赤いバー嬉しいので、続きます。
ヘンゼルとグレーテルは今回の話は短いと思うわ
ヘンゼルとグレーテル。
第二世代のフェアリーテイルモデルにして、天才研究者のエイブが上層部に無断(ここ重要)で制作した未認可のニケであり、エイブの趣味が反映されているのか、能力はどんな物質も生み出して、発射する殲滅型のニケである。
…実にロマンの塊らしくていい、男心をくすぐられる。
「…ヘンゼルとグレーテルは、レッドシューズの幽霊を見て困惑しているわ」
「私も…こうしてもう一度会えるとは思いませんでした」
ヘンゼルとグレーテルがレッドシューズを目撃して動きが止まり、レッドシューズはバツが悪そうにどうやって話せばいいかわからないと言った困り顔だった。
片や仲間を実験動物のように扱った狂信者と、片やその行為を死後に残った資料を通してまじまじと見せられ、一つ間違えば自分たちも被害者となっていたかもしれない元仲間…拗れない方が無理という話だな。
「三人とも、戸惑うのは分かるがとりあえず後回しにしてもらう…そら、来るよ」
戦場で肩を並べて再会したことは、インパクトはあるがそれでも目の前にいるのはタイラント級ラプチャー、トーカティブ、そこら辺のラプチャーにはない知性と感情があり、頭も回る(ついでに舌も回る)。
戦場において棒立ちの兵士ほど、倒しやすいものはないと言わんばかりに、トーカティブは肩部のミサイルポットからミサイルを乱射させた。
「オズ二個小隊、ミサイルを撃ち落とせ」
「了解!」
アンリミテッド部隊の護衛に一個小隊を預けて、二個小隊となったオズに射撃指示を出す。
この現状でミサイルで攻撃したトーカティブはやはり最適解を選んでいる…しかし、最適解
「
「神経系が複雑で少しお時間をいただきます。残り30秒ほどかと」
人間大の大きさなら三秒から五秒で済むところが、タイラント級になると一気に三十秒以上かかってしまう。しかしひとえに対象がデカすぎる上に、トーカティブに至っては雑食でなんでも取り込んだ部分もあるだろう。
どれがなにの神経なのかを判断するのに、かなりのリソースを使わされている。それでも目算四十秒もあればトーカティブであろうと無力化できるがね。
しかしさっきのように三十秒と、時間制限を設けたコードウィッチの起動は途中で行動の書き換え、上書きをすることは出来ない。コードウィッチ状態でなければ魔女の林檎は対象に対して毒の進行はしない仕様上、現在はかなり強めのデバフを撒いている状況にある。故に次の手に移ろうか。
「ヘンゼル、グレーテル、急な申し出で悪いけど、君たちのその力を私たちに貸してくれないかな」
「ヘンゼルはレッドシューズのことを聞けるならいいと思うの、グレーテルは怪しいお兄さんだけど、顔が好みだからいいと思ってるわ」
打算ありきだが、この二人はとりあえずレッドシューズ関連を聞けるなら動いてくれると思っていた。
オズの"コードウィッチ"を使う手段もあるが、オズの専用武装"マルチマジック"は攻防一体の奥の手であって、そうそう切れるカードではない。現状ゴーテルを別方向の小隊に分けている都合上、防御手段は残しておくに限る。
「助かるよ、お礼にシンデレラと、エイブと、リトルマーメイドも探し出して会わせてあげるからね」
「…ヘンゼルとグレーテルは、お兄さんの正体にすごく興味が出たわ」
「私はピースメーカー、ただのアークの一般指揮官だよ」
◆◆◆
突如として現れた二人の人間もどき、何か特殊らしい専用武装を持っているが、私は
しかし、おおかたアークで製造された人間もどきなのだろうが、"あの"ピースメーカーが協力を申し出るほどだ、油断は禁物だろう。
アークのピースメーカーと言えば、ここ十年ほどから台頭してきた人間だが、ただの人間であれば『平和の象徴』などという大層な肩書は付かない。まぁその平和も、エニックとの裏取引があればこそ成り立っている仮初の平和であるのは滑稽だがな。
しかし、指揮官として戦術の幅が広い所や、人間もどきの扱いが上手い点は十分脅威となる。ただ奴の最も恐ろしい部分は、何をどこまで知っているか、知られているかわからない点だ。
奴のことはアークのエニックと裏取引をした際、出来るだけ情報を流すように設定したところ、アークの政治の中枢にまで側近を潜り込ませている手腕と、自身もアーク上層部に取り入る腹芸も持ち合わせている。
ここで殺せるなら一番いいが、戦力が集まりつつある現状、押し切れないどころか、なんらかの要因で戦況がひっくり返る可能性がある。
撤退を視野に入れ、隙を伺うしか…。
「なににする?ヘンゼル」
「冷たい土地にラプチャー達がいるからみんな一緒に溶かしてあげよう、グレーテル」
「アツアツな物を調合するわね、ヘンゼル」
「最高だわ、グレーテル」
『この熱量!ただの人間もどきが出せる出力ではないのか!?』
二人の人間もどきが操るフラスコ型の銃に集約された炎の熱量は、ニヒリスターの吐く炎と同等のようにも感じる。アークで製造された人間もどきにしては何かがおかしい…もしやロストテクノロジーの域にある最古の人間もどき、ゴッデスに通ずるフェアリーテイルモデルとでも言うのか?
しかし、撃ち出すには多少のタイムラグがあるようだ。
『わざわざ撃たせてやる時間は与えない!』
腕を変形させビーム砲を形成しようとしたところにピースメーカーの人間もどきによる集中砲火が浴びせられた。
『ぐっ…がぁ…』
私が腕の変形を行おうとするたびに、集中砲火を両腕にくらい。肩のミサイルは全て撃ち落とされ、ミサイルポットは破壊から修復が間に合わない。突撃をするために距離を近づけようとすれば脚を攻撃される。
まるで次の行動を読まれているような不快感が体を巡る。
「悉くに先手を打たせてもらうよ」
まずい…このままでは炎に焼かれる。仕方がないが、撤退の準備を…。
「逃がさないよ、君の正体を聞けないのは残念だが…私の綴る物語のハッピーエンドには、君の存在は厄介だからね」
瞬間、双子の人間もどきの銃から高熱の炎が発射された。
『ピースメーカーッッッッ!!!』
「熱烈に名前を呼ばれるなら、やはり女性がいいところだね」
お疲れ様でした。
全く知らないのに、自分のことを知り尽くしてるっぽい人ってやっぱり怖いよね…
ちなみにこのピースメーカーも男性指揮官の例に漏れずイケメンだと思います。