東国の令嬢に転生したので世界を平和にすることにした。 作:あゆなみ
ある日の放課後。
荷物をまとめて帰ろうとしていると何やら外から歌声が聞こえてきた。
合唱コンクールの練習でもしてるのかと思い外を見てみるとそこには見覚えのある人物がちらほらいた。
(えっ...何してるんだろ?)
1人の男の子を囲い、みんなで一緒に歌を歌っている。
ただ2人を除いて...
(アーニャちゃんとアルトだけ突っ立ってるわ...みんな感情込めて歌ってるのに...)
しかし面白いので一時見ているとデミーくんがやってきた。
「...何をしているんだ?」
ちょっと...いやかなり引いていそうな顔をしている。
しばらくするとみんな男の子にプレゼントをあげて元気に送り出していた。退学でもするのだろうか?
ちなみにアルトだけ何もものをあげていなかった。
アーニャちゃんですら謎の葉っぱをあげていたというのに...
なんか気になったのでデミーくんと二人でアルトに何があったのか聞きに行くことにした。
「アルトー!やっほー!さっき何してたの?みんななんか泣いてるっぽいけど...」
「あぁ。お姉様。何してたって馬鹿な話ですよ。」
そう言ってアルトはここまでに至った経緯を語りだした。
どうやらデズモンドグループに会社を潰されたと勘違いしてるグルーマン製薬のとこの息子さん...ジョージくんがダミアンくんを恨んで退学させようとしていたとこから始まったらしい。
そう。勘違いで...
「デズモンドグループはグルーマン製薬を買収しただけだぞ。別に会社自体は潰れない。」
デミーくんが淡々とそう告げる。
私の家も仕事の都合上グルーマン製薬さんとは関わる機会が多いため、父親からその話はチラッと私もアルトも聞いていた。
なんなら普通にそのことは確かニュースで流れていたので大体の人は知っているはずだ。
「恨まれて退学させられかけるなんてお偉いさんの子供も大変だね〜。デミーくんも気をつけないとね!」
まぁデミーくんに直接何かしようという度胸を持っている人は中々居ないと思うが...
「...あぁ。気をつける。」
デミーくんはそう真顔で告げた。
「それにしても...みんなテレビとか見ないのかな?一般家庭にもあるくらいには普及してるはずだし、寮にも置いてあると思うんだけど...」
「見ていたとしてもあまり関心を持っていないから覚えてないんですよ。」
アルトが少し冷たい顔で話し出す。
「人間って馬鹿ですよね。まぁ全員ではありませんが。表面上の情報だけ受け取って真実を知ろうともしない。そこに隠された裏側を考えない。愚かにも程があります。だからこうやって勘違いが起きて無駄な時間を過ごす。」
そう話すアルトの意見は間違ってはいないし、世界を平和にするための核心を少しついてる気もする。でも...でも...!
「デミーくん。これって6歳が喋り出す内容なのかな?」
「...知らん。」
なんか最早頭良いとかの領域を超えてきている気がする我が弟に少し怯えつつも、確かに真実を知ろうとする姿勢をとることは巡り巡って世界平和を実現させることに繋がるんだろうな。とは思う。
知識というのは武器になる。とも言うし様々な知識を与えられる教育というのは大切なものなのだろう。
「じゃあそうならない為にももっとお勉強しなきゃだね!まぁでも2人は勉強はできてるし、あと必要なものがあるとすれば人の気持ちを考える力かな?」
アルトは"なるほど!"と言わんばかりの表情をしているが、デミーくんは完全に固まってしまった。
(あちゃー言葉選びミスっちゃったかな?)
彼は生まれ育った環境も相まって人のことをあまり深く考えることができない。秀才ゆえか、人のことが理解できないそうだ。
昔、1度だけ私にそのことを相談してくれたことがあった。なんでそんな話になったのかはあまり覚えてないが...
私は無意識にデミーくんの手を握っていた。
その後、ダミアンくん退学の危機をアーニャちゃんが救ったという話をアルトから聞き、ダミアニャをこっそり推し始めていた私は大興奮することとなった。
ちなみに翌日顔を真っ赤にしながら登校してきたジョージくんを見たとか見なかったとか...
アーニャちゃんはずっと色々考えているアルトの心を読んで、(父みたい...)と思っているそうです。