そのリンクスは夢を見る   作:あーねむ 草の民

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Someone is Always Moving on the Surface.


クレイドルで最も優れたリンクスによる戦い

 海上を走るハイウェイに、凄まじい風切り音と共に『閃光』が降り立つ。足底部の装甲がアスファルトを削り、火花をあげる。

 

『こちらホワイト・グリント、オペレーターです。あなた方は、ラインアークの主権領域を侵犯しています。速やかに退去してください』

 

 メインカメラの複眼が青く、強く輝く。

 

『さもなければ、実力で排除します』

 

 

——

 

『フン、フィオナ・イェルネフェルトか。アナトリア失陥の元凶が、何を偉そうに』

 

 ハイウェイの延長線上を見つめるオーメル・サイエンス社所属のトップランカーであるネクスト「ステイシス」、リンクス「オッツダルヴァ」。後ろからオーバードブーストをふかした黒のアリーヤ、「ストレイド」も合流する。ステイシスがそちらへ目を向けると、呼応するようにストレイドも複眼を輝かせて視線を送った。

 

『ホワイト・グリント、大げさな伝説も今日で終わりだ。進化の現実ってやつを教えてやる』

 

 ステイシスのメインブースターが翡翠の光を放ち、莫大な推力を発生させる。機体のスピードを上乗せしてステイシスから放たれたPMミサイルを皮切りに、クレイドルで最も優れたリンクスたちによる戦いが始まった。

 

——

 

 彼女、ラインアーク専属リンクスのオペレーターである「フィオナ・イェルネフェルト」は額に汗を浮かべていた。ヘッドセットから聞こえてくる無線やレーダー画面上の激しく動く赤と緑のドットが、戦闘の厳しさを物語っている。今回企業連から差し向けられた刺客の1機であるランク1「ステイシス」は、意外にもあっさり墜ちた。些か不自然ではあったものの、ホワイト・グリントの051ANNRから放たれた数発のSAPHEIが薄くなったPAと装甲を貫徹し、エンジンに損傷を齎したようだ。その後ステイシスは着水、無線を聞いた限り水没したと推測できる。正直あとはストレイドを手早く撃破すれば終わり…などと簡単に考えていたが、甘かった。流石は期待のルーキーと言ったところ。アリーヤフレームの特性を活かした機動で射線をずらし、当てられる弾はしっかりと当ててくる。AFスピリット・オブ・マザーウィルを彼/彼女が撃破したというのも頷ける。最初は2:1の戦闘だった事も相まって、ホワイト・グリントのAPは残り20%を切るところだった。

 そのストレイドの姿に、昔の彼を見た気がした。ジャイアントキリング、高ランクのネクストを次々に落としていく。なるほど、イレギュラーですかと呟く。

 

「貴方は、昔の私たちと同じです」

 

 首輪付きは企業連の駒として彼と戦っている。

 

——

 

「…似ているな」

 

 機体の中で、誰にも届かない声を漏らす。実際はAMS接続により機体そのものが自分の体のようになっている今、声など出せていないが。超高速で動き続ける視界と体の感覚に若干の懐かしさを覚えながら、両手に持ったライフルを常に黒のアリーヤに指向し続ける。強い。放たれたミサイルは悉くかわされ、こちらも負けじと回避をするのでお互い決定打が打てない状態にいた。突然、ストレイドがこちらに意識を向けるばかりにサイドブースター全開で横から海上ビルに激突。そのまま海面へと落ちていく。

 

 占めた。

 

 肩部のSALINE05を発射。空中で母体から分裂した大量のミサイルが猛スピードで白煙を伸ばし、ストレイドへ向かっていく。爆発。海面スレスレで大きな爆発が起き、ストレイドが巻き込まれて見えなくなる。空中で滞空し、構えていたライフルを一旦下ろす。

 

 まだ来る。

 

 煙の中から黒い影が飛び出してくる。一度照準を外したライフルを再度照準するには余りにも短すぎた。オーバードブースト全開で目前まで迫ったストレイドがそのまま体当たりを敢行する。凄まじい衝撃に後ろに跳ね飛ばされ、PAが揺らぐのを感じた。機体の制御を失って背中から海面へ落ちていく。ここで追撃を許すと負ける。頭から真っ逆様に落ちていくが気にせずにライフルを連射する。粗雑な照準では当然有効打になるはずもなく、数発がPAを僅かに揺らすのみに留まった。が、向こうもAPが残り少ないのか、機体から火花が飛び散っている部分が見える。追撃を断念させたので姿勢制御を回復させ、ハイウェイ上に着地する。

 

『貴方は、昔の私たちと同じです』

 

『考えてください。何のために戦うのか』

 

 フィオナからの無線。恐らくストレイドに向けたものだろう。だが向こうは戦闘を止める気などない。空中のストレイドが背部ブースターを輝かせ、一気に接近してくる。最初のステイシスと同じようにミサイルをスピードに乗せて放ち、ライフルを連射してくるが、クイックブーストで回避。長時間の戦闘で疲労した自分の体には相当な負荷がかかっているだろう。それを感じるのは生きて帰った後の話だが。ストレイドがライフルを投げ捨て、左腕のレーザーブレードを起動して突っ込んでくる。意表を突いたつもりだろうが、こちらからすれば願ってもない展開だ。

 

 機体各部の機構が起動し、変形する。コジマ粒子の圧縮が行われ、ジェネレーターから供給された光が収縮。地面を踏み締めると、あまりのエネルギーにアスファルトの破片が少し空中に浮き上がった。メインカメラを保護するシャッターが閉じて、

 光が見えた。




ステイシスは噛ませ犬、ハッキリわかんだね。
     ___あーねむ 1923~3xxx
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