誤字報告もありがとうございます、いつも助かっています。
これからも応援よろしくお願いします。
「ご、ごめんね!待ったよね…?」
「ううん、大丈夫。今来たところ」
言ってやった、お約束のあれを。沙織にこの言葉を言えるなんて感無量だ。
今日は沙織と一緒にお出かけするために、彼女の家の最寄り駅まで電車で来ている。そう、沙織との初デートのために、ここまでやって来たのだ!
電車で来たのは、デートに家の車で送ってもらうのが少し恥ずかしかったからだ。小さくても男、沙織にそのような姿を見られたくない。なので初めて一人で電車に乗る事を心配する母を説得し、お小遣いを使ってここまで来たのだ。
「え、えっと…あのね、あんまり着ないから…変かも…だけど」
「ううん!すごく綺麗だし可愛い、僕だいすき!」
「そ、そう?…あの、ありがとう…。レイ君も、その…かっこいいよ…」
貧困な語彙力の自分にはとても言い表せないので、ご想像にお任せする。しかしとっても可愛い沙織のデート服。
ズボンが好きな彼女が自分に喜んでもらうために、頑張ってスカートを履いてくれている。その想いに心が熱くなる。
そんな沙織に恥をかかせなくてよかった。母と渡邊さんが息子の初デートと聞き、目の色を変えて選んでくれたので心配はしていなかった。だが少し不安も感じてはいたので、沙織にかっこいいと言ってもらえてよかった。二人ともありがとう!
「今日は誘ってくれてありがとうね、レイ君」
「ううん。こっちこそ受けてくれてありがとう、サオリお姉ちゃん」
今日は自分から誘った。時代錯誤だと言われるかもしれないが、それでも初デートは男の自分から誘いたかったのだ。
それに沙織から誘われることは、恐らくないだろう。何とも思っていないからではなく、彼女は恥ずかしがって男の子を誘うなんて出来ないだろうから。
「急にお願いしたから困ったでしょ?」
「ううん、大丈夫。予定はなかったし、それに…その…嬉しかったから」
春休みはもうすぐ終わる、そうなったら次にいつ誘えるか分からない。学校が始まれば土曜も部活があるらしい彼女に、せっかくの休みを潰して自分と一緒にいてもらうのは悪いと思ったのだ。
それに約束の報酬をいつまでも待ってもらう訳にもいかない。それはどんな事をさせられるか分からない不安を、彼女に与え続ける事になるからだ。
だがそんな約束のお願いを、沙織は使わなくていいと言ってくれた。このお出かけは自分も嬉しいからと。
お願いを使わなくても、お誘いを受け入れてくれた事がとても嬉しい。今日は何としても、彼女に楽しんでもらわなければならない。
お願いの内容をまた考えなくてはいけないのが少し辛いが。彼女に嫌われなくて自分が満足できるものが、なかなか思い浮かばないのだ。
「行こうか、サオリお姉ちゃん」
「うん。今日はよろしくね、レイ君」
「こちらこそ、よろしくね」
沙織の右手に手を伸ばして、優しくつかむ。彼女は少し驚いた顔をしたが、すぐに嬉しそうに微笑んで握り返してくれる。今日の最初の目的地に向かって二人で手を繋ぎながら歩いて行く。
「映画いくの初めてだよ」
「そうなんだ。…あ、そういえば僕もそうだった。いつも家で見てた」
「わたしも家で見てるの。家でムミちゃんと一緒に見たかったから」
「うん、やっぱりポケモンと楽しみたいよね。でも今日のはムミちゃんとも見れるよ」
「うん、たのしみ。ムミちゃんも喜んでくれると思う」
最初の行き先は映画館、それもポケモンと一緒に見れるものだ。
初デートで映画館というのは賛否があるかもしれないが、見たい映画があって、沙織と一緒に行ってみたかったのだ。それに彼女との付き合いは長いし、ポケモンと一緒なこともあり気まずい思いはしないと思う。
彼女は思いやりのあるいい子なので、感想を言い合って険悪になることもないだろう。それに映画の内容もレビューで高評価だ。ムミちゃんも楽しめるだろうし、そんなに問題のある選択肢という訳でもないはずだ。
デートでポケモンに頼るのもどうかと思うが、自分だけで沙織を夢中にさせる魅力はとてもない。いつかは一人でメロメロに出来るくらいの魅力を付けたいとは思うが、今は彼女に楽しんでもらう事を優先する。
「でもごめんね、高かったんじゃない?わたしが出すよ?」
「大丈夫!お姉ちゃんにカッコいい所見せたいから!…ごめんなさい」
「レイ君?」
「本当はお爺ちゃんからチケット貰ったんだ…」
「フフッ、そうなんだ。…大丈夫だよ、…レイ君はカッコいいから」
孫大好きお爺ちゃんが映画のチケットをくれたのだ。きっと初デートに使ってもらえると知って、鼻の穴を大きくしてくれるだろう。
本当は自分で払えるくらいの甲斐性は出したいが、小学生にはどうしようもない。ポケモン同伴可の映画チケットはとても高いのだ。
どうやら沙織はその事は気にしていないようだ。情けないと思われなくてよかったが、カッコいいと言われ大分恥ずかしい。彼女も恥ずかしそうにしていて、余計にだ。
「えっと…ありがとう、サオリお姉ちゃん」
「う、ううん…」
二人仲良く手を繋ぎ、顔を赤くしながら映画館に向かい歩いて行った。
『ミネアちゃんの大冒険』
とっても力持ちなマリルリのミネアちゃん、悪のポケモントレーナーをバッタバッタとなぎ倒す!主人のラブロマンスもあるよ!
映画館に着いた玲達は今、それぞれの相棒も合わせみんなで仲良く、座席に座り映画の始まりを待っていた。
「大きいポケモンはいないんだね」
「この映画館は小さいポケモンだけみみたいだね」
どうやら部屋ごとに入れるポケモンのサイズが決まっていて、この映画館は小さなポケモンまでしか入れないようなのだ。幸い自分達が出すポケモンは小さなサイズに分類されているらしく、身長バーに当たることなくゲートを通過できた。
「入れてよかったね、オーガポン」
「ぽにお!」
「一緒にミネアちゃんを応援しようか。でも大きな声はだめだよ」
「ぽにっ」
「わたし達も応援しようねムミちゃん」
「ムミャミャー」
出してあげるのはオーガポン、ムミちゃんの一番のお友達。他の子もコネクトで仲良くしているが、オーガポンは小さい頃から会っているのだ。それに今日の映画の内容的に一番楽しめるのは彼女だと思う。
声を落として、それでも元気に鳴き声を上げるオーガポン。今はまだ始まっていないから、声を落とさなくていいのだが、可愛いからいいか。
そんな可愛らしい彼女は右側の席に座っている。左側には沙織がいて、その奥のムミちゃんと笑顔でお喋りしている。どうやら今のところは、みんな楽しんでくれているようだ。
「ぽにお?」
「食べたいの?後でなくなっちゃうよ?」
「ぽに…」
「…ゆっくり食べるんだよ」
「ぽにっ!」
塩分控えめ、ポケモン用のポップコーン。ラージサイズでオーガポンも大歓喜。でも今渡したら始まる前に全部食べてしまいそうだ。だがまあいいだろう、なくなったら買ってきてあげればいい。
「ムミャムミャ」
「おいしい?」
「ムミャーン」
どうやら沙織もムミちゃんにあげるようだ。美味しそうに食べているムミちゃん、それを見て微笑んでいる沙織。彼女達をみていると心が温かくなる。うむ、やはりここに来て正解だったようだ。まだ映画は始まっていないが、これだけでもう大満足だ。
「ぽにっ!」
「おっと」
オーガポンの手から零れ落ちたポップコーン、慌てて手を動かし落ちるのを阻止。それを指で摘みオーガポンの口元に持っていく。
「オーガポン、あーん」
「ぽーにっ」
嬉しそうに可愛いお口をモグモグさせるオーガポンに癒される。おっと、デート中に別の女の子にあーんとは。これは怒られてしまうかと沙織を向けば、彼女は優しげな顔をして微笑んでいた。よかった、寛大な心を持つ彼女に感謝だ。
「ぽにおっ」
「ムミャッ」
と、そんな事をしていると周りが暗くなり、吃驚したポケモン達が声を上げる。いよいよ始まるようだ。
いやまだだった、まだ予告しか流れていない、本編はもう少し後のようだ。
それでもオーガポン達は大画面に映る映像に楽しそうに見入っている。うむ、自分も彼女達に倣って楽しむ事にしよう。
「―――」
「―――」
肘掛に乗せられている沙織の手を握る。いいよね、嫌がらないよね、今までだって何度も握っていたのだもの。暗い場所では初めてなので少し不安だ。
しかし沙織は少し恥ずかしそうにしているが、特に嫌がってはいないようだ。よかった、許された。よし、今日はこのまま映画を楽しむ事にしよう。
心臓のドキドキが手のひらから沙織に伝わってしまわないかと少し緊張する。
映画が終わって、感想を言い合いながらの昼食を取り、今はショッピングを楽しんでいる。そこでなんと沙織から誕生日プレゼントとして、シルバーアクセを買ってもらったのだ。ハートと星のネックレス、沙織とお揃いだ。これは大事にしなくては。
「ありがとう、サオリお姉ちゃん」
「遅くなってごめんね、レイ君」
遅くなったと言うがそれは仕方がないのだ。まさか誕生日に自分の家に試験を受けに来るとは思わないだろう。今まで会う事もなかったのだし、プレゼントを用意しているはずがない。むしろ貰えるだけありがたいのだ。
「サオリお姉ちゃんとお揃い!大切にするね!」
「う、うん…」
恥ずかしそうにしている沙織の首元のネックレス、自分の首元にあるそれと同じでとても嬉しくなる。沙織の手を握る力を少しだけ強くして、駅までの道を二人一緒に歩いて行く。
残念ながら今日のデートはもうすぐ終わりだ。まだ一緒にいたかったのだが、これ以上は空が暗くなってしまう。彼女の安全が最優先、まだ明るいうちに家に帰ってもらわなければ。
「っ…」
「サオリお姉ちゃん?」
と、その時、沙織が無表情になる。目の先を追えば、そこには二人の少女が楽しそうに話していて、こちらに向かい歩いて来ていた。年の頃は沙織と同じくらい、知り合いだろうか。
そんな風に考えていると、どうやら向こうもこちらに気付いたようで、顔を強張らせる。彼女達はこちらに気付いていないように振舞いながら、急いで横を歩き去っていった。
「サオリお姉ちゃん…」
「ごめんね、レイ君。何でもないの」
何でもない訳がない、可愛く笑う沙織が、あんな無表情になったのだから。間違いなく同じ学校の生徒だろう、それも怒らく親しくしていた友達。以前聞いた沙織を怖がって離れた者達だ。
彼女達には何も出来ない。苛めという訳ではないのだ、ただ怖がっているだけ。人の考えはどうしようもない、怖がるなと言ったところで、そんな簡単に変わるわけがない。
だけど沙織には何とかしてあげたい。大したことは出来ないかもしれないが、このままにはしておきたくはない。お願いを使おう。学生たちは無理だが、沙織ならもしかしたら。思いついてしまったのだから行動する事にしよう。
「サオリお姉ちゃん、あっち行こう」
「え?うん、いいよ」
さすがにここでは人目があって出来ない、場所を移すことにしよう。いや、変な事はしませんよ。
駅の近くだから、なかなか人のいない場所はない。それでもどうにか見つけ、作戦を実行する。
「サオリお姉ちゃん」
「っ、レイ君、どうしたの?」
沙織の腕に抱きつく。逆なら非常に嬉しいのだが今は無理だ、未来に希望を託そう。驚いている彼女の目を見てお願いを口にする。
「お姉ちゃん、お願いしてもいい?」
「え!…あ、う…うん、いいよ…何でも言って」
「また僕とデートして!」
「でッ!え、あ…あの…」
「僕、今日楽しかった。お姉ちゃんはどうだった?」
「…うん、…わたしも楽しかった」
よかった、沙織にデートを楽しんでもらえていたようだ。ないとは分かっていたが、つまらなかった、もう二度と誘わないでとか言われていたら死にたくなっていた。
「ならいいよね!またデートに誘うね!」
「うん…」
「嫌な事があったら、楽しんで忘れよう。サオリお姉ちゃんからも誘って」
「あの…」
「コネクトでもいいし、僕は大丈夫だから」
嫌な事があったら、楽しいことで気を紛らわせればいいのだ。学校生活はどうにも出来ないのが悔しいが、自分に出来ることで沙織を楽しませよう。
「イヤじゃないかな…」
「イヤじゃないよ」
「いっぱいコネクトするよ?」
「いいよ、デートもね!」
「でも…いいのかな」
「これお願い!何でも言うこと聞いてくれるんでしょ?」
契約ですから、何でも言う事を聞くという約束ですから。どうしても無理というなら諦めるが、嫌われてはいないのだし大丈夫だろう。
さすがに毎週デートというのは無理だが、コネクトなら多少増えても問題ない。これで押し切ろう。
「…うん、わかった。あのねレイ君、…ありがとうね」
「お礼を言うのはこっちだよ、次のデート楽しみだな」
お礼を言うのはこっちだ。約束とはいえデートを受け入れてくれたし、腕に抱きついたことも不問にしてくれている。とてもいい匂いがした。
「でも本当にいいの?」
「なにが?」
「おねがいを使って…わたしのためなのに…」
「なんのこと?僕がサオリお姉ちゃんと一緒にいたかっただけだよ」
「…うん、ありがとう」
えっちなお願いにも惹かれるが。イヤイヤ何を言っている、沙織が嬉しそうに笑っているのだからこれでいいのだ。全然いいのだ。
「でもね、やっぱり悪いから…お願いはもういっかい…いいよ」
「え!いいの?」
「…うん」
沙織はなんて大きな心の持ち主なのだろうか。そういう事なら遠慮しない、存分に願わせてもらおう。だが何を願おうか、あれだけ悩んだのだ、なかなかいい考えが浮かばない。これは少し困ったぞ、嬉しい悲鳴だ。
「あ…」
「え?どうしたの?」
「これいいのかな…」
「もう思いついたの?いいよ…何でも言って」
本当にこれを言っていいのだろうか、嫌われないだろうか。いや、きっと嫌われないはず。何か言われても、無邪気な少年ということで乗り切ろう。この想いを抑える事は出来そうにないのだ。
「サオリお姉ちゃん…」
「…うん」
「部活のユニフォーム見せて!着てるところね!」
「…え!」
沙織の所属している部活は陸上部。そのユニフォームとは、肌面積の多いあれである。学校によって違いがあり、ヘソが見れるかどうかは賭けだが、きっと綺麗なおみ足や肩は見れる事だろう。
「もしかして、…なかった?」
「え…多分ある…と思うけど…」
もしかしたら持っていないのかもしれない。試合に出ないならユニフォームを買う必要はないだろうから。しかし何やら彼女は持っている様子。だが思うとはどういう事だろうか。
「持ってるんだよね?」
「たしか最初に買わされた…と思う。でも、いつもジャージで走ってたから」
「そっか…どこにあるか分からないんだね…」
それなら仕方がない。自分の欲望のために、何処にあるのか分からない物を探してもらうのも悪い。これから着る予定のない新品のそれを、見せるためだけに開けてもらうのもどうかと思うし、諦める事にしよう。
「…レイ君、見たいんだよね?」
「うん、でも」
「探すよ。…大丈夫、あるのは間違いないから。買ったはずだもん」
「いいの?」
「うん…あの、変でも…その」
「大丈夫!サオリお姉ちゃん綺麗だから、絶対に似合うよ!」
「あ、う…その…ありがとう…」
ありがたい!無理そうなら諦めるつもりだったが、見られるものならどうしても見たいのだ。沙織が探し出してくれるのを楽しみに待っていよう。
「まだ大丈夫だけど、そろそろ行こうか」
「そ、そうだね。…ごめんね、わたしのせいで」
「なんのこと?サオリお姉ちゃんは、何にも悪いことしてないよ」
「うん…ありがとうね、レイ君。ありがとうね…」
沙織と手を繋ぎ駅まで戻るのを再開する。名残惜しいが、急ぐとしよう。今はまだ大丈夫だが、そろそろ戻らないと暗くなって危ないだろう。
自分は瀬川さんに迎えに来てもらう事になっているが、沙織はバスで自宅近くまで戻り、そこから少し歩くのだから。
「あ…バスが来てるみたい…」
「あのバス?…そっか、残念だけど今日はお別れだね」
「あの、レイ君…」
「あとでコネクトで話そうね!サオリお姉ちゃんも、話したくなったらいつでも大丈夫だからね」
「うん…」
駅に着いたら、ちょうどバスが来ていたようだ。あれに乗らないと次は三十分は後になるだろう、それはさすがに家に帰るのが遅くなる。残念だが沙織とはここでお別れだ。
沙織も少し寂しそうにしてたが、いつでもコネクトしていいと聞いて嬉しそうに笑ってくれた。
少し嫌な事もあったが最後には笑顔になってくれた。映画なども楽しんでくれていたようだし、今日のデートは成功と言ってもいいのではないだろうか。
「レイ君、またね」
「うん、またね、サオリお姉ちゃん」
「あのね…今日は楽しかった。ありがとうね」
「僕も楽しかった!次に会うのを楽しみにしてるね」
「うん…」
繋いでいた手を放し、沙織がバスに乗るのを見送る。彼女は窓側の席に座り、バスが出るまでこちらに手を振ってくれていた。
沙織を乗せて走り出したバスは、少し先の十字路を曲がり視界から消えていく。
そんなバスを見送って、駅から離れ歩いて行く。今日はこれからまだやることがある。沙織とのデートがメインだが、これから行う事もメイン。ダブルメイン、重要な事なのだ。
だが暗くなるまで何も知らせがないと心配する。瀬川さんに連絡すると、五分ほどで着くと言われた。どうやら早めの夕食を摂っていたようだが、中断して来ようとしてくれているらしい。
食事を中断させるのは悪いし、こちらも用事があるので三十分後に待ち合わせにする。そこまで時間はかからないと思うから、丁度いいくらいだろう。
これからタブレットからポケモンを出す。新しい家族を迎えるのだ。
デートと同じ日に出すのには理由がある、一人で遠出する理由が必要だったからだ。家の近くに強いポケモンが何匹も出て、全て息子が捕まえるというのは怪しまれる。マスカーニャとオーガポン、更にはテブリム。さすがにこの次は無理がある。
別の日では遠くに出かけるのに両親の許可がいる、まだ十歳なのだからそれは仕方がない。なので家から離れた場所で初デートという、両親がついて来ない理由のある今日やる必要があったのだ。
沙織とのデートを理由にしてしまうのは彼女に悪いが、他に思いつかなかったのだ。楽しんでもらえるように全力で頑張ったから許してほしい。
そして腰にはユキメノコとポニータも含めて全員いる。タブレットからポケモンを出すことは、彼女達にも教える事にした。出す時に彼女達だけを除け者にするなんてしたくない。家にぽつんとボールを残されるなんて悲しいではないか。
両親や妹に渡邊さん等には言えないが、ポケモンのみんなには知られても問題ないだろう。言っておけばお友達に話すなんて事もしないはず。
両親達も言いふらしたりしないと思うが言葉で伝わるのだ、何があるか分からない。ポケモンなら話せ…るの結構いるな、この世界でもそうなのだろうか。まあ彼女達を信じよう、言いふらすような事はしないと。
「エースバーン、お願いしていい?」
「―――」
エースバーンも任せてくれと言うかのように、力強く震えている。これなら仮に何かがあっても大丈夫だろう。同郷の子だし彼女に任せよう。
さて、そろそろ始めないと瀬川さんが来てしまう、少し急ぐとしよう。