そのリンクスは夢を見る   作:あーねむ 草の民

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 反動のリンクスは過去の意思を継ぐ。


その革命家は夢を見る

「状況はどうだ、メルツェル」

 

 旧GA本社、「ビッグボックス」。その一つの小さな部屋に、2人の男がいた。

 

「概ね計画通りだ、テルミドール。思ったより、老人たちの凝り固まった関節は動きが悪いらしい。あとは『彼』の首輪を…」

 

「外そうというわけか。相当な戦力になるだろうし、楽しみの一つではあるな」

 

 テルミドールと呼ばれた男は、革椅子に座って天井を見つめる。そんな彼を見て、参謀であるメルツェルは少しの心配を感じる。これはプランの第一段階に過ぎない。彼はラインアークでの一件から少々疲労困憊のようだった。

 

「テルミドール」

 

「なんだ」

 

「少し休んだ方がいい。団長がそのようじゃ困るからな」

 

「…それもそうだな。少し、休ませてもらおうか」

 

 そんなメルツェルの心情を知ってか、テルミドールは静かに目を瞑ろうとする。

 

「お休み、団長」

 

 ドアが静かに閉じられ、部屋は静けさに包まれる。目を瞑ったままテルミドールは思考する。いずれ首輪を外す彼のこと、自らに思いを託したNo.1のこと、ラインアークの白い閃光のこと。あらゆる情報が脳裏を掠め、やがて浅い眠りにつく。泥のように、沈むように。

 

 

 

「出身はアナトリア。あのAMS開発で有名なコロニーか」

 

 コロニー・アナトリアに生を受けた私は、歴史ある街並みとたくさんの植物に囲まれて過ごした。幼少期にAMS適正があると知ってから、私はレイレナードのリンクス候補生になった。あの言葉は、その時に出会ったベルリオーズに掛けられたものだ。だが戦争が始まり、負けた。ベルリオーズは死に、そしてアナトリアは襲撃されて守っていた命の殆どを散らした。私の母を巻き込んで。旧レイレナードはオーメルに吸収され、私もオーメルのリンクス候補生となった。そのまま言われるがままリンクスになり、私はNo.1となった。その時から心にあったのは、復讐への強い執着だろう。『革命』などと銘打ってはいるが、その実は個人的な復讐でしかない。メルツェルに、ORCAのメンバーに知られたらどう思うか。全ては私情でしかない。母の顔は、もう朧げでしかない。あぁ、あの人は私がリンクスになると言った時に悲しそうだったな。でも応援してくれた。私はなんのために戦っているのか。その答えですらも、この戦いの向こうにあるというのなら。

 

 意識が覚醒する。目を開ける。息を吐く。目の奥にあるのは革命への情熱か、過去への強い執着か。

 

「お目覚めか、団長」

 

「いたのか、メルツェル」

 

「さぁ、私も参謀として話があるからな」

 

 優秀な参謀は相棒の目尻にあった僅かな水分を見逃さなかった。が、それを気にせずに話を進めた。

 

「団長様も人間だったようで何よりだ」

 

「…なんの話だ?」

 

 テルミドールはここ数年で1番困惑していた。

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