裂空の竜と終極魔精   作:椎名真白

4 / 10
第4話「新たな仲間たち」

 コターロンと唐揚げボーイの激しい戦いは、筋肉と剣のせめぎ合いの末、広場の中央で膠着状態に至っていた。二人とも疲労を隠せず、互いに呼吸を整えながら相手を見つめていた。

 

「まったく……お前、やるじゃないか!」

 

 唐揚げボーイは太い腕を伸ばして、汗だくの額を拭いながらコターロンに向かって大声で笑った。対するコターロンも、緊張感を保ちながらも一瞬だけ口元を緩めた。

 

「君もね。だが、これ以上は無意味な争いだろう。僕たちは仲間になるべきだ」

 

 コターロンの声は冷静だったが、その背中からは疲れが見え隠れしていた。

 

 その時、フムタンが二人の間に割って入るようにして歩み寄った。彼は胸を張って深呼吸し、場を和ませるような軽い調子で話し始めた。

 

「ふむ、二人ともよく頑張ったね! でも、そろそろ休憩してもいいんじゃないか?」

 

 フムタンの言葉に、唐揚げボーイはやや困惑しながらも頷き、コターロンも剣を収めた。

 

 

「それにしても、コターロン・タルテューヌ……って名前、ちょっと長いよなあ」

 

 フムタンは少し考え込むような仕草をしながら、コターロンをじっと見つめた。コターロンは不思議そうに彼を見返した。

 

「なんだと?」

 

 コターロンは少し驚いたような表情を見せたが、フムタンは笑いながら肩をすくめた。

 

「いや、君の名前って威厳があってかっこいいけど、なんかこう……もう少し親しみやすいあだ名とかないかなと思ってさ」

 

 フムタンはにやりと笑いながら続けた。

 

「だから、今日から君は……『タルちゃん』って呼ぶことにする!」

 

 彼は誇らしげに宣言した。

 

「タ、タルちゃん?」

 

 コターロンは一瞬戸惑ったが、すぐに笑みを浮かべた。

 

「なんだその軽いあだ名は……まあ、悪くはないか」

 

 その返答に、フムタンは満足げに頷いた。

 

「よし、これからはみんなもタルちゃんって呼んでやってくれ。仲間なんだし、少しは柔らかい名前の方がいいだろ?」

 

 フムタンの陽気な調子に、唐揚げボーイも頷きながら大声で笑った。

 

「おお、タルちゃんか! 面白いな!」

 

 唐揚げボーイのその一言に、場の緊張が完全に解け、広場には和やかな雰囲気が戻ってきた。

 

 その時、広場の片隅から新たな人物が現れた。彼は控えめな笑顔を浮かべ、優雅な身のこなしで歩いてくる。その男はシンプルな装いをしていたが、その風格には何か特別なものを感じさせる。

 

「おや、これは興味深い場面に出くわしましたね」

 

 彼の声は柔らかく、落ち着いていた。その男性こそ、コターロン・タルテューヌの旧友であり、知恵と魔法に長けた人物――「ウノーさん」だった。

 

 ウノーさんは場の空気を察しながら、笑みを絶やさずに言葉を続けた。

 

「それにしても、タルちゃんとは面白いあだ名をつけましたね、フムタンさん」

 

「ウノーさん!」

 

 タルちゃん(コターロン)は驚いた表情で彼を見つめた。

 

「お前、まだこの辺りをうろついていたのか?」

 

 ウノーさんは優雅に肩をすくめてみせた。

 

「ええ、少々面白いことを探していたところで。どうやら、面白い仲間たちが揃っているようですし、私も参加させてもらえませんか?」

 

 彼の言葉に、フムタンは興味深そうにウノーさんを見つめた。ウノーさんはすでにフムタンと一度出会っているが、その全貌はいまだ謎に包まれていた。

 

 

 一方、唐揚げボーイはその場で腕を組み、真剣な表情でフムタンたちに話しかけた。

 

「俺はこの街をうろついていたが、目的があったんだ。エルフェンリートがまた動き出したらしい。奴らが狙っているのは、お前のドラゴンだけじゃない。俺たち全員を巻き込むような、大きな計画を進めている」

 

 彼の言葉に、場の空気が再び引き締まる。

 

「エルフェンリートが……?」

 

 フムタンは驚きの表情で問いかけた。オルファ・ストラグルを召喚した後、彼らの動きには常に警戒をしていたが、唐揚げボーイの言葉でその危険性が増していることを感じた。

 

「奴らは、裂空陣を使って何か恐ろしいことを企んでいる」

 

 唐揚げボーイの言葉に、ウノーさんも表情を引き締めた。

 

「エルフェンリートは古代の禁断魔法を扱う集団。彼らが裂空陣を完全に再現できれば、世界そのものを崩壊させる力を得ることになります」

 

 ウノーさんの言葉に、フムタンは再び拳を強く握りしめた。オルファ・ストラグルとの契約は果たしたが、まだ戦いは終わっていなかった。むしろ、これからが本当の試練だということを悟った。

 

 

「というわけで、タルちゃん、唐揚げボーイ、ウノーさん……僕たちはこれから一緒に戦わないといけない」

 

 フムタンは仲間たちに向かって力強く言い放った。

 

「エルフェンリートの計画を止めるために、僕たちが力を合わせるんだ」

 

 タルちゃんは軽く頷き、唐揚げボーイは誇らしげに胸を張り、ウノーさんは穏やかな微笑を浮かべていた。こうして、フムタンを中心に新たな仲間たちが集まり、彼らの冒険はさらに激しいものになっていく予感が広がっていた。

 

「行こう、仲間たちよ。世界を救うために」

 

 フムタンは決意を胸に、オルファ・ストラグルと共に次なる戦いへと足を進めた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。