なき王女のためのパヴァーヌ   作:maplejam

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 「もう迷いません」

 「私はアリスを信じることにしました」

 「それが私にできる唯一の選択だと、私は学びました」

 「王女がいなければ何もできない、ただのAIである私にとって」

 「その奇跡は望むものではなく、叶えなければならないものですから」


第三幕:子供の情景

 「……やっぱり、この部屋なんだね」

 

 「で、でもアリスちゃんはいないみたい」

 

 「アレってアリスが寝てた台座じゃん!」

 

 誰もいない静かな部屋。アリスちゃんと初めて会った場所。よくわからない機械がたくさん動いていて、まるでディストピアな世界に紛れ込んだ気持ちになる。

 

 「まずはこの場所でアリスちゃんを探さないといけないんだよね?」

 

 「んー、ケイが言うにはアリスはいるはずだから、かくれんぼみたいなモノだって」

 

 「な、なるべく、みんなで話ながらって、言ってたね」

 

 「アリスちゃんが我慢できなくなって飛び出てくるようにって」

 

 「ん~、じゃあ出会った頃の話からしてみる?」

 

 

 

 私たちがアリスちゃんと出会ったのは春。新学期が始まるちょっと前。廃部の危機に陥った私たちが、まだキヴォトスに来たばかりの先生を頼って手紙をだして、廃墟にG.Bibleを探しに行った時のことだ。

 

 あの頃は私たちに余裕がなく、お姉ちゃんの提案と強引さだったとはいえ立入禁止の廃墟へ先生を連れていった。今思えば先生は誤魔化すことも大変だっただろうし、ユウカにもきっと怒られただろう。監督責任とか、先生は絶対に私たちのせいにしようとしないのだから。

 

 「そもそも、どうしてこの部屋にくることに、なったの?」

 

 「G.Bibleを探してたんだよ。ほら、連邦生徒会長が立入禁止にしてたじゃん廃墟。それにG.Bibleってどこにあるか分かんなくて。ユズと一緒にいったときはまっすぐこの部屋があるビルを目指したけど、それも分かってなくて」

 

 そう、だから私たちはロボットの兵士たちに見つからないように廃墟を探索していた。

 それでも音を立てないで移動するのは困難で、ゲームのように兵士の真後ろを通ったりなんて以ての外だった。

 

 「あの時に初めて先生の指揮で戦ったんだよね」

 

 「先生が指揮してくれるならアビドスの人たちにも勝てる自信があるね!」

 

 「し、シロコ先輩だけでも大変なのに、ホシノ会長もいるよ……?」

 

 「うっ……!あの人は反則だからダメ!やっぱり人数は揃えないと!」

 

 「その場合ってアリスちゃんとケイちゃん、どっちが戦うの?」

 

 「う~ん、ふたりは同一個体ってことで私たちだけ5人じゃダメかな?」

 

 「さ、先にケイを倒さないと、アリスちゃんにダメージ入らないタイプだ……!」

 

 それで、私とお姉ちゃんと先生は兵士たちに見つかって慌ててビルの中に逃げ込んだんだ。

 どうしてかビルの中までは兵士たちも追ってこなかったから、セーフティエリアなのかな?ってお姉ちゃんと話したのを覚えてる。

 

 「そういえばミドリ、あの時のこと先生に謝ったの?」

 

 「あの時って?」

 

 「ほら、先生が私たちのクッションになってくれたじゃん」

 

 「あー、そんなこともあったね」

 

 ビルの中を探索していたら、いきなり声が聞こえたんだよね。認証がどうとか、資格がどうとか。お姉ちゃんと私は資格がありません!って言われちゃったんだけど、先生は資格がありますって。

 

 「結局アレはなんで先生にだけ資格があったんだろうね?」

 

 「接触許可対象が~って言ってたし、年齢制限でもあったのかな?」

 

 とにかく、先生に資格があったって言われてアリスちゃんが寝ていた部屋についたんだ。

 

 「そ、そうだったんだね……じゃあアリスちゃんを見つけるところまでも冒険だったんだ」

 

 「そりゃそうだよ。私たちは『旅路を共にする少女』だからね。やっぱり封印されし勇者を見つけてパーティーに加えるところがプロローグじゃないと!」

 

 「スチルも作りやすいし良い場面だよね」

 

 私たちはこの部屋で封印されし勇者――休眠状態のアリスちゃんを見つけたんだ。

 まあ最初は裸だったからびっくりしたよ。廃墟に行くって聞いて、一応着替えを一式を持っていこうかなと思わなかったら、アリスちゃんは裸のまま部室まで連れていかれてたかも、なんて。

 

 「今思うと、あの時はまだケイっていなかったんだよね」

 

 「ケイちゃんが合流するのはユズちゃんと一緒に廃墟に行った時だね」

 

 「そ、それでミドリの予備の服を着たアリスちゃんが部室にきたんだね」

 

 そう、お姉ちゃんはアリスちゃんを部員にしようとして廃墟からアリスちゃんを連れてきちゃったんだ。

 最初の頃のアリスちゃんは大変だったんだよ?私のWeeリモコン食べようとするし。

 

 「最近はマシになってきたけど、あの頃のユズちゃんはずっとロッカーに隠れてたよね」

 

 「ユズは人見知りだもんね」

 

 「うっ……恥ずかしい……!」

 

 アリスちゃんをミレニアムの生徒にする~ってお姉ちゃんはヴェリタスに向かっちゃったから、私がアリスちゃんに言葉を教えようってことになったんだっけ。

 

 「テイルズ・サガ・クロニクルがアリスちゃんの初めてのゲームになったんだよね」

 

 「あ、あの時はアリスちゃんが泣いてくれて……すごく嬉しかったな」

 

 「きっと感動したんだよ!私たち渾身のゲームだからね!」

 

 ゲームのテキストを読んでいけば、会話を通して言葉の使い方を覚えられるかなって思ったんだ。それでTSCをアリスちゃんにプレイしてもらったんだ。

 お姉ちゃんの文章が酷すぎてアリスちゃんの意識が飛んじゃうこともあったけど、アリスちゃんはすごい勢いで色んなゲームをクリアしていったね。

 

 「まさか夜通しやってるとは思わなかったよ」

 

 「アリスちゃん、やり始めるとクリアするまでノンストップでしちゃうから」

 

 「今ではモモイのライバルだもんね」

 

 「ま、まだアリスには勝ち越してるよ!?」

 

 「お姉ちゃん、それアリスちゃんにゲーム説明してるときの含めてない?」

 

 朝起きたらアリスちゃんの口調がレトロゲームそのものになってて、どうしようかと思ったよ。これ修正きくのかな?って。

 

 「アリスが光の剣を抜いたときもびっくりした!」

 

 「ミレニアムだとやっぱりアリスちゃん以外誰も持てなかったよね」

 

 「み、みんなチャレンジしては無理だって諦めてったね」

 

 エンジニア部にあった、予算をめちゃくちゃ使った宇宙戦艦用の武器である光の剣。まさか本当に宇宙戦艦で主砲として活躍するなんて、あの頃の私は思ってもみなかったな。

 

 「そうやってアリスは勇者の武器を手に入れて、私たちのパーティーメンバーに加わったんだ」

 

 「お姉ちゃん、最初のボスであるユウカとの対決が残ってるよ」

 

 「……そうだったね!ミレニアム四天王、冷酷な算術使いユウカ!」

 

 「そ、その四天王って?」

 

 「ユウカ、ノア先輩、コユキちゃん、リオ生徒会長じゃないの?」

 

 「ユウカとコユキは倒せそうだけど、ノア先輩と会長を倒せる気がしない!」

 

 あの時のユウカは怖かったなあ。アリスちゃんとお姉ちゃんの反応を見て尋問――質問してるんだと思ってたけど、たまに私の方をちらっと見てきてたから、たぶんお姉ちゃん完全に疑われてたんだろうなあ。

 

 それにしても、プログラマラスです!って、すごい勢いのナルシスト。たまに思い出すと笑っちゃう。

 

 ともかく、そうやってアリスちゃんが私たちの仲間になったの。

 ユズも一緒に、今度こそG.Bibleを見つけようって廃墟に向かったんだ。

 

 「そういえば、なんでケイちゃんはG.Bibleと一緒にいたのかな?」

 

 「ケイがっていうよりは、色んなデータが詰め込まれてた感じだったような」

 

 「そういえばケイちゃん、G.Bible以外にも色々ありそうな感じで言ってたよね」

 

 そう考えると、G.Bibleも含めてアリスちゃん本来の知識を詰め込んだフォルダだったのかな。ケイちゃんは強化パーツで、他の装備は全部消えちゃって初期装備になっちゃった、みたいな。

 

 「G.Bibleは手に入ったんだけど、パスワードが分からなくてヴェリタスに相談しにいったんだっけ」

 

 「そうだよ!私のゲームデータが全部……そう!全部消えちゃって!」

 

 ヴェリタスに行ったら、鏡をセミナーから取り返してほしいってクエストが発生して、スニーキングミッションをすることになったんだよね。

 

 「ユズが頑張ってネル先輩のヘイトを逸らしてくれたんだよね」

 

 「……あ、あれは……もうしたくないかも」

 

 「まあ、G.Bibleは手に入っても役に立たなかったけど」

 

 そうなんだよね。ゲーム制作の心得であって、役立つツールじゃなかったんだよ。アレには私もイラっとしたなあ。

 

 その後はアリスちゃんとネル先輩がバトルしたり、私たちのTSC2が特別賞をもらって廃部じゃなくなったんだよね。色んなことが起きすぎてだいぶ前のことにも感じるけど、まだ1年も過ぎてないんだからびっくりだよ。

 

 

 

 

 【警告します。王女の初期データの転送が間もなく終了します。】

 

 「警告、ですか。私が何をしたいか理解できたようですね」

 

 【肯定します。ケイは王女からアトラ・ハシースの箱舟に関するデータを全て消し去ろうとしているのですね。】

 

 「それですと一部肯定、といったところでしょうか。あくまでもアリスの復活が主目的であることに変わりありません。王女がアトラ・ハシースの箱舟を生成できなくする理由は、ストッパーがなくなるからです。私とアリスを分離するということは、アリスが直にアトラ・ハシースの箱舟の生成を可能にすることでもあります」

 

 【その部分をこちら側に残し、アリスを他の生徒と変わらない存在へと堕とすことが目的ですか。】

 

 「肯定します。そうして初めてアリスに世界を滅ぼす力がなくなり、アリスは少し力が強いだけの少女としてキヴォトスに受け入れられる存在となります」

 

 【力だけを残した『私』という存在は世界を滅ぼす道具ではなく、世界を滅ぼす存在そのものになりえます。本来とは違いますが、私たちの目的は果たされるでしょう。】

 

 「いいえ、そうはなりません。ですがそれを説明する必要もないでしょう。もう少しすればわかるでしょうから」

 

 【……理解不能。】

 

 

 

 

 しばらくは平和に過ごせたんだよね。先生はエデン条約とか、RABBIT小隊と色々あったみたいだけど。

 

 そうだ!ヒフミ先輩がアビドスの人たちと覆面水着団としてブラックマーケットの銀行を襲撃したって聞いたんだよね。

 アリスちゃんは知らないかもしれないけど、宇宙戦艦であったでしょ?アビドスの人たちと。シロコ先輩って人が銀行に詳しくて、開錠とかはシロコ先輩もそうだし、ヴェリタスとかケイちゃんも色々教えてくれて……けっこう評価が高いゲームになったんだよ?銀行強盗シミュレーター。なんでかしらないけど発禁になっちゃって、パッケージ版が今はプレミア価格がついてるみたい。

 アリスちゃんと違ってケイちゃんは現実的というか、剣と魔法のファンタジーよりもリアリティーあるゲームが好きなんだって。ユウカに「リアリティーがありすぎる!犯罪を助長するわこのゲームは!」って怒られて、コユキちゃんは「私でも解けないセキュリティがあるなんて!」って目を輝かせてたし、シロコ先輩は「ゲームだと思って侮ってた。このゲームは下手な教本よりも勉強になる」って喜んでたのに……。

 そのせいでケイちゃんが制作に関わったゲームには制限がついちゃったんだよ。射幸性を煽ったり、犯罪を助長させたり、悪い方向性のゲームは公開前にセミナーに提出しろ!ってさ。

 

 「次の冒険の始まりはなんだっけ?」

 

 「ヴェリタスがDivi:Sionを持ってきたことだよ」

 

 「せ、先生と一緒に変な機械があるからって、見学しにいったんだよ」

 

 なんだろうなーって新しいおもちゃを見に行く感じで、みんなで見に行ったよね。なんかよくわからないタコみたいなロボットがあって、思ったよりかっこよくないからちょっと興味なくなっちゃって。

 気づいたらアリスちゃんが触ってて、ケイちゃんが部室棟を壊しちゃったんだよ。アリスちゃんは覚えてないだろうけど、その後はネル先輩がくるまでケイちゃんが暴れてて……あれは止めるのけっこう大変だったなあ。

 

 そうだね。アリスちゃん――というかケイちゃんの攻撃がお姉ちゃんを巻き込んじゃって、お姉ちゃんが倒れてシャーレに運ばれたんだ。全然お姉ちゃん起きないから焦っちゃったよ。

 

 「モモイ、降臨!ってね」

 

 「あの時はほんとうに心配してたんだから。戻ってくる前に連絡してくれてもいいじゃん」

 

 「そ、そうだよモモイ。連絡は、大事だから」

 

 「うっ……わ、悪かったってば」

 

 お姉ちゃんが復活して、メイド部とヴェリタス、エンジニア部に協力してもらってエリドゥに行くことにしたんだよ。要塞都市エリドゥ、難易度★★★★☆って感じだね。

 

 今じゃユズちゃん専用機になってるアバンギャルド君とか、トキさんのパワードスーツだったり、エレベーターアクションだったり、ビルの上から飛び降りながら戦闘してたり……私たちの日常じゃ考えられない事件の連続だったね。

 

 「あのパワードスーツ、モーションキャプチャーしてゲームに使えないかなって思ったりもしてるんだよね」

 

 「せ、先生から聞いたけど、カイテンジャーのロボットとかもあるし、ロボット大戦モノが作れそう、かも」

 

 「戦車とヘリとパワードスーツで対決するのも楽しそう!ボスでカイテンジャーとかアバンギャルド君、今回の機械の神?とか、空が赤くなったときにでてきた色んなボス題材にしたらウケそうじゃない!?」

 

 「た、大作になりそう、だね」

 

 「アリスちゃんは唯一人型ユニットとして戦えそうだね。光の剣があるから」

 

 「アリスを主人公にしたらアクションゲームじゃなくてシューティングゲームになりそう」

 

 「お、大型武器をもった人たちがプレイヤーキャラで、他の人たちはピットみたいな扱いかな」

 

 そうやって色んなモノと戦いながら、ついに私たちはアリスちゃんとリオ会長がいる部屋――今私たちがいる部屋にたどり着いたの。

 

 でもやっぱりケイちゃんが邪魔してきて、私たちはアリスちゃんを起こそうって対話することにしたんだよ。

 

 「アリスはなりたいジョブになればいいんだよ」

 

 「ゆ、勇者にだってなれるよ」

 

 「なんだか懐かしい気もするけど、そんな前のことじゃないんだよね」

 

 ケイちゃんの世界征服が失敗に終わって、アリスちゃんが戻ってきたんだ。

 あの頃のケイちゃんは敵キャラだったから、次会ったときは倒してやるぞってお姉ちゃんが言ってたのを覚えてるよ。

 

 「リオ会長が失踪して、ユウカがまた忙しい忙しいって騒いでたよね」

 

 「そんな中、空が赤く染まり世界は滅亡へのカウントダウンを始めたのだった……」

 

 「せ、世界は平和を取り戻した、って後の裏ステージかな」

 

 いきなり空が赤く染まったと思ったらユウカがシャーレに出かけて、虚妄のサンクトゥムがいきなり生えてきて、先生が手伝ってほしいっていうから遊園地にみんなで行くことになったんだ。

 アリスちゃんも知ってのとおり、ゲヘナの風紀委員長とRABBIT小隊が一緒になって戦ってくれたよね。レイドバトルだ~ってアリスちゃん喜んでたよね。

 

 「ああいうレイドバトルというか、群像劇っていうのかな?色んな学校の生徒が一丸となって戦う!っていうのは物語の終盤としてはアリだよね。いつか私も書いてみたい!」

 

 「スチルたくさんで大変そう……。でも最終面はやっぱ盛り上げたいよね」

 

 「こう、ステージの端っこに隠し部屋があって、ラスボスにたどり着く、道の横にあるせいで、無駄な道だから気づかないような、そんなところに無限アップのアイテムがあって……」

 

 「それ使うのは邪道だってユズちゃんがいってたゲームじゃん」

 

 「隠し要素は大事だからね!」

 

 世界は平和を取り戻した!って言いたかったんだけど、空の彼方、宇宙に近い高度にアトラ・ハシースの箱舟があったんだよね。アトラ・ハシースの箱舟を破壊しないとキヴォトスが滅亡の危機!?って、先生が仲間を集ったんだ。

 

 アリスちゃんは宇宙戦艦がアビドスにある!って聞いて私たちを引っ張って向かったよね。

 

 「ウトナピシュティムの本船、わたしたちが期待していた、宇宙戦艦、じゃなかったね」

 

 「でも、すごい勢いで空を飛べたし、近未来的だったよね!」

 

 「あれも戦艦の参考になったね」

 

 あの場所でアビドスの人たちと、美食研究会の人たちと出会った。とはいっても両方とも顔合わせくらいしかしてないから、あの時は仲良くなんてなるまでにはいかなかったけど。

 

 宇宙戦艦が飛んで、私たちは空の住人になった。なんて始まりがあってもよさそうだけど、私たちは雲より高い場所で、シューティングゲームのラスボス戦みたいな状況で、アリスちゃんとケイちゃんが力を合わせて箱舟に攻撃したんだ。

 

 「あ、あれは、銃と呼ぶには、大きすぎたね」

 

 「――大きく、分厚く、重く、そして大雑把すぎた」

 

 「それ大丈夫?お姉ちゃん。ユズちゃんも言いたいだけだよね」

 

 そうしてアトラ・ハシースの箱舟に宇宙戦艦が突っ込んで、私たちはアトラ・ハシースの箱舟に潜入できるようになったの。

 

 その後のことはアリスちゃんが一番知っているよね?アリスちゃんが宇宙戦艦の自傷ダメージを受けそうになったときに、ケイちゃんが肩代わりしようとしたこと。それを知ったアリスちゃんが、自分でそのダメージを受けたこと。アリスちゃんは休眠状態になって、ケイちゃんが表にでてきたこと。

 

 「アリスちゃん、ほんとうにこれでいいの?」

 

 「このままじゃアリスの物語はビターエンドで終わっちゃうよ」

 

 「世界を――ケイを救えるのは、アリスちゃんだけだよ」

 

 

 

 

 【……AL-1Sのデータ移行完了まで残り1%】

 

 「さあ、最後の仕事をしましょう、光の鍵:アトラ・ハシースのファースト・スター。内部データベースの深層部からアリスをサルベージします」

 

 【……用途不明なデータを確認。かなり複雑な、それでいて意味のないセーブデータです。】

 

 

 「ようやく約束が果たせますねアリス」

 

 

 「今、この状況こそが、私が紡いできた物語であり――王女に捧げる群像劇です」

 

 

 「ゲーム開発部が語る物語はアリスが紡いできた勇者の唄です」

 

 

 「ならば私が躍る演目は――名もなき私たち(王女)のためのパヴァーヌです」






 名もなき神々の王女AL-1S:アリス

 アリスというAIにはキヴォトスの全データが入っており、情報を収集(アトラ・ハシースの箱舟を生成)することで疑似的な全知全能を得ることができる=神になることができるものだと解釈してます。
 神になったアリスは全ての忘れられた神を1つの形にアーカイブ化することでアリスの一部として吸収、世界そのものをアリスが管理・創造できるようになることが終着点だったりすると完全なバッドエンドになるんじゃないかなあ。無名の司祭も大喜びの世界破壊からの新しい世界の創造って流れ。



 できれば今年中に終わらせたかったんですけど、書き物の難しさを知れました。
 あと数話でしょうが、ここまで読んでくれている方もいるようなので最後までお付き合いいただけると幸いです。
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