謎の映画監督の物語 無の映画監督   作:dwwyakata@2024

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4、波紋

海外の批評家が、高宮映画に評価をつけていた。

 

実に芸術的で哲学的である。

 

そういう批評をつけていたこともあって、海外でも高宮映画が知られるようになりはじめたようだった。

 

邦画の、実写映画の競争力の低さは前から問題になっていた。

 

芸術を作ったつもりになって調子扱いている映画監督も。

 

芸術を評価する審美眼をもったつもりになっている業界人も。

 

そればかりは認めていただろう。

 

勿論、それぞれの国には独自の文化が存在する。

 

非人道的なものでなければ、それらは尊重するべきであるものだが。

 

此処で問題にしているのは国際競争力という金の問題で。

 

そして映画というのは既に世界的な文化と言う事だ。

 

まあ国内の需要だけで大もうけ出来るような国家も存在はしているのだが。

 

それはそれ。

 

日本はそうもいかない。

 

アニメ映画などはその条件をほぼ満たせてはいるが。

 

それ以外の映画は、国内需要すら厳しい。

 

如何に芸術だのなんだのとイキリ散らかしてみても。

 

実際問題誰も見なくなってきているのは事実で。

 

広告会社がどれだけ宣伝しても。

 

アニメ映画以外視聴者は見向きもしない実写映画が増えているのは、事実だ。

 

それはそうだろう。

 

殿様商売をしていれば、必然的にそうなる。

 

芸術だとふんぞり返って、他の文化を見下し。視聴者も見下し。商売をしてやっている。コンテンツを提供してやっている。そんな態度でいれば、いずれそうなっていくのは必然。

 

文化に貴賤無しというのは、そういう意味でも重要なのだ。

 

そして、そんな状況だからこそ。

 

海外の批評家が高宮作品を高く評価したことは。

 

塩対応されて高宮作品に対してあまりいい印象がないらしいマスゴミどもさえも。

 

しぶしぶ、大きく取りあげたのだった。

 

だが、SNSでの評価は、嘲笑混じりだった。

 

「高宮の映画は確かに哲学的かもしれないし、芸術的かもしれないな。 問題はクッソつまらんということだ。 三分で眠れるレベルでな」

 

「映画ってなんなんだろうな。 なんで楽しんで映画を見ようって発想がこいつらにはないのだろうかね」

 

「そりゃ、意識が高いからだろ」

 

「そうだなあ。 自分達が高尚な芸術を作っていて。 それを理解出来る選ばれた人間だと思っているから現実が見えなくなるんだよ。 一部のジャンルの小説とかでも似たような事言ってる輩がいるし。 近年だとゲームとかでも似たような発言をする奴がたまにいたりする」

 

新聞は高宮にすりよっても酷評の嵐だ。

 

まあ全部自業自得だが。

 

はっきりいって、苦笑しか漏れない。

 

同情するつもりにはなれないが。

 

それはまあ、当然だ。

 

新聞が今まで何をしてきたかを考えれば。同情なんて、する余地はそれこそ微塵も存在しない。

 

一方、業界人は大喜び。

 

何人かの「大御所」が、高宮の所に「激励の言葉」を送ってきていた。

 

まあそういうのは返事が必要だろう。

 

社交辞令で礼を言っておく。

 

今の時点では。

 

此奴らには、相応に対応は必要だ。

 

それで満足したらしい。

 

業界人どもは、或いは。

 

高宮が自分のコントロール下にあると再確認するために行動し。そして満足したのかも知れなかった。

 

映画が公開される。

 

時代劇だ。

 

今回は、前の江戸時代に民主主義の話をする作品では無く。チャンバラという体で放映されたが。

 

やはりいつも通り。

 

見る睡眠導入剤として。

 

そしてクソ映画マニアですらもはやどうしていいか分からない代物として。

 

客が相応に集まった。

 

嫌われないクソ映画という不可思議なジャンル。

 

それがこうも定着するのは何故か。

 

ビジネス誌なども特集を組み始めているが。

 

いずれもが、石山の記事の足下にも及ばないゴミカスみたいな記事ばかり。

 

コンビニに並べられた、センセーショナルな文字だけを並べて中身スッカスカの酒に脳がやられている輩くらいしか読まないような雑誌やら。

 

キオスクに置かれていて、誰も真に受けないようなクズ新聞と同レベルの品ばかりだった。

 

見る価値も無いなと思ったが。

 

それでも全て集めて来た小野寺に免じて、一応目は通しておく。

 

そして予想通りなので溜息が出た。

 

二次元で神格化されていた時期もあったのに。

 

記者の実力とはこんなものか。

 

そう思って、雑誌を破り捨てたくなったが。我慢する。

 

石山が二次元から来たと言われるわけである。

 

これでは、本当に金を取ってコレを書いているのかと面罵したくなる。勿論記者だけではなく。

 

こんな記事を通した編集に対してもだ。

 

ともかく、こいつらは敵にはなり得ない。

 

映画雑誌が既に崩壊状態である今。

 

確実に高宮の目的に向けて、世界は動き続けている。

 

そしてこの先。

 

この目的を果たすか。

 

高宮が死ぬか。

 

その二択しか存在していない。

 

高宮が倒れた場合。

 

また邦画。いや、映画の世界は暗黒の時代に戻る事だろう。

 

ただでさえポリコレとか言う多様性を歌いながら実際には多様性を潰している醜悪な代物が蔓延している時代だ。

 

改革が必要なのだ。

 

それが、高宮にとっては映画。

 

それだけである。

 

さて。正念場だ。

 

海外にも注目され始めるのは時間の問題だった。

 

後は、如何にうまく業界人どもを騙していくか。

 

そろそろ高宮の計画も。

 

最終フェーズが見え始めていた。

 

 

 

(続)




意識高い人間の弊害は国内外関係ありません。

近年だとゲーム業界で……ゲフンゲフン。

ともかく、そういう存在は高宮の掌の上です。

計画は着実に進んでいきます。
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