ハイパーダンガンロンパ〜希望の学園と宇宙一バカな侍〜 作:超高校級の小説家
ゲームのエンディングが迫っていた。モニターには『ダンガンロンパV3』の結末が映し出され、ついに真実が明らかになる。虚構と現実の境界を打ち破るかのような展開――ダンガンロンパの世界が創作だったという衝撃の事実。プレイしていたその人物は、頭の中で何度もその言葉を反芻していた。
「…なんてこった…ダンガンロンパの世界が全部、創作だったなんて…」
現実世界のプレイヤーとして、今までの物語に深く没頭してきた。その一つ一つのシーンが、ただの作り物であることに気づかされ、胸の内には言いようのない虚しさが広がっていた。壮絶な生死のドラマも、切ないキャラクターたちの運命も、すべては人の手によって創り出された“ゲーム”に過ぎなかった。
「これで…シリーズは本当に終わりか…」
目の前の画面が次第にフェードアウトしていく。長年にわたって続いてきた『ダンガンロンパ』シリーズ。絶望と希望が交錯する物語の集大成が、こうして幕を閉じる。深い喪失感に苛まれながら、プレイヤーはゲーム機の電源を消そうとした。
だが、その瞬間、画面が異常にノイズを発し始めた。暗転するはずだったスクリーンが突然、チカチカと点滅し、奇妙な映像が現れた。モニターに映し出されたのは、どこかで見覚えのある、薄ら笑いを浮かべた顔。
「えっ…?」
信じられない光景が目の前に広がる。そこに映し出されていたのは、江ノ島盾子。絶望の象徴であり、かつて全てを狂わせた“彼女”が、画面の向こう側からこちらを見つめていた。
「終わりだなんて、あ・り・え・な・い!」
彼女の声が耳に届くと同時に、全身が震える。それはゲームの中のキャラクターが語りかけている感覚ではなかった。まるで現実に江ノ島盾子が降り立ち、自分に話しかけているかのようにリアルだった。
「こんな終わり方じゃ、つまらないじゃない?もっともっと、絶望を感じさせてあげるわよぉ!」
盾子の声が、空気を切り裂くように響く。彼女の冷たい瞳が、モニター越しではなく、直接こちらを見透かすように感じられる。その瞬間、周囲の空間がゆっくりと歪んでいく感覚が襲った。
「な、なんだ…これ…?」
頭がズキズキと痛み出し、視界がぐにゃりと歪む。心の中で警鐘が鳴り響く。まるで、江ノ島盾子が自分の内側に侵入してくるかのようだ。
「うそだろ、ゲームのキャラが、現実に……」
目の前に現れるのはただの映像のはずだった。しかし、その映像が、自分の意識の奥深くまで侵食してきている。頭の中に、彼女の存在が根を張り、支配しようとしているのが分かる。
「ふふふ、抵抗しなくてもいいのよ。だって、絶望はね、そんなに簡単に消えたりしないの。むしろ、ここからが本番なのよぉ~!」
冷たい笑い声とともに、視界は一層歪み、頭が割れるような痛みが走る。両手で頭を抱え込みながらも、どうすることもできない。盾子の言葉が、まるで呪いのように頭の中で響き続ける。
その言葉は、ただの言葉ではない。自分の心に直接触れ、侵食してくる。絶望という感情が、冷たく鋭い刃となり、心を抉り取ろうとしているのだ。
「さあ、あなたも絶望の味を楽しみなさい。ここからが本当のショータイムよ!」
その瞬間、意識が途切れそうになる。全身が震え、力が抜けていく感覚に囚われる。盾子が自分の意識の中に入り込み、ゆっくりと支配権を奪っていく――。
「や、やめろ…!」
無駄な抵抗だと知りながらも、声を振り絞る。しかし、江ノ島盾子の笑い声は止まらない。彼女はフィクションの中の存在でありながら、今や現実世界にまで侵食し始めていた。
「だめ、だめ、もう遅いよぉ!あなたの意識も、この現実世界も、これからは私の舞台になるの!どんな風に壊していこうかしらね?」
モニターから発せられる光が、一段と強くなる。次の瞬間、現実と虚構の境界が崩れ去るのを感じた。頭の中に、江ノ島盾子の人格が侵入し、ゆっくりと彼女の冷酷な思考が自分の意識を支配していくのが分かる。それはただの知識やスキルではない。冷徹で、計算し尽くされた彼女の思考が、自分の精神を乗っ取ろうとしていた。
「これで終わりじゃない。むしろ、ここからが始まりよ――絶望の新たな物語の、ね」
気づいたときには、全てが終わっていた。現実の世界に、絶望の因子が解き放たれたのだ。江ノ島盾子の計画は、虚構にとどまることを拒んでいた。彼女は自らの“絶望”を持って、現実をも染め上げようとしている。
「絶望は…終わらない…」
それは、始まりだった。虚構と現実の境界を破り、絶望が世界を侵食し始める、終わりなき物語の第一歩。頭の中で次第に形を成していく江ノ島盾子の人格。その絶望感は、彼女自身の笑い声に重なり、響いていく。
「うぷぷぷぷ〜〜、これからが面白くなるのよぉ!期待しててね!」