『天空の明星』   作:みなつき

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『第二話』

 文化祭二日目を迎えて。

 想のクラスのわたあめ屋さんは盛況だった。

 初日に行った宣伝も功を奏したのか、客入りは昨日より多い。

 そんな中での想の役割は、

 

「トッピングが少なくなってる? 今、買い出しに行ってるから使い切ったら一時的に売り切れの張り紙しておいて。あくまで一時的ってことを強調して」

 

 裏方に回って無線機を使ってオペレーターみたいなことをしていた。

 初日のほうで宣伝や店員含む表向きの業務を一通り行っており、その対価として二日目は裏方で終始できるように調整しておいた。

 幼馴染が来るのがこの二日目だったから最悪丸投げしてもなんとでもなるポジションを確保。

 人によってはそこまでやるのかと言われそうだが、想としてはそこまでやることであった。

 咲希のこと言えないなぁ、と幼馴染の時間を大切にしていることを改めて想は感じる。

 なお、ここで後に丸投げした場合昨日より増えた客入りで残されたクラスメイトが苦労することになるがそれはそれ。

 想による宣伝効果なのもあって余計に性質が悪い。

 

「栗空にお客さん。なんか女の子が四人もいるんだけど」

「あってるあってる」

 

 ちょうどお昼に入る前のタイミングで幼馴染四人がやってきたらしい。

 すぐに出れるようにしておいたので簡単な片付けで出る準備。

 

「は? 女の子が四人?」

「栗空、お前何やった? 詐欺か何かで女の子引っかけたんだろ!」

「ちょっと見たけど本当にいるし、けっこー可愛い子たちなんだけど。栗空爆ぜろ」

 

 クラスメイト男子の怨嗟の声を「しゃらっぷ」と一蹴だけしてそそくさとクラスから出ていく。

 心温まる男子生徒たちの言葉だけで想のクラスでの立ち位置がよく分かる。

 そしてクラスから出たタイミング、想を見つけた咲希が大きく手を振った。

 

「はいはい、目立つからやめてね」

 

 すぐさま想は咲希に近づいてその手を下ろさせる。

 むーっと膨らむ咲希の頭を代わりといった感じでポンポンと撫でた。

 

「それのほうがよっぽど目立つと思うけど」

 

 皮肉気味の志歩の言葉で想は手を離す。

 

「割と悪い癖だよなー……」

 

 改めると幼馴染とはいえ女子の頭を撫でるのはあまりよろしくない。

 だが、

 

「えー、ソウなら別にいいよ」

「私も想くんだったら問題ないかな」

 

 咲希と穂波は問題ないといった風情で擁護してくれる。

 

「まぁ場所と時間を選んでくれるなら」

「もしかして私だけアウェー?」

 

 一歌もあまり気にしてない様子で志歩が渋い顔をした。

 

「えー、しほちゃん嫌だったの?」

「……嫌、じゃないけど」

「だったら問題ないよね!」

 

 咲希が押し切って、そのまま志歩が黙ってしまう。

 

「嫌じゃなかったってのは意外ー」

 

 幼馴染相手に頭を撫でるのは想の癖だが、なんとなく志歩相手には他の三人と比べると控えめだった。

 それが嫌ではないと言われると想としても悪くない気持ち。

 

「言っておくけどお姉ちゃんみたいにむやみやたらにやってきたら怒るから」

「はいはい、分かってるって。それよりそろそろ動くか」

 

 今までのやり取りだけで既に好奇の視線がいくつもクラスの中から注がれていた。

 繁盛しているのが幸いで、忙しさから突撃してくるクラスメイトがいないだけまだマシとする。

 

「それじゃしゅっぱーつ! 色々見て回りたかったんだよね!」

 

 

 

─────

 

 

 

「あ、アタシお兄ちゃんの劇みてみたーい!」

 

 クラスから出る前に買ったわたあめを頬張りながら咲希が提案する。

 

「あー、司の」

「あの人の劇か……」

 

 そんな咲希の提案に想と志歩の反応は芳しくない。

 

「えーと、想くん司さんのクラスは?」

「『2-A』だったけな」

「この『ロミオ ~ザ・バトルロイヤル~』かな?」

 

 穂波の質問に想が答えるとパンフレットを持っていた一歌が演目を探し出してくれた。

 確か想も奇想天外な脚本の案出しを手伝わされていたのでそれで間違っていない。

 

「でも、これ今からじゃ間に合わないかな」

 

 公演時間を見て一歌がうーんと唸る。

 

「結構しっかりめにやるみたいだな。しかも確か司はこの公演終わったら別のところに行くって言ってた」

「えー、じゃあお兄ちゃんの劇見れないのー!?」

 

 記憶の引き出しを手繰る想に咲希は残念そうな声をあげた。

 

「まぁ、待て。司のクラスの出し物じゃないけど、別のところで客演するとも言ってたから」

 

 客演と言っても目立つ司だ、確かそれなりにいい役を貰っていたはず。

 演目は、

 

「『三銃士 ~ファンタジーな仲間とともに~』」

「うん、さっきのよりそっちのほうがいい」

 

 『ロミオ ~ザ・バトルロイヤル~』のタイトルを聞いた瞬間頭が痛そうな表情をしていた志歩は想の口にしたタイトルのほうへ食いついた。

 

「うーん、お兄ちゃんが主役じゃないのは残念だけどしょうがないか」

「あのスターのことだ。主役じゃなくっても存在感は十分だろ」

「そうだね。じゃあ先に違うところ見て回っておこう!」

 

 おー、と拳を突き出す咲希。

 そんな咲希の様子を見て想が肩を竦めていると、咲希が振り向いて想のほうをじーっと見つめる。

 

「なに?」

「いや、ソウはアレ着ないのかなぁって」

 

 咲希がアレと指したのは学園祭の期間に着ているTシャツ。

 いわゆるクラスTなんかと言われたりする代物。

 今の想の格好はラフなワイシャツ姿だ。

 

「今日はお前たちと学祭を回る予定だったから着てない」

「えーっ、つまらなーい!」

 

 文句を言う咲希に穂波がどうどうと宥めている。

 

「昨日は着てたんですけどねぇ」

「昨日着てた辺り相変わらず妙なところ律儀だよね、想は」

 

 そんな風に言って一歌が苦笑を浮かべた。

 

「着ているものと言えば、私たちはなんで制服指定だったわけ?」

 

 半目の志歩からは自分たちは不自由なことに対する抗議も含まれている気がする。

 とはいえ、四人に制服で来てもらったのにはちゃんと理由があった。

 

「だって制服なら宮女ってすぐに分かるでしょ」

「確かにそうだけど、それが?」

「そっちに関してはおいおいね」

 

 説明になってない、と志歩からの抗議の目線が強くなるが想は素知らぬ顔。

 

「まぁ想くんのことだから必要なことなんだと思うけど……」

「必要と言うか、皆が宮女って一目で分かった方が色々な都合をつけやすかったんだよねぇ」

「ソウってばもったいぶるんだからー」

 

 穂波はとりあえず納得したようではあるが、咲希が更に不満を露わにする。

 一歌は穂波と同じように想のことだからと半ば諦めながら納得している側で、志歩は先ほどからずっと抗議の視線を向けたまま。

 反応がちょうど割れる形になっているが、咲希も志歩も本気で不満に思っているわけではない。

 想自身説明不足ではあるかとも少し思っているが、これに関しては説明するより『その時』がきたほうが分かりやすい。

 別に何か悪いことが起きるわけでもないのだから。

 

「ま、あまりこの話で時間使ってもしょうがないし、色々回りたいんだろ?」

「もー、しょうがないなー」

 

 咲希は頬を膨らませながらも先頭を切って歩き出した。

 

 

 

「うー、劇よかったー」

 

 司が客演する劇を観終わると、咲希はわずかに涙をにじませてパンフレットを握りしめていた。

 

「トンデモなところはあったけど結構しっかりしてたかな」

「あそこでああなるとは思わなかった」

「元の『三銃士』とは全然違うけど面白かったね」

 

 志歩、一歌、穂波も各々感想を述べており、学生の劇としては中々の出来であったことがうかがえる。

 

「そう言えばお兄ちゃんはどこだろー」

「なんかさっき大きな音聞こえたし、どっかに行ったのかも──」

 

 司の行方について想が口にしたタイミングで、ふと見覚えのある人物が目に入った。

 同じ学校の学生なのに学校にいるのが珍しい相手。

 

「ちょっと知り合い見つけたから話してくる」

 

 そう言い残して四人から離れて想はその人物に声をかける。

 

「瑞希」

「あ、想だ。どう、文化祭満喫してる?」

 

 髪をサイドで結ったその人物──暁山瑞希はにっと笑って反応して見せる。

 

「そっちこそ文化祭だからって学校に来るタマじゃないだろ」

「いやーボクだってこういう時に顔見せるくらいはするって」

「さいで」

 

 イマイチ信用ならない瑞希の言葉に想は投げやりに返事をした。

 こういう時は口を割らないと分かっているし、あえて訊くような内容でもないので軽くスルーする。

 

「……想はクラスT? 着てないんだね」

「本日は閉店営業でね」

「なにそれー」

「まぁ他の学校のやつと文化祭回る約束だったからな。昨日で今日の分も着ておいた」

「わーけっこうずるーい」

 

 そういうと瑞希はけらけらと笑った。

 そして、ひょいっと想が来た方向を覗き込む。

 

「もしかしてあっちの女の子たち? わー、想ってばモテモテー」

「前に話した幼馴染だよ」

 

 目敏く幼馴染四人の姿を見つけた瑞希の言葉に想は肩を竦めた。

 これだけ言えば瑞希相手なら余計な勘繰りはしないだろう。

 

「それより何か探してるみたいだったけど」

 

 さらりと話題転換して先ほどの瑞希の様子を訊ねる。

 想が見かけた時はキョロキョロと辺りを見回すようにして何かを探しているようだった。

 

「あ、そうだ。司先輩って知ってる?」

「嫌になるくらいには昔から知ってる。この学校じゃけっこー有名人」

「やっぱり? 色んな人から目撃情報だけは出てくるんだよねぇ」

「それでなんでその司先輩を探してるの?」

 

 確か瑞希と司に接点は無かったはずと想は首をひねる。

 もっとも瑞希の場合学校に滅多に来ないせいで校内での友人知人関係自体限られるのだが。

 

「あー、それはたまたま一緒に司先輩の劇を観た子がどうしても先輩に感想を伝えたいんだって」

「そんな奇特なやつが──いや、いるか……」

 

 どういう縁で一緒に劇を観ることになったかは分からないが想の思い浮かべた人物は一人。

 少なくともそんな奇特な人物がこの神山高校に複数人いるとも思えない。

 

「冬弥か……」

「あれ、想も知り合いなの? いやぁ世界は狭いねぇ」

「本当にね」

 

 そんな奇縁に感心したところで想は眉をひそめる。

 

「手伝ってあげられるなら、手伝ってやりたいが……」

 

 ちらりと後ろの方に視線を向ける。

 そこでは幼馴染四人が訝し気に想と瑞希の様子を伺っていた。

 

「いや、大丈夫大丈夫。想はそっちを大事にしてあげなよ」

「悪いな。まぁ司のことだ、バッタリ出くわすこともあるだろうから見かけたら伝えておくし、そっちにも連絡まわす」

「十分だよ。むしろ悪かったね、ボクなんかに時間使ってもらっちゃって」

 

 そう言って瑞希はへらりと笑って見せる。

 想は心の中で嘆息し、

 

「お互い腐れ縁だ、多少の融通は利かせるさ」

「わー、想ってばやさしー」

 

 揶揄い口調で手を口に当てて瑞希はにやにやする、

 

「うん、でもありがと。ただ今はボクより優先する子たちがいるでしょ」

「わかってるよ、それじゃまたな」

「またねー」

 

 最後には背中を押されるようにして想は瑞希と別れた。

 そうして四人の幼馴染のもとへ戻る。

 

「どうやら司を探してたみたい。だからこっちで見かけたら連絡するって感じ」

 

 ざっくりと話し込んでいた事情を説明すると四人ともすぐに納得した。

 

「さっきの人お兄ちゃんの知り合いなんだ?」

「直接の知り合いってわけじゃない感じだけど、一緒に劇を観ていたやつが司に感想伝えたいのを手伝ってるんだって」

「優しい人なんだね」

 

 穂波のその言葉に想はどこかこしょぐったくなる。

 果たして瑞希を優しいと形容していいのかは分からないが、

 

「まぁいいやつなのは確かだよ」

 

 

 

─────

 

 

 

 瑞希と会った後に文化祭をまた軽く回ったがあっという間に後夜祭に出るために準備をする時間になった。

 そうして五人で準備に向かった先に、

 

「お前たちもこの後夜祭ライブに出るんだな!」

 瑞希と話していた件の人物、天馬司がそこにいた。

 

「お兄ちゃんもライブに出るの?」

「ああ、勿論だとも! このスターの勇姿、皆に見せつけなくてどうする!!」

 

 きゃっきゃと仲睦まじい兄妹の様子を見ながら想は頭を押さえる。

 何が悪いというわけではないのだが、想も文化祭を回る最中に軽く探していたので徒労感が勝った。

 

「そう言えば司、冬弥が探していたぞ」

「ぬ、そうなのか!?」

 

 直接冬弥には会ってはいないが、瑞希経由の情報を伝える。

 

「ああ、そうだ。司、受け付けは済ませたか?」

「いや、まだだが……」

「なら俺が代わりにやっておくよ。その間に冬弥に会ってきたらいい、それくらいの時間はあるだろ」

 

 努めてにこやかに想は司の肩に手を置く。

 いい笑顔の想に志歩が思いっきり眉を顰め、一歌と穂波が苦笑していた。

 

「いいのか? ……いや、感謝する。冬弥が探しているというのなら時間を無駄にするわけにはいかないからな!」

 

 待ってろ、冬弥! と大声を上げながら司は駆けていく。

 残されたのは『Leo/need』の五人。

 

「嵐みたいだったね……」

「勢いすごかったよね……」

 

 一歌と穂波は司の怒涛の勢いに押されていて、

 

「それで、想は何企んでるの?」

「あ、やっぱりお兄ちゃんの代わりに受付するのって何かわるいこと考えてるんだー」

 

 志歩と咲希は想のほうをじっと見ていた。

 先ほど貼り付けていた笑顔は解いて、想は素の仏頂面に戻っている。

 

「べつにー、悪いことってほどのことは考えてないって」

「うさんくさい」

 

 想の言葉を志歩は切って捨てる。

「実際そこまで大したことは考えてないって、ただまぁ『ちょうどよかった』ってだけ」

「ちょうどよかった……?」

「皆は気にしなくて大丈夫。それより準備しておいて、俺は受付とかその他色々やってくるから」

 

 咲希が首を傾げたが、そこは意に介さず想は四人を残してその場を離れる。

 

「ちょっと案内!」

「すぐそこの控え室に入って実行委員の人に俺の名前伝えれば懇切丁寧に手伝ってくれるから」

 

「ソウの名前を出せばって……」

「もう根回し済みってわけ」

「想は抜かりないね」

「これで想くん悪いこと考えてないってのは無理があるかな……」

 

 

 

 『Leo/need』と司の後夜祭ライブ参加への受付を済ませて想は一息つく。

 多少手こずったが最終的には想の思惑通り事が進んだ。

 別段無茶な要求をしたわけでもなく、学校側に利がある展開にもなるので実行委員会の首を縦に振らせるのはそこまで時間はかからなかった。

 実行委員長まで出てきたのは予想外ではあったが、むしろ彼が出てきたおかげで話がスムーズに進んだところもある。

 閑話休題。

 このまま幼馴染と合流してライブの準備をしようと思って、ふととある人物が脳裏に浮かんだ。

 もし学校に残ってるならあの場所にいるだろうと見当つけて、想は歩き出す。

 そうして向かった先の途中に、

 

「あれ、想じゃん」

 

 白石杏が率いる一団があった。

 彰人、冬弥に加え司と寧々がいる五人の集団。

 

「ずいぶんと珍しい集まりなことで」

 

 一種の色物集団に想は半目になった。

 

「瑞希探しててね。冬弥がお礼言いたいって」

「なるほど。そっちは?」

 

 そう言って想は司のほうを見やる。

 

「うむ、冬弥と会った後にライブの相談のために類を探そうとしていたのだ!」

「そうしたら私も捕まって……」

 

 声の大きい司に寧々がげんなりとした表情を浮かべている。

 この色物集団にいて気疲れしたのだろう。

 

「神代先輩だったら瑞希と一緒にいるんじゃないかって」

「それで一緒に探す羽目になったわけだ」

 

 はぁ、と大仰な溜息を吐く彰人。

 どうやらこの集団に気疲れしていたのは寧々だけではないようだ。

 

「想。司先輩に俺のことを伝えてくれたんだな、助かった」

「功労者は瑞希だよ、あいつから話聞いてなければ司に話伝わんなかったし」

「ああ、改めてお礼を言わないといけないな」

 

 わざわざ想にもお礼を言うあたり冬弥は相変わらず律儀だと想は苦笑する。

 

「まぁ二人を探してるんだったら多分目的地は一緒だから俺も一緒に行くよ」

 

 と言ってもその目的地はそこまで離れていない。

 司を筆頭に賑やかな一団とともに目的地の扉を開く。

 吹きさらしのその場所にはお目当ての二つの影。

 屋上に暁山瑞希と神代類の姿があった。

 

「瑞希、探したよ!」

「やっと見つけたぞ、類!」

 

 杏と司を筆頭にみんなが瑞希と類に駆け寄り輪を作る。

 その様子を想は俯瞰で眺め。

 ああ、悪くないな。なんて思う。

 そこまで特別な想いがあったわけではない。

 それでも瑞希と類に関しては想も少しだけ、ほんの少しだけど気にかけていた。

 そんな二人が囲まれて思い思いの言葉を投げかけられ、談笑する。

 そんな様子を見て、「よかった」と思うことくらい許されていいだろう。

 

「想ー、何離れたところでにやにやしてるのさー」

 

 目敏く想を見つけたの瑞希が揶揄いを含みながら声をかけてきた。

 輪から離れた想を気遣ってか、騒がしい輪の中に引き込みたかったのか。

 どちらでもいいか、と想は苦笑する。

 

「そりゃ面白い見世物があったら笑いたくもなるだろ」

「ひどーい、ボクたち見世物じゃないんだけど」

「まったくだ。人を見世物にするなら想くん自身が見世物になる覚悟があるということだろうね?」

 

 瑞希の抗議に類も乗っかって想を批難する。

 だが、「見世物になる」か。

 言い換えるならばこれからそうなるのだ。こんなことを口にしたら志歩はカンカンに怒るだろうし、皆にも失礼かもしれない。

 だが、今この瞬間はあえてそれを肯定しよう。

 

「いいよ、ちょうどいい機会だ。とっておき、みんなに見せてあげるよ」

 

 そんな笑みを含んだ挑発を想は投げかけた。

 これから起こす、「とっておき」。

 それはまだ小さな一歩だけど。確かな一歩になるということを。

 この後夜祭で見せつけてやるとしよう。




元イベントと絡めた部分が比較的多めの二話。
司のショー関係が一番悩んだ気がします。
全三話と言っていた通り次回で終わりになります。まとまった後書きはその時に。
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