東国の令嬢に転生したので世界を平和にすることにした。 作:あゆなみ
僕の名前はアルト・クラベス。
クラベス家の長男で、医者の両親と、ここイーデン校の生徒で”皇帝の学徒”と呼ばれる優等生の称号を持つ姉が1人いる。
僕は幼い頃から姉のことが大好きだ。
姉は無邪気で明るくて可愛いかと思えば意外としっかりしてるし、誰かを守ろうと行動することができるヒーローみたいな人である。
まぁ姉語りは1回置いておいて、たった今僕のクラスの担任であるヘンダーソン先生から、「興味のある職業について調べる」という課題が課せられた。
周りの反応を聞いてる感じ、自分の親の職業を調べようとしてる人が多そうだ。
僕もどうせ医者になって実家を継ごうと思ってたので、まぁ父の仕事について調べるとしよう。
母は産婦人科医だしな。ちょっと気まずい。
下校時間になり、姉様と一緒に帰るために中等部の方へ向かう。
もう少しで教室だという時にとある人物が教室から出てくるのが見えた。
「こんにちは。デミトリアス様。姉はまだ教室にいますか?」
出てきたのは姉が親友だといって物心ついた時からずっと話にあがっていたデミトリアス様だった。
最初は彼を目の敵にしていたのだが、話しているのを見ていくうちに彼が心の底から姉を好いていると気づいたので(本人がそのことに気づいてるかどうかは怪しい)仕方なく許してやることにした。
「...あぁ。アネットの弟...あいつならまだ教室にいるぞ。もう少ししたら出てくると思うが...」
「そうですか!ありがとうございます!」
そう笑顔で返しておく。
あの人姉様の名前覚えてたんだ...ちゃんと名前で呼んであげればいいのに。
ダミアンといい、デズモンド家は好いた相手の名前が呼べないのだろうか。
その後姉と合流し、帰路に着いた。
夕食の時に父に職業調査のことを説明し、今度病院に訪問する許可を貰った。
うちは会社経営もしているが、ややこしくなるので医者の方の仕事だけ見させて貰うことにした。医療器具の研究してるの眺めるだけとか面白くないしな。
調査当日。
父が院長に話があるらしく「ここで少し待っててくれ。」と言われた為待機していた。
暇なので座って本を読んでいると、見覚えのあるピンク髪を見かけた。
(あれは...アーニャ・フォージャーさん?)
特徴的な髪飾りにぱっちりとした緑色の瞳。間違いなくフォージャーさんだ。そういえば父親は精神科医だったか。
まぁ話しかける程仲良くは無いので気づかなかったふりをしようとしたが、バッチリ目が合ってしまった。
フォージャーさんの父親とも目が合ってしまい、2人がこちらへ向かってきた。
「あ!おじとちちに似てるやつ!」
「こら!病院で叫ぶんじゃない!娘がすみません。」
なんか騒がしそうな2人だな。と思いつつとりあえず挨拶しておく。
「こんにちは。アルト・クラリスといいます。フォージャーさんとは同じクラスメイトです。」
「アルトくんか!こんにちは!アーニャのクラスメイトなんだね!是非仲良くしてくれると助かるよ。」
そう言ってニコニコ話すフォージャーさんの父親はなんだか嘘と本音が混ざったような笑顔だった。
そうこうしてると父が戻ってきた。
それぞれ見学するところは違うため、その場で2人とは別れた。
外科医である父の仕事はとても興味深く、あっという間に時間が過ぎてしまった。
迎えた発表当日。各々それなりにいい出来の話をしている中、フォージャーさんの番となった。
最初は普通に聞いていたが、だんだん意味わからん話になっていき、笑うのを必死に堪えなければならないことになってしまった。
なんだか姉がフォージャーさんのことが好きな理由がなんとなくわかった気がした。
それと姉は"ダミアニャ"というダミアンとフォージャーさんのカップリングを推しているらしい。
姉の為に今度2人の距離を縮める策をねってみようかと思うのであった。