階段事件の後、治療という名目の前で『荷物を回収したい』という主張以外は無力だった。
おのれ同調圧力。
私は抱き抱えられたまま、親切な荷物持ちの方々を引き連れて早足で移動。
体質的に『階段から落ちたら頭を揺らしちゃダメなのでは?』というツッコミは飲み込んだ。
着いた場所は聞き覚えのあるようなないような芸能系プロダクション。
荷物持ちーズがビルに入るとき挙動不審になってたから多分有名どころ。
普段はアバターで配信してるのにダンジョン探索配信のときは普通に顔出ししてるとかでネットニュースになってたトコがこんな名前だった気がする。
治療してる間にあちらも話し合いの準備をしたいということで、もう診察拒否とか無理な雰囲気。
『こいつ人間じゃない』とか言われるかもってドキドキ。
結果、怪我はないけど慢性的な栄養失調。
ちょっと想定外。身体ちっちゃくなる前から食事量変わってないはずなんだけど……。
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話し合いは結構な長丁場になった。
やたら法律に詳しくて有利に交渉を進める荷物持ちーズに対して、話し合いの途中で事件の様子が一部ネットにアップされていたとかの情報が入ってきて頭をかかえる相手側。
私の年齢や保護者についての話で脱線したものの、示談書の大まかな内容を決めて時間切れ。
話し合いの中で今の職業――探索者を辞めて就職予定――を伝えたとき、『見た目幼児で就職は極めて困難』で室内の面々の意見が一致し、示談書にも就職に関しての内容が盛り込まれた。
すぐに示談書にサインする必要はないとか、何かあったら連絡するようにとか念押しして荷物持ちーズは解散となった。
最後まで無報酬で付き添ってくれた荷物持ちーズ、普段何をされてる方なの……?
……気付いたら芸能プロダクションの社宅?に住むことになっており、今日は仮眠室で泊っていけとのお達し。
今日運んでた荷物は私の部屋(予定)に運んでくれるらしい。
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会議室で待機してたら女の子の集団がやってきた。
人が居ると思わなかったとか言い合いながらグイグイ寄ってくる。
「あ、もしかして今度新しく入ってくる子?」
「その予定です。さっきまで話し合いしてました。」
彼女らによると、この部屋は正式名『外部交渉用・第3予備会議室』というらしく、使用予定が書かれてなかったら自由に使っていいことになってるらしい。
部屋名だけで『普段使わない』に説得力出てくるのつよい。
あれよあれよという間に一緒にゲームすることになった。
身内ネタの混じったワチャワチャに相槌を打つのがやっと。
妨害少なめの接待プレイをしばらく楽しんだ後、仮眠室に案内してもらった。
おねーさん、若い子のノリには付いていけないよ。
Tips:【外部交渉用・第3予備会議室】
会議ではほとんど使用されない会議室。
使ったとしても夜まで使われることはまずない。
結果的に事務所所属の子達の夜配信に使用されている。
暗黙の了解として、使用時間が被っても文句言っちゃダメ。