本編はイベントストーリー、OLD TALES最新話の話が一部含まれています。
ネタバレが嫌な方は、イベスト回ってから読んでね
「お疲れ様でした、マスター!」
M.M.R.での特別講義が休憩に入り控え室に下がると、ドリンクと温かいおしぼりを用意してくれてたテトラライン製造量産型"I-DOLL オーシャン"個人名ゴーテルが待っていた。
彼女も古参であり、初期から居るオズ、グリムに次いでのメンバーであり、私の最初期のメンバーだ。今では大部隊となったが、あの頃の細々と作戦を達成してた頃が懐かしくなってくる。
しかし、テトララインの彼女を講義の場に出すのは、エリシオンとミシリスに対して印象が悪くなると思い待機してもらっていたが、退屈な思いをさせてないだろうか。
「すまないゴーテル、でもここでマスターはやめておけ」
あとやっぱりくぎゅ声でマスター呼びは情緒が狂う。
「はーい、ごめんなさーい」
イタズラっぽく舌を出して笑うゴーテルだが、公共の場でマスター呼びはやめてもらうように言っていたのに、マスター呼びか…ちょっと怒ってるな。
しかし彼女の回復力はもしもの時があった場合に困るので、護衛としていて貰わなければ困る。
「はぁ…今度何か穴埋めをするよ」
「えーほんとー?やったー」
絶対計算ずくだな………。
「あまり指揮官を困らせるんじゃありませんよ、ゴーテル」
「だって、グリムばかり側にいて羨ましかったんだもん」
好かれているのは嬉しいが、私に対してそこまで魅力を感じる要素がどこにあるのか…。
「午後の講義もあるから、まだゴーテルには辛抱してもらうことになる。我慢して待っててくれ」
「わかったわ、"指揮官"!」
…全く、現金なやつだな。
◆◆◆
今回は、作戦も任務も何もない現状、お忍びで地上に出てきた。
お忍びということもあって、いつもの大部隊ではなく、オズ、グリム、ゴーテルの最初期のメンバーによる少数精鋭である。
お忍びというのも中央政府に知られたくない"暗躍まがい"なことをやっているからなのだが、やはりバレた時が怖いな。
「こんにちはルドミラ、息災かな?今日もいい天気だね」
「待ってたわピースメーカー。ええ元気よ、それにいつもの吹雪一面の景色ね」
アンリミテッド部隊のルドミラが筒状のショーケースを前に、こちらに振り返りながら、挨拶を交わす。
しかし見返り美人とはこのことを言うのだろうな。
「わはー、暗躍さん!こんにちは」
「こんにちは、アリスも元気だったかい?」
「はい!」
元気に私を"暗躍さん"と呼ぶのは全身ピンクのラバースーツのような物に身を包んだ活発そうな女の子アリス。
やっぱり名前から重要な秘密がありそうだが、ルドミラもだんまりを決めている。個人的な推測なら、秘蔵のフェアリーテイルモデルだと思うのだが、アークの頭脳である管理AIのエニックと"定期的"に情報交換している私でも現状よくわかっていない。
「今月の分の資源を運んできた。例の"アレ"はそろそろか?」
「そうね、もう少しで修理が終わるはずよ。いつも助かるわ、スクラップから直すには途方もない時間が掛かっていたところよ」
中央政府にバレない範囲で、部隊の資源をアンリミテッド部隊に横流しして、目の前のニケを修復している我々は、やはり反乱分子としてみられても仕方がないように思えてくる。
しかし、エニックからはアークにもしものことが起こった時に、絶対に必要になる戦力であることから容認されている。ただ、問題なのはエニックではなく、それ以外の中央政府の上層部だから、こんな風に暗躍まがいのことをしなければならない。
「目覚めたらこの子達の名前を聞いてみたいものね」
「そうだな…」
私の目の前にはショーケースに未だ目覚めていない双子のニケ、現在では情報が完全に失われた第二世代のフェアリーテイルモデル、ヘンゼルとグレーテルが浮かんでいた。
◆◆◆
「やはり、少量ずつしか資源を渡せないのは歯痒さを感じるな」
アンリミテッド部隊にまた来ると別れを告げて、帰路に就いた私は不意に出た独り言を口にしていた。
「これ以上の資源の横流しは流石に怪しまれます。それこそいつも指揮官が危惧している"反乱分子"と判断されかねない材料になります」
自然と口に出していた言葉に答えてくれたのはオズだった。相変わらず生真面目だな。
「ままならないものだね」
しかし苦節五年程だろう。ある程度の権力をアークで確立させてから、アンリミテッド部隊に対して物資搬入の役割を今でも担い、ニケ用パーツを横流しした甲斐があったのも、後に復活するシンデレラやエイ…グレイブのためというもの_。
「マスター!11時の方角より高エネルギー体が急速接近!10秒後に接触するわ!」
いきなりゴーテルのレーダー察知が反応したかと思えば、高エネルギー体の接近とは、勘弁して欲しい。
「この近辺にタイラント級ラプチャーは見当たらなかったはずだが…未確認のヘレティックか?…仕方がない、各員いつでも"偽装解除"できるようにセット!フォーメーション01デルタだ、ポジション取れよ」
近づいてくるであろう方角に合わせて、ちょうど私の前で三角形が作れるような陣形でフォーメーションを組む。スリーマンセルならこれが一番安定する。
しかし万一の場合のヘレティックであれば、"奥の手"を使うしかないが、アークから離れた位置であっても出来れば使いたくはない。
「ちぇ、いきなり出てきて驚かそうと思ったのに、結構危険察知能力高いじゃん」
私たちの前に降り立ったのは、巨大な竜の顎のようなアームを背中に携えた長い赤髪の獰猛な肉食動物のような赤い目をしたニケ、それにこの声…間違いない。
「オズ、
「マルチマジック、レディー!」
「魔女の林檎、レディー!」
「タワーオブプリンセス、レディー!」
ヘレティック、ニヒリスター…どうして彼女がここに。
「おぉ、おっかねぇ…いきなり臨戦態勢か、興味本位で近づいたのはまずかったか?」
「おしゃべりをしに来たのなら、私としても嬉しい限りだ」
本当に目的が会話だけなら、こちらは無駄に消耗せずに済む。オズ達が一時的に
「そこいらの指揮官にしては強気だな、まぁその胆力は嫌いじゃない。あー話は単純だ、ここら辺にインディビリアっていうヘレティックがいただろ?どこに行ったか分かるか?」
インディビリアの所在か…アークに強襲をかける性格だが、今は"時期"ではないだろう。話さないと交戦になる危険もあるが、おいそれと奥の手を見せたくない…仕方がないか。
「それなら丁度十日ほど前に、我々が捕らえてアークに収容した」
「…へ?捕らえた?…捕まったのか、アイツが?…あっははは、そうかあんだけ偉そうにしてたのに捕まったのか…ちょっといなくなってそうな気配があって、アークを偵察しに来たんだが…面白いことになってやがるな。それでお前が"捕まえた"とでも言ってるようだが、それが本当ならヘレティックを退ける部隊ねぇ…」
「悪いが、これから会議があってね、時間がないんだ。このまま逃がしてくれると有難い」
「おお、それは悪いことをしちまったな。あーでももうその会議には出られないだろうなぁ」
ニヒリスターが竜の顎を開き、こちらにその銃口を向ける。
「お前は危険だ、俺の勘がそう言ってる…ここで殺しておく」
瞬間、ニヒリスターから、鉄をも溶かす高熱の炎が放出された。
お疲れ様でした。
アンリミテッド部隊が直そうとしているニケの描写は序盤にあったので、この物語での設定では、アンリミテッド部隊が、ヘンゼルとグレーテルのボディを確保している世界となります。
後々に出てきそうな魔女の方の名前、そのうち絶対ネタが被る。
ちなみにオズ達の機能は次回になりますね。でも奥の手はちゃっかり持ってるよねという…でもこの感じ今まで一度も使ってなさそうなんだよね…。