東国の令嬢に転生したので世界を平和にすることにした。 作:あゆなみ
「はぁぁぁぁ〜」
午前中の授業が終わり、深いため息をつく。
「今日は懇親会があるため授業は午前中までだ。」
先生のセリフにみんな浮き足立っている。
そりゃいつの時代も学校が早く終わると嬉しいだろう。
でもそれは皇帝の学徒以外の生徒の話。
私たちはこれからお偉いさんがわんさか集まる恐怖の会に参加しなくてはならないのだ...
まぁ多分ビビってるの私だけだと思うけど。
「会場に向かうぞ。」
「はーい」
渋々デミーくんと一緒に知恵の塔の近くまで向かう。
懇親会の会場は毎年知恵の塔という結構立派な建物で行われている。
ただちょっと窓が少なくて閉塞的なとこが薄気味悪くて苦手だ。
会場近くで互いの父親を待つ。
正直デミーくんのお父さん怖すぎてあんま会いたくない。まぁ本人に言ったことはないが...
先に私の父親が到着したためデミーくんに「後でね!」と言って会場へ向かう。
会場に入る前に入念なボディチェックをされる。
もちろんなんにも怪しまれるものは無いためすんなり入れた。
少しするとデミーくんとそのお父さん...ドノバンさんも入って来た。
なんか開会式みたいな長々とした話を聞いたあと自由行動みたいにみんな各々挨拶していく。
私もお偉いさん達に何とか挨拶をし、早々とデミーくんの元へ逃げる。デミーくんのお父さんもいるのはちょっと嫌だが、まぁ仕方がない。
「お久しぶりです。ドノバン様。アネット・クラリスです。」
絶対顔真っ青だろうな。と思いながら挨拶する。
ガン開きの目力はデミーくんで慣れてるはずだが、なんとも言えない威圧感を感じてしまう。
「あぁアネットさんだね。覚えているよ。1年ぶりかな?」
そう言ってニッコリと笑い出すドノバンさん。
やっぱりなんかちょっと怖い。
その後私の父も挨拶し、父親同士で話始めたのでデミーくんとヒソヒソと話すことにした。
「そういえばデミーくんダミアンくんからなんか伝言預かってたんでしょ?伝えれた?」
「...あぁ。会った時に伝えておいた。」
「そっか。良かった!」
なんていいながら話していると父親達の笑い声が聞こえてきた。
私の父はきっと素で笑っているのだろうが、ドノバンさんはどうなのだろうか。
なんとなく不安に感じてきて父親達を見つめているとデミーくんが話かけてきてくれた。
「あまり父上達を見たってお前からしたらいいことないだろ。大人は大人の世界があるだろうし、まだお前は父親を心配する歳じゃない。」
歳だけで言うなら精神的にはだいぶいっているはずだが、私の不安を和らげようとしてくれたと思うと胸が暖かくなる。
「そうだよね...ありがとう!」
そう笑顔で返すと非常に珍しくデミーくんが「...おぅ。」と照れたかのようにそっぽを向いて返した。
なんだかダミアンくんに似てるな〜と思いながら激レアの反応にニヤけが収まらない。
ほんとにだいぶ心を開いてくれているようで嬉しい限りである。
そんなことをしていたらいつの間にか懇親会は終了していた。
私は家に、デミーくんは寮に帰らなくちゃいけない。
「今日はありがとう!またあしたね!」
そう言って笑顔で手を振る。
するとデミーくんは少し微笑んで
「あぁ。また明日。」
と手を振り返してくれた。
その事が嬉しすぎてスキップしながら帰っていると周りから割と変な目で見られていることに気づき慌てて普通に歩き出す。
先に車に乗っていた父と合流し、一緒に家へと帰る。
「アネット!今日の懇親会もよく頑張ったな!偉いぞ!」
俗にいう親バカの父は頭を撫でながら私を褒める。
その姿に思わず前世での父親を重ねてしまい、自分でも驚く。
(だいぶ前世のことは吹っ切れてきたと思ったんだけどな〜)
と思いながら、とりあえず父には「ありがとう!」と言っておいた。