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最後の儀式へ向かう途中の分岐点。
二手に分かれる前の
他の同行者達に小休止を言い渡し、二人の儀式を見守る。
役割上、間違いなく生命を失うだろう幾人かの巫女に桃を与えた。
実1つでは全員に分けるのも難しいと言い訳をして。
言葉にしなくても、どうして選ばれたかなんて分かってしまうのだろう。
少し困ったような表情をしつつも、久しい甘味に緊張が和らいだのが確認できた。
――儀式で疲れている二人には悪いが、荷車に乗せて移動を再開させてもらう。
誤魔化すように彼女達にも桃を差し出し、微妙な顔をされてしまった。
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山の中腹より少し上、岩の裂け目を進んだ先、洞窟に入り更に奥へ。
開けた場所、高い天井、そして底の見えない深い深い穴。
見上げた洞窟の上部は完全には塞がっておらず、所々から空を覆う暗い雲が見える。
降り続ける雨の音が反響して耳が痛いぐらいだが、洞窟内に浸水した様子はない。
落ちてしまえば命を失う大穴。
命綱を付け、穴底に着く前に引き上げても手遅れ。
時折火を噴き、洞窟の外にまで死が溢れ出す、冥府の入り口。
あのヘビの首が落とされても生え変わるのは、山河の化身だからだ。
川が流れるのを防いでも、水が湧き続ければ、新たな川が生まれるだけ。
大きな力を持つ化身を駆除するのに、本体へ干渉するのは効果が高い。
あのヘビが火を噴く力を持つのは幸いだったのかもしれない。
首に相当するであろう、河川を消滅させるのは現実的ではない。
胴体に相当するであろう、山そのものを崩壊させるのは現実的ではない。
あのヘビは複数の首から火を噴くが、この山で火を噴く穴は1つだけ。
この大穴はあのヘビの首と繋がりながらも分かたれず。
だから大穴へ干渉は、全ての首または体内への干渉となる。
世界にそう刻むことができた。
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合図と共に、待機していた巫女が大穴へ身を投じた。
同時に。
一人ずつ、順番に。
世界に『同じ場所』・『同じモノ』だと教えるために。
未来へ繋げるために。
続ける。
続ける。
続ける。
続ける
つづける。
つづけ、る。
続けないと。
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Tips:【
役割のため改名し、【
双子の片割れも同じ日に改名している。
黄泉に続く大穴へと最初に飛び降り、奇び=霊び としての霊力で生存時間を延ばし、
楔として儀式を支えている。
Tips:【
役割のため改名し、【
双子の片割れも同じ日に改名している。
ヤマトの大蛇が動きまわって儀式の範囲外に出ないように抑え込んでいる。
最前線に居ながら、片割れとの距離で出力に影響がでる護衛泣かせ仕様。