プリティーのサイドストーリーでモチベーションが上がりました。
ヘレティックとは全身がナノマシンで出来ており、既存のニケ相手であれば、多少の性能差では埋められないような絶対的強者である。
その性能差によって繰り広げるヘレティックの戦闘は、一方的なまでの蹂躙が常識であった。
「あ…貴方は、貴方は、貴方は!一体ッ!何者なのですか!」
クイーンの生み出した最新型のヘレティックは、素体にニケを使っていない。
ナノマシン由来の人体模型のような骨組みに、人間の顔を模した擬態のような顔面のパーツをただ取り付けただけの、本当の意味の人間モドキ、それが彼女___。
「初めまして、アルトルイア___そして、さようなら」
「私は!お母様によって作られた完璧な存在!それを、ただの人間と、人間モドキ風情に!負けるわけがない!」
付近のラプチャーは既に間引いて戦闘が終了し、戦場に取り残されたアルトルイアは激昂した。
「君が果敢に攻めようが、慎重に攻めようが、或いは全く攻めずとも、その結末は同じこと。…未来の話などしていない、君の終焉など、既に逃れようのない過去の事実なのだから」
私が言い終わるかどうかといったタイミングで、アルトルイアから光学兵器の発射体…ビームが発射されるが、一歩も動かず、その光を見届ける。しかし、その光は私の目の前で屈折して遥か彼方に消え去った。
「ビームが…曲がった…?」
『指向性を持たせた高密度の超音波は光を屈折させる。それは光学兵器におけるビーム攻撃に対しても例外ではない…。本来であれば、"タワー・オブ・プリンセス"を発動した状態であれば、君に私の声が聞こえることはなかったが、良き仲間と巡り合ったおかげで___私の声はよく届く』
"停止"
「か…体が…動か、ない…」
ヘレティックがどれだけ強く、強靭で、圧倒的であろうと、人類の叡智の到達点であるフェアリーテールモデル、その第二世代を一人でも相手にすれば、その優位性は覆る。
『どうしたアルトルイア…。君にはまだ、攻撃の手段が残っているはずだ。手を尽くし、反撃し給え___その悉くを無に帰そう』
今の私は、少々虫の居所が悪いのでね…。楽には終わらせないよ…。
◆◆◆
クイーンは戦場を俯瞰しながら、それでいて唖然としていた。
自身の最初の攻撃がトラウマの元となったアナキオール___もといシンデレラに直撃し、戦場から姿を消した。
自分の攻撃がシンデレラに通用し、心に植え付けられたトラウマを払拭する機会として、蓄えた戦力を放出してエデンに攻め入った。
およそ百年間貯めたエネルギーと、そのエネルギーを十全に発揮させるための空中要塞、各地から結集させたラプチャー群と、集結可能だったヘレティック。本来の戦力差を考慮するなら、何不自由なく殲滅できるほどの差があったはずだった。
しかし、蓋を開けてみれば戦局は膠着状態に陥った。
敵対戦力は要塞に搭載された火器により充分殲滅可能であった。本来であればその要塞のみで、事足りる計算であり、過剰戦略となっている。計算外の事を述べるなら、クイーンの繰り出す手を余す事なく読まれていて、常にカウンターを用意されていたという点だった。
宇宙ステーションを改造して造られたクイーンの空中要塞は、ピースメーカーの持ち込んだビーム撹乱幕により、その99%を無力化され、地上を埋め尽くすほどのラプチャー群は消耗戦により、徐々にその数を減らされ等々その数をゼロにまでされた。
頼みの綱のヘレティックですら、分断による各個撃破と、敵への寝返りにより、建造途中であったアルトルイアですら戦場に投入せざるを得なくなり、あえなく活動不能にまで追い込まれた。
クイーン本体のエネルギーは十全に残っているとはいえ、使える戦略が限られ、ジリ貧は免れない。
本体がまだ無事な状態が不幸中の幸いであり、クイーンはアルトルイアが行動不能となった段階で、後方に下り、逃走を開始しようとした。
クイーンの誤算は主に三つあった。
一つ目は、地上戦力であるラプチャー群が緩やかではあるがその数を減らされていたのは、殲滅可能だったが、敢えて生かされ、クイーンの目を戦場に向けさせる時間稼ぎに気が付かなかった点。
二つ目は、過剰なまでの戦力を投入しておきながら、いまさら撤退を選ぶ惜しさと、時間をかければ勝てると思わされた勘違いを引き起こさせたピースメーカーの存在という点。
三つ目は___。
「久しぶりね___大体、100年ぶりかしら」
クイーンのトラウマであるシンデレラが、未だ健在である点だった。
瞬間、クイーンの脳には百年前に味わわされた緊張が走る。
「ァァァァァァ…!」
悲鳴とも叫びとも取れる声のような駆動音がクイーンの心境を物語る。
後方にはシンデレラが単独で迫り、前方からは寝返ったヘレティックを引き連れたピースメーカーが進軍してくる。左右からも地上のラプチャーが全滅にあったことから、援軍の侵攻を止めるものがいない。
「舞踏会は、これにて終わりを迎えるわ」
戦場にて踊らされたクイーンは、逃げ道を作るためシンデレラに立ち向かう。
十二時を知らせる鐘が、鳴ろうとしていた。
◆◆◆
本来の戦力的に、シンデレラ単独によってクイーンが破壊される一歩まで追い込まれた点から、クイーンの四方を囲むように陣形が組まれ、追加の戦力が投入されクイーンは防戦一方となった。
しかし、さすがのクイーンと蓄えたエネルギーの量から破壊されたところから再生を繰り返す光景に、ピースメーカーは目を細めた。
天敵であり、トラウマの対象であったシンデレラですら、破壊のスピードに再生速度が追いついている光景を睨んでいる。
シンデレラだけではない、空中戦が可能となったレッドシューズ___もとい、カーレンも、地上から火力集中するセイレーンも、ヘンゼルとグレーテルも、ピースメーカー隊全員、ナユタ達、インヘルト、カウンターズも同様に同じことを考えていた。
「あと…一手必要か___」
クイーンの装甲は削ったところから再生が開始し、千日手となっていたが当初の予定通り、エデンから更なる援軍が到着した。
「待たせたな」
「おや、私たちのために残してくれるとは、ピースメーカーの坊ちゃんも気が効くじゃないか」
「遅くなりました、みなさん大丈夫ですか?」
ピースメーカーの後方から現れたのは、過剰なまでの積載武装を見せるのは、スノーホワイト:ヘビーアームズ。
二振りの刀を携えた、紅蓮:弐式。
金色の粒子を常に後輪のように発生させている、ラプンツェル:ディアナソレイユ。
「私たちの初陣が、クイーン戦とは粋な計らいじゃありませんか」
「___君たちの到着を待っていたよ、ドロシー」
スノーホワイト、紅蓮、ラプンツェルを飛び越えるように空中からフワリと着地したのは、拡張武装ピナに改良を施され、ボディもより戦いのために洗練されたフォルムとなった、ドロシー:アークエンジェルだった。
「お膳立てをしてくれたのですから、ここからは私たちがアレに引導を渡します…。行きますよみなさん、ゴッデス部隊、レディ!」
凡そ百年越しに、伝説の部隊がこの戦場に舞い降りた。
お疲れ様でした!
実はクイーン戦で、「ゴッデス部隊レディ!」をやりたいために書き始めた小説でしたが、ようやくここまで漕ぎ着けました!
ちょっといい感じに終わりたかったので、少し短めですけど。
改造後ゴッデスの名称は、スノーホワイト以外完全に妄想です。ヘビーアームズの名称に引っ張られてますね。
ところで、プリティーのサイドストーリーは読みました?めっっっっっちゃくちゃ良かったですよね!過去一番泣きました。