主を失った狼、透き通る世界に行き着く   作:けんどーさん

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赤帽子の少女、鬼仏。結果発表〜〜!

 

 

ひゅぱり、ひゅぱりと鉤縄が飛ぶ音が響く

 

遠くでは銃声が聞こえ、どこかで爆発が起き、生徒が仲良くパフェを食べてたら銃撃戦で台無しになる

 

そんなことが毎日起こる、危険極まりないキヴォトスの上空を狼は跳ぶ

 

そしてようやく見えてきたのは、かつて訪れた場所

 

 

ブラックマーケットだった

 

 

 

〜ブラックマーケット〜

 

とても久々に訪れるが、街並みは狼の知っているものと変わらない

 

人混みの間を縫うように抜けて狼が向かう場所はただ一つ

 

 

「……ここか」

 

外にほっぽり出されている仏像

 

それが目印になっているかのように、ボロボロではあるが店ができていた

 

鬼仏を拝む前に、店に入る

 

「へい!いらっしゃ…ああ!あんた!」「……」

 

赤色の帽子を被った少女が狼に手を振る

 

「久しぶりだな兄ちゃん!そこの仏もぜんっぜん受け取りに来ないから心配したんだ!」「…すまぬ」

 

「まぁいいさ!久々にきたんだ!なんか見ていってくれよ!あれから客足が増えて色々入ってきたんだ!」

 

 

言われるがままに品揃えを見ると確かにかなり増えている。ほとんどが武器と医薬品である

 

 

「…随分と、変わったな」「だろだろ!最近カイザーがやらかしてただろ?その結果いくつかの子会社が倒産したらしくてその会社が保有していた武器とか薬が一気に流れ出てな、ぜ〜んぶ買い集めてこっちで整備、売ってみたらがっぽり稼げたんだ!まぁ奪おうとしてきた奴がいたけど客が追い払ってくれたりしたんだ!」

 

「………」

 

 

狼は薬と聞いて興味が湧いた。今の狼には傷を癒す手段が多くない。瓢箪は湧き出ても丸薬はいづれ底をつく

 

「……傷を癒す薬はあるか」「傷薬が必要なのか?傷は…具体的にいうと?」

 

「……様々だ」「そんな万能な傷薬はないな…」

 

「……そうか」「なんか使えるもんないかな…ちょっと待ってな!」

 

少女が店の奥へと向かう

 

 

「……」

 

そうして待つこと数分

 

「わりい兄ちゃん…流石になかったわ…」「…そうか」

 

パクった医薬品はどれも怪我の手当のものであるが、そのレベルはキヴォトスの生徒に合わせられている

 

つまり、弾丸1発で死ぬ可能性のある狼にあう医薬品はほとんどないわけである

 

「そうだ!銃とか武器のご入用はありやすか?」「うむ…」

 

 

最近銃を変えるか悩んではいるが、ここでは狼に合うものは見つけれるとは思えなかった

 

「兄ちゃんナイフとかいるか?刀使ってるとはいえナイフ的なのはあっても良いとは思うけど」「…ないふ…?」

 

そういえば、手裏剣を後先考えずぶん投げていたが手裏剣車もだいぶ軽くなった

 

そのうち尽きる前に代用品を考えておくのもいいだろう

 

 

そう考えていくつか見せてもらった

 

「まぁナイフっつっても色々あってな、兄ちゃん、どんなのが欲しい?」「……手裏剣の代わりとして使えるものはあるか」

 

「手裏剣?さすがにそういうのは…ないなぁ」「…そうか」

 

 

「…てかなんで必要なんだ?」「…残りが心許ない。いづれ尽きる」

 

「……投げた奴回収してないの?」「………回収?」

 

「いや、ほら使った奴拾ってないの?使い捨て?」「…………」

 

 

……全くその考えを持っていなかった狼であった

 

「………そうか…拾う、か…」「え、もしかして全く考えてなかったの?

 

「………ああ」「…あら…ま、まぁこれから気をつければ…なんか投げナイフとかあったら集めとくわ」「…すまぬ」

 

「そいや…あの仏様はどうすんだ?とりあえずずっと置きっぱなしにしてるけどいつまで経っても取りに来ないからどうするか困ってたんだぜ」「…今は持ってゆけぬ…故に、あのまま置いておけ…」「あいよ」

 

 

最後に「あ、これなら役にたつんじゃねえか?」と渡された手榴弾や閃光手榴弾を購入して店を出る

 

「兄ちゃん!また来てくれよ!」「…ああ」

 

店を出てすぐそこにある鬼仏を見て狼は考える

 

「……どうするべきか」

 

そもそも鬼仏は持ち運べるのだろうか。いや、大きさを見るにおそらく無理だろう

 

持ち運ぶにはデカく、重いだろう。もし襲われでもすれば抵抗すらできないだろう

 

少女にはまだ持っていけないと伝えてはいるが、やはり悩ましい

 

 

「………」

 

ただ、ふと思ったこと

最後に拝んだのはいつだろうか

 

「………」

 

自然な動作で手を合わせて、拝む

 

 

「………」

 

 

「…………」

 

「………」

 

ふと、目を開ける

 

「………」

 

特に何も起こらなかった

 

 

「……………」

 

 

 

結局、もちあげることもかなわず、その日は帰ることにした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狼は気づかなかった

 

すぐそこに、青く煌めく物が落ちていることに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜翌日〜

 

 

“結果発表〜!”

 

「わ、わ〜い!」「…ふん」「…わざわざそのような言い方を…?」「ふふふふ、さて、どうなってるでしょう〜」

 

 

「………」”じゃあまずヒフミ!なんと、72点!”

 

「よ、よかった〜!あ、合格点数は60点以上です!基礎の基礎のテストなのでおそらく皆様問題ないかと思いますが…」

 

“次!アズサ!32点!”「…はいぃっ!?」「…紙一重だったか…」

 

「……確か…紙一重とは…紙一枚ほどの違い………紙一重か…?」「そーですよ!結構たりてないです!」

 

 

“次!コハル!11点」”「!?」「コハルちゃんんんんんっ!?ち、力を隠してたんじゃないんですかああ!?今回はちゃんと1年生用の試験を受けたんですよね!?ま、まさかまた2年生用の・・・・・いえその点数、3年生用の試験を受けたんですか!?」「やっ、その…すごい難しかった…」

 

「すごい基礎の基礎で簡単でしたよ!小テストレベルですよ!」「…あらあら…」

 

「うう…合格はハナコちゃんと私だけ…ということでしょうか…となると二次試験、もとい合宿g”ハナコ!2点!”

 

「2点!?!?!?!?!?」「………馬鹿な…」

 

「2点、2点ですか!?20点ではなく!?いえ、20点でもダメなのですが・・・・!むしろ何が正解だったんですか!?と言いますか待ってください、ハナコちゃんものすごく勉強ができる感じでしたよね!?」「確かに私、そういう雰囲気あるみたいですね。まぁ成績は別なのですが」

 

「雰囲気だけだったんですか!?!?」「……」

 

 

 

「あううぅ……」

 

ヒフミは目の前が真っ暗になった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どさっ、と地面に倒れ込む前に狼がヒフミを支え、寝かせる

 

“ヒフミ!?しっかり…!”

 

「………先生殿…俺は…」”あ、狼の点数?んんっ、結果!50点!”

 

「………つまるところ…」”半分正解!全然できてる!”

 

「ゑ……嘘…私…1から始めた大人に…負けた…?」「あらあら、狼さんは記憶力がとてもいいみたいですね〜」

 

「……くっ、次は負けない」”ヒフミ保健室に連れてくね、とりあえず今日は解散!みんな家に帰って休んで!”

 

「はい、お疲れ様でした」「……」*1「……帰ったら訓練だな」

 

 

 

 

先生の鶴の一声で3人は教室からでて、先生と狼はヒフミを抱えて保健室向かう

 

 

「………」”…狼、どうしたの?”

 

なんとなく、先生は声をかける

 

「……?」”あ、なんでもない?なんか浮かない顔してたからさ”

 

「…………気にするな」”あ、保健室見えてきた、すみませ〜ん!”

 

 

その後、ヒフミを預けて資料を整えているとあっという間に日は暮れた時、ふと連絡が入る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“「今日の夜、ティーパーティーテラスでお待ちしています」…ちょうどいい、話したいこともある”「………」

 

そうして向かうことになった

 

なぜか、拭いきれぬ不安が、狼を襲う中、入室する

 

 

 

 

 

 

 

「…あら、先生、狼さん。お疲れ様です」”ああ、お疲れ様。ナギサ”「………」

 

 

 

「……補修授業部のことは聞いています。まだチャンスはあるので……ああ、気になりますか?」

 

“…ああ、チェスはやったことあるけど…その形は初めて見たんだ”「……これは…ちぇす、というのか」

 

「…ええ、黒はキングとクイーン、あとはボーンのみ。白はキング、ルーク、ビショップ、ナイトが3〜4ずつ…あまり見ない形でしょう」

 

“1人でこれを?”「はい。今はうるさいミカさんもいませんし」”…まぁ、いいや。とりあえず今すぐ聞きたいことがあるんだけど”

 

「……はい、なんでしょう」”3回、補修授業部が不合格をとったら、あの4人はどうなる”

 

 

 

 

「……」

 

ナギサは沈黙する

 

“………”「……小耳に挟まれたのでしょうか。出処は…ヒフミさんですかね?彼女はそういうところがありますから…まぁそれが、ヒフミさんの良いところでもありますが」

 

「…お答えしますと簡単なお話です。試験で不合格を繰り返す。落第を逃れられそうにない。そして助け合うこともできない。だとすれば、皆さん一緒に退学していただくしかありません」”…退学!?”

 

「……退学…流刑に処す、と言うのか…」「……流刑、と言うのは些かあまりよろしくないのですが…まぁそのようなものです。本来ここトリニティにも落第、停学、退学に関する拘束は存在しますが、手続きが長く面倒でたくさんの確認と議論が必要です。ゲヘナと違って我々は手続きを重要視していますので」

 

「………」「ですが、今回急造された補修授業部は、そのような校則を無視できるようになっています」”…シャーレの法外的なほどの権限を利用したのか”

 

「……ええ、そもそも補習授業部は…生徒を退学させるために作ったものですから」「……は?」”………え?”

 

「……何故…そのようなことを」「………あの中に、いるのです」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……トリニティの、裏切り者が」

 

 

裏切り者

 

 

 

その言葉が、狼の頭の中で繰り返される

 

 

まだ、そう決まった訳ではないが

 

 

 

狼の考えていた、最悪の事態が、確実に一歩を踏み出し始めた

 

 

*1
意気消沈したコハル




ここまで読んでくれてありがとうございます!

あかんまだまだ忙しいわダメだこりゃ

なんとか喰らいついていきます。頑張んないと…

荒魂マサカド様!観測者 樹様!誤字報告ありがとうございます!

うみねこkunさん様!評価9ありがとうございます!

次回、お楽しみに

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