ポケモンが現れた世界に生まれて   作:ダダダッダ

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十五話

「ヒカリちゃん、怖くない?」

「へーきだよ、おにーちゃ」

 

 春休みに入り学校は休み、今日は姫光と一緒にポニータと遊ぶために庭に出ている。

 もちろん妹の相棒のミーニャちゃんもいて、彼女は今テブリムと一緒に姫光の乗馬を見守っていた。そう、妹は今ポニータに乗っているのだ。

 どうやら姫光は乗馬が怖くないらしく、楽しそうに笑っている。ポニータに乗るのは今日が初めてのはずなのだが。自分は乗ったことがないので分からないが、そういうものなのだろうか。

 

「ポニータは大丈夫?」

「ポニィーッ」

 

 ポニータも妹と同じく楽しいようで、元気に鳴いている。

 どうやら彼女も問題なかったようだ。少し不安に思っていたのだが、ポニータは特に苦しそうにはしていないようでよかった。

 正確な数値は分からないのだが、姫光の体重はポニータの半分くらい。ポケモンと比べるのもどうかと思うが、普通の馬だったら恐らく耐えられなかっただろう。

 

「ぽにーた、あったかいねー」

「ポニィ」

 

 姫光が落ちてしまう事のないように、体を支えながらポニータと一緒に庭を歩いていく。妹はポニータの体に抱きついて、その温かさを全身で感じていた。

 ポニータの背中の炎が、妹との身体の隙間から漏れ出ていて、とても幻想的な光景になっている。これは記録に残さなくては。

 だがしかし、タブレットは家の中だった!今ここを離れるわけにもいかないし、妹の記録を残せなくてとても悔しい。

 

「ニャウ…ニャーウ」

「テリリ」

 

 そんな風に心の中で泣いていると、ミーニャちゃんとテブリムが鳴き声を上げる。この鳴き方は間違いない。ポニータと一緒に足を止め、彼女達の方へ向く。

 見ればミーニャちゃんはこちらの見上げ、その可愛らしい両手を右足に当ててきている。鳴き声を聞き、その目を見れば分かる。やはり思った通り、彼女はポニータに乗りたいのだ。

 ミーニャちゃんは主人が楽しんでいる所を邪魔してしまうので、申し訳なさそうにしていて。テブリムはそんな彼女に、おさげを当てて応援してあげていた。

 

「ミーニャちゃんも乗りたいんだね?だいじょうぶだよ、いっしょに遊ぼうね」

「ニャニャウ、ニャー」

「ヒカリちゃん、交代いいかな?」

「うん、わかった。おにーちゃ、ぎゅーして」

 

 手を広げて待つ姫光を抱きしめて、ポニータから降ろしてあげる。あんなに楽しんでいたのに、相棒のミーニャちゃんのため、素直に降りてくれた姫光にとても嬉しくなる。

 ミーニャちゃんもそんな主人の優しさが嬉しいのか、笑顔で妹の足に抱きついた。

 このまま彼女達の家族愛を眺めていたい気持ちもあるのだが、せっかくミーニャちゃんが勇気を振り絞ってお願いしたのだ。彼女をポニータに乗せてあげよう。

 

「ポニータ、ミーニャちゃんをお願いね」

「ポニィー」

「よしよし、ありがとうねー、いいこだよー」

 

 任せてくれと言うかのように鳴き声を上げて頷いてくれた。そんなポニータを抱きしめて頭を撫でてあげる。

 彼女もミーニャちゃんを妹として大事に思ってくれているようで、立派なお姉ちゃんになってくれてとても嬉しい。

 

「ミーニャちゃん、ばんざーい!」

「ニャウニャー!」

 

 嬉しそうに鳴き声を上げて万歳するミーニャちゃん、とっても可愛い。そんな彼女を持ち上げて、ポニータに乗せてあげる。

 ミーニャちゃんは体が小さいので上手く乗れるか心配していたのだが、猫ポケモンだからかバランス感覚はいいようで、落ちることなくポニータの上を楽しんでいた。

 

「テリリリ」

「大丈夫、テブリム?」

「テリリ!」

 

 テブリムも一緒に乗りたいようだ。こちらとミーニャちゃんを交互に見上げ、鳴き声を上げてアピールしている。だが一緒に乗せて大丈夫なのだろうか。ミーニャちゃんは楽しそうなので、感情の音が大きくなっていると思うのだが。

 しかしテブリムはしっかりと頷いて、まるで妹の事は任せてくれと言うかのように、力強く鳴き声を上げる。何て麗しい姉妹愛、その精神に感服した!

 

「いいこだねー、テブリム。それじゃあ、ミーニャちゃんをお願いね」

「テリリン」

 

 両手を大きく広げ、持ってもらうのを待っているテブリム。心の中で嬉し涙をほろりと一筋流しながら、そんな彼女を持ち上げてポニータの上に乗せてあげる。

 本当ならテブリムを抱きしめて褒めてあげたいところだが、彼女が苦しんでしまうのでそんなことは出来ない。精神を落ち着けてお兄ちゃんモードを維持しなくては。

 

「ニャウ」

「テリリ」

「ポニータ、歩いてあげて」

「ポニィー」

 

 嬉しそうに笑顔で鳴きあっている彼女達を見て、心を抑えるのは本当に大変だ。

 精神を落ち着かせるために、別の方向に意識を向ける事にする、ポニータに話しかけることにしよう。彼女達が景色を楽しめるようにお願いするのだ。

 しかし撫でようと伸ばした手に、嬉しそうに頬を擦りつけてくるポニータに、更に心が高ぶってしまいそうになった。難しいものだ。

 

「にゃうー」

「てりりむ」

 

 どうやら彼女達はポニータの背中を気に入ったようだ。先程の姫光と同じように、全身で抱きついてポニータの温かさを楽しんでいる。とても羨ましい、自分は重くなってしまって、もう彼女には乗れないのだ。

 乗りたいのだが、さすがに彼女以上の重さは厳しいだろう。残念だが首に抱きついて温めてもらうので我慢しよう。

 

「ポニータの上は気持ちよさそうだね」

「うんっ。あのね、あったかくてね、きもちいいの」

「そっかー、それじゃ、お願いしてもう一回のせてもらおうか」

「うんっ」

 

 彼女達が落ちないようにゆっくり歩いてあげているポニータを追って、妹と手を繋ぎながら一緒に歩いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「みーにゃ、きもちいい?」

「にゃうーん」

 

 乗馬の時間は今日はもうお終い。あまり長く続けていると、さすがにポニータも疲れてしまう。三回ずつ乗ったのだからもう十分だろう。いや、乗り足りなさそうな顔だがこれ以上はポニータに悪い。

 少し残念そうなみんなを連れて家の中に戻り、現在はミーニャちゃんのブラッシングのお時間。外に長くいたので、毛にゴミが付いているかもしれない、それを取るためだ。

 もちろんテブリムにもお手入れはしてあげるつもりだ。ミーニャちゃんが終わった後に、いっぱい可愛がってあげよう。

 

 そんなミーニャちゃんは姫光に櫛を当てられて、気持ちよさそうな表情で鳴き声を上げている。やはり主人にしてもらうのが一番だろう。

 ミーニャちゃんも自慢のブラシテクで可愛がってあげたかったので少し残念だが、何よりも彼女が嬉しいと思う事が大事なのでそれは仕方がない。きっといつかチャンスはやってくるだろう、その時を楽しみにしていよう。

 

「テリリ?テリリン」

「にゃうにゃー」

 

 テブリムもミーニャちゃんが喜んでいるのが嬉しいのか、穏やかな笑みを浮かべ声をかけていた。姫光と彼女達の微笑ましい光景にとても心が癒される。

 

 そしてそんな光景を見て玲は思いついてしまった。次回の認定試験で、どの子を出してあげるかを。

 次の試験では姫光が見に来る。前は応援することが出来なかったので、次こそはと妹は父にお願いしていたのだ。それはつまりミーニャちゃんも見に来るという事。彼女が来るならテブリムお姉ちゃんの勇姿を見せてあげたい。こんなに仲がいい姉妹なのだ、きっと二匹とも喜んでくれるはず。

 

 テブリムが出るのなら相方はあの子だ、他の子はシナジーがあまりない。これは気合を入れて試験所を選ばなければならない。三匹目は悩まなくてもいいだろう、二匹だけで十二分に勝てる。

 

 彼女達に言うのはまだ早いだろう。予約がいっぱいで苦手なところしか受けられないかもしれない。それでは彼女達に申し訳ない、メンバーを変える事になるかもしれないのだ、報告は決まってからにしよう。仮に出るのを嫌がったとしても、他の子でも余裕で勝てるだろう。

 

 だが今は試験場を決めるより先にやることがある。ミーニャちゃんのブラッシングが終わったようなのだ。気持ちよさそうに眠っている彼女を見て、テブリムが期待した目を向けてくる。

 

「テブリム、マッサージしようか」

「テリリリーン!」

 

 胸に飛び込んでくるテブリムを受け止める。頭を擦りつけてくる姿がとても愛らしい、これは気合を入れてマッサージをしてあげなくては。

 

 




毎日の更新は厳しくなってきたので、投稿間隔を少し空ける事にします
楽しみにしてくださっている方には、申し訳ありません
それでも引き続き楽しんでいただけたら、とても嬉しいです
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