「……」
狼は目を覚ました
既に日は登っており、とても眩しさを感じる
そして起き上がろうとしたが、動けない
「…む」
気づけば足も腕も動かせない。拘束されている
「……」
楔丸が寝ているベットのすぐそばに立てかけられていたが、不死斬りは見当たらない
ぞわり、と背筋が凍るようなものをかんじた時
”おはよう”
すぐとなりから声が聞こえた
「…先生殿」
”不死斬りは私が今は預かっておくよ。あれは放置できないからね…”
”いろいろ話したいことも説教もあるけど、とりあえず今は治療が先だ。一旦大人しく治療を受けててくれ”
先生がナースコールを押す
すぐ、ドタドタと足音が聞こえてくる
”…何をしたのかわからないけど、狼。君はひどく衰弱していたんだ。今生きてて、死んでないだけ奇跡だってさ”
病室のドアがスーッと開いて医者が入ってくる
”後はお願いします”
そう言って先生は病室を後にした
病室はふぐ医者や看護師の会話や点滴の交換やらの音で騒がしくなった
その後、信じられないほど体調が回復しているが念のため今日一日は入院するように言われた
ふと、ここはどこだろうかと考えていたその時
またドアがスーッと開く
「…………お主」
入ってきたのは
「……無事か?」
「ツルギ、最初に言う言葉がそれですか?」
剣先ツルギと羽川ハスミの2名だった
「…狼さん、とりあえずご説明いたします」
「…頼む」
ハスミからの説明によると狼が気絶した後先生と補修授業部が到着
ぶっ倒れた狼と血だらけのツルギを介抱し、ツルギから何があったか聞こうとした時狼が呼吸をしていないことが判明
狼とツルギはその後急遽病院へ運び込まれる
先生からの
狼は意識は戻らないもののなんとか容態は回復し、ツルギは持ち前の生命力の高さのおかげで既に全快
そして今先生からの連絡で目を覚ましたと聞き、謝罪に来たとのこと
今回起こった事件は双方の情報伝達不足が原因の一つだとして、ツルギが勘違いして襲ったこと
なにより
「……私は、お前を…1度殺した」
酷く青ざめた顔でツルギが喋る
「…冷静に考えれば来てる服からしてシャーレ所属の人だとわかったはずだ」
「この度は我々、正義実現委員会が多大なるご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げます」
「「申し訳ございませんでした…」」
ツルギとハスミが頭を深く下げる
「…俺は、構わぬ」
狼からすれば、1度ぐらい死んだところでなにも問題はない
「だが……」
「お主に…聞かねばならぬことがある」
「…なんだ?」
「…お主」
「蟲付きではあるまいな」
「…蟲付き、か?」
ツルギが首をかしげる
「…確か、先生から聞きました。不死の一つだと…」
「…喉を貫き、なお死なぬ」
「…強者どもは…一度では死なぬとはいえ」
その傷の塞がる様は蟲付きに等しい
「…不死は…淀みを生む」
「…その蟲…?が淀みを生むと?」
「…言えぬ」
「……一応だが、その蟲…とは?」
「……百足か
「????」
「…なる、ほど。私がその類じゃないかと」
「…ああ」
「…ならば、それは確実にない」
「ええ、ツルギは…その、確かに傷の治りは早いですがそこまでの化物では…」
「ハスミ??」
「……」
蟲がいるかどうかは、切ればわかる
だが…それをするにははらわたを引きずり出すような事をせねばならない
…そのうち分かることか、と今はとりあえず見逃すことにした狼であった
ちなみに
「…何だと」
「美食研究会は今見せたリストの4人だって話だが‥」
まさか昔の恩人が今回の事件を引き起こした犯罪者集団の一員だとは夢にも思わなかった狼であった
狼と関係があるとバレなかったのは不幸中の幸いだろう
いろいろ説明…もとい話を終え、1人病室の中で過ごす
どれほどの間そうしていたのだろうか。ドアがスーッと音もなく開く
狼がふとそちらの方を見た時
カラカラ…となにかが転がってくる
キィイン!!
「ぬおっ!?」
目がくらみ、耳鳴りがする
そうして何者かが入ってくる気配はするが、油断していた狼は閃光をもろに食らったため侵入者が何者かはわからなかった
「…おい、目標が無いぞ」
「何?確かにここにあると情報には…」
「…仕方ない、追加で指示されていた任務をこなせば処罰は軽くなるだろう……拘束されているとは、フラッシュバンが無駄になったな」
そして、狼の視界が何かで塞がれ
「っ!……」
何かが心臓を刺し貫き、血が流れる
「…よりによってそこか?」
「どうせ殺す。それにこの
「…今のは聞かなかったことにしておく。採取は終わったか?」
「はい。これだけあれば十分かと」
「そうか。やれ」
パン、とサイレンサーのついた銃から放たれた銃弾が狼の頭を貫く
「…確か、生き返る…のでしたか?」
「ああ、だからしばらく待て」
……死んだフリでやり過ごすことは出来ない
そう悟った狼は回生する
桜の花びらが散り、淡い光があふれる
「…綺麗だ」
「……」
最後にそうつぶやきが聞こえ、そして
また、頭を銃弾が貫いた
任務完了…さっさと逃げるぞ