暗黒錬金術師伝説8 暗黒!リディー&スールのアトリエ   作:dwwyakata@2024

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4、不思議な絵画の入り口

まだ双子には話していない。

 

だが、ロジェは既に、絵の修復を終えていた。地下室にて、天国をイメージした絵は。安定したゲートを作り上げている。

 

中から出てきたのは、アルトとプラフタである。二人とも涼しい顔をしているが。結果は分かりきっていた。

 

「コアが生まれつつある状態だね」

 

「やはり……」

 

レンプライアのコア。

 

聞いた事はある。不思議な絵画には入った経験もあるのだ。当然だ。

 

本来は、絵の中にうっすらと存在する程度のものらしいのだけれども。

 

あまりに不思議な絵画の中にある悪意。

 

つまりレンプライアが錬磨され濃くなると、コアと呼ばれる強力な個体が出現するという。

 

その戦闘力はレンプライアなどの比では無く、小さな世界である不思議な絵画のルールすらも乗っ取ってしまうほど。

 

つまり、小さな世界における神の座を、奪い取ってしまうという事だ。

 

「とりあえず、しばらくはこれ以上成長しないように処置はしておきました」

 

「……」

 

「絵には入らないように」

 

二人は姿を消す。

 

ロジェは、口惜しくて、何も言い返せなかった。

 

絵の中には、多分触れる事は出来ないだろうけれど、オネットがいる。残留思念だけれども、それでも充分すぎる位だ。

 

そしてオネットは苦しんでいる。

 

騎士団でも将来の幹部候補と呼ばれる程の使い手だったオネットだったけれど。それでも世界のルールにはかなうまい。レンプライアのコアが具現化しようとしているとなれば。苦しくないはずは無い。

 

そして敢えて「成長を抑える」止まりで、あの二人が止めたのは。

 

双子のエサにするために決まっている。

 

もしも、自分に力があれば。

 

今からでも、絵に入ってオネットを救うのに。勿論そんな事をしたら殺されるだろうが、知った事か。

 

自分にはコアまで成長したレンプライアを倒す実力がない。

 

どうしてこう、いつもいつも。

 

肝心なときに何もできないのか。

 

双子はついにハルモニウムまで作り始めた。この様子だと、ヴェルベティスまで手が届く日も遠くはあるまい。

 

それに対して、ロジェはどうだ。

 

それは、娘が自分を超えてくれるのは、誇りに決まっている。

 

だが、無力がこれほど口惜しい事だとは。

 

酒に手を伸ばしかけて、止める。

 

此処からは、罪と向き合い。

 

罰を受ける時間だ。

 

深淵の者のやり口は気にくわないが、しかし双子はもう助け出せない。そして才能の学問である錬金術で、もうロジェはこれ以上進めない。

 

こうして座して見ているだけ。

 

それがロジェに課された罰。

 

絵の前で、ロジェは。

 

虚ろな目で、じっと罰を受け続けていた。

 

 

 

(続)




自分にとって全てであり、愛そのものである絵。

それがレンプライアに食い尽くされている事を知っていて、ロジェはなお平静を保っています。

双子のためです。

一度絶望から立ち直ったロジェは、今度こそ双子のためにと誓っているのです。どれだけの罰を受けることも、もはや意に介していません。
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