Q:貞操逆転あべこべウマ娘世界でアイドルになれますか?   作:ほりさか

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まだまだ設定を練っていますが、とりあえず走り出しは書けたので投稿します。後日修正するかもしれませんが。

今回はじっくり煮詰めながら進めたいと思います。




とあるウマ娘のモノローグ

部屋に飾っている、一枚の集合写真。

 

この写真を見る度に、あの日の出来事が今でも鮮明に思い出せる。

 

それはそう、秋も深まり冬の訪れを感じさせる11月。

 

それは私の重賞が掛かったレース。そして勝っても負けても引退すると、トレーナーさんと2人で決めた大事なレース。

 

天気は晴れ、そして良馬場。観客の皆もいつもより多く集まって盛り上がっているのを感じた。

 

今までの辛かったことや楽しかったこと、仲間達と共に過ごした事が走馬灯のように巡る。

 

--引退するにはいい日だ。

 

地元であるこのレース場でデビューできて、恩返ししたくてこのレース場を盛り上げようと必死に頑張ってきた甲斐あってか、今の戦績は9戦2勝。

 

少しはこのレース場に貢献できたかな?そうだったらいいな。

 

そして、なんとか今日の重賞レースを勝って、レース場に、応援してくれた皆に、トレーナーさんにありがとうを届けたい。

 

私の枠は3番。

 

3勝目を得るため、後はがむしゃらに一生懸命に力を振り絞ってレースを走り切るのみ。

 

深呼吸をして高鳴る緊張を抑え込み、ゲートを睨みつける。

 

逸る気持ちを押さえつけながら、集中力を高めてゲートが開くのを今か今かと待つ。

 

「各ウマ娘、ゲートに入って体勢整いました。…スタート」

 

ガコンッ!といつもの同じ音が聞こえ、ゲートが開き眼の前が広がると同時に飛び出す。

 

勝つこと、そして楽しむことのみを考え、私のレースは始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ。

 

心臓が痛い。目も霞む。大量の空気を吸い、目一杯の酸素を肺に送る。

 

でもやり遂げた。私はやり遂げたんだ!

 

掲示板も私の枠番が1番になった瞬間に、涙が溢れて止まらなくなった。

 

その差、なんとハナ差。

 

中々勝てなくて諦めかけたこともあったけど、トレーナーさんを信じて良かった。諦めないで良かった。自分の力を全て出し切れた。

 

そう思えるレースだった。

 

これで私のレース人生は終わりを迎えた。まだ少し心残りはあるけれど、それでもそれを振り切ってダートを去ることはできる。

 

観客の歓声を背に、この後のウイニングライブが控えている為、一旦控え室に戻る。

 

嬉しさを噛み締めていると、突然トレーナーさんがノックもせず血相を変えて飛び込んできた。

 

「いいいい今すぐ会議室に集合よ!早く!急いで!」

 

いきなり過ぎてびっくりして飛び上がってしまった私を、関係ないとばかりに鬼気迫る形相で追い立てながら我慢できないとばかりに手を取り走り出した。

 

急な展開についていけない私を置き去りにして、全力で走るトレーナーさん。

 

え?ウマ娘の私が負けてる?ち、力強い!トレーナーさん!ま、待って!

 

暴走しているトレーナーさんと一緒に、なんとか会議室に入ると今日レースを走った娘達全員が理由が分からない顔で、そのトレーナーさん達がかなり焦った様子で待機していた。

 

私達が入ってすぐさまコンコンとノックが聞こえ、同時に大量の黒スーツの成熟したウマ娘達が6人ほど立ち並んだ。

 

「傾聴!いいか、今からある方が入ってこられる。冗談ではなく絶対に騒ぐな。動くな。していいのは呼吸だけだ。いいな?」

 

殺気を纏い私達を脅してくる様子は、はっきり言ってめちゃくちゃ怖い。

 

一体私達が何をしたんだ。

 

泣きたくなるような感情と、理由の分からない後悔で押しつぶされそうになった瞬間、その感情はものの見事に反転した。

 

「皆さん、こんにちわ」

 

一人の男の子が6人スーツ姿のウマ娘達に囲まれて、この部屋に入ってきて、なおかつ私達に挨拶したのだ!

 

全員が叫びそうになったが、一瞬で全員が直立不動の姿勢を取った。先ほど警告したウマ娘が、こちらをとてつもない目つきで睨んできたからだ。

 

「ーーさん、ありがとうございます。でも大丈夫ですよ。ね、皆さん静かにしてくれますよね?」

 

私達が怯えたのを察したのか、めちゃくちゃ睨んでくるウマ娘を止めてくれて、なおかつ私達に笑顔を送ってくれるなんて…。この男の子は天使か?天使だわ。天使さんって呼ぼう!

 

「初めまして、僕は大崎健太と言います。今日のレースとても感動しました。皆さんがよろしければぜひ一緒に歌わせてください」

 

天使さんが私達と一緒にウイニングライブを歌いたい?天使さんは何を言っているのだ?訳が分からないのだ。

 

いや、なんて言ったかなんて分かってはいる。分かってはいるんだけど、私の脳はきちんと情報を処理してくれない。

 

ウイニングライブ?一緒に歌う?私達の許可が必要?

 

前代未聞すぎて、信じられないことだらけだけど、どうやら皆も同じようで困惑顔をしているけど尻尾は正直だ。

 

私もふくめ全員がピン立ちしていやがる。

 

誰も返事しない。天使さんがちょっと困った顔を浮かべる。

 

その困り顔、ごちそうさまです。

 

天使さんの困った顔をもうちょっと見ていたかったんだけど、理性と本能が私の頭の中で殴り合いをして勝負が付いたため、私は意を決した。

 

「はい!一緒に歌いたいです!」

 

シーンと静まり返る会議室に、やってしまったと後悔が募る。

 

くっ、殺してくれ!と言いそうになる静寂に、天からの光が舞い込んだのだ。

 

「ありがとうございます!素敵なライブにしましょうね」

 

ヒュー!神様天使様ありがとう!私、このビッグウェーブに乗れました!!!!

 

ここからは怒涛の時間だった。

 

私の引退ウイニングライブに、急遽天使さんが参加することになったおかげで、集められたウマ娘達も参加を表明。

 

G1レースじゃないのに、バックダンサー付きのオールキャストでウイニングライブをすることになったから関係者一同集められて打ち合わせが開始した。

 

もちろん、異例中の異例のことで全責任は僕が取りますと天使さんが謎のリーダーシップを発揮し、どんどん決まっていく。

 

皆てんやわんやの大騒ぎだけど、今まで以上に充実した時間になっていることは間違いない。

 

参加者全員が、充実感とプレッシャーに押しつぶされそうな形相を浮かべて、死に物狂いで動いているのだから。

 

リハーサルもすぐに行われて、一度通した後、天使さんが何か改善案はない?って言うから一人がこうしたいって言ったら天使さんは笑顔で了承を取った時は、他の子達も私もと続いて戦争になりかけたのも、まぁ、仕方ないっちゃしかたない。

 

歌う曲はメイクデビューの1曲のみ、なのに練習から皆全力で取り組んでいる。

 

だけど全員が全然疲れを覚えずやりきれたのは、間違いなく天使さんのおかげだった。

 

本番開始前に、準備に走り回ったスタッフ全員を巻き込んでの円陣掛け声!

 

天使さんが「We are!」と激を飛ばすと私達も負けじと「ウマ娘!」と返す。

 

この時は、全員テンションがぶち上がっており、なんでもできる気がしていた。皆のことが手に取るように分かるような、そんな全能感や一体感をこの時ほど感じたことはなかった。

 

こうして後に伝説となった、地方重賞レースのウイニングライブが幕を開けたのだった。

 

それにしても、ホント私達は運が良かった。だってあんな有名なウマ娘達と仲良くしてる天使さんと今でも交流があるんだから。

 

これからもよろしくね!天使さん!

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