続きます。
考察記録Ⅸ
私の神の、別次元からの過去と未来の知識の取得を以後『恩寵』と呼称します。
私の神は、この世界を二次元的時空と捉えた場合の三次元的人物…次元単位の上位存在であることを観測…そして、本人による言質を取ることが出来ました。
この世界を二次世界と仮定した場合の観測者が私の神であり、概念的な上位者である。
私の神の言葉を全て真実と仮定した場合、私の神の魂は三次元世界の魂であり、故意によるものか事故によるものかは定かではありませんが二次元世界に流れ着いてきたというもの。
次元を超えて干渉してきた人知の及ばぬ存在であり、次元の差による恩寵の取得は高次元の存在の魂であるなら、理屈は通っていました。
上位の次元に行くための方法として、私の神と同じ魂の在り方になる必要がありますが、現状足掛かりのようなものは私の神による禊であると思われます。
魂の浄化は更に上の高位の次元に昇華するための言わば儀式であると判断します。もし、禊が全て終わるならば、私の魂は私の神と同じ高位の次元に昇華し、上位の存在になれる準備が整うのだと考察します。
考察記録Ⅹ
私の神の発言に気になる言葉がいつか見受けられます。
まず"過去と未来"のこと、"この世界"のことを『物語』、あのお若いカウンターズの指揮官を『主人公』と度々呼んでいる点についてです。
普通に考えるなら、詩的な言葉遊びの表現と捉えるべきですが、もし仮に本来あるべき『物語』があったとして、その物語に私の神が自ら介入しているとしたら、それは神にしか許されない所業であり、救世主と言えるべきお方。
私の神はこの世界を『悲劇の舞台』とも表現していらしたことから、未来で起こる悲劇を知っていてそれを止めるためにこの世界に降り立った…と言って差し支えありません。
私の神と同じ次元の魂に至るために、禊を終え、ゆくゆくは身体的接触を更に濃厚に緻密に重ねる必要も出てきました。
他のニケ達を使った実験は止められていますから、臨床実験が出来ないのは歯痒さを感じますが、最終的に私の神に運命を委ねるというのも満更ではないと思えてきました。
しかしそのためには、シンデレラとの和解が一番の鬼門であると断定できます。私の神がいくら交渉に長けていても物には限度があります。
…まさか、私の神の道順における"シンデレラの復活"が一番最後である理由は、オールドテイルズを全員揃えることで過去よりも未来に目を向けさせ、『オールドテイルズに地上を奪還させる』というシナリオを創り、得るはずだった栄光をそのまま取得させることなのでしょうか?
私の神はどこまで………時々、私の神の考えが恐ろしく、またそれ以上に頼もしくも感じます。
◆◆◆
ヨハンとセシルに、現状変更のない確定情報を与えたが…さて、どうなるか。
クイーン戦における戦力の蓄えは、クラゲちゃんことリバーレリオに施設ごと破壊されることがなければ、宇宙ステーションを要塞化させたことにより、予想外の事態である攻城戦の対応、予備電源の増設、"エデンの槍"を用いた後の防衛施設に回す電力の確保など、多岐にわたる。
原作におけるラプチャーの大群を食い止めるパイオニアとインヘルトの戦闘も、戦闘用ナユタの配備が早くなれば疲労も少なくなる上に、2000以上の人員も期待できるだろう。
あとはリリスのボディをどうするかだな…___おや、あれは…。
「やぁ、久しいねドロシー」
ヨハンとセシルに情報を流すまでの間、エデンの中を探索するのも忍びないと感じていたから、会議室で待機していたからドロシーがいたことに気が付かなかったな。
「ピース…メーカー…」
ドロシーはとてつもない速さで振り返り、こちらに早歩きで詰め寄る。圧が怖いな…。
「あなたは、私の情報をどこで…いえ、私の事をどれだけ知っているのでしょうか!」
「………」
エデン内であることから、楽にするように部隊のメンバーには伝えてあるので護衛のいない状態だが…いや、これはチャンスでもあるか。
「予備知識としては何もかも…しかし、それだけではない。アークにおける機密保管庫には、ゴッデスの栄光を綴った記録が保管されている」
「………ッ」
苦虫を噛み潰したような顔のドロシーだが、話を続ける。
「どうしてアークガーディアン作戦において、君たちゴッデスがアークに居られなかったのか…その理由は分かるかね?」
「100年も前の事、どうしてあなたが知っているんですか」
「私の知識は100年以上前からあると言っても信用されないだろうが、そこは君の知る"ピースメーカー"という人物がアークでどれだけの地位にいるか知っているなら、自ずと答えがわかってくるはずだよ」
これは賭けだ。ドロシーが一番知りたがっている情報を渡し、納得させる。
ドロシーを説得させるにはこの瞬間が一番確率が高い。
「…解りたくもありませんが…知りたくはあります…。アークがどうして私たちを、捨てたのか………場所を変えましょう」
エデンの庭園が見えるテラス席にティーセットを二つ用意され、話の場をドロシーが作った。
豊かな香りの紅茶が目の前で作られる。今回の紅茶は何も混入していないだろうね、安心して飲める。
「それではお聞きします。どうして、アークは我々を捨てたのか」
「まず、あの時のアークではいくつかの要素が絡んでいる。まずは利権の関係だ」
私は組んでいた指の一つ上げる。
「アークにおける政治は、"大きな市"一つ分に移住した全人類を管理するために決められた人物がトップに君臨する。そこで、もし仮にアークまでの避難を遂行させたゴッデスの人員がアークに加わると、治安と風紀に関わり、やがて暴動に繋がる。アークはあくまで出来る限りの人類の保護を銘打っているからね」
「それは…言われずとも理解しています。あの時のゴッデスの地位は凄まじいものでしたから」
ドロシーは紅茶を手に取り、昔を思い出しながらを紅茶を口に含んでいるようだった。
「君はオスワルドに建前上はゴッデスのニケのスペックは時代と共に更新されるから…ということも言われたと思うが、それは無いと断言しよう。現に___」
「___オスワルドを知っているのですか」
先程まで紅茶の飲んでいた手が止まり、話を遮られた。すごい眼光で。
「言っただろう。アークの機密保管庫にはゴッデスの栄光を綴った記録が保管されているとね。それに、その保管庫の管理人はオスワルドだ。彼も苦肉の策だったのだろうね、誰よりもゴッデスとニケを勝利の女神として敬意を持っていた彼だが、政治の道具に使われる可能性や、解体される可能性もあった君たちゴッデスをアークから逃したのだからね」
「アークから…逃した…。何を言ってるんでしょうか?あのオスワルドが、私たちを逃す?」
突拍子もない発言に先程から、ドロシーはずっと表情を変えている。
「アークに君たちゴッデスを入れた場合、リスクにおけるリターンはその政治力と技術力にある。前者においては先程述べたように、暴動やクーデターに繋がるが、特にドロシー___君のように政界の娘という立場上、その地位を誰かに利用されることも考えられた。後者は、資源と人員の限られたアークにおいて量産するテストケースのニケのためにボディを隅々まで解体される可能性だった。オスワルドは恐らくこれを一番危惧していたのではないかと思う」
「嘘です!そんなこと信じられません!あ、あなたは私に嘘をついてたぶらかし、アークに向ける敵意を無くそうとしているんです!」
テーブルを叩きながらドロシーは立ち上がり、信じられないとでも言うかのように顔に力が入っている。
「おかしな事を言う。今、君は言っただろう"嘘です。そんなことは信じられません"___今の私の言葉を"嘘"というのに、今までの私の言葉を"嘘ではない"と言うのかな?」
自分の思いもよらない真実を突きつけられ、それを嘘だと認めたくない事なのだと指摘されたドロシーはたじろぐ。
「…アークの中でもゴッデスをアークに入れるかどうかで一悶着はあっただろうが、最終的にアークから逃す選択をオスワルドは取った。自ら突き放す怨敵となることで、生きる気力にさせようと…自らが燃え盛る炎の薪になる事を彼は望んだんだ」
「…嘘です…もしその話が本当なら…私は………」
ドロシーは力無く椅子に座り直した。
しかし記憶のどこかで、私の言葉を照らし合わせるように、『もしかしたら』という出来事があったのだろう。考えるように俯いた。
「これがアークガーディアン作戦における真実となる………。知りたい事があれば、私の知る限り答えよう。それと遅れたが、一人のアーク市民として___一人の人間として…君たちがいてくれたから今の私がいる___心からの感謝を送ろう___」
"ありがとう"
お疲れ様でした。
この作品においてアークガーディアン作戦でゴッデスをアークに入れない理由はピースメーカーの考察諸々含めて、裏の目的は「ゴッデスを逃すため」と言うことになりました。
明確な答え合わせは公式から出ると思いますけど、多分オスワルドくんならそう考えても不思議じゃないと思いますねぇ
ちなみに何気なくピースメーカー貞操の危機…待てよ、お前ままだカーレンから襲われてなかったのか?