外付け歯車なカミサマとその影響   作:にゅい

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陰巫女ちゃんのバックストーリー扱いな所為でどうあがいてもハピエンにならない不具合。


ヤマトの大蛇(4)

視界がブレるようにして周囲の光景が替わり、自ら(括り)の名を冠した術が発動したことを悟った。

眼前には横穴が続いている。

 

洞窟の中ということは此処は大穴があった洞窟か。

記憶にある洞窟内部と差異があるが、先程まで居た場所を考えれば納得できる範囲だ。

 

殆ど垂直の穴だったはずだが、もう一方の儀式場所……水没した平地と混ざった結果、横穴になったらしい。

……遠目では下り坂のように見えたが、崖の方が正しいかもしれない。

 

彼方(あちら)から容易に登れるような、平穏(なだ)らかな坂でなかった事を安堵するべきなのだろう。

 

 

分かたれたものを無理やり一つに括り、この場所は今、曖昧になっている。

我らの望む形で世界を固定しなければならない。

 

実体のない水が、横穴へ向けて流れ始めた。

 

水の流れる先。

いつの間にか、横穴に点在する巫女達の姿。

 

力なく倒れている彼女達は、崖から落ちて崖棚に引っ掛かったようにも見える。

幾人かの(かたわ)らには、体の透けた巫女がボンヤリと立ち竦んでいる。

 

見覚えのあるようでない、彼女達も”混ざって”いるのだろう。

 

 

 

目を閉じて意識を、見るモノを切り替える。

 

横穴にミッチリ詰まったような大蛇の尾。こちらも透けている。

水に流され始めた躯や霊は、尾とは干渉しないらしく、そのまま流れ落ちてゆく。

 

 

死者が辿り着くとされる地には、様々な呼び名がある。

この地では【黄泉(よみ)】が使われる事が多く、一族は役割――亡者が溢れるのを抑える――から

【黄泉戸の一族】と呼ばれることもあった。

 

役割を果たすため、他所(よそ)の地での死者の国に関する伝承も集められて来た。

黄泉の国、天の国、地の国、根の国、幽世(かくりよ)、そして【閻魔(ヤマ)の国】

 

ヨミ(黄泉)】と【ヤマ(閻魔)

不思議と語感が近く、一族の呼び名を密かに【閻魔戸の一族】とするのは難しくなかった。

 

八万頭(ヤマト)の大蛇】という当て字でしかない名を受け入れたヤツは

今日、死者の国へ蓋をする【閻魔戸(ヤマト)の大蛇】と成った。

 

役割を持たせて縛り付けた。

扉としてこの場所に縛り付けた。

這い上がろうとする亡者は、穴を塞ぐヤツの頭と対峙することになる。

 

見習いを残して一族の殆どが死に、技術を次代に受け継がせるのも難しい有様。

だが我らの役目は、我らを喰らい、その力を取り込み続けたヤツが受け継いだ。

(ざま)を見ろ。

 

 

不安そうに此方(こちら)を見る【塞ぎ(ふさぎ)の巫女】に頷くことで、続行の意を伝える。

 

仕上げとして扉の境界を明確に。

我らの戦いを締め括り、幕を下ろそう。

 

境界の向こう側、身体の透けた巫女達。

共通点はあの時、桃を食べたこと。

私との違いは生きているか、死んでいるか。

 

(クク)りは九九(クク)り、(モモ)(モモ)

『99』と『100』には、たった『1』の差で明確な境界がある。

 

坂の上、崖の淵。

彼方(あちら)との境界で守り刀を抜き、『99』を『100』にした。

 

身体から力が抜け、落ちてゆく。

 

穴を塞ぐため、洞窟も崩れ始めた。

 

最後に見えたものは雲の隙間から射す光。

戦いが終わったのを象徴しているようだった。

 

 

 




Tips:【ヤマトの大蛇】
大穴の最奥に固定する【奇び/楔】、大蛇の頭を固定する【灘/宥め】。
二人の巫女が括られた結果、かつての大穴に逆さ吊りのように固定されることになった。

【黄泉戸の贄巫女 ク■ナ■】
灘は奥底へ。
凪は入口へ。
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