主を失った狼、透き通る世界に行き着く   作:けんどーさん

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こんにちは、けんどーです。

今回は襲撃です!

そしてここにご報告をば、実は自分高校生でして、学校があります。勿論勉強もあります。
故に投稿が遅れる場合もああります。どうかよろしくお願いします!

そしてテト·ストラトス様!NAME LESS様!回忌様!評価ありがとうございます!
マグネット様!えりのる様!誤字報告ありがとうございます!

そして感想で一里について教えてくれた方、助かりました、ありがとうございます!

お待たせしました!それでは、本編どうぞ!


赤兜軍、強襲を受ける。

〜カタカタヘルメット団前哨基地へ移動中〜

 

“ぜえ、ぜえ、皆んな待って〜”

 

「ん、皆んな待つべき。先生がダウンしそう」

 

「ちょっと!さっき休憩したばっかじゃない!まだ20kmしか歩いてないわよ!」

 

「まあまあ、セリカちゃん落ち着いて〜。先生はキヴォトスの外から来たんだしさあ。ほら先生、お水だよ」

 

“ゼエ…ゼエ…あ、ありがとう、ホシノ…”

…先生が竜咳にでもなったかの様に苦しい声を出している。まだ歩いて大体6里ぐらいだ。まだあと3里ほど残ってると言うのに、大丈夫だろうか。

 

「先生殿、大事ないか」”うん、大丈夫だよ。狼の方は大丈夫?”

 

「…ああ、大事ない」

 

狼は驚いた。本人が一番辛いだろうに他人に気遣うことができるとは。日の本でもここまで優しい人間は少ないだろう。

 

「狼さんはすごいですね⭐︎先生はもうダウンしてるのに、まだピンピンしてます!」

 

「ん、忍って凄い。あといい加減忍だって認めるべき」「……」

 

その言葉に狼の眉間のシワが濃くなる。それと同時に、ホシノが言い出した。

 

「そうだ、忍の狼さんにお願いがあるんだけど。いいかなあ〜」

 

「…何をすれば、よい」

ホシノがそう言い、皆の視線が狼に集まる。

 

「ヘルメット団の前哨基地にいる見張りや警戒してるやつを倒して来て欲しいんだ〜。奇襲を仕掛けたいけど、多分仕掛ける前に気づかれるかもしれないからね。」

狼は唸る。承知するか、否か。ふと考えると自分は頼み事を断った事がほとんどない。一度断ったものの結局承諾してしまった記憶がある、忍の掟を破ってでも。

ならば今まで通り承諾すれば良いだろう。

 

「…承知した…」

 

狼は義手を動かし、鉤縄をヒュパリと近くの建物の出っ張りにかけ、飛ぶ。

 

「狼さん、ナビゲートします!そのままその方向に進んでください!」

 

「狼さん、気をつけてくださいね〜」 「何それ!自分だけずるい!」

 

そんな会話を聞きながら、はて、見張りをどうやって始末するか、考えながら飛んで行った。

 

「やっぱり、忍って凄い。もう見えなくなった」

 

「狼さんが勘違いして全員倒してしまいそうだねえ〜」

 

「いや流石にそれは無理でしょ、ホシノ先輩」

 

 

 

 

〜狼視点〜

 

ヒュパリヒュパリ、飛んで行った時、妙な建物が見えた。恐らくあれが前哨基地だ。

 

狼は懐から真っ白な短刀を取り出し、己の頬を切る。当然、血が流れ短刀にも血がつくが、

短刀に付いていた血が突然白くなり、形代へと変化した。

 

形代流し。

刃も柄も真白い短刀

 

血を形代に変換する。

本来、この短刀は形代流しに使われる。

 

白い刃で削り出した己の形代を、源の水に流し、竜に奉る儀式だ。

 

刻まれた銘は「奉魂」

 

それがこの小刀の真の名

 

そしてその形代を使い、御霊を降ろす。

御霊降ろし、月隠。

「月隠」を身に降ろす、首無しの遺魂。

 

一時、音と気配を殺し、敵に見つかりにくくする。

 

形代を消費すれば、飴がなくとも何度でも使用できる。

 

首無しは、かつて護国のため、道を踏み外した勇者の成れの果て

 

己がもう狂っている、

 

それを悟り、男は一人、森奥へ消えた

 

これは狼が葦名の底、隠し森において鶏に邪魔をされ落とされた先にいた首無しを祓い入手したものだ。

首無しはとても悍ましい怨霊の類だ。その攻撃は加護がないもので弾いても怖気を感じさせ、

いきなり消えたと思えば尻子玉を抜こうと尻に手を突っ込もうとする恐ろしい怨霊だった。

 

狼は御霊降ろしを使うとき、飴を使い耐えているが、それでもいつかは狂ってしまう。しかし形代を代償に払えば、きっと狂わずに済むはずだ。

 

ヒュパリと狼は高台の出っ張りに鉤縄をかける。そして高台の上にいた賊を後ろから仕込み斧で殴る。

 

「グエ!」と少し間抜けな声を出しながら賊の頭の輪が消え、気絶したのを確認する。

残り3つも同じ様に対処し最後の1人を始末する。

これで見張りは全て切った。そのことを報告する。

「…アヤネ殿。」 「どうしました?狼さん?」 「…高台にいる者は全て始末した。あとは任せる」

 

「了解しました!狼さん。ありがとうございます!みなさん!出番ですよ!」

これで役目は果たした。ヒュパリ、と狼は鉤縄を使い、その場を離れていった。

 

〜ホシノ視点〜

「みんな、おじさんに任せなさい!」

バンバンと愛銃と盾を構えながらヘルメット団を殲滅していた頃、ホシノは考えごとをしていた。

 

(やっぱり、あの狼って大人、怪しい。まず間違いなく人は殺してるはず…1人や2人どころじゃないな、何人も殺してる。まるで快楽殺人鬼のように。先生も、弾薬を届けてくれたと言っても、気をつけないと。また騙そうとしてるかも)

 

小鳥遊ホシノはふと思い出す。砂漠で、自分の先輩が干からびた死体で見つかったあの日を、後悔を。

 

(うちの後輩を、危険に晒すわけにはいかない…いざと言うときは、私が…)

 

そうこう考えているうちに、大きな爆発音が聞こえる。

 

「敵の退却を確認!並びに、カタカタヘルメット団の補給所、アジト、弾薬庫の破壊を確認」

どうやら終わったみたいだ。盾を変形し、しまう。

 

「これでしばらくはおとなしくなるはず」

 

「よーし、作戦終了。みんな、先生、狼さん。お疲れー」

 

「それじゃ、帰ろっか!」

そう声を出し、撤退する。今後のことを考えながら。

 

〜狼視点〜

モグモグと棒状の食べ物を頬張る。見たこともない食べ物だ。先ほど見張りの賊が食べようとしていたものを拝借したものだ。美味そうに食べてるのをみて、狼は我慢できなかった。

 

ここの所飴ぐらいしか食べていないのだ。それに相手は賊だ。とっても困る事はない。

しかしこの「ぷろていんばー」とやらはとても美味しい。九郎様が作ったおはぎには遠く及ばないが、それでも食えるだけでありがたい。

 

ふと狼はこの棒は何なのか考える、固くて乾燥してるため、おそらく兵糧丸に近いものだろう。

しかし何ともうまい物だ。賊が持ってた透明な水筒を飲み、喉を潤す。

食べ終わったあと、ヒュパリと鉤縄を使い、飛んでる中、声が聞こえる。

「ご協力ありがとうございます!狼さん。学校へナビゲートします!」

 

「…ああ、かたじけない」

声だけのアヤネに道案内され、学校へと向かう。今後はどうしようか。

せっかく得た三度目の生だ。まずは葦名を探さなければ。

そう考え、狼はアビドスへ向かった。

 

「あ、狼さん、おかえりなさい。お疲れ様でした」

 

「…ああ、あれぐらい構わぬ。アヤネ殿も道案内、感謝する」

 

「あ、狼さん、おかえりー」

 

「狼さんのおかげで火急の事案だったヘルメット団の件が片付きました。これで一息つけそうです。ありがとうございます⭐︎」

 

「そうだね、これでやっと、重要な問題に集中できる。」

 

「うん!先生と狼さんのおかげで、やっと借金返済に取り掛かれるわ!」

 

「ありがとう、先生、狼さん!この恩は一生忘れないから!」

 

借金、その言葉に狼と先生は反応する。

“…借金返済って?” 「セリカ殿、借金とは?」

 

そういうとセリカは目に見えて焦り始める。

 

「え?……あ、わわっ!」「そ、それは…」

 

「ま、待って!アヤネちゃん!それ以上は!」「…!」

 

「…いいんじゃないかな、セリカちゃん。別に隠す必要も無いし」

狼はなんとなく面倒ごとだと察した。

 

「か、かと言って、話すことでも無いでしょ!」

 

「別に悪いことしたわけじゃ無いんだしさあ、いいでしょ?それに先生と狼は私達を助けてくれた恩人でしょ?」

 

「ん、ホシノ先輩のいうとおり、セリカ、先生と狼さんならきっと大丈夫」

 

「そりゃそうだけど、先生も狼さんも部外者でしょ!」

 

「確かにパパッと解決できる話でも無いけど、この問題に耳を傾けてくれる人は先生と狼ぐらいしかいないじゃーん」

 

「悩みを打ち明けたら、何か解決方法ができるかもしれないじゃーん。それとも別のいい案があるのかな。セリカちゃん?」

 

「う、うう……」 「でっ、でも、さっき来たばかりの人でしょ!今まで大人がこの学校がどうなるかなんて気に留めたことなんてあった!?」

 

「この問題は、ずっと私達だけでどうにかしてきたじゃん!なのに今更…大人が首を突っ込んでくるって…」

 

「私は認めない!」

そう言ってセリカはドアを開けて出ていってしまった。

 

「セリカちゃん!?」「私、様子を見てきます」

ノノミもそれに続く。

 

「えーとね、簡単に説明すると、…この学校、借金があるんだー。ま、ありふれた話だけどー」

 

「問題は金額でね、…9億ぐらいなんだよねー」

はて、狼は首を傾げる、9億とはどれぐらいだろうか。そう考えているとアヤネが口を開く。

 

「正確には、9億6235万です。私達、対策委員会が返さないといけない金額です。これが返済できないと、学校は銀行の手に渡り、廃校手続きを取らざるを得なくなります」

 

狼は目を見開いた。まさか千や万は聞いた事があったが、その上の単位があったとは。驚きである。

そして疑問に思う。いくら何でも多すぎる。たった5人で返せる金額では無いだろう。

 

「ですが、返し切れる可能性は少なく、ほとんどの生徒は諦め、去っていきました…」

 

「そして私達が残った」

 

「学校が廃校の危機に追いやられたのも、生徒がいないのも、街が廃れていってるのも、全て借金が原因です」

 

“なるほど、事情を説明してほしいな。” 「…なぜ、そんなことを」

 

「借金の理由ですか?それは…数十年前、学区の郊外の砂漠で、砂嵐が発生しました。前からも頻繁に発生はしてましたが、そのときは今までと違い想像を絶する様な規模でした。至るとこが砂に埋もれ、嵐が去ってからも砂が溜まり、その災害の対処に、多額の資金を投入せざるを得ませんでした。しかし、こんな片田舎の学校に、巨額の融資をしてくれる銀行はなかなか見つからず…」

 

「結局悪徳金融企業に頼るしかなくなった」

 

「…はい、最初はすぐ返せる算段だったはずです。しかし砂嵐は巨大化の一途を辿り、努力も虚しく学区の状況は手がつけられないほどの悪化の道を辿りました」

 

「……そしてついにアビドスの半分以上が砂に埋もれ砂漠化したとき、借金はみるみるうちに膨れ上がっていきました」

「「「……」」」

 

「私達だけでは、利息を返すだけで精一杯で、物資が底をついてしまってます」

 

「セリカがあそこまで神経質なのも、今まで誰もこの問題に向き合ってくれなかったから。だから、話を聞いてくれたのは先生と狼が初めて」

 

「…まあ、そんなつまんない話さ」

 

「で、狼さんと先生のおかげでヘルメット団は解決、借金に全力で取り組める様になったわけ」

 

「もし委員会の顧問になってくれるとしても借金は気にしなくていいからねー。話を聞いてくれただけでもありがたいし」

 

「ん、二人とも十分力になってくれた。これ以上迷惑をかけられない」

 

“いや、対策委員会を見捨てて戻れないよ、自分も手伝う。” 「…子供とは…本来大人に甘え、迷惑をかけるものだ…己も手伝おう」

 

「そ、それって……あ、はい!よろしくお願いします、先生!狼さん!」

 

「へえ、二人とも変わり者だね、こんな面倒ごとに首突っ込みに行くなんて」

 

「良かった…「シャーレ」が力になってくれるなんて、これで私達も、希望を持っていいんですね?」

 

「そうだね、希望が見えるかもしれない」

 

“うん、一緒に頑張ろう!” 「…人探し、無くし物、依頼、何でも手伝おう」

 

ふと、狼の鍛えられた耳にこんな音がきこえる。

「ちぇっ」 そんな声と僅かな足音、受け入れられるのには、時間がかかりそうだ。

狼は憂いながら今後について考えた。

 

そしてきっと、九郎様なら困ってるこの子達を手伝うだろう。そう考えながら、狼は物思いにふけっていった。




まずは感謝を、ここまで読んでくれてありがとうございます!
本文4650文字、偶然か必然か、シロコの数字になりました。

あと遅れてしまい申し訳ない…許してくれ、許してくれえ…

感想、評価ありがとうございます!金曜は休みなんで頑張って2話投稿したい…

syokka様!評価7ありがとうございます!

次回、子猫と狼、お楽しみに!
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