視界がブレるようにして周囲の光景が替わり、
眼前には横穴が続いている。
洞窟の中ということは此処は大穴があった洞窟か。
記憶にある洞窟内部と差異があるが、先程まで居た場所を考えれば納得できる範囲だ。
殆ど垂直の穴だったはずだが、もう一方の儀式場所……水没した平地と混ざった結果、横穴になったらしい。
……遠目では下り坂のように見えたが、崖の方が正しいかもしれない。
分かたれたものを無理やり一つに括り、この場所は今、曖昧になっている。
我らの望む形で世界を固定しなければならない。
実体のない水が、横穴へ向けて流れ始めた。
水の流れる先。
いつの間にか、横穴に点在する巫女達の姿。
力なく倒れている彼女達は、崖から落ちて崖棚に引っ掛かったようにも見える。
幾人かの
見覚えのあるようでない、彼女達も”混ざって”いるのだろう。
目を閉じて意識を、見るモノを切り替える。
横穴にミッチリ詰まったような大蛇の尾。こちらも透けている。
水に流され始めた躯や霊は、尾とは干渉しないらしく、そのまま流れ落ちてゆく。
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死者が辿り着くとされる地には、様々な呼び名がある。
この地では【
【黄泉戸の一族】と呼ばれることもあった。
役割を果たすため、
黄泉の国、天の国、地の国、根の国、
【
不思議と語感が近く、一族の呼び名を密かに【閻魔戸の一族】とするのは難しくなかった。
【
今日、死者の国へ蓋をする【
役割を持たせて縛り付けた。
扉としてこの場所に縛り付けた。
這い上がろうとする亡者は、穴を塞ぐヤツの頭と対峙することになる。
見習いを残して一族の殆どが死に、技術を次代に受け継がせるのも難しい有様。
だが我らの役目は、我らを喰らい、その力を取り込み続けたヤツが受け継いだ。
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不安そうに
仕上げとして扉の境界を明確に。
我らの戦いを締め括り、幕を下ろそう。
境界の向こう側、身体の透けた巫女達。
共通点はあの時、桃を食べたこと。
私との違いは生きているか、死んでいるか。
『99』と『100』には、たった『1』の差で明確な境界がある。
坂の上、崖の淵。
身体から力が抜け、落ちてゆく。
穴を塞ぐため、洞窟も崩れ始めた。
最後に見えたものは雲の隙間から射す光。
戦いが終わったのを象徴しているようだった。
Tips:【ヤマトの大蛇】
大穴の最奥に固定する【奇び/楔】、大蛇の頭を固定する【灘/宥め】。
二人の巫女が括られた結果、かつての大穴に逆さ吊りのように固定されることになった。
【黄泉戸の贄巫女 ク■ナ■】
灘は奥底へ。
凪は入口へ。