ずっとボンプとスタンバってました   作:はちみー

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突然の出会いは運命の始まり

「ん?菅笠と着物……随分珍しい格好の人がいるな、何かの撮影かな」

 

「失礼、少し道を聞きたいのだが」

 

「いいですよ、どこへ行きたいんですか?」

 

「六分街というのだが、どちらの方向にいけばいいだろうか」

 

「六分街なら丁度行くところだから、よかったら乗っていくかい?」

 

「それはありがたい、是非厄介になろう。ボンプもいるのだが乗るだろうか」

 

「ボンプ位なら大丈夫さ、貴方のボンプは何処に?」

 

「今呼ぼう、こいエリザベス」

 

_________

 

それはボンプというには余りにもデカすぎた。白く、奇っ怪で、尚且つチラリと見える足がおっさんである。

アキラはボンプと言い切る菅笠の男を信じられない目で見た後、改めてエリザベスを見た……

 

「あれ、普通のボンプに変わってる……?」

 

「どうしたアキラ殿?」

 

「いやなんでもない……名前教えたっけ?」

 

「先程聞いたばかりだぞ、その様子では俺の名も聞き逃したな?」

 

「そうみたいだ、ごめん……もう一度聞いてもいいかな?」

 

「オレは桂小太郎、しがない旅人さ」

 

「よろしく、桂さん。それじゃあ行こうか、六分街へ」

 

_________

 

「ここが六分街だよ」

 

「アングラな街かと思っていたのだが、比較的過ごしやすそうな街だな」

 

「住民の僕からしても、過ごしやすいのは間違いないね。桂さんは六分街で何か用事があるのかい?」

 

「うむ、とあるビデオを探していてな。ここには良いビデオ屋があると、知人から聞いたのだ」

 

「そうだったのか、僕がそのビデオ屋の店長だよ」

 

「なんとそれは奇遇だな、では店に行ってもいいだろうか」

 

「構わないよ、僕の代わりに妹のリンが店番しているから店は開いているはずだ」

 

__________________

 

「おかえり、お兄ちゃん。そのサムライソードに出てきそうな人は?」

 

「ただいま、リン。この方は旅人の桂小太郎さん、桂さん妹のリンだ」

 

「兄には世話になった、桂だ。よろしく頼む、リン殿」

 

「よろしく!桂さんはビデオ屋で何を探してるの?」

 

「あぁ……リン殿に言うのは多少憚られるのだが……」

 

「大丈夫だよ!今はお兄ちゃんもいるし、何でも探してあげるよ!」

 

「任せてくれ」

 

「む、そうか。なら探しているビデオは……」

 

そう言って目を閉じる桂さん。

何だろう、そんなに難しい内容なのだろうか。

 

「ボンキュッボンの人妻が主演の大人なビデ」

 

「ちょっと待とうか桂さん」

 

「えっ!?何!?聴こえないよお兄ちゃん!何で耳を塞ぐの!?」

 

危なかった、男としての感が冴えてなかったらリンに聞かせるところだった。

憚られるというならもうちょっと配慮をしてほしかった、せめてリンには聞かせないとか。

 

「ごほん、それで本当にそのビデオを?」

 

「…………意外と容赦ないじゃないか、アキラ殿」

 

「桂さんたんこぶ出来てるけど大丈夫?」

 

「あぁ、大丈夫だ……」

 

「リンは気にしなくてもいいよ、それで?」

 

「……では本題に入ろう、何故俺が態々ビデオ屋に来たかを」

 

「あ、お兄ちゃんテレビ見て!速報だって!」

 

「これは今から約数年前……」

 

「本当だ、何が起こったのかな?」

 

「聞かんか!」

 

テレビを見てみると、治安局に捕まっていた囚人が逃げたと報じられていた。

これから写真も出るみたいだ。

 

「あれ……この顔……この名前って」

 

「……桂さん?」

 

「だよね……?」

 

リンと一緒に振り返ると、そこには桂さん………が変な格好をしていた。

 

「桂さん?」

 

「桂さんじゃない、キャプテンカツーラだ」

 

「いや、どう見てもコスプレした桂さんでしょ」

 

「桂さんじゃない、キャプテンカツーラだ!」

 

「指名手配されてるけど?」

 

「全く……治安局の奴等も懲りんな。もう5回も捕まってやっているというのに」

 

「じゃあモノホンじゃん!!しかもテロリストって書いてあるんだけど!?」

 

「しまった!オレを嵌めるとはやるなリーダー」

 

「お兄ちゃん、私いつの間にかリーダーになってたみたい」

 

「大事な妹をテロのリーダーにしないでくれるかな」

 

「オレがビデオ屋に来た理由、それはお前達二人が伝説のプロキシ『パエトーン』と知って力を借りようとしたのだ」

 

驚いた、まさかパエトーンだって知っているとは。

まさかニコが情報を売ったのだろうか……

 

「安心しろ、にこにー殿はビジネスとして接触した事はあるが今回は関係ない」

 

「なら何処で知ったのかな?」

 

「伝説というだけあって、その噂は各地に散りばめられていた。確信を持ったのはお前達がブレイズウッドの帰り道に話していた内容だ」

 

「えっ!?あの時は私達二人しか居なかったのに……」

 

「リンっ」

 

「あっ……」

 

「別にそこを追求するつもりは無い、お前達の生活を脅かそうとはしないさ。オレがやってもらいたい依頼は別にある」

 

「というと?」

 

「……かつてホロウが発生した時、それを隠蔽しようとした政府があった。師であった松陽先生を筆頭に、門下生であったオレ達に罪を擦り付けてな」

 

桂さんが語った内容はとてもやり切れない話だった。

松陽という人はホロウを発生させた主犯として、そして死刑実行させたのは門下生である一人の侍だったと。

亡骸を取り戻そうとしても、約束を守らなかった政府は門下生を捕え松陽の亡骸はホロウに埋められたのだった。

桂さんと他三人を含めた数人の門下生は政府から逃げた後、ホロウを探索するも途中で政府に見つかり四対数千の軍隊とで戦争が始まった。

 

「オレ達は抵抗したがリーダー格であった銀時、そして高杉は高度のエーテルを打たれエーテリアスと化してしまった。オレと坂本は逃げざるを得なかったのだ……」

 

「その後……どうなったんですか?」

 

「エーテリアスとなった二人は圧倒的な力で政府を薙ぎ倒し、結果的にはその国を終わらせた。だが色々わかっていない事が多過ぎる、何故政府は松陽先生を標的にしたのかとかな」

 

「もしかしてそれを僕らに探って欲しいという事かな」

 

「手掛かりは幾つかある、先ずはその一つを回収を目標としたい。」

 

「成程……でも何でまた治安局に何回も捕まってるの?」

 

「表向きにはオレはテロリストだからな、追ってくる治安局に腹が立って爆弾をぶち込んでやったことがある」

 

「表向きも何も立派なテロだよ!?というかだいぶ前にニュースでやってた治安局爆破事件の犯人って桂さんだったの!?」

 

「それからというものの、潜入捜査としてわざと捕まり内部情報を探っていた。その中で最も重要な事を発見できた」

 

「それは?」

 

「蕎麦が美味い」

 

「……それだけ?」

 

「うむ、ラーメンも良いがやはり蕎麦だ。硬派な侍ならば蕎麦」

 

「硬派……?キャプテンカツーラの格好で言うことじゃない気が」

 

「さて、店長とリーダー。引き受けてくれるだろうか」

 

「「もちろん/任せて!」」

 

 

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