BLEACH二次創作   作:豊田

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昼下り

――とある日の夕方――

 

 

空座町のとある交差点……中村悠哉は考え事をしながら浦原商店への岐路に着いていた。

 

 

「……やっぱ似てるよな……あの嬢ちゃん…それに、朽木……か……見つけたのか…白…緋真……」

 

 

そう呟くと悠哉は立ち止まり、夜の闇に浮かぶ三日月を懐かしそうに見上げていた。

 

 

「そういやぁ……あん時もこんな三日月だったか……」

 

 

再び歩き出すと、横断歩道を歌いながら渡っている女性が目に入った。

 

 

「ラーは♪ラーメンズのラー♪――♪」

 

「………なんだあの歌………」

 

疑問に思いながらも歩いていると、変な歌を歌っていた女に向かって車がつこっんでいった。

 

「…ッ!!………アブねぇ!……」

 

悠哉が飛び込み、間一髪のところで助けた。

 

 

「おい!嬢ちゃん大丈夫か!」

 

「……は、はい!……ありがとうございます……」

 

 

無事を確認した悠哉は立ち上がると歩き去ろうとしたとき………何か得体の知れない殺気と視線を感じ辺りを見回した。

 

(この殺気に気配………狙いはこの嬢ちゃんか………………)

 

「なーんか、面倒事に巻き込まれそうな予感がするな………………ハァ………」

 

「あ、あの!」

 

「ん?………ああ、ワリィな………で、どうした?」

 

「あ、あたし井上織姫ていいます!!……あ、あなたは…?」

 

「中村悠哉だ………ちゃんと病院いけよ?………………それから、歌を歌いながら歩くのは止めような………替歌の嬢ちゃん♪」

 

そう言うと悠哉は夜の闇に消えていった。

 

 

 

 

 

――翌日――

 

 

晴れ渡る青空の下の公園で、オレンジ髪の少年がバッティングマシンから出るボールを割り続け、その後ろのベンチで黒髪の小柄な少女が漫画を音読していた。

 

「『…わかっているのよお姉様…』『全てはその匣にかくされているのでしょう…?』『お母様に託されたその翡翠の小匣に…』『その匣をわたして!マリアンヌお姉様!さあ!!』『だめよ!その匣をあけてはだめ!フランソワ!!ああっ…!!』」

 

「わっ!!」

 

「きゃあ!!」

 

後ろからの大きい声に驚き、猫のように跳びはねた少女…朽木ルキアは涙目になりながら後ろを振り返った。

 

「たたたたたわけ!おどかすな!!……って貴様は中村!」

 

「よっ!朽木の嬢ちゃん……なに音読してんだい?」

 

ルキアの目の前には帽子を目深に被り、長いコートを着た悠哉が笑いながら立っていた。

 

 

「な、なにって、げ…現代語の勉強中だ!!」

 

ルキアは先程まで読んでいた本を悠哉の顔の前につきだした。

 

「(………漫画って………)そ、そうか………座っていいかい……話があんだけど?」

 

そう言うとルキアの隣の席に座る悠哉。

 

 

「……いいだろう…私も貴様に話がある」

 

 

そう言うとルキアは真剣な表情を浮かべながら、少し距離を開けて悠哉の隣に座った。

 

 

「アレ?もしかして警戒されてる?」

 

「当たり前だ!名前を聞いたときは思い出せなんだが……今はハッキリと思い出しておる!『大罪人・中村悠哉』!!」

 

 

敵意と警戒心を顕にしながら睨み付けるルキアだったが…「ブッ!!」と吹き出し笑い出す悠哉に怒りを顕にしていた。

 

 

「き、貴様!!何が可笑しい!!」

 

「いや、だって………嬢ちゃんも『大罪人』………だろ………?」

 

「ッ!!」

 

 

悠哉の一言にルキアは顔を伏せ押し黙った。

 

 

「まっ…そういうこったからさ……お互い黙っとこうぜ…なっ!」

 

 

しばらく二人の間に沈黙が流れた……しかし、その空気に耐えられなくなったのか、ルキアが話し掛けた。

 

「………一つ…聞いてもよいか…」

 

「答えられることならな」

 

「なぜ、あのような事をした」

 

「………」

 

ルキアの質問に今度は悠哉が押し黙った。

 

 

「答えろ……何故だ!」

 

「………れた……」

 

「何?」

 

「だ〜か〜ら〜、忘れたって言ってンだろ?聞こえなかったのか?………………ッ!?ま、まさか………その歳で難聴!!」

 

「ッ!ふざけているのか!!」

 

「いいじゃねぇか………罪人の考えなんか理解したところで何の得にもなんねぇよ………それに俺は、過去を振り返るのも過去に囚われるのも嫌いでね」

 

「きさ「ガタッ!!」……!」

 

悠哉はルキアの話を途中で遮るように立ち上がり、階段に向かいだした。

 

「まっ「そうそう」……!」

 

ルキアが呼び止めようとすると、悠哉は立ち止まり振り返った。

 

 

「聞きたいことがあるんだよ」

 

「………何だ…」

 

「朽木家当主の奥方は元気か?」

 

 

悠哉の発した言葉にルキアの顔は氷ついた。

 

 

「……?…どうした?」

 

「……亡くなれた…「ハ?」……緋真様は50年に亡くなれた…」

 

ルキアと会話していた間、終始にこやかで飄々とした態度だった悠哉からその雰囲気が消え、周りの空気が冷えたように感じるほどの殺気が彼から出ていた。死神であるルキアですら冷や汗を流すほどの………それも一瞬のことで悠哉は何も言わず、再び階段に向かって歩きだした。

 

 

「じゃあな〜嬢ちゃん」

 

 

「……!……ま、待て!!」

 

悠哉は再び立ち止まったが今度は振り返らなかった。

 

「嬢ちゃんではない……朽木ルキアだ!」

 

 

ルキアの名乗りを聞いた悠哉は片手を挙げ、振りながら歩きだした。

 

 

「ハイハイ、分かったよ……朽木…………………………の”嬢ちゃん”♪……」

 

 

「嬢ちゃんではないと言っておるだろうかー!!」

 

 

ルキアの怒声を聞きながら悠哉は浦原商店への家路についた。

 

 

 

 

 

ルキアたちがいた公園から大分離れた場所で、悠哉は空を見上げていた。

 

その顔にはいつもの笑顔はなく、唯…悲しげな顔をしていた。

 

「………そうか……死んだ……のか…緋真……」

 

 

そう呟く悠哉は、空を見上げしばらくその場に立ち尽くしていた。

 

 

 

 

――雲一つない青空に4羽の燕が飛んでいる――

 

 

 

TO BE CONTINUED

 

 

 




にじふぁんじゃ此処まで投稿していたので、次回更新を頑張りたい
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