ドサッ
死体が投げ込まれた。
牢の外側は洞窟の構造を利用し、天井付近……柵がない高さまで登れるようになっている。
俺には無理だが
入口で倒れた新人の内、3人がそのまま死んだ。
残りを投げ込むまで、
いつもと同じだ。
:
:
ドサッ
……化生は動かない。
何か目的があるはずだが、死体はお気に召さないらしい。
ドサッ
あの馬鹿、2体同時に
思えば牢に着くまで、ヤケに嬉しそうだった。
そういう視点で見ると、後から投げ入れた2体は大分小柄だ。
アイツは色々やらかす割に慎重だから、その辺を理由に今日試すことにしたんだろう。
「おぉーい! やっていいぞー!!」
馬鹿の大声に反射的に頷き、化生をもう一度見る。
段差を降りるため、本人はコッチを見ちゃいないが大した問題ではない。
「チッ」
舌打ちが漏れる。
……化生は動かない。
昨日与えた食事は当然そのままだ。
「おい、流さないのか?」
戻ってきて早々、真横でデカい声を出すのは止めろ。
言っても無駄なので頭の中で考えるだけで、声には出さない。
「
何しに
それに……。
「メシやらずに報告に戻ったら、看破の巫女様に一発でバレるわ。」
「あー……それがあったか。せめて1日ズレてればなぁ。」
1日ずらそうが、メシを食わせずに化生を死なせでもしたら粛清ものだ。
巫女様の居る、居ないに関わらず毎日……うん?
「厄払の儀、太陽の巫女様が表に立つんだったよな?」
「おう、万が一も無いように呪い対策も含めてガチガチに準備するらしいぞ。」
「だよなぁ、看破の巫女様もソレで明日から留守にする訳だし。」
……化生は動かない。
僅かな動きも自発的なものではなく。呼吸のためのものだろう。
「ミズヨ ケガレヲ アライナガセ」
牢に向け、霊術で発生させた水を押し流す。
ありったけの霊力を使ったため水量は膝上まであり、死体を
「あ?……は??!」
すまん、説明忘れてた。
今は制御に集中させてくれ。
「お、おい、良いのか?!」
……この牢の良いところは、中に入らずとも化生の世話が済むことだ。
メシを与えたあとの片付け、汚物の処理、今日のような死体も流してしまえる。
化生の足枷は牢柵に繋がっている。
特に気にかける必要もないだろう。
Tips:【化生】
太陽の巫女と同じ親から生まれた双子の"妹"。
幾つかの事情と情報操作が合わさった結果、人間扱いして貰えなくなった。
現地では双子は『後に生まれた=先に腹の中に居た』方が"姉"となるが、
基本的に忌み子とされるため、どちらが兄/姉かを気にされることは少ない。