Fake/Another apocrypha after 作:ハトスラ
「これで敵同士ですね」
二人連れだって教会を後にする。
扉をくぐり外に出た直後に、前を行く雅からそう声をかけられた。
振り返らずに歩みを進める彼女の表情は、九条からは伺い知ることができない。
「……ああ。そうだな」
九条には、そう返す以外の答えが浮かばなかった。
あのシスターの問いに『戦う』と答えた以上、自分以外のマスターは全て敵だ。それは目の前にいる少女も例外ではない。
自らが欲する奇跡のために、恩人である少女と殺し合う。
その道の、なんと業の深いことか。
息を深く吐きだして、星明かりを受ける少女の背中を見つめた。
七人のマスターと七人のサーヴァント。
その中で、最も力の劣るのは九条であろう。雅以外のマスターに会ったことがなくても、それぐらいのことは予見できる。
ならばこそ、戦う覚悟だけは人一倍持たなくては、戦いの舞台にすら立てはしない。
だから、震えそうになる唇を必死で動かして言葉を紡ぐ。
「戦うのか。今、ここで」
殺し合いを始めるのか。
それを少女へ問う。
「……」
問われた雅が足を止め、こちらへと振り返った。
それと同時。セイバーが九条の前に、アーチャーが雅の隣へと実体化する。
振り返った雅の顔は、思わずゾッとするほど冷ややかだった。
今まで九条に向けていたものとは、全く違う表情。これが戦士としての、いや魔術師としての遠坂雅ということか。
彼女の傍らに立つアーチャーからは、すでに雅以上のプレッシャーが放たれている。さすがはサーヴァント。涼しげな表情からは欠片も戦意が感じられないクセに、迂闊なことをすれば殺されるという確信を与えてくる。
だが、それはセイバーも同じ。
九条の位置からは表情こそ見えないものの、彼の背中から感じるものはアーチャーのそれと同じ類だ。守られている九条ですらプレッシャーを感じるのだから、直接、気をたたきつけられている雅は、さぞ息苦しいことだろう。
そのまましばらく睨みあって、緊張感で吐き気がしてきた頃、やれやれといった様子で雅が諸手を挙げた。
「……やりませんよ」
はあ、なんて大げさに溜め息まで吐いて首を振る。
雅のその動作で、場を支配していた緊張感は一気に霧散した。
「九条さんには関係ない話かもしれないんですけど。一日中歩き回って足はクタクタだし、後ろから刺されるし、血は足りてないし、虎の子の宝石は三つも使い潰すし。
そんな訳で正直な話、今日はもう帰って寝たいんです」
そう言って、雅はこちらへと背を向けて歩き出した。
「えー……、と?」
無防備すぎる背中に困惑する。
いくら九条が素人であっても、この状況で簡単に背中を見せるのは如何なものか。
こっちは目の前で宣戦布告をしたようなものなのだし、後ろから攻撃されるかもしれないとか考えないのだろうか。状況的に、普通の神経では、こんな風に背中を晒すなんてこと出来ないだろうに。
「我がマスターながら、剛胆なものですね」
「それには全く同意するしかないが。どちらかと言うと、貴公と私のマスターに対する信頼なのだろうよ」
呆れたようなアーチャーの台詞に、セイバーが苦笑する。
サーヴァントたちにとっても、やはり雅の行動は大胆に過ぎるらしい。
「なにやってるんですかー? 帰りますよー。
それとも、戦うんですかー? そっちが挑んでくるなら、こっちは受けて立ちますけどー?」
と、先を歩いていた雅がこちらへと呼びかけてくる。
なんというか、彼女の中ではもう完全に帰宅コースらしい。
それでも、こちらが戦うと言えば受けて立つ気があるというのはウソではないようで、彼女の手には煌びやかな宝石が握り込まれていた。
どういった理屈かはわからないのだが、九条は雅の宝石が攻撃に使えることを見ている。ここで戦うと言えば、あの宝石がこちらに投擲されるのは容易に予測できることだった。
「……戦わないよ」
「そうですか。なら、帰りましょう」
そう言い残して、再び雅が帰路に就く。
九条の言葉をこれっぽっちも疑わない姿勢に、何故か九条の方が不安になった。こちらに彼女を騙す意図はないが、それにしたってあっさりと信じすぎではないだろうか。
「確かにアレは、貴方に対する信頼ですね」
「へ?」
雅の後ろ姿を見つめていた九条は、アーチャーからの思わぬ言葉に、そちらへと視線を送った。
「貴方なら、背中から不意を討つようなマネをしないという信頼ですよ。その信頼を、どうか裏切ることのないように」
では。と、アーチャーの姿が薄くなっていく。
霊体化したのだろう。戦いの場以外でサーヴァントを実体化する必要性は薄いらしいと、先ほど聞いた。
「良かったのか?」
アーチャーの姿が完全に消えたタイミングで、セイバーからそのように問いを投げられた。
「いいんだ。俺はまだセイバーのこともよく知らないし、遠坂さんとアーチャーがどんな風に戦うのかもわからない。
そんな状態で戦いを挑んだってさ、きっと俺が足を引っ張って負けちまうよ。そのぐらいのことは、素人の俺にだってわかってるつもりだ」
セイバーの顔を見上げながら答える。
九条もそう背が低い方ではないが、さすがに2メートルを超える長身相手だと自分が小さくなったように感じる。
九条の答えを受けたセイバーは、その内容に納得がいかないのか眉間に皺を寄せた。武人、という印象が強い彼がそのような表情を取ると、それだけでかなりの威圧感がある。
九条は焦った。自分の判断だけで戦いを取り下げたのはまずかったのだろうか、と。
しかしそんな心配をよそに、セイバーは首を振って、
「いや、そちらの心配ではない」
と、そう言った。
「あのシスターが言っていたな。
『戦う』と答える以上、アーチャーのマスターとも殺し合うことになると。そしてその言葉通り、彼女とは敵同士になってしまった。
貴殿はそれで良かったのか? と、それを問いたかった。貴殿はあの少女との戦いを望んでいないだろう?」
「そんなことは……、」
ない。とは続けられなかった。
戦うと決めた以上は、そう答えなければならなかったのに、九条にはそれを口にできなかった。
「……ごめん。セイバー」
なんて浅い覚悟。
奇跡を欲したのに、その代償を提示されていたのに、それを踏まえた上で戦うことを選び取ったハズなのに。実際に戦う立場となってから後込みしている。
他の誰かなら、まだいい。
でも雅は別だ。九条を助けようと身体を張ってくれたあの少女と戦うことを、九条はどこかで恐れてさえいる。あっさりと「今日は戦わない」と引き下がった雅を見て、安心してしまった自覚だってあるくらいだ。
あのシスターは、サーヴァントにも叶えたい願いがあると言っていた。つまりセイバーにも叶えたい願いがあって、その為に九条と組んでいるということだ。
それなのに九条がこんな調子では、セイバーとしてもさぞ苦しいだろう。そもそもの性能が一番低いマスターだというのに、敵と戦う覚悟すらままならないのでは、まともに戦うことすら難しいのではないか。
「すまない。少し意地の悪い質問だったな」
「え」
「義理、人情、愛情。そういったもので戦う覚悟が鈍るのは、戦士としては致命的だ。だが、人としてはとても真っ当だろう」
何か懐かしいものを見るようにセイバーが目を細めた。その声色に、こちらを攻める色はない。
「いずれ腹を括る時が訪れようが、その時はその時だ。今は限られた時間の中で、戦う気持ちを育てるがいいだろう。それまで貴殿を守るのが私の役目でもあるしな」
「……セイバー。その、ありがとう」
「礼は不要だ。サーヴァントがマスターを守るのは当然のこと。そして恐らく、私は貴殿のそういった精神性に引かれたサーヴァントだからな」
「俺の、精神性……?」
思わぬ言葉に首を傾げる。
意味合いはなんとなくわかるのだが、その実感はない。九条の一般的な精神性の、何に引かれてこの武人が喚ばれたというのだ。いや、そもそもサーヴァントの召喚とはそのようなものなのだろうか。
九条の疑念に答えることなく、セイバーが雅へと視線を向ける。
困ったように笑いながら、彼は言った。
「つまらない質問で引き留めてすまなかった。もう行った方がいい。今、彼女の機嫌を損ねるのはよろしくないだろう?」
「へ? ……あ」
セイバーの視線を追った先では、先を歩いていた雅が立ち止まってこちらを見ていた。心なしか少し怒っているようにも見える。
「ご、ごめん」
霊体化するセイバーを横目に、小走りで雅の元へ向かう。
慌てて雅に並ぶと、彼女はそっぽを向いてしまった。
「別に。敵同士ですから、九条さんが私と一緒に帰りたくないのも当然でしょう」
「ごめん。そんなことないから、嫌とか思ってないからさ」
拗ねたように言う雅をなだめつつ、彼女とともに来た道を引き返していく。
セイバーとの会話にかまけて彼女を放置してしまったのは九条の過失だが、それを気にしてこのような態度を取るだなんて思ってもみなかった。大人びた女子高生だと思っていた雅が、まるで年相応の(あるいはそれ以下の)振る舞いをすることに少しだけ驚く。
それと同時に、なんだか微笑ましい気持ちにすらなって、九条は緩みそうな口元を必死で隠した。
(感化されるな。この娘は敵。敵なんだ)
そう自分に言い聞かせながら坂道を下っていく。
これ以上、雅に情を移してしまえば、肝心な時に戦えなくなってしまう。
「ところで、九条さんの家ってどの辺りなんです? 深山町で働いてらっしゃるみたいですけど、自宅は新都だったりするんですか?」
「……え? あ、ああいや、住んでるとこも深山町だよ」
「そうですか。じゃあ橋を渡るまでは一緒に帰りましょう。そこで解散ってことで」
「あ。う、うん」
こちらの気も知らずに、なんてこともないように雅が言った。
お互いの住まいが深山町にあるのなら、途中まで一緒に帰るのは何もおかしなことではないのかもしれない。
それでも一応は敵同士なのだし、一緒にいる時間が延びるほど情は移るし。
なのでせめてもの抵抗として、九条は雅から数メートルの位置を維持して歩く。
絶妙に会話もし辛い距離感なので、それ以降二人の間に会話はなかった。サーヴァントたちにも積極的に交流する意志がないのか、霊体化して消えた後は言葉一つ発さない。
沈黙のまま坂道を下りきって、新都の街並みを抜ける。
前方に赤い鉄橋が見えて、そろそろ雅ともお別れかあ、とそんなことを思った。
「あの」
「え、何?」
「そんなに離れて歩かなくても、取って食べたりしませんよ。今日はもう戦わないって宣言したでしょう? それを忘れて襲いかかったりなんてしませんから、もう少し近くを歩いたらどうです」
「いや、それは……」
「……別に構いませんけど。そういうの地味に傷つきますから、やめた方がいいですよ」
傷つく、のか? この程度のことで? 敵同士なんだから馴れ馴れしくしないのが普通なのではないのだろうか?
疑問を浮かべつつも、これ以上距離を詰めるのはやはり戸惑われる。雅に襲われるなんて不安は全くないが、この先もっと九条が雅相手に戦えなくなってしまう。
それでも、年下の女子から面と向かって傷つくとか言われてしまうと、このまま距離をとって歩くのも申し訳ない気がしてきてしまうのも確かだ。
一人悶々とした思いを抱えながら鉄橋に差し掛かる。
赤い色が特徴的な冬木大橋は、車道と歩道が別の段に据えられている。上が車道。下が歩道といった具合だ。
その分かれ道の直前。
片側二車線の車道のど真ん中に、一人の女が立っていた。
「こんばんわ。いい夜ね」
長い髪が特徴的な女だった。
足下まである髪を風に遊ばせながら、こちらを見つめている。
九条は眉根を寄せた。
自分の知り合いではない。何せ言葉の内容こそ日本語だが、女自身は見るからに外国人の装いである。生まれてからこの方、海外の人間と関わり合いになったことなどない九条には、このような知り合いなどいない。
では雅の知人だろうか、と目を向けかけて、右手の甲がじくりと痛んだ。
「え、なに……?」
九条の右手には令呪があるだけ。
これが、痛んだ? 何故、と思うより早く女が口を開いた。
「海浜公園での戦いを見たときは『出遅れた』って思ったのよ? でもまだこんなところをウロウロしててくれたみたいで、私とても嬉しいわ」
「……そう。つまりアンタもマスターってわけ?」
「なっ」
驚愕に目を剥く。
海浜公園でのやり取りを見られていたということもさることながら、それを知ってここまで出向いてきたということは、この女の目的は一つしかない。
「ええ、そうよ。ほら聖杯って全員をぶち殺さなきゃ手に入らないんでしょう? だから、わざわざ工房から飛び出して、他のマスターを殺しにきたって訳」
パチン、と女が指を鳴らす。
それが合図だったのか、女を庇うように一体のサーヴァントが出現した。
漆黒の鎧に身を包んだ、騎士風の男だ。右手には鎧と同じく黒塗りの剣が握られている。
「バーサーカー」
雅が呟く。
「ほら、そっちも早くサーヴァントを出しなさい。それとも、そのまま棒立ちでバーサーカーに挽き肉にされたいのかしら?」
「……っ」
咽が干上がる。
殺されたいなんて、そんなハズはない。
けれどわかってしまった。
アレは今夜出会ったサーヴァントのどれよりも強い。それもちょっとやそっとの差じゃない。圧倒的なまでの戦力差。
動けない。
動けば次の瞬間に死ぬ。
断頭台で処刑を待つ囚人の気分。
身震いすら許されない圧倒的な殺意。
だが、
「冗談。挽き肉とかご免被るわ……!」
九条の傍らに立つ、遠坂雅にはそんな脆弱さはまるでなかった。
五指を開き、その掌上から光を炸裂させる。
雅の動きとともに、天空から銀色の雨が降り注いだ。
主従揃っての有無を言わさぬ先制攻撃。
漆黒の騎士どころか、そのマスターである女ごと撃ち抜こうというのか。海浜公園での焼き直しのように、無数の矢がバーサーカーたちに襲いかかる。
が、焼き直しというのなら、むしろこの結果は当然ですらあったのか。
「オオオォォooooooooo■■■■ッ!!!!」
吼え猛る狂獣が、あろうことか矢の迎撃へと挑みかかった。
その手に握った剣の一刀のみで、雨と降る矢の迎撃をしようというのである。
「なっ!?」
驚愕の声は雅のものだ。
雅の魔術がぶち当たるのも構わず、バーサーカーが縦横無尽に剣を振り抜く。その度に、無数の矢が地面へと叩きつけられていった。
アーチャーの放つ矢は、その一矢がもはや砲撃と言っても過言ではないほどの威力である。矢と剣が激突するごと、その余波だけでアスファルトがめくり上げられていくところからも、それがわかる。
けれど、それだけの威力を乗せた矢を雨と降らせても、バーサーカーは倒れない。どころか、その無数の矢はバーサーカーの後ろにいる女に届くことさえない。
「オオオOOoooooooッッ!!」
地面に恐ろしいほどの破壊の跡を刻み込みながら、バーサーカーが矢の迎撃を終える。
ギロリ、とこちらを見据え、次の瞬間には狂獣は九条の目の前にいた。
「は?」
バーサーカーの動きに理解が追いつく前に、吹っ飛ばされる。
一瞬の浮遊感。
直後、そのまま背中から地面に落ちて、痛みにうめき声を上げた。
「う、痛ってぇ」
顔をしかめながら前を向く。
直前まで九条が立っていた地点では、既にセイバーとバーサーカーが激しい打ち合いを演じていた。
それでようやくセイバーに助けられたのだと悟る。そうでなければ女の言葉通り、九条はとっくに挽き肉だ。すぐ近くにあった死線に、今更ながら背筋が凍った。
「アーチャー、次弾ッ!」
セイバーとバーサーカー。周囲一帯を激しく蹂躙する二人から距離を取りつつ、雅が絶叫する。
直後、
今度は連射ではなく、たった一射。
それでもその一射は、先の矢が止まって見えるほどの速度で突き進む。
夜の闇を切り裂いて奔る銀閃が、セイバーのコメカミをかすめてバーサーカーに到達した。
「!」
九条は息を呑んだ。
セイバーと激しい立ち回りを続けるバーサーカー。至近距離で入り乱れる二騎のうち、一騎のみを狙い撃ちにするなど人の技ではない。
故に、その魔技を上回る迎撃を行ったバーサーカーは、真の意味で人を離れてしまっている。
「オオオオオオオオォォォォォォォォォッ!!」
吼える狂獣。
その左手にはへし折れた矢がある。狂戦士は眉間への狙撃を、あろうことか左腕で掴み取ったのである。
無論、至近距離で白兵戦を演じていたセイバーがそれに気付かぬハズはない。
矢の迎撃に意識を裂いた一瞬を逃すまいと、その長剣が何度も翻る。
だが狂戦士は崩せない。
技もなにもあったものではない。右手だけで振るう駄剣。それがセイバーの猛攻を捌き続ける。
純粋なパワーとスピード。このケモノは、そのたった二つの事柄だけで、セイバーの剣撃もアーチャーの狙撃にも対応してみせるのだ。
「……ぐ、人のことは言えないが貴公も大した馬鹿力だなッ!」
攻め手に回っていたハズのセイバーから苦悶の声が上がる。
攻守なんてとっくに切り替わっていた。
長剣と刃付きの獅子盾。セイバーはその両方を使って、ようやくバーサーカーの攻撃を受け流す。
なんてバカみたいな展開。
最強の攻撃力を最強のスピードで振るえば勝てるなんて、そんな子供の絵空事みたいな理屈がまかり通ってしまっている。
「なんて化け物よ、アイツ!」
そう叫ぶ雅の声にも余裕がない。
マスターとして九条よりも遙かに優秀な彼女は、現状での危機感も九条以上に感じ取っているのだろう。
「うふ、ふふ。ふは、あはははははははははッ! いいわ、最高よバーサーカー!」
猛威を振るう狂獣。その手綱を握る女が、さも愉快そうに高笑いする。
「さあ。さあ! さあッ! さあッ!! そんな連中、残さずミンチにしちまいなさいッ! ブァサァカァァァァァアアアアアアアッ!!」
「いやいや参りました。まさかアレほどの怪物がいるとは」
冬木大橋を支えるアーチ。そのテッペンに一人の影。
眼下で繰り広げられる戦闘を見ながら、その人物は溜め息を漏らした。
「白兵戦では勝ち目がない。さらに、あの戦闘の最中にアーチャーの狙撃にすら対応可能な勘の良さと視力。そして純粋なスピード。今次の聖杯戦争における最強のサーヴァントは彼でしょうか」
アーチの高さは地上50メートル以上。どんな人間でも落ちればただでは済まない高さにいながら、声の主はそれに全く頓着した様子を見せない。
そんな正気を疑うような場所に立ちながら、その人物の装いは、まるでただの少女のようだった。
薄手のシャツに、淡い桃色の上着。青のタイトスカート。長く艶のある黒髪は、まとめずにそのまま流している。
街にいればさぞ目を惹くような容姿の人物。平たく言えば美少女。
それ故に、違和感は相当のものだ。
格好自体は何もおかしくはない。だがそれは駅前のアーケードであったり、海浜公園であったり、この冬木大橋の『歩道』を歩いているときならば、だ。このような危険な場所では、その如何にも普段着といった装いこそが強い違和感となる。
それでもここにそんな違和感を指摘する人間はいない。
加えて、本人もそんな些細なことは気にしていなかった。
今、ここで大事なのは眼下のサーヴァントたちの動向と戦力だけである。
「ところでマスター。見えていますか?」
『ええ、視界の共有は問題なく。それよりも私に裂く心の余裕があるのなら、しっかり敵を観察なさい。貴方の役目は偵察なのよ。それをわかっていて、
「これは失礼を。偵察を続けます」
念話を通じたマスターからの叱責に苦笑する。
自分はどうにもマスターに好かれていないようだ。アサシンが召喚されてから、かれこれ一週間近くが経とうとしているが、マスターが自分に話しかける時は大概がしかめっ面である。
今の会話の中にもトゲのようなものを感じたし、自分はとことん誰かの下に就くことが向いてないらしい。何せ、マスターが自分の何を気に入らないのか、全く思い当たらないのだ。
「……ままならないものですね」
戦えば敗北は必至のサーヴァントと、マスターに好かれぬ自分の両方に、アサシンは溜め息を吐いた。
ここに全てのサーヴァントは出揃った。
今宵の戦いは、この先の戦いに向けた前哨戦でしかない。
誰もが奇跡の杯を求め、この戦いに命をかける。
ならばこそ、戦いは熱く。激しく。凄惨に。参加者の意志など関係なく。加速し続けてゆく。
Fake/Another apocrypha after
奇跡を欲するのなら、汝────、
────自らの力を以て、最強を証明せよッ!!
※アニメ第二クール放送開始おめでとうございます!
いやぁ、今からあんなシーンとかこんなシーンとか楽しみですね!!
【まるで主人公】セイバー陣営
筋力A+ 耐久C 敏捷C 魔力D 幸運D 宝具C
【やだ。私のマスター空気すぎ】ランサー陣営
筋力B 耐久E 敏捷A 魔力C 幸運E 宝具B
【姫と従者】アーチャー陣営
筋力B 耐久C 敏捷A 魔力C 幸運E 宝具?
【かませ】ライダー陣営
筋力C 耐久C 敏捷B 魔力D 幸運B 宝具?
【僕は上司の心がわからない】アサシン陣営
筋力C 耐久C 敏捷A+ 魔力C 幸運D 宝具?
【最強厨】バーサーカー陣営
筋力A+ 耐久A 敏捷A 魔力B 幸運D 宝具?
【レギィンッ!俺は人間を辞めるぞぉッ!!】キャスター陣営
筋力C 耐久B 敏捷C 魔力A+ 幸運E 宝具?
勝ち残るのはどいつだ!?