なき王女のためのパヴァーヌ   作:maplejam

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"たしかに自分がダメだって思うことがあるかもしれない"

"でも、それはある側面からしか見えていない"

"ダメだって思うことでも、それによって救われる人は必ずいるんだよ"

"私たちのことをいつも助けてくれて、"

"シロコを助ける手伝いをしてくれて、"

"ゲーム開発部の仲間になってくれて"

"私はケイに「ありがとう」って言いたいんだ"


カーニバル・ファンタジア

 「じゃあ、あのキーボードの人がケイちゃんが言ってたアイリって人?」

 

 「――どうやら、栗村アイリなりの答えを見つけたようですね。笑顔で演奏できています。初めて見た時は演奏していることを苦痛に感じているように見えました」

 

 「良い歌だね。すっごく楽しそう」

 

 「肯定します。私が見たい光景に近似しています。そうです、これが見たかったのです」

 

 トリニティ謝肉祭のオープニングセレモニー、そこに出演している放課後スイーツ部の演奏を才羽ミドリとともに聴いていた。歌っている杏山カズサとアイコンタクトをしながらキーボードを鳴らす栗村アイリ、その笑顔を見ることができただけでも来た甲斐がある。

 

 「素晴らしい演奏でした」

 

 ぱちぱちと拍手をし、彼女らに贈られる歓声とともに私と才羽ミドリのトリニティ謝肉祭が始まった。

 

 

 

 

 トリニティ謝肉祭は、トリニティ総合学園の文化祭だ。生徒たちが出店なども行う、まさしく学園祭と呼べる生徒たちのお祭りである。SNSで美食研究会が食べ歩きをすると書かれていたことが懸念点ではあるが、事前に見て回る場所を決めていたため予定を崩さずに動くことにした。

 

 「ここが絵画展の会場かな?なんか、手前にヘルメット被った人たちがいっぱいるんだけど」

 

 「とはいえ封鎖されているわけでもありません」

 

 「そ、そうだね。いるだけだもんね」

 

 なぜか警戒するように私に身を寄せて背中を押される。よくわからないが急いで入りたいようなので歩行スピードを合わせて入場した。

 

 「……ふぅ。よし、追いかけてこない、よね?大丈夫だったね」

 

 「そもそも彼女たちに敵意はありませんでした。威嚇のような行動は見受けられましたが、美甘ネルと比べれば可愛らしいものです」

 

 「……たしかにそうかも」

 

 落ち着きを取り戻した才羽ミドリは辺りよきょろきょろと見渡すと、少しずつ目が輝いてきた。イラストレーターとして生徒の中では絵という物に造詣が深い才羽ミドリには、アニメ絵と違う油絵や水彩画は珍しく映ったのだろう。ひとつひとつの作品を眺めては、おーっと感嘆の声をあげている。

 

 「この絵画展はティーパーティーの桐藤ナギサが企画したそうです」

 

 「ティーパーティーって、トリニティの生徒会長だっけ?たしか今は3人の――」

 

 「――ティーパーティーはパテル、フィリウス、サンクトゥスの3つの派閥から選ばれた首長により運営しています。その中でホストと呼ばれる代表を回り持ちで務めておりまして、現在はフィリウス分派がホストを務めています」

 

 通りがよく落ち着いた声量、人に話を聞かせることに慣れた話し方。上に立つ存在であると感じさせる立ち振る舞い。先日の聖園ミカとのやり取りを見ると年相応な部分もあるが、才羽ミドリの前では威厳のある生徒会長といったところか。

 

 「天童ケイさんと――失礼、貴女はゲーム開発部の方でしたか?私はフィリウス分派首長の桐藤ナギサと申します。以後お見知りおきを」

 

 「えっ、わっ、えと、私は!才羽ミドリですっ。ゲーム開発部1年、ケイちゃ――天童ケイと同じ部活に所属していますっ」

 

 勢いよく頭を下げ、声が上ずりながらもしっかりと挨拶を返した。トリニティへ行くなら挨拶の仕方を教えてくれと事前にお願いされたために少し練習していたのだが、その成果がでた形だ。

 

 「ご挨拶ありがとうございます。天童ケイさん、お噂はかねがね承っております。必ず、とは残念ながら応えることは出来かねますが、力になるとは言葉にしておきましょう」

 

 「はい、ありがとうございます。ティーパーティーである桐藤ナギサが、私たちを手伝うという言葉を掛けていただくこと、それ自体に意味があります」

 

 「あ、ありがとうございますっ」

 

 「ええ。ご挨拶はこの辺りにして、いかがですか?トリニティにある絵画のうち、トリニティ謝肉祭の雰囲気に合うものを選んだのですが、お気に召したものはありましたか?」

 

 「えっと、こっちの風景画とかは画角が面白くて。普段私が描いているのは正面図が多いので……あっ、この絵も私と解釈が全然違くて――」

 

 「ふふっ。こちらの絵は――」

 

 波長が合うのか才羽ミドリは桐藤ナギサに気に入られ、そのまま絵画展を案内してくれるそうだ。二人が和気あいあいとしている後ろをついていく。

 才羽ミドリは花岡ユズほどではないが人見知りである。姉である才羽モモイと違い内向的であり、友達がいないと言い張る才羽モモイと違い、才羽ミドリは狭く深くの友好関係を築いている。あまり初対面で懐くようなタイプではないのだが、桐藤ナギサは内側へとスルッと入ったようだった。

 

 「えっと、これは?ロールケーキ?」

 

 「はい。実は私も一点ではありますが展示させていただきまして――」

 

 「じゃあ、こっちのは――」

 

 それにしても、この展示会は人の出入りが少ない。トリニティのお嬢様であれば絵画に興味がないということは無いだろう。もしかすると入り口にいたヘルメットを被った集団が邪魔で入れないとか、そういう話なのだろうか。

 

 「っと、そろそろ私は顔を出さなければならない場所がありまして。名残惜しいのですが、この辺りで失礼させていただきますね」

 

 「は、はい。ありがとうございました!えっと、また今度お話を聞かせてもらっても?」

 

 「ええ。無論です。モモトークも交換しておきましょうか。多忙の際は返信を後回しにしてしまうこともあるとは思いますが、できる限り早くお返事しますね」

 

 「お、お願いしますっ」

 

 

 

 

 「き、緊張しちゃった」

 

 「それにしては仲良くなれたのではないですか」

 

 「うん。ナギサ先輩、すごく話しやすくて。今度開催される美術館のイベントにも招待してくれるって!すごい綺麗だったし、憧れるなあ」

 

 「良い目標ができましたね。才羽ミドリであれば成ることもできるでしょう」

 

 「そうかな?そうだといいんだけど」

 

 少し興奮したような才羽ミドリを連れ、次の場所へと移動している。

 次は小腹が空いたとのことだったので挨拶がてら放課後スイーツ部が営業しているお化け屋敷風カフェへ行くことにした。

 

 「ここですね」

 

 教室の扉を開けると、ホラーテイストの装飾が出迎えてくれる。とはいえどこかポップであり、怖いというより可愛いという表現が合っているようにも思える。

 

 「やあやあ、よくきたね研究員諸君」

 

 「そんな設定だったけこのカフェ」

 

 フランケンがモチーフの柚鳥ナツの挨拶とともに、ほんとうにその恰好でいいのかと問いたくなる伊原木ヨシミがやってきた。

 

 「こういうのは最初が大事なんだよ。地獄の底より這い寄る死の支配者よ」

 

 「そんなルビあったの!?ミイラでいいじゃん!」

 

 「う、うわぁ……さすがに私はアレを着る勇気はないなぁ……」

 

 才羽ミドリも顔を赤くしながら伊原木ヨシミをちらちらと見ている。たしかに包帯を巻いただけで仮装だと言い張るのはどうかと思うが、上下に白の肌着が確認できるので公序良俗に反することはないだろう。どちらかといえば全裸よりも武器を持っていない方が問題とされるキヴォトスなのだ。

 

 「君はアイリに会いにきたんだろう?うちの切り札『13日連続チョコミント』アイリ・クリムラを召喚してせんじよう」

 

 パチンと指を鳴らす柚鳥ナツ。突然の停電――入口で電気を消す呆れたような顔の杏山カズサ。謎に流れてくるホラー映画で聞くようなBGMとともに、何かを引きずるような音が聞こえる。

 

 「……………」

 

 カラン、カランと鳴り響く音。暗闇から近づくひとりの人物。服には血糊に見える液体が付着しており、頭部にある仮面が恐怖を煽る。

 

 「……あわわわわ」

 

 私の後ろに隠れるように才羽ミドリが後退していく。しかしながら離れたくはないのか、腕を掴まれると強く握られた。逆手は段々とフレッシュ・インスピレーションへと伸びていく。

 

 「……………」

 

 「きゃああああああああ!」

 

 すっとバットを構えた栗村アイリを見た才羽ミドリが悲鳴をあげ、フレッシュ・インスピレーションを撃とうとしたので、そっと手で抑えた。

 

 「杏山カズサ、電気を付けてください。リアクションが良いから続けたい気持ちは分かりますが、このままでは才羽ミドリが銃を撃ってしまいます」

 

 「あー、ナツの悪戯に付き合う気はなかったんだけど、反応がすごく良いからさ。ごめんね?」

 

 「これだよ!私たちが求める恐怖と混沌に満ちたホラーカフェは!」

 

 「ご、ごめんね?何も喋らない方が怖いってナツちゃんに言われて試しにやってみたんだけど……」

 

 口を空けてぽかんとしていた才羽ミドリが胸を押さえながら安心したように息を吐きだした。

 若干涙目ではあるが、少しずつ落ち着きをとりもどしてきている。

 

 「び、ビックリしたぁ」

 

 「良い表現方法でした。栗村アイリは感情表現が得意なのかもしれませんね」

 

 「そ、そうなのかな……?ありがとうケイちゃん」

 

 先日見た時よりも自然体になった栗村アイリは微笑みながら私たちに頭を下げた。

 

 「オープニングセレモニーも見てくれたんだよね?うん、ありがとう。ど、どうだったかな」

 

 恐怖がなくなったためか、ホラーカフェの衣装を細部まで見ようとふらふらと頭を揺らしていた才羽ミドリが、気づいたように顔をあげた。

 

 「あっ、もしかしてケイちゃんが見たいっていってたバンドの人たち!?」

 

 「肯定します」

 

 「じゃ、じゃあキーボードのアイリさん?ですか?」

 

 「う、うん。放課後スイーツ部1年生の栗村アイリです」

 

 「そして私が恐怖の科学者フランケンナツイン。電気を消していたのがキャスパリーグ杏山カズサ、そっちのがヨシミだよ」

 

 「その名前で呼ぶな!」

 

 「自己紹介に飽きたからって私の紹介省略しすぎでしょうが!」

 

 ぎゃーぎゃーと騒ぎだす放課後スイーツ部。才羽姉妹が騒いでいるのを見ているようだ。これがいつもの光景なんだろうというのが分かる。

 

 「栗村アイリ、素晴らしい演奏でした。貴女は自身を卑下する傾向にありますが、何か変わりましたね。ありのままの自分で良いのだと、納得したように感じます。それを見たく私は貴女に期待し協力していました」

 

 「そ、そうなんだね。ケイちゃんや先生のおかげで私も、私がやりたいことができた気がするよ」

 

 「あのっ、すごく良い演奏でした!」

 

 「うん、ありがとう」

 

 なお、放課後スイーツ部のお化け屋敷風カフェは普通のカフェで、ホラー要素を無くせば客入りもよくなるのだろうなと思った。

 

 

 

 

 「ウタハ先輩って演歌うまいんだね……というかエンジニア部はトリニティにきてもあいかわらずというか……」

 

 せっかくなので、とアイドルイベントで歌うと聞いていた白石ウタハを先ほどまで見ていた。

 のだが、これは雷ちゃんミラーボールのお披露目会なのではないか。歌の練習とは別に何か作っているとは思っていたが、こんなことをしていたとは。

 

 「アビドスの人たちも衣装が可愛かったし、後で見せてもらおうかな」

 

 「どの学校も特色がありました」

 

 「トリニティの人たちは綺麗だったし、色んなアイドル衣装も見れて……来てよかったかも」

 

 「そうであれば誘った甲斐があるというものです」

 

 「うん。ありがとうねケイちゃん。次は――」

 

 「ケイちゃん!来てくれたんですね!」

 

 私を呼んだその声の持ち主は、小走りに近づいてくる。白を基調としたトリニティの制服、背負ったペロロリュック、まるで平凡だと言い張る笑顔。そう、阿慈谷ヒフミだ。

 

 「はい、オープニングセレモニーから参加しています」

 

 「そうなんですね。お隣の方は――えっと、私は阿慈谷ヒフミです。ケイちゃんとは同じモモフレンズを愛する仲です」

 

 「あれ?ケイちゃんってモモフレンズ好きだっけ……?えっと、私は才羽ミドリです。ミレニアムでケイちゃんと同じ部活――ゲーム開発部に所属してます」

 

 「ミドリちゃん、ですね。そういえばケイちゃんが話していましたね?たしか双子で、妹さんの方でしたか?」

 

 「あ、はい。姉にモモイがいます」

 

 やはりというか、阿慈谷ヒフミは懐に入るのが早い。才羽ミドリの警戒心を一瞬で解き、まるで私と話しているかのような距離感で才羽ミドリと喋っている。

 

 「阿慈谷ヒフミは急いでいるようでしたが、時間は平気なのですか」

 

 「え?あー、大丈夫です、はい。実は先ほどまで行っていたアイドルコンサートの控室前にペロロ様の着ぐるみがあるという話を聞きまして。どうやらこの後この辺りを歩いて宣伝をするのだとか……。それを見にきたんです。この辺りで待っていれば分かるはずなので」

 

 「なるほど。たしかに奥の方から人型ではない大きな体躯の物が歩いてきますね。生徒が避けていますから、それが着ぐるみペロロなのだと思います」

 

 「さすがですケイちゃん!ではっ、私は行ってきますね!」

 

 手を振りながら嵐のように阿慈谷ヒフミが去っていく。何気に才羽ミドリとモモトークを交換していたようで、顔が広いというのはこういうところからくるのだろうと感じさせる一幕だった。

 

 「な、なんだか凄い人だったね」

 

 「阿慈谷ヒフミ、自称平凡な生徒です」

 

 「自称なんだ?」

 

 「あれが平凡で一般の生徒であればトリニティ総合学園はすでに崩壊しています。ミレニアムサイエンススクールで言うならば明星ヒマリのような存在です」

 

 「そ、そこまで言うんだ」

 

 才羽モモイの行動力にアリスのような明るさを持っている。あれで目立たないはずがない。まるで物語の主人公のようだ。

 そういう意味では平凡でどこにでもいる普通の少女なのかもしれない。

 

 「あれ?ケイもトリニティにきてたんだ」

 

 そろそろトリニティ謝肉祭でのクエストも終わり、食事をしたら帰ろうという話をしていたところ、赤司ジュンコと出会った。

 なんでも先生の要請で屋台の宣伝を手伝っているらしい。赤司ジュンコに才羽ミドリに美食研究会を紹介することにした。

 

 「ケイちゃんって色んな学校の人と仲良しだね」

 

 「主にウトナピシュトゥムの本船に乗っていた生徒ととは知人であるといえるでしょう。他の方々とはシャーレやシャーレの依頼で会った方々ですね」

 

 まさか私がこんなにも交友関係が広くなるとは思っていなかった。そもそもに私は生徒たちと仲良くするような存在ではなかったのだから。

 

 "ミドリ、ケイもお昼ご飯かな?"

 

 「先生、こんにちわ。見たいところは見終わったので、帰る前にご飯を食べようかなと」

 

 "こんにちわ、ミドリ。そうなんだね、ちょうどいい所にきてくれたかも"

 

 「それは美食研究会が監修しているという屋台でしょうか」

 

 "ジュンコから聞いたんだね。今はハルナが最終確認してるところだよ"

 

 「美食研究会って、美味しくなかったら爆破するっていう話を聞いたことがあるんですけど……」

 

 "だ、大丈夫だよ。今回は生徒がやってる屋台だから、そのつもりで見るって言ってたし"

 

 「ですが、黒館ハルナが監修しているというのであれば味の保証はされたようなものでしょう」

 

 

 「――ええ、学生の屋台としては問題ない味であると私が保証しましょう」

 

 黒館ハルナは堂々と私たちの前へ姿を現した。赤司ジュンコもそうだが、ゲヘナ学園の生徒がトリニティ謝肉祭で歩いている。周りからの視線が集まっていることも先生がいるから、という理由だけではない。なぜゲヘナの生徒がここに?という視線も多い。

 しかし美食のためであれば水族館を襲撃し、宇宙戦艦に乗り込み、あの空崎ヒナと何度も敵対するだけはある。美食研究会からすればトリニティ総合学園の学園祭に来ることなど大したことではないのだろう。

 

 「ケイちゃん、ゲヘナの先輩たちって美人さんが多いの?ヒナ先輩もそうだったけど、ハルナ先輩も綺麗だし」

 

 「才羽ミドリは彼女たちのようになりたいのですか」

 

 「わ、私だって大きくなるし。やっぱりかっこよくて綺麗な感じがいいかな」

 

 「ふふっ、ミドリさんであればきっと素敵な女性になれますわ」

 

 「ほ、ほんとうですか?」

 

 今日一日才羽ミドリを見ていて思ったのだが、彼女は愛されキャラなのだろうか。妹力が高いのか、今日だけでも桐藤ナギサ、阿慈谷ヒフミ、黒館ハルナと上級生3人に好印象をもたれている。

 

 「あっ、これ美味しいですね」

 

 「そうでしょう?屋台というものは外食としてもなかなかに奥深い分野でして。味はもちろんのこと、調理環境や調理時が野外のために温度や湿度を加味したもので、客層なども考慮して作らなければなりません。駅前のお祭りと、学園祭では客層が違います。今回は女子学生をメインターゲットにした屋台として売り出しています」

 

 「そういうのもあるんですね。ちょっとおもしろいかも」

 

 "ゲームにも活かせそうだね"

 

 「レストランの経営ゲームとか、アイドルの育成ゲームとか、ちょっと色々描いてみたいものができました」

 

 「でしたら、私たちのSNSの情報はご自由に使用されて構いませんわ。ただ、もしそのようなゲームを作るのであればご一報くださいね」

 

 「みんなと相談しないとなんですけど、少し考えてみます」

 

 "最近は話題になるゲームが多いし、楽しみにしてるね"

 

 「……もしかして、自転車と無人島のこと言ってますか?先生、それ絶対お姉ちゃんに言わない方がいいですよ」

 

 "え、モモイが作ったゲームなのに?"

 

 

 

 

 「つ、つかれたぁ」

 

 トリニティ謝肉祭からミレニアムサイエンススクールへと戻ってきた才羽ミドリは疲れ果てたのか、部室のソファーに沈んだ。

 花岡ユズはエリドゥへ、才羽モモイはセミナーへ出向いているようだった。いつも騒がしい才羽モモイがいないこと、才羽ミドリが疲れているためか部室にいるというのに物音ひとつせず静かだ。

 

 「才羽ミドリ、寒くはないですか」

 

 「んー?あー、うん。そうだね、私もちょっと寒いかな」

 

 「そうですか」

 

 才羽ミドリの手を取れば、私の手よりも少し冷たい。近頃は少しずつ寒くなってきており、段々と冬が近づいている。リクライニングのソファーが倒され、いつも花岡ユズが寝ている時に使っているように大きめのベッドになった。

 

 「ケイちゃんもおいでよ」

 

 才羽ミドリに引っ張られ寝転がると、少しだけ手が冷たくなくなった気がする。役に立ているとは思えないが、才羽ミドリが目を瞑った様子を見るに安心してくれているのだろう。

 

 私は疲れてはいないが、才羽モモイと花岡ユズが戻ってくるまで少し休ませてもらうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……ケイ、またミドリに抱きしめられて寝てるね」

 

 「普段はクールぶってるけど、結構甘えただよねえ」






 なんだかんだ自己満小説だけど書いてみるかーって始めたものだから、駄文を読んでくれる方が一定数いるだなって思うと結構嬉しいものですね。

 イベント内で先生が辿ったルートは、オープニングセレモニー→アイドルイベント→スイーツ部→展覧会→正実演劇→美食研だと思っているので、ミドリとケイには飛び飛びで参加してもらうことに。
 ハルナたちはトリニティに堂々ときてるけど絡まれたりしないんだろうか……さすがにテロリストなことが有名すぎて避けられてるのかな……。
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