【本編完結】アークの一般指揮官   作:山吹乙女

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 お疲れ様です。
 今回も難産です。


一般的なお嬢と一般的な放浪者達

 レッドフードの故郷らしき場所は、マリアンがヘレティック時代に訪れたことがあり記憶していたらしく、到着した田舎町のような場所を見るとレッドフード曰く、「ここだ!ここだ!」と言っていて懐かしの場所だった。

 道中、弱りきったドロシーを介抱するように、レッドフードが付きっきりで面倒を見ていた。ここまでメンタルをやられていては、いずれ思考転換をしてしまいかねない。私も力になりたかったが、アークの指揮官である私が手を出せば、逆効果になりかねないので、同じ条件のカウンターズのみんなにもあまり触れないでもらっていた。

 

「来たぞ、何があった?」

 

「坊ちゃんからの呼び出しとは珍しい」

 

「久しぶりですね、ブラザー」

 

 私としては幾度と顔を合わせたことがあるパイオニアの顔触れだが、レッドフードからすると、目を疑うような出来事だったようだ。

 離れた位置から、スノーホワイトを目で追っていたレッドフードだったが、決心をしてドロシーを連れながらパイオニアに近づいた。

 

「よう、久しぶりだなお前ら…ドロシーから話があるようだ」

 

 フランクに近づくレッドフードだが、パイオニアのメンバーはレッドフードを見るや露骨に驚いている。

 

「まさか、レッドフードなのかい?」

 

「レッド…フード…生きて、いたんですね」

 

「………ッ」

 

 スノーホワイトだけが、頭痛が走ったのか頭に手を置き歯を食いしばっている。

 

「スノー!大丈夫か!」

 

 レッドフードがスノーホワイトに駆け寄り、膝から崩れ落ちそうなところを肩から支えた。

 

「レッド…フード…」

 

「記憶が戻ったのか!?」

 

 前もってドロシーから今のスノーホワイトにはレッドフードの記憶がないと知らされており、会っても分からないだろうと言われて諦めていたレッドフードだったが、自分を呼ぶスノーホワイトを見て、"もしかして"と、期待を持ったようだ。

 

「あぁ…あの時お別れをしたのに、まさか生きているなんてな」

 

「今の私は幽霊みたいなもんだ。私の弟子が私に体を貸してくれているほんの少しの時間だけ、お前らの前に化けて出てきちまった」

 

 『あまりにも心配でな!』と、付け足したレッドフードを見てパイオニアのメンバーは呆れて肩をすくめた。自分たちが別れを告げたあのままのレッドフードであると、言わんばかりに顔に笑みを浮かべている。

 

「まぁ私のことはいいとして、あのおちびちゃんが随分と大きくなっちまったな、歴戦の傭兵って感じがして…嬉しいような悲しいような」

 

「強くなる必要があったからな…こうならざるを得なかった。お姉ちゃんみたいに強くならないといけなかったから」

 

「そうか…安心した。っと、今回はメインは私じゃなくてドロシーだ」

 

 レッドフードに背中を押されてパイオニアの前に出されたドロシーは、弱々しく、レッドフードに話した悩みを打ち明けた。

 

「私は…帰りたいです。あの頃に…指揮官がいて、リリスがいて、みんなの居たゴッデスに…」

 

 話し終えたドロシーは手で顔を覆い。嗚咽を漏らしながら泣き崩れた。

 

「指揮官もお姉ちゃんももう居なくなってしまったが、それでよければまた戻ってくればいい。身も心もダメになっていた"あの時"手を差し伸ばしてくれたドロシーに、今度は私たちから手を差し伸べる番だ」

 

「そうだねぇ、あいにく"新生ゴッデス"のリーダーは不在だからね。私たちの中なら、ドロシー以外の適任はいないだろう」

 

「ドロシーが戻ってきてくれることを、ずっと待ってました。また一緒に肩を並べられるのですね」

 

「沢山迷惑をかけたのに…迎えてくれるのですか?」

 

「はて?私たちがドロシーにかけた迷惑以上の事を、ドロシーは私たちにやっていなかったと記憶しているのだがねぇ」

 

「紅蓮…」

 

 顔を上げたドロシーにパイオニア三人が、手を差し出した。

 

 "おかえりドロシー"

 

「…ただいま」

 

 涙を拭きながら笑顔になったドロシーを見て…私は涙腺が崩壊した。後ろを見ると、カウンターズ全員泣きながら拍手していた。

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

「本当に行っちゃうんですね…」

 

「ああ、死んだやつは今生きてる奴にあまり関わっちゃいけないんだ。私があいつらに会ったのもエゴみたいなもんだ」

 

 昔を懐かしんだレッドフードは一通りの用事を終え、もう心残りがないと言うふうに達観していた。

 

「やってくれ男前」

 

 この雰囲気で戻すのは少し忍びない気がしてくるが、そうなるとラピが帰ってこない。

 渋々鎮静剤をレッドフードに投与すると、一瞬のうちにレッドフードの姿がラピに戻っていた。

 

「ラピ…で間違いはありませんね。レッドフードの残してくれたものを大事にして、今を大切にしなさい」

 

「言われなくても…」

 

 戻ってきたラピをカウンターズのみんなで迎えながら、今後のことに対して思考する。ラピがレッドフードに変化したことから、精密検査もしたい。ここからアークにどれくらいで着くだろうか。

 

「精密検査を考えているなら、一度エデンに足を運ばれては?貴方たちであればエデンに入る資格もありそうですし」

 

[(エデン…確かピースメーカー指揮官がエデン探索をしていると言っていたな。)整備が受けられるなら助かるが、近いのか?]

 

「ここからでしたらアークよりは近いはずです。スノーホワイト達もエデンに来て、補給を受けてはどうです?」

 

「食料はあるか?」

 

「スノーホワイトが満足するくらいなら余裕でありますよ」

 

「なら行こう」

 

 ピースメーカー指揮官が行っているということなら、話も通しやすいだろう。

 なにより、ラピの容態が気になる。

 

[わかった、私たちもエデンのお世話になろう]

 

 話が決まり、エデンに近づくにつれ地面が湿ってるようで、通り雨でもあったかのようだった。そして、ポツポツと雨が降り始めた。

 

[雨が降ってきたな]

 

「エデンの辺りでは雨が降っているようですね。濡れますがもう少ししたら、エデンに到着します」

 

 光学迷彩を用いたエデンは近づいているようだが、見えない。その光学迷彩技術で地上でもラプチャーに攻撃されず、拠点を構えることができるのだろう。

 

 しかし、突如として、エデンと思しき建築物が光学迷彩を解き、光学兵器のビームが光の奔流のように撃ち出された。

 

「今のは…エデンの槍…。エデンで何かあったに違いありません、急ぎましょう!」

 

 エデンに到着すると、今度は空高く天に向けビームが放たれた。

 エデンのコントロールルームらしき場所では研究員らしき女性が倒れ、その近くには浮遊したニケ…いや、おそらくヘレティックがエデンを襲撃していた。

 

「セシル!大丈夫ですか!」

 

 倒れている女性と、ヘレティックを隔てるように、ドロシーが割って入る。

 

「人間モドキが来たようね。私は消耗しているから、帰るわ」

 

「待ちなさい、貴女の目的は………()()?」

 

 まじまじとヘレティックを確認したドロシーは誰かの名前を口にした。

 

「私はリバーレリオ、ピナでは………ッ!()()()()()()…」

 

 悶えるように頭を抑えたリバーレリオは苦悶の表情を浮かべた。

 

「まさかとは思ったが、あのピナなのかい?」

 

「確かに、面影は感じますが…ヘレティックなんて」

 

「ヘレティックからニケに戻った前例はそこのマリアンがある。ドロシー、希望を持て」

 

 ドロシーの周りにパイオニア…新生ゴッデスが集結した。

 

「私は…お母様に…」

 

 ふわふわとこの場から離れようとしたリバーレリオの背後から、声が響いた。

 

「"停止"」

 

 思考はできるものの、ニケも人間も、ヘレティックすらもその動きを止める。まるで、時間でも止められたかのようだ。

 

「手を焼いているようだね、よければ私が力を貸そう」

 

 また会おうと誓った私の憧れの人物、"平和の象徴"は、笑みを浮かべながら現れた。

 

 

 

 

 

 

 




 お疲れ様でした。

 この小説では、『リバーレリオ=ピナ説』を押していきます。
 私の旧Twitterのほうでは、考察の話を出しているので、ここでは簡潔に、リバーレリオの誕生がアークガーディアン作戦途中であること、ピナ死亡時はまだリリスの棺は無事であったこと、リバーレリオの製作時に必要な意志の強い死亡済みのニケがあの時代消去法的にピナくらいしかいなかった(リリーバイスとドロシーの間にフェアリーテールモデルがいたらしいけど、稼働の瞬間にボディが耐えきれなくて死亡済み)

 否定意見が、原作で既にリバーレリオとドロシーが会っているというだけなので、この作品ではリバーレリオ=ピナになりますね。その方が美しいのと、この説が合ってた時にドヤ顔できるからですねぇ!

 今回はドロシーが弱りに弱りきっていたから、ゴッデス再結成の流れに持っていけました。

 あと、最後に現れたピースメーカーはなんか怪しすぎる…。
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