足音すらなく、狼は走る
狙うは浦和ハナコただ一人
しかし、気になることがある
先ほど、部屋を覗いた時、ベットで寝ていたのはコハル1人のみ
アズサとハナコ、どちらともいなかった
アズサは一体どこへいったのか。それが狼にとってとても気がかりであった
さて、すでに御霊の力は消え、おぼろげに隠れていた姿は見えるようになっていた
それに、ほぼ完全に消えていた足音もすこしづつ聞き取れるほどに戻っていた
故に、気づけなかった
人の気配に
「「!?」」
お互い、気づいたのは曲がり角を曲がってすぐの至近距離
銃を持っているのを確認し、楔丸で斬りつけようとするが近すぎて振れず、相手も近すぎて狙うことがままならなかった
狼はなにか別の武器がないか思考を巡らせる。しかし相手のほうが行動を起こすのが早かった
ドン、と重く、硬い何かが狼の肩を叩く。それと同時に相手がさっと後ろへ下がり、銃口を向ける
「ぐっ!」「動くな、怪しい動きをすれば撃つ」
不利な状況に追い込まれたが、ふと、今聞こえた声に聞き馴染みがあることを思い出す
「…白州殿?」「…もしかして、狼?」
アズサだと確信した狼は楔丸を納刀する。それを見たアズサも銃口を向けるのをやめる
「…夜更けに、何を…?」「…見回りをしていた。いつ侵入者が現れるか分からないからな」
「……俺が、変わろう」「‥?いや、大丈夫だ。私はもう十分に…」「…白州殿。まともに寝たのは、いつだ」
「いや、だから…」「…よい、と言っている。戻って、休め」
「…わかった」「……ああ」
そのまま、アズサは狼が来た道の方へと歩く
…これでいい
「………」
アズサの足音が聞こえなくなった瞬間、手裏剣を投げる
カン!と音を立てて壁に突き刺さり、「ひゃん!?」と声が聞こえる
「……」
狼は楔丸…ではなく、錆び丸を抜く
「……」
そのまま、無言で声が聞こえたほうまで歩む
「…急に刃物を投げつけるなんて、ずいぶんと乱暴ですね。狼さん」「……」
影から出てきたのは、浦和ハナコその人であった
「しかし、こんな夜中に会うなんて、思いもしませんでした」「……」
じり、じりと距離を縮める
「…なにか喋ったらどうですか?」「……」
ハナコが思わず、一歩後ずさる。額には冷や汗が見える
「……」「……狼さん?」
あと、少し。もう少しで捕らえられる。その瞬間
「誰かっ!助けてくだ「動くな」っ!!」
ハナコが逃げようと背を向けた瞬間、錆び丸を首元へ突きつける
「…毒入りの短刀だ。ただではすまぬぞ」「……なにが、目的ですか」
声が、体が、震えているのを必死に隠すハナコ
「…吐け。うつけ者のふりをするのは、なぜだ」「う、うつけ者…?な、なにを、言ってるのか…」
錆び丸の刃を斬らないように首に密着させる
「…吐け」「……言えません」
「…なぜだ」「……」
内心、今にも逃げ出したいのを必死に抑えて話しているのだろう。強がっているが怯えが隠しきれていない
「……」「きゃあ!!?」
錆び丸では脅しにならないと考えた狼はハナコを押し倒し、その上へと跨り
「っ!」「……吐け」
不死斬りを抜き、突きつける
「……ここまでするなんて、逆になぜそんなことを知りたいのかが気になりますね…」「…吐け。何が、目的だ」
「……(あの刀…異質な、なにかおぞましいものを感じますね……あれで斬られたら…)」
「…私が、うつけ…馬鹿なふりをしたのは…もう、疲れたんです」「……何?」
ハナコが、諦めたかのように、言葉を綴る
「……ええ、ここは…嘘と偽りで成り立ってる欺瞞に満ちた空間そのもの…どこへ行こうと、何をしようとおだてられ、賛美の声の裏には利用しようと考える人ばかり。ほとんど監獄にいるのとなんら変わらない……」
「……」「…私、それに疲れたんです。ここにいいれば、少なくとももうそういった類のものと関わることがほぼない…もし、合格してしまえばもうここにはいられない…それに、もし試験で低い点を取り続けても私が落第するだけですみます。そうなればもうあの鬱陶しい政に関わることもない…」
「…これが、理由です。テストにわざと落ちてる理由です」「……」
嘘か、それとも真か
少し、揺さぶるべきだろうか
「…ティーパーティー、その1人を………殺めたのは、なぜだ」「…は?」
「‥‥‥とぼけるな」「……あの、私をなんだと思ってるんです???」
「……」「……冷静に考えてください。逆になんでこんなか弱い少女が、人を殺せると思ったのですか?」
「………お主は…間者では、ないと?」「…はい。私がここにいるのはただ逃げてきただけです。もう、墓場まで持っていく気ではあったんですけどね…こんな形で暴かれるなんて…」
狼は不死斬りを納刀し、ハナコから離れる
「…あら?」「………」
それは、無駄がなく、そして素早く、まるで義父から受け継いだかのように
「…すまぬ」
きれいな土下座であった
「…たったそれだけで許してあげるとでも???」「…すまぬ」
「私、すっごく怖かったんですよ???ほんとに殺されるか、もっと酷いことされると思って…」
「…いかなる罰も、受けよう」「…つまりなんでもするってことですね??」「……ああ」
「……だったら、アレ見せてくだいよ」「……!?」
……まさか、竜胤の、回生のことか
「……」「まさか、できない。なんて言いませんよね?あれだけ怖い目に合わしておきながら?」
「……」
出来れば避けたかったが今の状況は狼自信が起こしたもの
故に、受け入れるしか無かった
楔丸を抜刀し「……あら?」
己の首へと当て、一気に「ちょっと待ってください!」
「……?」「な、なんで自害しようとしてるんですか!?」
「……お主が望んだことだろう」「いえ、私がみたいって言ったのは…その…」
「ああもう!そういえばそういった類の知識は全く無い感じでしたね…」「………?」
「…とりあえず。今日のところはもういいです。でも先生にはこの事を報告させていただきますからね?」
「…すまぬ」「ああ、そういえば…こんなことするぐらいですし、一応話しておきますけど…アズサちゃん、夜な夜なベットから抜け出して見回りをしているようです。ほとんど毎日やってる様子なので変わってあげてください。それだけやってくれれば先生に多めに見てもらうように掛け合っておきます」「…ああ」
「…私はベットに戻ります。少なくとも明日先生に怒られるのは覚悟していたほうがいいでしょうね」「……」
その後、ハナコは部屋へと戻っていった
「……」
狼は一人考え込む。ハナコが裏切り者…もとい間者ではない可能性のほうが高い
ならば残るは白州アズサのみ。しかし今のところ怪しい動きは……
「…夜中の‥見張り?」
誰もいない夜に見回りと言っているがそれが嘘ではないとは限らない
「……」
明日、夜中にまたアズサが見回りをしていた場合、尾行することを決めた狼であった
が
”…狼、正座”「…承知」
翌日の朝、狼は先生からこってり叱られ、反省としてしばらく夜に一人で出るのは禁止とされた。解せぬ*1
ここまで読んでくれてありがとうございます!
ほんとはもうちょっと酷い目に合わせる予定だけど先生がかなりぶち切れそうだから……(元々は流血沙汰にする予定)
荒魂マサカド様!雅やか英雄様!誤字報告ありがとうございます!
では、読者殿。また……
ハナコのセリフに自信が全くないのでもしかしたら後ほど修正するかもしれない……
文字数どんぐらい欲しい?
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今の3000くらい
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5000は欲しいね
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10000書いて♡