現代で目を引く様な容姿に変わったら色々悪化したから僕はネットに逃げる事にした。 作:枝豆
『どうしよう……』
「学校?」
『それも、どうしよう』
「それもじゃないでしょ。遊ぶのも学校行くのもどちらも子供だから出来るのよ。大人になったら、その両方をやる事は難しいんだから」
朝。健康的な時間帯に目が覚めて、僕は朝ご飯を食べる。お母さんも仕事の準備をしてから、食卓に着いた。
『お母さんってさ』
「うん?」
あんまり、僕からは話しかけないから一瞬不思議そうな顔をした後。耳と一緒に身体もこっちまで向けてくる。そうされると、少し緊張する。
『お母さんは配信者に対して、どんなイメージがある?』
「あんまり良いイメージは無いわね。ほら、テレビで出るのは問題起こしてる人ばっかりでしょ?勿論、たまに観てるからそんな人ばかりじゃないのは分かってるつもりだけど」
『成程ね、やっぱり。じゃあ子供が配信者やりたいとか言ったら反対する?』
恐る恐る思っていた疑問をぶつけた。やっぱり、自分の意見を人にぶつけるのは緊張する。否定されたらどうしようって気持ちが大きい。
「……。反対はしないけど、ちょっとびっくりするかもね。そう言うのは苦手だと思ってたから。ほら、何かを発表するのとか苦手だったじゃない?人と付き合うのも苦手で。小中学生の通信簿では、積極性が足りないって言われてて」
『数年前の話でしょ』
「アンタにとって数年前でも、私にとっては数日前みたいなもんよ」
そう言って笑う。こうやって喋るのも一ヶ月ぶりなのに、そんな事は決して言わない。
「と言うか、私は人を闇雲に否定出来る程徳を積んだ人生を歩んできた覚えは無いもの。そうして来たせいで失ったモノだってあるし、守れた物だってある。だからさ、やりたい事があるんだったら好きにやってみな」
『あ、ありがとう。頑張ろうと思うよ』
「ただし、待ちなさい。まだ話は終わってないから」
そう言って呼び止められた。僕は素直に、椅子に座り直した。
「ただし、だからと言って他を疎かにして良い理由にはならない。それは分かるよね」
『それは勿論』
理解出来たで、頷くと母さんはニヤリと笑った。僕の心臓が跳ねたのが手に取るように分かった。僕は母さんのこの顔が得意では無い。そう言う時は大抵、何かが面倒臭いからだ。
「まず、高校は卒業する事。普通に学校通うでも良いし、高卒試験でも良い。それから家にいるのなら、最低限の家事をする事。まずはこの二つを守って欲しい」
『分かった』
何だ。大した事じゃ無いじゃんと思ったが、それを今まで出来ていなかったのだから仕方無い。これから本当に色々頑張ろうと改めて思った。
『初めまして八百万朋友と申します。以後お見知り置きを』
部屋に戻ってすぐ、僕はアプリを立ち上げ配信を始めた。誰も見てないとかはどうでも良い。見て貰えるまで頑張ろうと思う。
『初めての配信なので、まずは自己紹介から。えーっと、紙、紙。ノートで良いか。よいしょ』
あっ、綺麗に切れなかった。まぁ良いか。
『えーっと、まず名前が先ほども言った通りですね。やおよろず、ほうゆうと読みます。由来はですね、沢山の友達が出来ます様にって言う願いを込めました』
名前と書いた下のあたりに趣味と書く。趣味は前も言った通り、正直に。
『趣味はこう見えて、今時と言うか。ストリーマーとか、Vtuber、ゲーム実況者とか見ます。皆さんとそんな話で盛り上がれたらな〜って思います』
よし、言えた。後は……。
『好きな物とかですかね。好きな食べ物は、カレーです。あ、本とかも読みます。本というか、小説ですね。ラノベとか漫画、アニメそう言う物が好きですねぇ。流行りの漫画とかも読みます。最近は、アニメで流行ってて名前を聞く様になってから原作を読むって言うのが多いですね』
《コメント欄》
・初コメ!ほーゆーちゃんはVなの?
『コメントありがとうございます!あー私はVじゃないんですよね。ある意味、このガワは特別なママに唯一無二の特注品みたいな所がありそうですけど』
《コメント欄》
・ん?どう言う事?
『あ、気にしないで下さい。それより、ヨシヨシよっしーさんは何が好きとかありますか?』
少し不味いなと思ったので話を変えた。その後は、天気の話をしたり実際に体験した怖かった話をしたりしてダラダラと時間を過ごした。
それから一時間ぐらい喋って、その日は配信を辞めた。久々に人と喋るのは少し疲れたけどちょっと楽しかった様な気もする。数人、数えるぐらいの人だけど見に来てくれて嬉しかったなぁ。また来てくれるかな。