴウタ!ゴウタの得意なところで戦いたいなぁ!」

「む!」

「残念だなぁ!ここも良さそうなんだけどなぁ!」

 

 なるほど確かに!何よりもゴウタくんの実力を出させる事が肝要だ、彼が怖がって実力を発揮できないなどあってはならない。そう考えれば高貴の言う事にも頷ける。確かに崇高な精神を学ぶというのも大切な事、だがそれに捉われて本質を見失ってはいけない。大事なのはゴウタくんを如何に試験に合格させてあげられるかだ。精神は後からでもついてくる、先ず彼には自信をつけさせてあげた方がいいだろうから。

 

「そうだね、僕が間違っていたよ」

「お、おう!ここもいいんだけどな!いいんだけどな!」

 

 どうやら高貴への布教は出来たようだ、きっといつかは行ってくれるだろう。そういう事ならば何も問題はない、素晴らしい精神を学んでくれることだろう。

 

 僕は初めてはここにするけどね。ユキメノコなら同じゴーストタイプだから怖がらないだろうし、一回目の試験なら問題はないはず。

 待っててね!サオリお姉ちゃん!

 

 




人物&ポケモン紹介がもう少しで出来るので
明日の昼頃に投稿します

ご不便をおかけして申し訳ありませんが
もう少しだけお待ちください
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