誤字報告もありがとうございます、いつも助かっています。
これからも応援よろしくお願いします。
現在リビングのソファーの上、周りでは家族の皆がのびのびと過ごしている。
今日は土曜なので学校は無し、友人達との勉強会も月曜まではお休みだ。
勉強漬けの毎日というのは疲れてしまう、休むことも必要なのだ。
それにみんなと勉強をしたとしても、今の高貴では集中出来ていなかっただろう。
なにしろ前日のテストの答案はまだ返ってきていない。目標の点数が取れているか心配で、勉強どころではないだろうから。
そのため高貴には軽い宿題のようなものを出すだけにして、今日はお休みという事にしたのだ。
『悪いレイレイ、どうしても心配で』
「いいよいいよ、気にしないで。気持ちは分かるからね」
だが彼はそれだけでは不安だったようで、コネクトで連絡を取ってきた。
ゴウタくんの進化がかかっているのだから、それも仕方がない。自分が彼の立場だったとしても、同じように不安に思っていただろうから。
「それでコウキくん、どこが気になるの?」
『国語なんだけど、教科書読めばいいって言ってただろ?』
どうやら高貴の聞きたいことは国語の内容らしい。
彼には休みの間に教科書を読んでくるように言っている。文章を読み慣れていない彼には、先ずは文字に慣れてもらった方がいいと思ったのだ。
『信じてない訳じゃないけど、教科書読むだけで本当にいいのか?』
「うん、大丈夫だよ。国語のテストは、文章を読めれば半分は取れるから」
国語のテストは、問題用紙に答えがそのまま載っていることが多い。そうでなかったとしても文章を読めば解ける問題ばかりなので、文字を読むことに慣れるだけでそれなりに点は取れるようになるだろう。
あとは漢字の読み書きと送り仮名を覚えれば高得点を取れるはず。その漢字も出題されると思われるものを紗更と一緒に書き出して彼に渡してある。
「あとは紙に書いた漢字を覚えれば大丈夫だよ」
『何が出るとか分かるもんなんだな』
「ハルカ先生、分かりやすいから」
高貴は不思議そうにしているが、ハルカ先生は分かりやすいのだ。
ノートを取ることに集中していて気付かなかったのだろうが、授業とテストを何年も受けていれば、先生の癖から出題内容はある程度は予想できるようになる。
黒板を消すまでの時間が少し長かったり、説明する時に生徒たちがしっかり聞いているか見回して確認したり、そういうものはテストによく出る。
国語では部首を間違えそうなものは比較的出やすい。生徒が間違えて覚えないように考えてくれているのだろう。
ハルカ先生の作るテストは、その辺を覚えればいいので、点を取るだけなら簡単なのだ。
それだけでは後で苦労するし、業者がつくるテストもあるので他の内容も覚えなくてはいけないのだが、今は気にしなくていいだろう。それは余裕のある時に覚えてもらおう。
「次のテストは範囲が広くないから、自分のペースで大丈夫だよ」
今回のテストの範囲はそんなに広くない。
理科の内容は『天気』だけで、覚える事はあまり無いのだ。
国語は先ほど説明した通りで、暗記の必要なものもそこまで多くないし、その配点もいつもと同じならあまり高くはないだろう。
前回よりも土日分期間が長い事もあり、あまり根を詰める必要はないのだ。
『わかった、やってみる!悪いなレイレイ、休みなのに』
「全然いいよ。あ、でもゴウタくんが進化したら頭撫でさせて」
『おう!いつでも撫でていいぞ!な、ゴウタ?』
『ココハナ!』
元気に鳴き声を上げるゴウタくんに顔が綻ぶ。
彼等の許可も出たことだし、進化したらいっぱい撫でさせてもらおう。
いや、進化する前にも撫でさせてもらおう。ふさふさした髪も気持ちよさそうだが、今の撫で心地も好きなのだ。
いつでもいいと言ってくれているのだし、問題はないはずだ。
『じゃあな、レイレイ。また学校でな!』
『ハナー』
「うん、またね。勉強頑張ってね」
笑顔の高貴達に挨拶を返し、コネクトを閉じてタブレットをテーブルに置く。
体を伸ばしながら時計を見れば、十分程しか経っていない。長く話していたと思ったのだが、そうでもなかったようだ。
昼ご飯までまだまだ時間がある、何をして過ごそうか。
「テリリ!」
「おっと。お絵描きはいいの?テブリム」
「テリリーン!」
「そっか。うん、いいよ。一緒にお絵描きしようか」
話が終わったと知りテブリムが膝に乗ってくる。
今まで楽しそうにお絵描きをしていたのに、もう終わりでいいのかと思ったが、どうやら膝の上で一緒にお絵描きしたかったようだ。
もちろん大歓迎だ。姫光とミーニャちゃんも正面のソファーの上で仲良く絵を描いているし、みんなでお絵描きの時間としよう。
「ぽにお…」
どうやらオーガポンも膝の上を狙っていたらしい、エースバーン達と遊んでいて出遅れたようだ。テブリムに先を越された事に、悲しそうな鳴き声を上げる。
「オーガポンも一緒にお絵描きしない?」
「ぽに!」
「それじゃあ、お絵かき帳を持っておいで」
テブリムに悪いので膝の上を譲ってあげることは事は出来ない。
だが安心して欲しい、オーガポンを悲しませたままに何てしやしない。一緒にお絵描きをしようではないか。
オーガポンはスケッチブックを取りに、元気におもちゃ箱に走っていく。いつでもお絵描き出来るように、クレヨンセットと一緒に何冊も置いてあるのだ。
最近我が家でお絵描きブームが巻き起こっているようなのだが、恐らく勉強会でのセイくんに触発されたのだろう。学校から帰ったらオーガポンとテブリムに可愛らしくおねだりされたのだ。
幸い我が家にはクレヨンセットとスケッチブックが沢山あったので、彼女達にはそれをプレゼントしたのだ。
最初は彼女達だけだったのが、今ではクレヨンを持てないポニータとバウちゃん以外は、みんなが絵を描くようになっている。
「ぽにおーん!」
戻って来たオーガポンがスケッチブックを高く掲げ、笑顔で隣に座る。
こんなに喜んでくれるなんて、貰い物だが彼女達にプレゼントしてよかった。
白雪家の子供は誕生日やクリスマス等に毎年多くのプレゼントを貰うのだが、くれる相手が多すぎて贈り物が被ってしまう事がよくあるのだ。
お絵描きセットもそうで、姫光の物と合わせて五つもあった。
家族のみんなに喜んでもらいたくて、小さい頃は似顔絵を描いたりしたのだが、それだけではとても使いきれなかった。
折角ポケモンのいる世界なのだから、バウちゃんやギンガくんと遊びたい。そういう理由もあって段々と描かなくなっていき、お絵描きセットは倉庫の中に仕舞われる事になったのだ。
プレゼントを捨てるなんて事はあまりしたくはないが、いつか使えなくなるだろうし仕方がないのかと思っていたのだが、彼女達がお絵描きを好きになってくれてよかった。
「カオン…」
「バース!バスバース!」
「カ、カオン!」
見ればエースバーンがテレビの前で得意げな顔をしている、ルカリオにゲームで勝ったのだろう。
彼女達が遊んでいるゲーム機とソフトも、小学校の入学祝いに叔父から貰ったものだ。
前世にはなかったポケモンが出る作品で、興味もあったので遊んでみたのだが、小さい子供に与えるだけあり簡単すぎてあまり楽しめなかった。
せっかくのプレゼントなのでしばらくは遊んでいたが、テレビ画面よりもポケモンの家族達を見ていたかった事もあり、あれも段々と触れることが無くなり倉庫に仕舞う事になったのだ。
お絵描きセットを倉庫から出す時にもしかしてと思い一緒に出してきたのだが、彼女達は楽しめているようで良かった。
「テリ?」
「ぽに?」
「あ、ごめんね。お絵描きしようね」
おっと、テブリム達をほったらかしにしてしまっていたようだ。
エースバーン達の勝負も気になるが、今はお絵描きを楽しもう。
応援してるよルカリオ、頑張ってエースバーンに勝ってね。
「僕の絵を描いてくれてたんだね」
「テリリ」
「ありがとうねテブリム。それじゃあ続きをお願いしようかな」
「テリリン!」
ソファーの上に置かれていたスケッチブックを、テブリムが描きやすいように広げてあげる。どうやらこの子は先ほどまで僕の顔を描いてくれていたようで、笑顔の男の子が描かれていた。
水色のクレヨンを手に持っているので、恐らくテブリム自身の絵を横に描くのだろう。この子とのツーショット、嬉しくて顔がにやけそうになる。
この子が辛い思いをしないように、心を落ち着けなくてはいけないので大変だ。
「ぽにおー」
「オーガポンも描いてくれるの?」
「ぽに!」
「ありがとう、とっても嬉しいよ」
オーガポンも似顔絵を描いてくれるようで、体を擦りつけてアピールしている。頭を撫でると嬉しそうに笑ってくれた、とっても可愛い。
「テリテリ!」
「じょうずだよー、テブリム」
「ぽにおー」
「くすぐったいよー、オーガポン」
絵を見て欲しそうに時おりこちらを振り向くテブリムと、お絵描きより主人に甘える事を優先したらしいオーガポン。
とても癒される、やはりポケモン達とのふれあいは良いものだ。
周りを見ればミーニャちゃんは姫光と一緒に楽しそうにお絵描きしているし、エースバーンとルカリオは和気藹々とゲームを楽しんでいる。
マスカーニャとバウちゃんは、カーペットの上で気持ちよさそうにお昼寝していて、寝顔がとっても可愛らしい。
ユキメノコはボールから出られないポニータが寂しがらないように、一緒に遊んでくれている。
この光景を見ていると心が満たされてくる。
思えば今週は勉強会があって、ポケモン達とのふれあいが少なかった。順番でみんなのポケモンの面倒を見てはいたが、それだけでは足りはしない。
これは不足している心の栄養を補わなければならない。今日は一日中ポケモン達の可愛らしさを堪能させてもらうとしよう。