裂空の竜と終極魔精   作:椎名真白

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第9話「最終決戦」

エルフェンリートの本拠地にたどり着いたフムタンたちは、裂空陣が発動されようとしている巨大な祭壇の前に立っていた。そこに現れたのは、黒いローブをまとったエルフェンリートのリーダー、アーカス・ノクターンだった。彼の赤い瞳は冷たく無慈悲で、その姿は闇の支配者そのものだった。

 

「ここまで来るとはな、だがこれ以上は無駄だ。裂空陣の力はすでに手の内にある」

 

 アーカスの声は低く、まるで死を告げるような冷たい響きを持っていた。

 

「俺たちはお前を倒して、裂空陣の力を取り戻す!」

 

 タルちゃんが剣を構え、仲間たちも戦闘態勢を整える。

 

「倒すだと?」

 

 アーカスは冷笑を浮かべた。

 

「愚か者ども……お前たちのような存在が、この力を理解することはない。この力の真の支配者が誰なのか、お前たちは何も知らない」

 

 フムタンはその言葉に一瞬不安を覚えた。

 

「真の支配者……? どういうことだ、アーカス!」

「フフフ……」

 

 アーカスは冷たく笑い、闇の魔力を全身に纏わせる。

 

「私がエルフェンリートのリーダーであることは事実だ。だが……この計画を操っている者が別にいるとしたらどうだ?」

 

 その言葉にフムタンたちは動揺した。

 

「操っている者……一体誰が……?」

「お前たちの知るべきことではない。私の役目はここでお前たちを葬り去ることだけだ」

 

 アーカスは手をかざし、黒い魔法陣を展開。巨大な闇の波動がフムタンたちに襲いかかってきた。

 

「オルファ・ストラグル、行け!」

 

 フムタンが叫び、紫の炎を纏ったドラゴンがその巨大な翼を広げ、アーカスに向けて猛然と突進する。オルファ・ストラグルの紫の炎がアーカスを包み込むかと思われたが、アーカスはその闇の盾で全てを防ぎ、笑みを浮かべた。

 

「その程度か。私には通用せん!」

「くそっ!」

 

 フムタンは再び攻撃を仕掛けようとしたが、アーカスはすでに次の攻撃を準備していた。闇の波動が地面を裂き、無数の黒い槍がフムタンたちに襲いかかる。

 

「全員、避けろ!」

 

 タルちゃんが叫び、フムタンたちはそれぞれ四方に飛び散った。しかし、黒い槍の攻撃は速く、唐揚げボーイが肩に槍を受け、苦悶の声を上げる。

 

「ぐっ……この野郎……!」

 

 唐揚げボーイは痛みをこらえながら、力強く槍を引き抜き、再び戦闘態勢を整える。

 

「お前たちがいくら足掻こうとも無駄だ。この裂空陣の力は、あるべき支配者の手に渡る運命だ」

 

 アーカスは余裕の表情を崩さない。

 

「その支配者が誰なのか……教えろ!」

 

 フムタンが問い詰めた。

 

「フムタン、そんなことを知ってどうなる。お前にそれを阻止する力があるとでも思うか?」

 

 アーカスは鼻で笑った。

 

「いや……いずれお前も知ることになるだろう。だが、その時お前は自らの無力さを知ることになる」

 

 フムタンはアーカスの言葉に不安を感じながらも、闇に包まれたその瞳を見据えた。

 

「僕は……絶対に諦めない!」

「ふん、ではこの場でその意思を打ち砕いてやる」

 

 アーカスはさらに巨大な闇の魔法陣を作り出し、その中心から漆黒のドラゴンが召喚された。裂空陣の力を借りたその魔物は、アーカスの意思のままに操られ、フムタンたちに襲いかかる。

 

「来るぞ、全員、気をつけろ!」

 

 タルちゃんが叫び、仲間たちは一斉にその黒いドラゴンに立ち向かった。だが、その圧倒的な力に押され、次第に追い詰められていく。

 

「オルファ・ストラグル、もう一度だ!」

 

 フムタンは決意を新たにし、紫のドラゴンを強化させ、漆黒のドラゴンに向かって一気に炎を放った。二つの巨大な力がぶつかり合い、空間が歪む。

 

「いけぇぇぇぇ!」

 

 唐揚げボーイも全力で拳を振り下ろし、漆黒のドラゴンに攻撃を加える。タルちゃんも鋭い剣技を繰り出し、ドラゴンの翼を切り裂いた。

 

 ついに、漆黒のドラゴンが力尽き、地面に崩れ落ちた。

 

「やったか……?」

 

 フムタンが息を整えながら呟いた。

 

 しかし、アーカスは倒れたドラゴンを見下ろし、まるで何事もなかったかのように笑っていた。

 

「私を倒したと思うか? 裂空陣の力を支配しているのは……私ではないのだよ」

「どういうことだ……?」

 

 フムタンは息を飲んだ。

 

「フムタン……お前が知らぬのも無理はない」

 

 アーカスはゆっくりと手を挙げ、その視線をフムタンの背後へ向けた。

 

「真の支配者は……お前のすぐ近くにいる」

 

 その言葉が響いた瞬間、フムタンの心に嫌な予感がよぎった。背後から感じる何か大きな力――そして、その力はすぐに形を成した。

 

「フムタン……よくここまで来たわね」

 

 フムタンは驚愕の表情で振り返った。そこに立っていたのは、彼の母親であり、エルフェンリートの真の支配者、グッドパープだった。彼女の紫色のローブは、裂空陣の光に照らされ、その目には冷たい決意が宿っている。

 

「母さん……どうして……」

 

 フムタンは言葉を失いながらも、その目の前の事実を受け止めようとしていた。

 

「私はこの世界を新たに作り直すために、ここまで来たのよ。さあ、フムタン……あなたの運命を見届ける時が来たわ……あなたがここまで来るとは思っていなかった。でも、もう遅いのよ。裂空陣の力はすでに解放されつつあるわ。世界は再び創り変えられるべき時が来たのよ」

 

 グッドパープの声は静かだったが、その言葉には圧倒的な力が宿っていた。

 

「なぜだ、母さん! なぜエルフェンリートなんかに……!」

 

 フムタンは叫び、母親がエルフェンリートの黒幕として立っていることに、心の中で強い葛藤を覚えていた。

 

「フムタン、あなたには理解できないかもしれないけれど、私はこの世界を救うためにエルフェンリートと共に歩んできたのよ。私が選んだ道は、ただ一つ。世界を創り変えること……それが、私の使命なのよ」

 

 グッドパープの言葉に、フムタンは激しく心が揺れ動いた。

 

「母さん、それが本当に正しい道だと思うのか……? 僕たちが生きるこの世界を、壊してしまうことが……?」

 

 フムタンは問いかけながら、オルファ・ストラグルを召喚し、戦闘の準備を整えた。

 

「あなたにはまだ分からないわ。でも、ここであなたを倒さなければ、私の計画は成し遂げられない」

 

 グッドパープは冷たく笑い、紫の光をまといながら、空中に浮かび上がった。

 

「なら、僕は戦うしかない……!」

 

 フムタンは決意を固め、母親との対決を迎えた。

 

 戦いが始まると同時に、グッドパープは裂空陣の力を操り、強力な紫色の魔法を次々とフムタンたちに放った。その力は圧倒的であり、周囲の空間が歪むほどの魔力が渦巻いている。

 

「フムタン、気をつけて! この力は尋常じゃない!」

 

 タルちゃんが剣を振りかざし、グッドパープの攻撃をかわしながら叫んだ。

 

「僕だって……負けられない!」

 

 フムタンはオルファ・ストラグルの力を全開にし、母親に向かって突撃した。紫の炎がグッドパープに向けて放たれたが、彼女はそれを簡単に受け流し、逆に巨大なエネルギー波で反撃してきた。

 

「その程度では私には届かないわ」

 

 グッドパープは冷静に微笑んでいた。

 

「くそっ……母さん、なんて強いんだ!」

 

 フムタンは焦りを感じながらも、必死に次々と攻撃を繰り出す。

 

「フムタン、私たちもいるわ!」

 

 ウンコチャンが魔法の笛を吹き、グッドパープの動きを一瞬鈍らせると、オチンポロンがすかさず魔法陣を展開し、グッドパープに強力な魔法の一撃を放った。

 

「今だ、フムタン! 攻撃を重ねるんだ!」

 

 タルちゃんが叫び、フムタンはその声に応じてオルファ・ストラグルの力をさらに強化した。

 

「オルファ・ストラグル、もう一度だ!」

 

 紫の炎が再びグッドパープに向けて放たれ、その強烈なエネルギーがついに母親の防御を突破し始めた。

 

「母さん……もうやめてくれ! 僕たちは、この世界を守りたいんだ……!」

 

 フムタンは涙を流しながら、最後の一撃を放った。

 

「そうか……フムタン、お前は……強くなったわね」

 

 グッドパープは一瞬、微笑んだように見えた。そして、彼女の体が紫の光に包まれ、次第に消えていく。

 

「これで……良いのよ。お前が選んだ道が、正しいかどうかは……お前自身で決めなさい……」

 

 その言葉を最後に、グッドパープは完全に消滅した。

 

「母さん……」

 

 フムタンは静かに呟き、涙を流した。しかし、その胸には、彼が守るべき世界の未来が輝いていた。

 

「よくやった、フムタン」

 

 タルちゃんが彼の肩に手を置き、微笑んだ。

 

「これで世界は守られた……けれど、まだやることが残っているわ」

 

 ウンコチャンとオチンポロンも、共に立ち上がり、次なる目的地を見据えていた。

 

「僕たちには、まだ未来がある。これからも、この世界を守るために歩み続けるんだ」

 

 フムタンは決意を新たにし、仲間たちと共に新たな旅立ちを迎えた。

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