大海賊時代に記憶喪失TS野郎を放り込んだ   作:クラスターボイン

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うろ覚えな原作を再確認しながら書き進めているためガバがあったらごめんなさい()





フーシャ村で、記憶喪失TS野郎が一人

「ぶはぁ! 食った食った! ごっそさん! また来るからな~!」

「ちょ! 先に行かないでよルフィ! ごちそうさまお姉ちゃん! また来るね~!」

「あいよー。はぁ……ったく、人のことを間抜けだの馬鹿だの、これでもあいつらの何倍も生きてるんだぞ俺は!」

 

 あの生意気なガキンチョ2人組が外へと遊びに行く後ろ姿を見送りながら、俺はぶつぶつ言いながらもその場に残されたコップやらなんやらを片付けていく。

 ったく、宝払いだが何だが知らねぇけど、マジで払わなかったら取り立ててやるからな……!

 

 そんなことを考えつつも、俺は今の現状を整理する。

 

――あの後、魚野郎もろとも海をぶった切った俺は波に巻き込まれて気絶してしまった。

 

 魚野郎をぶった切る瞬間、よくわからんが全身にぞわぞわする感覚が走り、その衝動のままオール代わりにして使おうとした大剣を振り抜いた結果、「()()()()()」というアホみたいな現象を引き起こした俺の体は、それ相応に丈夫だったようで、波に巻き込まれてもぺしゃんこになることはなかったようである。

 その証拠に、今は流れ着いた先にあった港村――『フーシャ村』の酒場にてアルバイトをしていて、その有り余る肉体スペックでバリバリ働いているのだ。

 ちなみに、よそ者であった俺のことを最初は変なものを見る目で見て来た村人の皆も、今はもう村人の一人として受け入れてくれている。ありがてぇ……!

 

 あ、ついでに言うと俺を一番最初に見つけてくれたのは、さっき外に飛び出していったガキンチョの片割れ――元気小僧の『ルフィ』だそうな。

 アイツは助けたことに恩着せるタイプじゃないため、さっきの雑な扱い方は俺がだいぶ馴染んできてるから……と思いたい……。

 はぁ、ルフィの幼馴染の『ウタ』は悪ノリするだけなのに……お姉さん悲しくなっちゃうよ……トホホ……

 

「ぷっ、一人で勝手に百面相してるから、間抜けだのアホだの言われるんじゃねぇのか?」

「お前に言われたかねぇよ! この飲んだくれ! 朝っぱらから酒飲んでんじゃねぇよダメ親父!!」

「あぁん!? 俺のどこがダメ親父だってぇ!!??」

「この間ウタが言ってたからな! 『最近のシャンクス、いつも以上に酒臭いんだ。ムサシお姉ちゃんの方が良い匂いがする』ってな!!」

「表出ろ『ムサシ』ィ!! 今日こそカニ相撲で決着付けてやるからなァ!!」

「乗ったァ!! 俺が勝ったら肉奢れよな!!」

 

 内心で村人の皆さんの優しさと、あまりに馴染むのが早すぎるが故の雑な扱い方に涙していると、この酒場に良く入り浸る「ならず者ども」の頭領……『シャンクス』が俺をからかって来たので、カウンターついでにウタからのタレこみ情報をぶっぱなす。

 っていうか、娘に気にされるレベルで酒臭いとか、数日前まで「磯臭い」言われてた俺より終わってんな。

 そんな俺の挑発にまんまと乗ったシャンクスは酒場の表に出ていき、俺考案の遊び――「カニ相撲」を始めようとする。

 

「ふっふっふ、相も変わらず愉快だな『ムサシ』。お頭が手駒にとられてるのは滅多に見ないんだがな」

「あぁん? そんなおかしいことかベックマン? あんな奴簡単に乗せられるだろ。単細胞だし、親バカだし」

「違いないな。今だってそこらのガキみてぇにはしゃいでる」

 

 シャンクスの後に続いて出ようとしていた俺に声をかけてくるのは、シャンクスの船の副船長――『ベン・ベックマン』。

 こいつはよく馬鹿をやらかす俺達のストッパー役をやってくれるんだが、ときたま悪ノリすることもある。

 

 あ、そういやこいつらについて話してなかったな。失敬失敬、俺としたことがこの馬鹿野郎どもの紹介を忘れていたぜ。

 こいつらはシャンクスが船長を務める海の男ども……自由とロマンを愛する「()()」だ。

 

――『海賊』

 

 世間的に言えば「海を渡る犯罪者」であり、この世界で平穏に暮らす人々にとっては恐怖の象徴らしい。

 「海賊なんてまた時代錯誤な……」と思ったが、そもそも俺は「名前なし」「記憶なし」「金なし」「宿なし」の「ぐ〇ナイ」状態に加えて、大剣と着物しか持ってないという「こっちの方こそ時代錯誤なのでは?」であるため人のことは言えなかった。

 

 そんな「ならず者」と言われそうな世間一般の海賊と比べて、シャンクスたちは違う。

 この馬鹿どもは一般人から略奪なんてせず、冒険の先で手に入るロマンと財宝にしか目がない。

 まぁ、こいつらがだいぶ特殊な例であって、他の海賊は割とヒャッハーな連中だったからな……

 

 そういった事情があるため、海賊であるとはいえこいつらのことをフーシャ村の人達は受け入れている。

 まぁ、実際話してて気の良い連中ではあるからな。そこは郷に入っては郷に従えというやつだ。

 

「おーい『ムサシ』ー! 早くカニ相撲するぞー!」

「分かったっての! 急かすんじゃねぇよシャンクス!」

 

 と、そんなフーシャ村でそんな馬鹿野郎たちと平穏無事に暮らしている俺の名前は……適当に『ムサシ』と名乗ることにしている。

 

 夢はでっかく「最強の剣士」の長身デカパイ記憶喪失TS和装美女野郎だ。

 属性の盛りすぎだって? こまけぇこたぁいいんだよ!

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「……これは、どういうことだ……?」

「先生……お気持ちは私も分かります。こんな突拍子もないことが起こってしまって私自身なにがなんだか……」

 

 ここは、『世界政府』直属の会場治安維持組織――『海軍』の本部である『マリンフォード』。

 そこの一室にて、何やら重苦しい空気が漂っていた。

 海賊たちによる蛮行から、海上の治安を維持するのが目的である海軍、その中でも珍しい『先生』と呼ばれた男は、部下からの報告を聞いて顔をしかめる。

 

 それもそのはず、彼らにとってその報告はかなり不可思議なもののようで……

 

「まさか『凪の帯(カームベルト)』と『東の海(イーストブルー)』の境目をまたぐようにして、()()()()()()()()()()()()()とは……幸い、あまりにもその谷間が深すぎるようで、万が一にも『偉大なる航路(グランドライン)』から『東の海(イーストブルー)』に渡航しようとする者はいないようです。その逆もしかり……」

「『悪魔の実』の能力……と考えた方が良いかもしれんが……」

 

――『悪魔の実』

 

 超常的な力を食べた「モノ」に宿らせる代わりに海から嫌われるという、文字通りの『悪魔の実』。

 それによる被害だと考えた中将であったが……

 

「……その割れ目の規模はどのくらいだ……?」

「おおよそにして、数十キロメートル規模かと……」

「規格外だな……何者が起こしたのだろうな……」

 

 あまりにも規模が大きすぎるため、それは難しいと考える。

 さらに言えば、『悪魔の実』の力は海に嫌われるため、能力で維持しているとも考えにくいと判断したのだ。

 

「……今回ばかりは、私も出よう」

「! 先生ご自身がですか?」

「なに、最弱の『東の海(イーストブルー)』と言えども、これだけの被害を起こせる脅威がいるかもしれないんだ。確かめるだけでも持ち帰れるものはある」

「……分かりました。船を手配します」

「ありがとう」

 

――だからこそ、動いたのである。

 

 

「行ってらっしゃいませ――」

 

 

「――『ゼファー』先生」

 

 

――海軍の中でも最高戦力に近い、『黒腕』の肩書を持つ男が。







次回「黒腕、東の海に来る」


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