ランキングに珍しく乗っていたのと時間が作れたので、書けました!
お正月のイベントの『ARK GUARDIAN』のイベントの一部ネタバレを含む場合がありますので、この作品を読む前に勝利の女神nikkeをプレイして、イベスト読んで戻ってきてくださいね!
「アークに伝言をお伝えください。…現在アークへと要人警護、並びにガイドを含めた、アーク封鎖までの間、封鎖作業の守護を任務としたアークガーディアン作戦は達成率85%を以て成功、ゴッデス指揮官、並びにリリーバイス少佐を
アークの封鎖を担うアークガーディアン作戦、その作戦の最中、ゴッデス部隊のリーダー代行ドロシーが三ヶ月もの間音信不通である通信機器にいつものように音声の定期便を流していた。
週に一度の定期連絡だったがその一度も返答は返ってこない中、通信機器に電波が通った時に聞こえる『ジジジ』という電波の波を流し始めた。
『___伝言を確認した。通信復旧のため、このまま通信を再開させる。私はアークガーディアン作戦司令部副司令および作戦指揮部隊総指揮官の
今日も繋がることはないと諦めが見えていたところに、アークからの直接の通信が繋がり、ドロシーは思わず息を呑む。
『現状、アーク内の治安維持が深刻化され、兵力はアーク内だけで手一杯の状況にあるため、アークガーディアン作戦に兵力を投入することは事実上難しい』
「…そうですか」
ドロシーとしては残念と思いながらも当然の返答であった。ラプチャーの侵攻により人類は数を大幅に減らしてはいるものの、それでも残った人類が地下都市であるアークに居住圏を移すとなれば、人種問題や宗教上の問題など多岐にわたる。
その混乱を治めるためには猫の手でも借りたいほど忙しく、士気と兵力が低下してはいるものの、ラプチャーの大群による襲撃はリリーバイスが無事であった戦闘時以降なりを潜め、現在は緩やかな偶発的な戦闘が主な戦場となっていた。
『そのため、私個人による判断を元に兵力を
「っ!それでは、増援が見込めるのですね?」
思いがけない通信に対して、ドロシーの声は跳ねる。
『兵力の分散は手痛いが、ゴッデスの影響力で民衆を束ねる方が、手っ取り早く我々も苦労しない。すぐに人員と補給が到着する予定であり、二週間後にアークは完全封鎖する。今からは撤退戦を視野に入れながらの戦闘になるため私も地上に上がる、総指揮は私が担うよ。ゴッデス指揮官ほど頼りにはならないが、我慢してくれ給え』
ドロシーが感動のあまり涙を流しそうになったところで通信が続く。
『長い間の孤軍奮闘、痛み入る…ゴッデス部隊に感謝を』
ドロシーは通信の奥で相手が敬礼をしているのだと感じ、見えないであろうドロシーも敬礼で返した。
その直後、敬礼をしていたドロシーの上空を轟音と共に巨大な影が現れ、辺り一面を影で覆った。
『それと言い忘れていたが、私個人が開発設計に携わった空飛ぶ艦である勝利の翼号級2番艦ドミニオンが上空を私を乗せて___』
◆◆◆
夢、か…目からの出血があるな、脳のダメージは…それほど深刻ではない。"恩寵"の負荷から見るに正月エピソードくらいか?
まぁいい、まだ私は
「…リリスも、このような気持ちだったのだろうな」
現在我々はゴーテル___ユージーンの防御武装タワーオブプリンセスの冷却待ちのため、セイレーンの作ったこの泡沫の箱庭で一日を過ごしている。
"水泡"と呼ばれるシャボン玉のような水の球体は、液体金属とエイブの超技術によって唯一無二の武装となっている。水泡を弾丸のように撃ち出すことはもちろん、セイレーンの言霊を離れた位置で発動させるための接触武器としての役割のほか、精神干渉など多岐にわたる。
いや、ほんとどんな仕組みをしているのだろうか…私自身三魔女達やカーレンのアルブレヒト&デューラーの基礎設計に関わっているため、ある程度の知識は持ち合わせていると思っていたが、文字通りエイブは格が違う。
やはりこの人類とラプチャーの戦争において一番のキーパーソンはエイブにあると思っている。彼女の最高傑作であるシンデレラが早期に戦線に投入されていれば、歴史は大きく変わっていただろう。
それを利権争いの汚い大人が、権力や名声を誇示したいがために活躍した後のシンデレラの手柄は誰にあるかなどと宣う。その結果、戦争は想定より長期化、人類の敗北が濃厚となり、人類が負ける前にラプチャー側に移ろうとして侵食の研究が完成したレッドシューズの蛮行に繋がる。
思えばこの戦争の結果は汚い大人の権力争いから来ているね。100年前から私が生きていればこんなことにはならなかったのだが…いや、アンダーソン___伝説のゴッデス指揮官や、オスワルドでもダメなら現場叩き上げの人材では、どのみち無理だっただろう。
………さて、そろそろ起床時間だろうから、みんなの元に行こう。しかし、このセイレーンの作った水泡のベッドは素晴らしい寝心地だな、ウォーターベッドも顔負けだ。
『おはよう、王子さま!よく眠れた?』
起きているのは今のところセイレーンだけだね。ヘンゼルとグレーテルもセイレーンと一緒に寝ていたらしいが、二人はまだ寝ているのだろうな…。
まぁ、これからヘレティック級との戦闘も視野に入る、今回は多めに見よう。私とて、あの寝心地のいいベッドで起床時間前に起きられたのは奇跡と言えるからね。
「おはようセイレーン、水泡のベッドは素晴らしい寝心地だったよ…それと、昨日から気になってはいたが、私は王子さまなのかい?」
『あう!王子さまは、王子さまだよ!』
満面の笑みで答えるセイレーン。
私の呼び名も主人公ちしかんには流石に負けるが、色濃くなっているような気がする。
平和の象徴、Mr.ピースメーカー、指揮官、マスター、ボス、私の神…そして王子さま…ふむ、考えるのはやめようか。
◆◆◆
時間は遡り、ピースメーカーがエデンに向けてアークを出発してから程なくして、アークに存在するスラム街アウターリムに拠点を置くテロ組織エンターヘブンがアーク市内にて暴動テロを起こしていた。
平和の象徴の不在を狙った計画的な作戦は、アウターリムを監視下に置く為に設立されたミシリス所属の部隊、エキゾチック部隊が一枚噛んでいた。
エキゾチック部隊の介入により、資金面が潤沢になったテロ組織エンターヘブンは首謀者である
しかし、裏で糸を引いていたエキゾチック部隊の裏切りにより、アークの天井部分で爆発物が暴発、大規模な爆発が起こり、アークの天井エターナルスカイに風穴が空く。
地上からアークに一直線となった大穴からラプチャーが侵入する事態となり、アーク内部にて行われた初のラプチャー戦は、ピースメーカー不在のため緊急時につき隊長を務める分隊、ピースメーカー分隊の隊長オフィーリアが担当した。
「私らのボスは現在外出中だ!敵は私らのボスが怖くて不在の瞬間を狙う卑怯な奴らだ!そんな奴らの起こした事件で私らの一人でも死んでみろ!ボスはきっと寝込むぞ!!!目の下のクマが目立つボスを見たくないなら死ぬ気で頑張って生き延びろ!"ピースメーカー"の名前を冠する部隊は意地でも犠牲者は出すな!ピースメーカー分隊!エンカウンタァァァァァァァ!!!」
負傷者を出しながらもニケ、市民共に死亡者ゼロにてこれを殲滅。
「平和の象徴、天下のピースメーカー様も、守るのはアークだけだ。どうしてか分かるか?アウターリムはアークではないからだ」
思想としてはアウターリムの待遇改善を説いたエキゾチック部隊のリーダー、クロウ、同じくメンバーであるバイパー、ジャッカルはカウンターズの指揮官により拘束、事態は収束したかに思われた時、アーク内部の混乱に生じ地上からアークに通ずる天井の大穴から一体のヘレティックがアーク内部に侵入した。
「あれは…ニヒリスター?ヘレティックです!指揮官!」
[アーク内部にヘレティックだと!?…マリアンの話が本当なら、ラピ、アニス、ネオン、マリアンのカウンターズ全員で至急対応に当たるぞ]
「でも…どうにか話し合いで解決出来ないでしょうか…」
「アーク内部に侵入されては話し合い以前の問題だわ。指揮官、私が先行します、レッドフード状態なら対処は可能です!」
マリアンに有無を言わさず、ラピの髪が赤く燃え上がり始めた。
「現場に急行します!」
[マリアン、あの状態のラピに追いつけるとしたら君だけだ!今は頼む!]
ラプチャークイーンとして目覚めつつあるマリアンは苦しい顔をしながらニヒリスターの後を追うも、ニヒリスターはアトラスケージ内にて拘束中のヘレティックインディビリア、ならびに特殊個体ラプチャートーカティブを解放。
とりあえずアーク内からの排除を視野に入れたラピは三体が暴れる前に力任せに連れ出し、地上行きエレベーターで自分諸共地上に射出させた。
そしてその一部始終をマリアンが目撃していた。
ラピを見つけるため捜索にあたっていたところ、ラピがいると当たりをつけた地点で赤くオオカミの印象を持つ大口径のライフルを携えたニケにラピを除いたカウンターズは出会った。
◆◆◆
「えっと、な…すごく伝わりづらいと思うんだが、私はラピなんだ」
"いや、私はラピではないぞ?"と付け足した目の前の赤い髪のレザー服のニケは何を言っているんだ…思考転換でも起こしたのか?
「こう…なんて言ったらいいかなぁ。見た目はラピじゃないんだけど、身体そのものはラピ?みたいな?」
やはりこの目の前のニケは思考転換を起こしている、イレギュラー化している可能性があるな。イレギュラー化したニケは処分する方が不安材料が無くていいと、知り合いのエクスターナーのメイデンに聞いたことがある。
「いやいや待て待て!そう剣呑になるなって!…そう!私はレッドフードなんだ!聞いたことあるだろ?ゴッデス部隊の一人だよ!」
「ゴッデスってあのおとぎ話の?」
「私も絵本の読み聞かせで聴いたことがある程度ですね」
私もアニスとネオンと大方同じような意見だ。マリアンが一人だけ考え込むように「うーん」と腕を組んで唸っている。
「指揮官はガッデシアムの自由度はご存知ですか?」
ようやく考えがまとまったらしいマリアンは口を開き、私はその答えに「所詮金属なら、自由度はあまりないのではないか?」と答えたが、"ちょっと違いますね"と訂正された。
「ニケの材質の大部分の材料とされるガッデシアムは量産型ニケ以外のニケなら、自分が想像する思い通りの姿になれるとも言われています。その話が本当なら、ラピの中に眠るレッドフードという人物という人格が顔を出した結果、ラピの体がレッドフードそのものの見た目になったのではないかと思います」
「おお!それだそれだ!いやぁ、話の分かるお嬢さんで助かるよ!」
マリアンの話が本当であるなら、目の前の人物がレッドフードという存在と分かった。
そしてラピ探索前にイングリッドからもらった鎮静剤を投与することで、目の前のレッドフードから元のラピに戻るらしい。
しかしどうやら、内に眠るラピはそれを望んでいないようだ。
「私の中に眠るラピがどうやら"故郷を探して"と、ずっとつぶやいてる。今のまま私がラピに戻ってもすぐに同じ結果になっちまいそうだ」
どうやら、レッドフードの内に眠るラピはレッドフードの願いである"故郷に帰る願い"を叶えたいらしい。
そして私たちの旅は始まりの合図を告げた。
「その…センセイは元気にやってるのか?」
[センセイが紅蓮のことなら、元気に酔っ払っているよ]
"ん?酔っ払い?"と首を傾げたレッドフードは、考えた末に頭を横へとふるい、しばらくして口を開いた。
「そういや、私が聖女様にあげた本って男前は知ってたりするのか?」
[聖女様…あぁ、ラプンツェルか…それってもしかして、"熱くて盲目なもの"か?]
「ええ?男前は知ってるのかよ!あちゃあ、聖女様はアレを見られたかぁ…」
すごい男女の濃密な恋や、ボーイズなラブが乗っていた話や、女性同士のいざこざの末に結ばれる話しなど熱弁していた…ような気がしたが、あまり覚えていないためレッドフードにははぐらかした。
「お嬢サマは元気か?」
[誰のことを言っているんだ?]
「へ?もしかしてドロシーにはまだ会ってないのか?あー、まぁ100年も経ってるし別々に行動してるなら仕方がないか?」
ドロシーか…私はまだ
「………ところで、おチビちゃんは元気か?」
[ん?誰のことを言っているんだ?]
今のところゴッデスの半分くらいは、実際に会うことはなく知らない気がしてきた…。
「えぇ?あの、ちっちゃくて可愛いスノーホワイトを知らないのか?」
"腕の中に顔を収めると可愛くて仕方がないんだ!"…と、レッドフードは付け足して言っているが、本当に誰のことを言っているんだ?スノーホワイトのことなら知っているが、小さくて可愛い印象はまるで持ち合わせていない。スノーホワイト自体には会っているが、もし仮に私の思い描くスノーホワイトであるならば…。
[なんだ………その…特殊な感性を持っているんだな]
「酷い!」
レッドフードとの雑談の末、しばらく歩くと奥に特徴的な丘の見える綺麗な花畑が当たり一面に広がっていた。
よく見るとその花畑の真ん中では、カフェの屋外テラス席によく見られる真っ白なパラソルと、二組の椅子に机を要したアフタヌーンティーを楽しむセレブを彷彿とさせる光景を形作っている人物を目撃した。
「………あれってお嬢サマ?」
[お嬢サマ?さっきの会話の通りなら、ドロシーというニケがいそうだな]
「居そうじゃねぇ、本当にいるんだよ!おーい!ドロシー!」
遠くから屋外テラス席のような椅子に座るニケに身振り手振りをして声をかけたレッドフードだったが、人違いではなくちゃんとその名前に反応した。
名前に反応したドロシーなる人物はレッドフードの鼻先が当たるであろう距離まで近づき、耳、頬、顎、髪といった顔から始まり全身の至る所を触診して感触を確かめた。
「貴女の名前は?」
「レッドフード」
「好きな音楽は?」
「カントリーミュージック!」
「好きなものは?」
「カントリーミュージック!」
「やってみたいものは?」
「カントリーミュージック!」
一見すると反復動作に見える一連の行動は、どうやらドロシーからするとその人を決定付ける行動らしく、その返答にドロシーは涙を流した。
「本当に…レッドフードなのですね…」
「…あぁ、神様がほんの少しだけ私に時間をくれたらしい。でも、残念だが、このまま私が喋られるのもあまり長くないとは思うぞ?」
「大丈夫です………もし、仮に幽霊だとしても…私は貴女の幻影に悩みを話していたところでした」
そしてドロシーはポツポツと、レッドフードに話し始めた。
お疲れ様でした!
オスワルドがゴッデスを逃すためにアークに入れなかった考察だったけど、本当だったね、当てちゃったよ…。
ちしかんがエデン陣営との接触もなく(多分イサベルとの接触はある)くらいでドロシーとの接触以前の時系列なんですけど、新星ヨハン先輩のレベリングをせずともピースメーカーの存在からお手本が既にあったので独力で規定レベルに達したため、アークテロが先に起こっちゃったバタフライエフェクトがこの作品の話ですね!(ピースメーカー不在の時を見計らっていたためピースメーカーの所為でもある)
本編を知ってる人ほど時系列がゴチャゴチャになりそうですけど、ちしかんが今からエデン陣営と初めて会うくらいの認識で大丈夫だと思います。その前にアークテロがあったので、エデンの話とアークテロの話が入れ替わってる感じですかね?
アークテロで起こったドバンのアウターリム虐殺は多分、音声録音とピースメーカー隊の誰かがドバン宛ての回線に送れるようにしてる手筈そうなんですよね。ドバンの返答を予想して録音してあるって、それなんてルルーシュ?
ちなみに、アークテロはあらすじによって、めちゃくちゃ簡単に端折られたダイジェストになりましたね!私自身あまり覚えてないのもあって、「クロウはニケそのものの立場改善に動いていた」って認識でしたけど、立場改善はピースメーカーがやっちゃったので、次点の目標にしそうなアウターリムの待遇改善に動いたって、バタフライエフェクトですね!ユニも多分幸福になってそうだし、市民の巻き添えはピースメーカー分隊が細心の注意を払ってゼロに抑えてるしで、クロウは多分あまりいいところは見せられてなさそう…。
それと、ピースメーカーはアウターリム関連の話はほとんどノータッチですね。理由としては、ここで触れると不確定要素が多くなるのと、アウターリム全体のガス抜き、ピースメーカー視点善良な市民とエンターヘブン加入のテロリストの区別がつかなかったのも原因にありそう。
ちなみにちなみに、ドロシーとレッドフードの出会うタイミングが、ドロシーがアークの真実をピースメーカーから伝えられた直後とした場合の話なので、多分意気消沈して「貴女が戻れば!」的展開にはならないと思うんですよねぇ…え?このタイミングの展開を偶発的に書いた作者がいるんですか?絶対行き当たりばったりですよ?