主を失った狼、透き通る世界に行き着く   作:けんどーさん

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揺らぐ黒は水面を染める

裏切り者がいる

 

その言葉が、脳内で繰り返される

 

 

「…裏切り者は、エデン条約の締結の阻止を狙っています」「……えでん…じょうやく?」

 

「…どうやら1から説明する必要がありそうですね。エデン条約は…簡単に言いますとトリニティとゲヘナの間に結ばれる不可侵条約です」

 

「その核心はゲヘナとトリニティの中心メンバーが全員出席する、中立的な機構を設立することにあります。[エデン条約機構](Eden Treaty Organization)、通称[ETO]と呼ばれるであろうこの団体が、トリニティとゲヘナの間で発生した紛争に介入、その紛争を解決することになります」

 

 

 

「そうですね…言うなれば呉越同舟、でしょうか。常に揺れ動く不安定な船に一緒に乗ることによる敵対的な平和同盟、と言ったところでしょうか。これにより、2つの学園の間で全面戦争の発生は抑制できるでしょう」

 

“…確かに、それならトリニティとゲヘナの間での全面戦争はなくなる。踏み込み過ぎればお互い共倒れになるから”

 

「………つまり、和平を結ぶと?」”う〜ん…意味は少し違うけど大体そんな感じかな?”

 

 

「……先生、トリニティとゲヘナの長きにわたる敵対関係はお互い、大きな重荷となっています、エデン条約はその無意味な消耗を防ぐための、恐らくは唯一の方法なのです」「……唯一…」

 

「…元は、連邦生徒会長が提示した解決策でしたが、彼女が行方不明になってしまい、一度は空中分解しかけたものを私の元で立ち直したものです。ようやく締結される直前まで来たのに、このタイミングで……妨害しようという裏切り者がいる。その情報を耳にしてしまいました」

 

 

“…裏切り者が誰かわからない。なら容疑者をまとめて一箇所に集めてしまえばいい。それが補修授業部?”「……はい、その通りです。先生には、裏切り者をまとめる…箱の制作にご協力いただきました。いざという時、箱ごとまとめて捨ててしまえるように」

 

 

「………先生……こんな、血生臭いことに巻き込んでしまい、申し訳ございません。私のことは、罵っていただいても構いません」

 

“…そもそもただ利用するだけならこんな話してこないよね?”「……何を…企んでおる」

 

 

「言っても信じてもらえるかな、と思っていましたが、どうやら信じていただけたようですね…よかったです」

 

 

少しだけ、ナギサが安心したかのように息を吐く

 

「……先生、狼さん。お願いがあります」”…お願いって?”「………」

 

 

「……補習授業部に居る裏切者を、探して頂けませんか?」”………”

 

「先生を、トリニティを騙そうとしている者がいます、平和を破壊しようとするテロリストです、私達だけではなく、キヴォトス全体の平和を、自分達の利益と天秤に掛けようとしている者です」

 

「…裏切り者を探し出すことが、キヴォトスの平和に直結します。いかがでしょう、連邦捜査部シャーレとしてご理解いただけますと幸いなのですが…」

 

“………私は、私のやり方でその問題に対処させてもらう”「…先生殿?」

 

狼はこの時、耳を疑った

 

それはまるで、あなたと協力しませんと言っているようなものではないか、と

 

 

「……そうですか、わかりました…ですが先生、ゴミを細かく分別することが難しい場合は箱ごと捨てるのも手段の一つ…そう思いませんか?」

 

“はっはっは、流石にそんなことはできないな、そういうのに厳しい友達がいるんだ、怒られるよ”

 

 

「………それからもう一点、試験は基本的に私たちの手のひらの上にあります。狼さんのテストは違いますが…

 

「…急に範囲が広がる、会場が変更され、難易度があがる。そう言ったことが起きないことを願いますが…」

 

“それは……”「…失礼しました、あまりよくない言い方でしたね…では、引き続き補修授業部をお願いします」

 

 

「…それと、私たちの方から先生方に対して不利益や損害を与えることはありません、と言いたいところですが…」

 

“…そうと言い切れない、と?”「…はい、簡単には約束しかねますね。だからと言って先生方が生徒を放っておくことなどないと思いますが…」

 

 

「…どうか、結末には苦痛が伴わないことを願うだけです」「………」

 

 

楔丸を抜くか、少し迷った狼がいた

 

これは、単純に脅しているではないか。(まつりごと)に疎い狼ですらわかる程だ、先生も理解しているはずだ

 

 

だが、狼はなんとなく、目の前の少女が醸し出す雰囲気…いや、この感覚は…

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、そうだ、すっかり忘れていた

 

 

これは「怯え」だ

 

目の前にいる少女は、堂々と振る舞いはしているがその内心は怯え、恐怖がある

 

今の狼では気づけたことが奇跡とも言えるほど、気付きづらいものだ

 

目の前で仲間が刺し殺されるのを見た時、切り掛かってくる時、強者が、体制を崩し隙を見せる瞬間

 

 

その時、感じるものと同じだった

 

 

 

「…ああ、あと一つ…今回の一次試験は、私たちの方で如何なる操作を行っておりません。この部分については、誓って嘘ではないことをお約束します」”それはそれで教え甲斐があるな…分かった”

 

先生は座っていた座席から立ち上がる

 

 

“…私はもう行くよ。次の合宿に向けて教材を考えないといけないからね”「…先生の行動が、トリニティの利となることを願います」

 

「……先生殿、先に、行ってくだされ」”…?”

 

 

「……後のがっしゅくとやら…聞きたいことがる。備えておかねばならぬゆえ、後に戻る」”そう?分かった。なるべく早く戻ってね”

 

 

そのまま、先生はテラスから出る

 

 

 

「………それで、狼さん。合宿について聞きたい事があるとおっしゃられていましたが…」「……桐藤殿」

 

狼は問う

 

 

「…裏切り者は、あの4人組の中に、おるのか」「……はい、確かにあの補修授業部の中にいるはずです」

 

 

「……それは……家臣、従僕、疑いを向けれる者…皆全て探った後、あの4人になったのか「……はい?」

 

 

「………裏切り者は、他にいないのか」「………」

 

「……そのえでんじょうやくとやら…和睦を結ぶのだろう……それを妨害する裏切り者がいる。しかし……それは何故だ」

 

 

「…それは…裏切り者は…自分の利益のために…」「…なぜ争いを望む。なぜ戦が己の利となる…戦など…碌なものではない」

 

 

「……だが、裏切り者が……目論んでおるのが戦ではなく…また別にある。そう、考えたことはあるか」「…そ、それ…は…」

 

「………桐藤殿。あの4人組の中にいる裏切り者。其奴すら利用し、謀を目論む……未だ知り得ぬ敵が、潜んでおるのではないか」

 

 

「…………そ、それじゃ…う、裏切り者が…まだ他に居ると、言いたいのですか…!」

 

ナギサが、声を震わせ喋る

 

「……知らぬ。ただ…疑いはかけておくべきだろう」「………」

 

「……百合園セイア…だったか。にゅういん……床についてると聞いたが…お主らは特別頑丈だ。銃弾すら受け付けぬ体で、しばらく姿を現せぬほどの怪我……そして、其奴はこのくn……学園の、当主とも呼べる地位についていたのだろう」

 

「……はい、セイアさんは、確かにティーパーティーのホストでした」「……ならば……推測にすぎぬが」

 

 

「……下剋上、ではないか」「…下剋……っ!」

 

その言葉を聞いた瞬間、ナギサは、ただただ恐怖した

 

表向きには入院と言っているが、実際は……

 

「……桐藤殿?」「…………っ、す、すみません。少々考えごとを…」

 

 

「あの4人組……その他に…怪しき者を見つけ次第……探りは、入れておこう。杞憂であれば良いが……」「……お願い、します」

 

「……俺は…そろそろ戻る」「…っ、は、はい…わかりました」

 

 

「……武器は、あるか」「……?な、なぜ武器の所持を…?」

 

「……闇討ちに対抗できるのは…味方を呼ぶその時まで、お主1人だろう…備えておけ」「…………」

 

 

 

そのまま、狼はテラスから出る

 

 

先生殿は、桐藤殿の味方にはならない。そう決められた

 

であれば、1人残された怯えているが、しかし確かに権力を持つ彼女は、何をするだろうか

 

 

「………」

 

そして、裏切り者の他の目的が、もし先生殿の命、あるいは己のもつ呪いであれば……

 

 

「………………」

 

 

狼はそのまま影に消え、去り行くのであった

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれてありがとうございます

まぁ、更新遅れた理由ですが…




受験落ちました!!

チクショーーーーーメ!

はい、そういうことです。まぁ問題ないです。忙しい時期がのびただけです。まだ第二のプランがある…





最近やっと↑使えるようになったんですよねぇ、1年以上経ってようやく気づいた

とりあえず、なるべく次は遅すぎないように投稿したい…

…読者殿、では、また

文字数どんぐらい欲しい?

  • 今の3000くらい
  • 5000は欲しいね
  • 10000書いて♡
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