主を失った狼、透き通る世界に行き着く   作:けんどーさん

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教室、会話。手紙

〜トリニティ、教室〜

 

「…………」

 

金属製の何かをいじるような物音と共に狼は目を覚ます

 

「………?」「…ああ、目は覚めた?」「…白洲殿」

 

狼が寝ていた座席の近くでアズサが銃の整備をしていた

 

「今日の試験は2時には終わるし、終わった後は放課後と同じように過ごして良いと聞いた。先生は仕事の関係もあるから側にいて欲しいと言われて、そうすることにしたんだ」「…そうか」

 

 

ふと、アズサが整備している銃に目を向けると、そこにはシャドウファング(魔改造しすぎた銃)があった

 

「…白洲殿」「ん?…ああ、すまない。先生から狼の銃の手入れを手伝ってあげて欲しいとは言われていてな。なかなか起きないから勝手にやっていた」

 

「…構わん」「しかし、この銃は面白いな。特注品なのかわからないが、ウィンチェスターなのに銃弾は7.62×54mm、おまけに専用弾。普通のものと違いショートバレルにストックを切り落としてる。見た目だけならほぼショットガンの方。そして服に隠れて見えないが義手にも銃があると聞いてびっくりだ」「……ああ」

 

狼が袖をまくり、忍び義手に仕込んである仕込み銃を見せる

 

 

「銃弾は何を?」「…火花が飛ぶ物を」「…ドラゴンブレス、てことは散弾銃か。目眩しや建物に火をつけるには役立つけど、普段使いは厳しくないか?」

 

「……ああ」「それに、二丁も持っていても使い道はあるのか?」「……分からぬ」

 

正直、狼は仕込み銃の方は持て余していた。ドラゴンブレスも買ったはいいがあまりに余っている。仏の懐は広いが正直仏も困ってるだろう

 

「……なんとか使えぬものか…」「ドラゴンブレスはマグネシウムが入ってると聞く。こけおどしぐらいには使える気がするが…」

 

「…こけおどし……!」

 

狼に電流走る

 

「……白洲殿、良いことを考えついた。感謝する」「…?そうか?なら良いんだけど」

 

ちょうどアズサが整備を終えたシャドウファングを狼に返す

 

 

「コッキングに使うレバーのところがガタついていたのを直しておいた。もし他に何かあったら聞いてくれ」「……ああ」

 

「…白洲殿は、銃の扱いに長けているが…」「…あ、ああ…小さい時から鍛えられてきたからな」

 

「……俺の知っていた銃は…火縄銃ぐらいだ」「…火縄銃?たしか…歴史ででてきたあの?」「…ああ」

 

「…だが、面妖なものだ…撃たれれば、人は死ぬ。しかし…ここはせいぜい痣程度で済む」「…それがどうしても変だって?」

 

「……俺は、恐れているのやもしれぬ」「…恐れているって?」

 

 

「………いつか…俺や…先生殿。その命を狙う生徒が現れる時だろう」

 

 

 

 

「…その時は、俺は…殺すのか、否か…分からんのだ」「………」

 

 

答えはなく、沈黙だけが答えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぐうぅ〜〜

 

「「………」」

 

二重に音が鳴り響く

 

 

「…間食にするか。時間も夕食まではまだまだある」

 

アズサがゴソゴソ…とバックを漁る

 

 

「あった。ほら」「…これは」

 

アズサが見つけたものを狼に投げ、掴む

 

黄色い四角の箱アルファベットで書かれている文字…狼には読めなかった

 

「カロリーメ⚪︎トだ」「…カロリー⚪︎イト?」

 

 

アズサが箱を開けて中にある包装を破いて中身を見せる

 

「栄養満点、持ち運びもよし、味もよし。非の打ち所がない携帯食料。買い込んで持ち運んでる」「…ほう」

 

狼が真似て箱を開けて放送を破き、食べる

 

「…うまい」「だろ?」

 

その後、2人でもぐもぐしていると教室のドアが開く

 

 

“…2人とも何食べてるの?”「「……」」*1

 

3人で仲良く食べた

 

 

 

 

 

 

3人でしばらくモグモグしたあと、狼が口を開く

 

「…先生殿、試験の結果は…」”それは…明日にならないと分からないな”

 

「………」「…そうか」”みんな勉強していたんだ。きっと大丈夫さ”

 

狼が食べ終えたカロリー⚪︎イトの箱を潰し一時的にポケットに入れようとした時、ふと何かが入っていることに気づく

 

「………」

 

2人に気づかれないようポケットの中を覗き見ると、入ってるのは黒く薄い、なんらかの紙

 

狼はアズサが整備してくれたシャドウファングをホルスターに入れ、喋る

 

「…先生殿、前々から訪れてみたい場所がある…」”ん?いいよ。今日は急ぎの仕事も無いし、気をつけてね”

 

「かたじけない」「狼、念の為これを持っていくといい。逃げる時に役立つ」

 

アズサから手榴弾を3つ受け取る

 

「…感謝する」”それじゃ、気をつけてね”

 

狼は窓をガラ、と開ける

 

「……狼、ドアはあっちだ。それは…窓だぞ…?」”…ちょっと待ってここ3階d”

 

「…………」

 

狼は窓から飛び、鉤縄を飛ばそうとし…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

服の袖が邪魔で出なかった

 

 

「!?!?」

 

ドスン!と着地するがそこは狼、びっくりしつつも無傷で着地。すぐに袖を捲り鉤縄を飛ばす

 

 

ひゅぱり

 

 

 

 

 

“……3階から落ちてるのにピンピンしてる…怖…”「…すごいな。あれだけ早いと並大抵の人じゃ当てる事すらできないだろう」

 

”………”

 

 

特に、なにかあるわけでは無いはず。なのに

 

 

なぜか、胸騒ぎがする先生であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜トリニティ、郊外〜

 

手紙には、[トリニティの郊外にある⚪︎⚪︎⚪︎ビル、灯りがついている部屋でお待ちしています]と書かれていた。簡単な地図と住所も書かれていた

 

 

 

ヒュパリ、ヒュパリと鉤縄を飛ばし、道ゆく生徒に尋ね周ること数十分。ようやく手紙に書かれていたビルに到着する

 

「………」

 

御霊降ろし、月隠を使い、身を隠す

 

久々に使うな…などと考えつつ、。壁を蹴ってのぼり、でっぱりを掴み移動。そして唯一灯りがついている部屋の窓から中を覗き見る

 

「……」

 

誰もいないことを確認し、開いている窓から中へ入る

 

「………」

 

ここまで、物音なし。奇妙だ。普通であれば何かしらの音が聞こえ始めてもおかしくない

 

警戒しつつ、しゃがみ、音を殺しながら進む

 

そして徐に開いているドアの中へ入ると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………貴様」「クックック…お久しぶりですね」

 

黒服がいた

 

それを見て狼は不死斬りを抜く

 

「…クックック…その妖刀をしまってください」「断る」

 

狼の額に冷や汗が流れる。不死斬りで切った傷は桜竜の肌すら切り裂く

 

神ですら傷つける不死斬りで腕を落としたはずだ。しかし()()()()()()()()()()()()()

 

緊張が高まるなか、黒服が声をあげる

 

 

「…落ち着いてください、今回は簡単な忠告をしに来ただけですから」「……」

 

狼は不死斬りを納刀した

 

 

「クックック…ありがとうございます」「………なぜ、俺を」

 

「この話は、今先生にするものではないからです」「……目的はなんだ」

 

「先程申し上げたでしょう。ただ忠告に来ただけです」「……」

 

「まず、今も使っているようですが……御霊降ろしは今後余程の事態を除き使わないでください」「……何故」

 

 

「それは申し上げる訳にはいきませんが……あえて言うなら御霊は降りる存在を選ばない……とでも」「……」

 

「つぎに、あなたはこの世界に来てから何回死亡し、何回蘇生したか、覚えていますか?」「………」

 

「ええ、覚えていないでしょう。私とて食べた米粒の数はわかりませんからね。これも直接的には言えませんが次は無いと思ってください。私にまで被害が及ぶ可能性がありますし、こればっかりは私もどうしようもできないので」「…………」

 

「最後に、あなた自身が何かしらの違和感を感じた時です」「……?」

 

「最後は……こればかりは私自身も解明途中なので詳しくはわかりません。しかし……その違和感は絶対に()()してください」「……違和感、とは」

 

 

「つまるところ……あなた自身の変化、とでも言いましょうか」「……どういうことだ」

 

「これも、詳しくは言えませんし、私自身もあまり解明できてないことです。しかしもし私の仮説があっていれば、あなたは……」

 

「……おっと、危うく口走るところでした」「……」

 

 

 

「……聞きたいことがある」「……なんでしょうか。先に言わせてもらいますが忠告の内容は詳しくは言えませんよ」

 

「……この「傘」は……お前がやったのか?」

 

狼が鳳凰の紫紺傘を見せる

 

「ああ……それは確かに私が変えました。安心してください。ただこの世界に来た本当の()()()()を排除しただけです。あれは混じれば二度と取り除けないものですから」「……」

 

「勝手に取り替えたことは謝罪しますが、その分見合った性能にはしていますよ。少なくとももう怨霊に怯える必要もないでしょう」「……」

 

首無しを思い出し、身震いする

 

 

「……それに、その傘はどうやら神秘すら弾くようです。あなたの刀だけでは防げぬものすら防ぐ。まさしく鉄壁と言えるでしょう」

 

「……神秘、とは」「そこまで聞きますか?流石にその話題には対価を要求致しますが……」「……」

 

「……」「ええ、その方が懸命な判断です」

 

「……俺自身の変化……とは」「……それに関しては言えません。心当たりがあっても、多少気に止めることがあっても、それ以上踏み込まないでください。これは……あなたのため、とも言えます」

 

「……」「さて、こんなところですね…今私が言った事、決して忘れないように」

 

 

「…なぜだ」「…なぜ、というと?」

 

「…お前が…俺に忠告をするのは…何故だ」「……そうですね、そんなの、私の利益につながるからですよ」

 

「…そうか」「クックック…本来ならこんな役目をするはずがないのですが…人は、厄介な事が発生する前に対策はするものでしょう?」

 

 

「………」「努努、忘れないでください。あなたは「先生のボディーガード」なのですから」

 

 

 

 

「クククッ…では、私はこれで。あの手紙は…まぁ、あなたに処分を任せます。焼却処分してもらう方が、都合は良いのですがね」

 

黒服が席から立ち、コツ…コツ…と歩み、ドアを開ける

 

 

「……ああ、そろそろ鬼仏に手を合わせてみると良いでしょう」「…は?」

 

最後に一言言った後、黒服はドアを閉める

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

追いかけようと狼もドアに近づき、開けるが…

 

 

 

「……………」

 

既に黒服は姿を消していた

*1
無言でカロリー⚪︎イトを差し出すアズサ、頬張る狼




ここまで読んでくれてありがとうございます!

受験が二時試験まで終わったので合格発表まではまた暇ができたのでまた再開します。カロリー⚪︎イトは受験勉強のお供で世話になったし…ほら、あの蛇も食ってたから…ね?なんとなくアズサが持ってても不思議じゃなさそうかなって


夜のトイレこわい様!ストランド5070様!雷雲の死神様!燃え盛る松明様!クロスオーバスキー様!評価9ありがとうございます!

Mr.V様!評価10本当にありがとうございます!受験頑張ります!

では、また…

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