外付け歯車なカミサマとその影響   作:にゅい

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ちょっと回想。 (26.6.9) 前話差込


新たな一歩も流されるままに(5)

全身が灼けるように熱い。

手の先、足の先……次第に感覚が薄くなり、身体が(ほどけ)けて(とけ)る。

 

周囲を見渡す視覚、私を包み込んでいる【何か】を特定するための嗅覚に触覚。

唐突な生命の危機に日頃()()されている色々なものを切り捨て、あらゆる要素が"私"を()()するためだけに勝手に再分配されてゆく。

 

身体の境界線はとっくに見失い、まるで【何か】と同化してしまったように感じる。

それでもまだ意識も記憶も()()出来ている。

 

死にたくないと願いながら、死なせてくれない自分の【維持】(固有スキル)を呪う。

 

 

意識を失うことも狂うことも出来ないまま耐え続け、地獄の終わりは唐突だった。

"私"ではなかった場所に出来上がった『"私"の身体らしきもの』。

 

暴走しつつも対象に出来るものがほとんど無くなっていた()()は……()()された『ソレ』だけでなく、本質が『ソレ』と同一である【何か】までも私を()()するための材料としてみせた。

 

 

後に残ったのは傷一つない身体、地面に散らばる(なぜか無事な)衣服に装備品、そして魔石。

あの状況から生き残った……?らしい。

 

以前よりも頭の中の声の主張が激しくなっている。

【維持】、【再現】、【蓄積】、【同化】、【潜形】……

 

騒々しくなった声が元々持っていた【維持】とは別の固有スキルの存在を伝えてくる。

冷静さを()()する余裕が出てきたのを自覚しつつ、死亡確定としか言いようがない状況からどうしてこうなったかを考えてみる。

 

 

まず増えている固有スキル……。

襲ってきた【何か】が持っていた固有スキルが私のものになったとしか考えられない。

【同化】とか【同化】とか、モロにそうだし。

 

だから【何か】は、相手を溶かして捕食するタイプのモンスターの異常個体(イレギュラー)――固有スキル持ちと思われる。

捕食した相手と()()して、固有スキル含めて自分のものにしちゃうスライム、とか?

そうでもないと固有スキルの多さに説明がつかないし。

 

ココ、中堅にも届かないような探索者()がソロで潜るような低階層なんだけどなぁ……。

いくらスライムといっても固有スキルが複数あるようなバケモノに遭遇するとかどんな不幸だ。

 

 

なんで生きてるのか……。

相手と()()した結果、相手の身体とか【再現】みたいな固有スキルを、私の【維持】のために使えるようになった……?

お互いに喰いあった結果、自分を()()できる私が残った……、と。

 

途中で意識を失ってない自信はあるけど、スライムに全身溶かされた後、そのスライムの身体で元の身体を()()した私って……。

 

感情と裏腹に、頭はそれほど混乱していない。

ただ全身が締め付けられるような重みに……

 

 

……おもっ

 

胴体が締め付けられ……というか抱き枕にされている。

久しぶりに見たあの日の夢。原因はコレか。

 

 




Tips:【ソロでダンジョンに潜る探索者】
1位:素材集めや配信のため(実力的に余裕がある階層)
2位:自殺志願者(無自覚含む)
3位:一部の上澄みの化け物
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